【SS】シンジの一日
<朝>
エヴァンゲリオン初号機パイロット、碇シンジの朝は早い。なぜなら、
朝ご飯とお弁当の準備をしなければならないからだ。3人での生活が始
まった頃はちゃんと当番を決めて交代制でやっていたが、ミサトは毎回
寝坊するし、アスカはアスカで朝っぱらから焼肉にしたりする。それで、
シンジはあきらめて、全てを一手に引き受けていた。
ジリリリリ・・5:30am。ベッドから手が伸ばし目覚ましを止める。
「ふわぁぁぁぁ、朝かぁ、起きなきゃあ」
カッターシャツに手を通し、ズボンをはく。ゆっくり伸びをして部屋
を出る。
「さあて、昨日下ごしらえした煮物と、塩鮭を焼いてっと」
「おっと、お風呂を沸かしておかないとアスカに怒られちゃうな」
「サラダにハムに、イチゴジャムにぃ〜」
すっかり新妻めいているシンジだった。けっこう彼はこうやって他人
の世話を焼くのが気に入っていて幸せそうだ。まぁ、そう言われても否
定しただろうが・・・
そんなことをしているうちにアスカが起きてくる。
「おっはよー、シンジ」
「おはよう、アスカ。お風呂沸いてるよ」
「うん、ありがと。でも、こんな可愛い娘がお風呂入ってるからって、
のぞかないでね」
「そっ、そんなことしないよぉ」
「バカ、冗談よ。シンジにそんなことする度胸ないもんね」
アスカは笑いながら、バスルームに行ってしまう。
「ちぇ、アスカのヤツ、いつもからかってさ。こんどホントにのぞいて
やろうかな・・」
シンジはその後のことを考え、ゾッとしてそんな考えを捨てた。賢明
である。
引き続き、朝食の準備をしているとミサトがだらしない格好で起きて
くる。その髪はぼさぼさで、シャツは肩から半分ずりおちている。最初
はミサトのそんな格好にどぎまぎしていたが、いまや何も感じない不幸
なシンジだった。
ミサトの朝はまず、冷蔵庫からビールを取り出し、起きぬけの一気飲
みから始まるのだった。
ゴクッ ゴクッ ゴクッ プッハァ〜
「朝はやっぱりこれよねぇー」
「ミサトさん、ビールばっかり飲んでると太るよ」
ピ、ピクッ、シンジはミサトにもっと良い食生活を送って欲しいだけ
だったが、それはあまりにも危険な言葉であった。
「シンちゃーん、そんな悪いことを言うお口はこれかなぁー」
ミサトはシンジの口に指を突っ込み、思いっきりひねりあげた。
「ヒハイ、ヒハイ、ミヒャトヒャン、ヒャメテヨォ」
そのとき、アスカが頭にタオルを巻いて、お風呂から出てきた。
「あー、いいお湯だった。おはようミサト。またシンジが何かいらない
こと言ったの?」
「ミヘニャイデタシュケテヨォ、ヒハイッテバァ」
「ミサトぉ、いいかげん勘弁してあげたら、もうシンジもこりたでしょ
うし」
「そーね。いい?シンジくん、女には決して言ってはいけない言葉があ
るの。よく分かったわね」
トホホなシンジだった。シンジはほっぺたを押さえウルウルしながら
パンを焼き始めるのだった。
「うん、いい焼き具合だわ。シンジ、だんだん分かってきたじゃない」
「・・・・ありがと」
食事中、アスカの勝手な感想に内心ムカッときたシンジだったが表面
上はにこにこしていた。しかし、アスカはシンジの口が引きつっている
のを見逃さないのだった。
「なんか、不満そうね。この私が誉めてあげたっていうのに」
「そんなことないよ」
慌ててシンジは否定するが、どんどんアスカのおもうつぼにはまって
いく。
「ふーん、じゃあ私のお世話ができて嬉しい?」
「・・・・」
「う・れ・し・い・わ・よ・ね」
「・・・・嬉しいよぉ(泣)」
「そお、じゃあこれからもこきつかってあげるからね(はぁと)」
「(涙目)」
完全に『下僕』と化し、泣きそうなシンジに対して、アスカはとても
嬉しそうにニコニコするのだった。
<登校>
「碇くん、学校いきましょー」
「アスカ、おはよぉ」
