微笑姉妹
〜愛と欲望の日々〜


麗らかな秋晴れの午後、ここは山百合会へ通じる道、その道を通って山百合会へ向かう人影二つ。
「ほら、あの2人」
「ああ、あれがその」
「そうロサ・フェティダ・アンブウトゥン様(黄薔薇のつぼみ)とロサ・フェティダ・アンブウトゥン・プティスールさん(黄薔薇のつぼみの妹)よ」
「なにかこう・・・『絵になっている』って感じですよね」
「ええ、これぞベストスールたる由縁って所よね〜」

そう、その2人とは支倉令と島津由乃のご両名で、授業も終わり山百合会に向かっている所である。
2人とも別に意識している訳ではないのだが、自然と出る佇まいからちょっとした注目の的になってしまうのである。
「由乃、この所体調良さそうだね?」
「うん、ちょっと気温が上がったり下がったりでそれでちょっと大変だけどね。」

そうこうしているうちに山百合会に到着し会議室へと向かう2人。
「誰が来ているかな?」
「祐巳ちゃん来てそうな気がするけどね?」
「でも祐巳ちゃん今日掃除当番だって言ってたよ?」
「そっか〜だったら私達が一番乗りかもね?」
そして「ビスケットの扉」に着きノックをして会議室に入る。

”ガチャッ”
いつも通り見慣れた会議室…ではなかった。
いつもだったら午後の穏やかな日差しが差し込んでいるはずなのに、何やら部屋全体が中間照明によって微妙なムードを醸し出している。
…???
”バタン”
扉を閉め、大きく深呼吸をして今見たものを反芻する令&由乃
そして再び扉を開ける。

”ガチャッ”
改めて中を見るとやっぱり中間照明になっている。
そして先程入った時とは違いなにやらムーディーなJAZZが流れている。
…????
”バタン”
令&由乃、また扉を閉める。
んで考えて、また開ける。

”ガチャッ”
中間照明の部屋にムーディーなJAZZ、そしてテーブルの上にはいつもの花瓶…ではなく七輪が置かれている。
「え?え?、令ちゃんこれどーゆー事!?」
「そんなの私に聞かれても…」
見事に令&由乃大混乱。
2人がまごまごしてるといきなり
「お待ち〜♪」
と聞き覚えのある、と言うか常に聞いている声が。
「「黄薔薇様!?」」
2人見事にシンクロしながら声のした方に目線を動かすとそこには!?

「・・・・・・」
目が点で口あんぐりの令。

「…Oh シット!」
思わず口汚い言葉を口走ってしまった由乃。

と2人がこうなってしまったのも仕方ない、何故ならその声の主黄薔薇様こと鳥居江利子嬢は事もあろうか『バニーガール姿』だったのである。
「おい、姉ちゃん、何やってんだよ姉ちゃん!」
またしても口汚い言葉を口走る由乃。
「いや、だから〜お待ち〜って」
「説明になってねぇよ姉ちゃん!」
「由乃落ち着いて!黄薔薇様も何やってるんですか!」
「この内装とかとこの格好見て判らない?」
「「なんなんですか?」」
またしても2人見事にシンクロして聞き返す。
「知りたい?」
2人とも無言でブンブン頷く。
「正解は、焼肉屋でした〜♪」
2人ともこの予想外の発言に言葉を失っていた。
バニーちゃんが出てくる焼肉屋なんて見たことも無いし行ったことも無いからだ。(著者も)
「2人ともそんな所で何ボーっとしてないで、店内へいらっしゃ〜い♪」
と、誘われるまま店内?へ入っていく。


「で、なんでこんな事しちゃったんですか?」
改めて令が聞く。
「そーですよ!なんでそんな恥ずかしい恰好してるんですか!?」
落ち着いた由乃もそれに続く。
「だってね、お父さんも『若いうちはなんでもやれ』言ってたんで、つい…」
「黄薔薇様、それ明らかに意味はき違えてますよ」
軽く引いた表情で令がつっこむ。
「ええっ!そうなの!?」
「はい、そうですが…」
「じゃあ、『夜の校舎窓ガラス割ったり』とか『盗んだバイクで走り出す』のも違うの〜〜〜〜!?」
至極意外な表情をしている江利子嬢、目にはうっすら光る物が。

