*盛岡橋本美術館(岩手県盛岡市)



 2年ぶりに、盛岡の橋本美術館を訪れた。


 ああ、この絵はいいなとおもった。

「岩手山の春」とか「八甲田の新緑」という題の連作?である。

自然の息吹きが、感性の深いところで受け止められている。身体

じゅうの毛穴が開くように、生き生きと自分の筆で描いている。

この感性は借り物ではない。作者自身のものだ。作者は橋本八百二。

この美術館の創設者である。


  橋本八百二は明治36年(1903年)生まれ。「交代時間」と

いう鉱夫の仕事場を描いた作や戦争中のニューギニア戦線の悲惨な

様子を描いた絵がこの美術館にある。あらためて橋本八百二の作品を

見てみたが、その多くは気持ちのなかに入ってくるものがなかった。

直感的に言えば、作者の感動が感じられない、なにを描きたかった

のか、わかりにくい絵が多かった。

  しかし、その数点の郷里の自然を描いた作品に、初めて作者の

感性が動いているのが感じられる。昭和54年(1979年)になく

なる直前の晩年の作である。これらの作品を描いて、作者は本当に

喜んでいるとおもう。


  作者は随分と回り道をしていたのかもしれない。




(99/5/10 NIFTYSERVE文学フォーラム8番会議室初出:
「美術館めぐり(その49)」)







盛岡橋本美術館(その2)

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