ケンスケとトウジが迎えに来る。最近は委員長も一緒に来るのだった。
ミサトに送り出され、シンジとアスカは部屋をでた。
委員長とアスカが前を歩き、その後を3バカがついていく。
「なんや、センセイ。なに泣きそうな顔しとんねん」
「また、惣流にいじめられたのか」
アスカは振り向いて、言った。
「なによそれ。まるで私がシンジをいじめてるみたいじゃない」
「そのとおりやろが。現実が見えへんのかお前は」
「なんですってぇ〜〜」
「やめてよ、2人とも。ケンカしないでよ」
シンジが慌てて止めに入り、アスカはフンといった感じで前を向く。
ヒカリを連れて、さっさと先に行ってしまうのだった。
シンジたちの声が届かなくなったところでヒカリは言った。
「アスカ、碇君のこと好きなんでしょ」
唐突なヒカリの突っ込みにたまげるアスカ。
「バカ言わないでよ。なんで私があんな鈍感なヤツを・・・」
「鈍感ってなにが?」
思わずつまるアスカにヒカリは笑って言った。
「アスカって、とっても意地っ張りだから誤解されやすいけど、ホント
はとぉっても可愛いのよね。すぐに語るに落ちるし。でも、たまには
もっと素直なところを見せた方がいいと思うわ」
「・・・そうよね。分かってはいるんだけどね・・・」
一方、シンジたちは・・・
「あれ、綾波だ」
「えっ、あっホントだ」
レイはシンジたちに気付き、近づいてきた。
「おはよう・・・」
「おはよう、綾波」
そのまま、シンジの横に並び何も言わず歩くレイ。シンジも何も言わ
ずに歩いていく。ケンスケとトウジは2人の雰囲気に割り込めないもの
を感じた。
「この2人、いったいどういう関係や?」
「分かるわけないだろ。好きあってるってわけでもないと思うけど」
「やっぱり、エヴァのパイロットは変りモンばっかりや」
シンジとレイに聞こえないようにひそひそ話す2人だった。
<授業中>
授業中はさして語ることもないのでほとんど省略するが、3時限の体
育については少々突っ込んでおこう。本日の授業は男子は柔道、女子は
バレーボールだった。しかし急に女子の教師が腹痛になり、休講になっ
たため、柔道場に男子の授業を見に来ていた。男子生徒達が燃え上がっ
たのは言うまでもない。急遽トーナメントが開催されることになった。
ケンスケは一回戦敗退。トウジは積極的な攻めで順調に勝ちあがり、
いよいよ決勝戦に望んだ。相手はなんとシンジである。意外にシンジは
強かった。弱かったらエヴァで白兵戦など出来ないので、実はネルフの
訓練には格闘術もあったのである。シンジの戦い方はトウジと違って、
ひたすら相手の攻撃をかわしつづけ、相手がバランスをくずすのを逃さ
ずに倒すというもので、あまり派手さはなく、傍目にも偶然勝ってるよ
うにしか見えなかった。しかし、トウジだけはシンジの実力を見抜いて
いた。
トウジは今までのように相手に自分から攻めることをせず、シンジも
動かないので、戦いは膠着状態に陥った。
「トウジ〜、相手はラッキーで勝ちあがって来てるぞ。さっさとやっち
まえ〜」
シンジに倒された生徒たちからそんな声が飛ぶ。
「ばっかねぇ〜、シンジの実力も知らないでさ」
「碇くんって強いの、アスカ」
「当然でしょ、仮にもエヴァ初号機のパイロットよ。でも、シンジもシ
ンジだわ。わざわざラッキーで勝ってるように見せるなんて何考えて
るのかしら」
「・・・碇くんは対戦した相手を気遣ってるみたい」
レイがぼそっと言った。
「ふん!そんなの偽善だわ。それにそんなの相手に失礼じゃない」
「・・・そうね。でも碇くんはそういう人だから」
そんな声も聞こえないところで、トウジとシンジは見合っていた。
「(このままじゃ、どうにもならんなぁ。でも力づくで攻めていっても
シンジは倒せんし。どうしたもんかいな)」