「・・・・・・」
目が点で口あんぐりの令。(本日二回目)

「…Oh シット!」
思わず口汚い言葉を口走ってしまった由乃。(本日四回目)


「まぁまぁ、もうその事はいいから、焼き肉食べましょ♪」
さっきとはうって変わって、営業スマイル?で問いかける江利子嬢。
「「え〜〜?」」
もはや恒例となりつつある2人のシンクロも気にせず
「いいぢゃん、いいぢゃん〜〜」
と子供のように駄々をこねる江利子嬢。
「そんなことしてて誰かに見つかったら一大事ですよ!」
「そうですよ!それこそ祥子様にでも見つかったらもう!!」
何とか説得しようとする2人の思いも意に介さず
「でも〜折角準備したし〜食べましょうよ〜」
文章では判りづらいが江利子嬢、佐藤●緒のモノマネしながら言ってます。
「…判りました、…食べましょう由乃。」
無言で頷く由乃。
いくらこの人に言っても無駄だと察したのである。
「え、ホント!?ホントにホント!?」
無言で頷く2人。
「嬉し〜、じゃあ早速食べましょ〜♪」





1時間経過





「…あのー、黄薔薇様」
「なあに?」
「お尋ねしたいことが何点かあるんですけど?」
「なあに?」
「これ『焼肉』なんですよね?」
「そうよ?」
「じゃあなんで食材が『こてっちゃん』オンリーなんですか!?」
「え〜、こてっちゃん嫌い?」
「別に嫌いって訳じゃないんですけど、こてっちゃんオンリーですと流石に飽きますよ! それと飲み物もなんで『チェリオ』オンリーなんですか!?」
「もぅ、令はワガママねぇ」
と言いながら持参してきたクーラーボックスの中を探る江利子。
「え〜〜っと、あ!あったあった♪」
とクーラーボックスから出されたのは、食材『ウイニー』と飲み物『プラッシー』であった。
「…なんでそんな微妙な物ばっかり持ってきてるんですか?」
「そう?私は大好きよ?」
「・・・・・・」
まったくこの人は…、と半ば諦めつつふと由乃の方を見る、すると由乃のが。

「ヲア〜〜、たぁのしいぴょ〜」
とあからさまに挙動のおかしい発言が、更によく観察すると

●目が据わっている
●体から独特の臭気を放っている
●歩き方が千鳥足

以上の項目から一般的に判断すると由乃はいわゆる「酩酊状態」平たく言えば「酔っぱらっている」
「ちょ、ちょっと由乃!?」
と由乃に駆け寄る令が見たのは、右手に握られている「アサヒスーパードライ」の500ml缶であった。
そしてふと目線を変えるとその場からそ〜っと逃げだそうとしている(バニーの恰好のまま)江利子嬢の姿が、あんたは昭和初期のコントか!?、と言わんばかりの分かり易さである。
「おい、お前!」
思わず口汚い言葉を口走る令、そしてその一言に驚きその場に立ち止まる江利子。
「は、はい?」
「お前の仕業だろ!」
「いやーんバレた?」
「『いやーん』じゃねえよお前、何未成年に酒飲ましてるんだよ!?」
「だって〜、やっぱ焼き肉には『とりビー』(とりあえずビールの略)でしょ?」
「『とりビ−』だか『のりピー』だか知りませんけど駄目なんだよ!!」
「『のりピー』ってなかなかコアな所突いてくるわね、令」
そんな江利子のつっこみを黙殺し、由乃に駆け寄る。
「あ〜〜、令にゃんぴょ〜」
「由乃大丈夫!?」
「じぇんじぇん大丈夫れすぴょ〜」
駄目だ…、と内心思いながら「そっかそっか」と軽く聞き流しながら令は由乃を介抱しようとした。
しかし、その態度がこの酔っぱらいにはカチッと来たようで。
「あによ〜子供扱いしないでぴょ〜」
「してないからしてないから」
この追い打ちとも取れる適当な相づちに更にカチッと来た酔っぱらいは驚愕の行動に出る。
自分の肩に掛けられていた令の手を取り、おもむろに自分のパンツの中に導き入れたのである!
この行動に思考不能状態になりそのまま固まってしまう令、そんな令に向かい「どう、大人だぴょ?」と聞く由乃。