そんなトウジの迷いを見抜いたのか、シンジが急に動き、トウジが慌
てるうちにいい組み手を取っていた。攻めるシンジ。トウジはシンジの
攻めをかわすのが精一杯になってしまった。
「(つっ 強い!)」
ついにシンジの小内がりがトウジをとらえた。なんとか一本はまぬが
れたものの技ありを取られてしまった。周りではどよめきが走る。
「(いかん、いかん、のんびり考えてて勝てる相手やない。一番得意な
一本背負いにかけたる。かわされたら負けじゃ。それでええわい)」
審判の先生の始めの合図とともに飛び出すトウジ。まさか、いきなり
来るとは思ってなかったのか、シンジは見事に捕まってしまった。きれ
いに宙を舞うシンジ。あっさりと一本である。トウジは大の字にねっこ
ろがるシンジに言った。
「情けをかけたんやないやろな」
「まさかぁ、あれはかわせなかったよ」
「ほーか、まだまだ修行が足らんようやな」
トウジはシンジに手を伸ばし、引き起こした。
「まったく、つめが甘いんだから。まあシンジらしいけどね」
「・・・そうね」
キーンコーンカーンコーン、柔道トーナメントは終わった。トウジと
シンジに対する女子の評価があがったかどうかはご想像にお任せしよう。
えっ?ケンスケ?それもやっぱりお任せしよう
<昼休み>
「あーおなかすいた。ねーシンジお弁当は?」
「ほらっ、これがアスカのぶん」
「ん?もうひとつあるじゃない?」
「うん、ちょっと待ってて」
シンジは席を立って、パンを食べようとしているレイの方へ行く。
「綾波、これ食べてよ。いつもパンじゃ良くないよ。ちゃんと肉は使って
ないからさ」
レイはきょとんとしながら、思わず弁当箱を受け取ってしまった。
「食べたら、弁当箱はそのまま返してくれればいいから」
「・・・ありがとう」
席に戻るシンジにアスカはムッとした顔でいった。
「いいわね〜シンちゃんは。愛しの優等生にお弁当食べてもらえてさぁ」
「ええっ別にそんなんじゃないよ。ただ、綾波は仲間だし、いつもあんな
食生活じゃ良くないし・・・」
「シンジはお前とちごうて親切なんや。女のやきもちはみっともないで」
「なんですってぇ〜 だれがシンジにやきもちなんか。フン!シンジ!
お弁当もらっていくわよ。ヒカリ、どっか遠くで食べましょ」
無理矢理、委員長を引っ張って、アスカは外へ出ていってしまった。
「わしの弁当まで連れてってもうた・・・(泣)」
シンジはため息をついて、自分の弁当をトウジに渡すのだった。
「お前はどうするんや?」
「・・・碇くん、これ食べて」
レイがすまなそうな顔して、シンジの弁当を返そうとする。
「いいよ。それは綾波のためにつくったんだ。代わりにさっきのパンをく
れない?」
「それでいいの?」
「うん、綾波もこっちで一緒に食べようよ」
アスカの代わりにレイが加わっての昼食になった。レイは3バカのにぎ
やかな昼食に戸惑っていたが、だんだんと楽しそうな顔になってきた。
「ふーん、綾波が笑うの初めてみせてもろたわ」
「笑うとけっこう可愛いじゃん」
「・・・ありがと」
レイは少し赤くなりながら、まじめにお礼を言うのだった。
一方、アスカとヒカリは屋上にいた。
「ねぇ、アスカ。いいかげん機嫌直して、教室に帰ろうよ」
「うるさいわね。そんなに帰りたいなら1人で行きなさいよ」
「・・・分かったわ。ここで食べよ」
弁当を広げだすヒカリ。けっこう量が多かった。
「鈴原に食べてもらおうと思ってたから、ちょっと多いのよね。食べるの
手伝ってくれる?」
アスカはさすがにまずかったと思ったが、何も言えなかった。そのまま
シンジの作った弁当箱を開けて中をながめた。
「へぇ、碇くんっていろんなもの作れるのね。この煮物おいしそう。少し
ちょうだいね」
「私の好きなものばっかし・・・」
「おいし!今度お料理教えてもらおうかな。ね、アスカから頼んでくれる?
ね?アスカ?・・・泣いてるの?」
「泣いてないわよ。泣くわけないじゃないの」
アスカは泣きながら、弁当をかきこんだ。
「ねえ、アスカ。悪いと思ったら、ちゃんと謝った方がいいわ。その方が
アスカも楽になれると思うんだけどな」
「・・・うん、ごめんね。こんなところまでつきあわせて」
「いいわよ。友達じゃない。それより私のお弁当も食べてよ。これなんか
けっこう自信作なんだけど」
<再度、授業中>
ご飯のあとでぽかぽかとあったかい部屋での授業は無性にねむい。それ
はシンジとて例外ではなかった。周囲の仲間が睡魔に飲み込まれていく中
でなんとか起きていようと頑張ったが、いつのまにか眠ってしまった。
<下校>
今日は別に訓練もテストもないので、シンジは食料の買い出しをしてか
ら帰ることにした。なにせ、冷蔵庫のほとんどのスペースはビールに取ら
れているので、油断すると何もなくなって、コンビニ弁当を食べるはめに
なるのだ。そうなるとミサトはともかくアスカがうるさい。
そんなことを考えながらシンジが歩いていると、後ろからアスカが走っ
てきた。
「シンジ、買い物行くんでしょ?たまには手伝うわ」
「どうしたの、アスカ。珍しいなぁ、いつもは遊びに行っちゃうのに」
「つべこべ言わずに、あんたはありがとうって言えばいいのよ」
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
しばらく並んで歩いていた。基本的にアスカが大声でシンジに話しかけ
シンジがボソボソッと答えていたが、そんな会話がしばらく途切れた後、
「・・・お昼はごめんね」
「えっ?」
「聞こえたでしょ。なんども言わせないでよ」
真っ赤になってアスカは言った。
「ご、ごめん」
「なんでシンジが謝んのよ。謝ってるのは私の方よ」
「ごめん」
「・・・」
「・・・」
数秒、無言で見つめあった後、2人は同時に吹き出してしまった。しば
らく笑いつづけた後、シンジは言った。
「今日の夕食は何がいい?なんなりとアスカのリクエストに答えるよ」
「ホント?やったぁ。そぉね、クリームシチューがいいな」
「OK。じゃあ急いで準備しないとね。アスカも手伝ってよ」
「ええ〜、まぁ、しょうがないわねぇ」
<夕食>
クリームシチューはなかなかの出来だった。アスカはジャガイモやニン
ジンをむいて、味付けはシンジである。別に変わったことをしてるわけで
もないのに、どうして自分の作るシチューよりおいしくできるのかアスカ
は不思議だった。そんな感覚的なものをシンジが説明できるはずもなく、
味の秘密は分からないままである。でも、その理屈はともかくシチューは
おいしいのでアスカは幸せだった。
「おいしい」
「ホント。うれしいな、そんな喜んでくれて」
「やっぱり、私のむき方が良かったのね。味が良くしみこんでるわ」
「あら、珍しい。アスカも手伝ったの?今日は仲がいいのね。なんかあっ
たの?」
「べ、別になにもないわよ」
「なーんか、あやしいわねぇ」
「そんなことよりミサト。そんなビールばっかり飲んでないで、シンジの
シチュー食べたら。絶品よ。どうしてシンジにこんなの作れるのか分か
んないくらい」
話しをそらすアスカを微笑ましく見ながら、ミサトはスプーンを取った。
「ん〜、ちょっち辛みが足りないかな」
止める間もなく、七味唐辛子とタバスコをどっぷぁ〜と入れるミサト。