「よ、よ、よ、よ、よ、よ!?」
完全にパニック状態に陥っている令、しかし気にすることなく由乃は。
「令ちゃんのはどうなの?」
「ふ、ふぇっ?」
「令ちゃんのはどうなんだぴょ?」
「な、何が?」
「だ〜か〜ら〜!、令ちゃんの『マリア様』はどうなってるんだぴょ〜!?」
と言うやいなや、令を押し倒しおもむろにスカート&パンツをひん剥こうとする由乃。
「き、黄薔薇様助けて〜〜!!」
由乃を必死に押さえつけながら助けを請う。
この一連の様子を見ていた江利子嬢の脳内では天使の江利子と悪魔の江利子が戦っていた、やっぱりあんたは昭和初期のコントか。
そしてその結果は  

K-1 ROMANEXルール ○悪魔の江利子(1R 0:34 KO)●天使の江利子

見事な秒殺で決着が付きその結果、おもむろにクーラーボックス向かい隠していたアサヒスーパードライ350ml缶×2を両手に持ち
2つとも開けた後両手を上げ手を傾け、その位置から口にビールを流し込むという某SCSOばりの一気飲みを見せそのまま由乃を加勢。
「令ちゃん、おとなしく言うこと聞かないと令ちゃんの穴という穴にビール瓶突っ込むわよ?」
「そうだぴょ、令にゃんおとなしくするぴょ〜」


「ひ、ひどいわ〜〜〜〜〜〜〜」


ちょうどネタを探しに山百合会周辺をブラ付いていた築山三奈子と武嶋蔦子は山百合会から聞こえた悲鳴にスクープの匂いを察し、我先にと山百合会へと向かう。
そしていち早く会議室へとたどり着いた三奈子がドアを開けると、「ふええ〜〜〜ん」と泣きながら令が抱きついてきた。
「お、おう?」と動揺する三奈子
後から追いついた蔦子が「ど、どうしたの?」と問いかける
その問いに「からだはいや、からだはいや、からだは・・・・・・」
とうわ言のように繰り返すだけの令、そして抱きつかれた三奈子がその令をよーく見ると下半身が生まれたままの姿、要は裸であった。
「え!え!?」動揺が更に深まる三奈子に蔦子が「あ、あれ見て…」と指を指す、その先では…


「うっひょ〜〜い!令ちゃんのおパンツだぴょ〜♪」
パンツを被った三つ編みの少女(恐らく島津由乃)がそう言いながらはしゃいでいた。
「待てぃ!!」
また別の方から声がして、その方を向くと、頭にスカートを被った少女がおもむろに仮面ライダー風のポーズを取って
「スカートレディー!!」
恐らくこのスカートレディと称する少女は声からして鳥居江利子であろう。
「おー!、スカートレディ!また来たぴょー!?」
また!? よく来るのか!? と2人が内心でつっこむ。
「どっちが上でどっちが下がわかるまい〜」
「おのれーやるなー!」
この一連の乱痴気騒ぎを見ていた三奈子の口から「アホだ…、アホだこいつら…」の一言が出るのは必然であった。


翌日、リリアンかわら版の一面には『黄薔薇、もろ出し祭り・鰻もネットリ、父うっとりin山百合会』の文字が踊り、リリアンかわら版発行以来かってない反響を呼ぶ中、事の当事者3人は先生並びに祥子にこっ酷く説教を受けるのであった。



                                                                               終劇