真っ赤になったシチューを口に入れると満足そうに言った。
「ん、完璧!」
「(どういう味覚してるの?)」
シンジとアスカは違う生き物を見る目でミサトを見るのだった。
<夜>
シンジが夕食の片付けを終えてリビングに戻ってくると、ミサトとアス
カはいつも、テレビの恋愛ドラマを見ていた。
「アスカ、そんな格好で見てると目悪くなるよ。ちゃんと座って見なよ」
「いいじゃないの。私の勝手でしょ」
「でも・・・」
「じゃ、コーヒー煎れてくれたら、座って見たげる」
「なんだよ、それぇ〜」
「シンジくん、私も欲しい〜」
「お願い、シンジィ」
カワイコブリッコするミサトとアスカにため息をつくと、シンジはキッ
チンに戻り、コーヒーの用意をする。3人分のコーヒーにコンビニで買っ
たビスケット。ミサトとアスカの喜ぶ顔を見てシンジは苦笑するのだった。
<お風呂>
ミサトとアスカは朝風呂だが、シンジとペンペンは夜、風呂に入る。シ
ンジはペンペンの後である。なぜかペンペンは一番風呂にしか入ろうとし
ないのだ。風呂の中でシンジはその日あったことを思い出す。
「(今日は悪くない一日だったな。使徒も来なかったし、アスカの機嫌も
良くなったし。明日も何もないといいなぁ)」
<寝る前に>
チルドレンといえども、学校の宿題はある。シンジは真面目な割りには
あまり、成績は良くない。学校も休みが多いのでふと気付くと授業につい
ていけなくなっているのだ。レイもアスカも同じ状況なので言い訳にはな
らないが・・・
「シンジ、まだ起きてる?」
「うん、起きてるよ」
「入るわよ(ガラッ) 何してんの?」
「宿題。アスカは終わったの」
「当ったり前でしょ。あんな簡単な問題。どこが分かんないのよ。見せて
ごらんなさい」
「うん、ここのところがよく分かんないんだ」
「バッカね〜。この式を変形して、ここへ代入すればいいんじゃない」
「えっ、あっ、ホントだ」
「他には?」
「じゃあ、ここのところ・・・」
すっかりシンジの家庭教師してしまうアスカだった。おかげでシンジの
宿題は早く終わった。
「ありがとう、助かったよ。ところでアスカは何しに来たの?なんか用が
あったんじゃ」
「えっ、いや、もういいの。別に用なんか無かったの」
実はシンジのお手伝いに来たのだったが、そうは言えないアスカだった。
「もう、寝るわ。あんたもよふかししてないで早く寝なさいよ」
「うん、でも寝る前に明日のお弁当の下ごしらえしないと・・」
「しょうがないわねぇ。いいわ、手伝うわよ」
「いいよ。そんなの」
「2人でやった方が早く終わるじゃない。この私が手伝うって言ってるん
だから、その通りにすればいいのよ」
「うん、ありがと」
<ベッドの中>
アスカが手伝ってくれたおかげで、いつもより時間がかかってしまった
ような気がする。だって、アスカは自分の好きなものばかり弁当に入れよ
うとするし・・・布団のなかでクスクスと笑ってしまうシンジだった。
前は布団のなかでもSDATが手放せないシンジだった。それは周りに
誰もいなくて、さびしくて、静けさに耐えられなかったから。また、他人
とつきあうのが恐くて、SDATを聞いていれば他人と話しをしなくても
済んだから。でもいまは、SDATは机のひきだしに入れてある。
シンジはいつしか、眠ってしまった。夢さえ見ない深い眠りに・・・
<Fin>
return