首
先日、彼と一緒に夜釣りに出かけていたときのことです。
彼の友人のお薦めの釣りのポイントへ向かっていました。
山を越えた入江とのことで、街灯のない一本道を進んでいたのですが
周りから、いろんな人が嬉しそうに笑いながらこちらを
見ているのです。
家もなく、ただの道沿いに人があまりに大勢いるので気になって見ていたのですが、
道をいくら進んでも、草むらから
みんな笑っているのです。
その笑顔は、楽しいと言うより、ニヤッっという感じで少し気味が悪い笑顔でした。
今日はお祭りでもあるのだろうか?
人があまりに多いのでそう思っていたのですが、よく見るとみんな首しかないのです。
しかし、彼には見えないらしくご機嫌で車を運転しています。
私は、怖くて何も言えませんでした。
彼に言ってしまうと、その首がおそってきそうな錯覚に襲われ、
目を閉じても、感じる視線をムシしようと努力しました。
目的地に着き、車を止めると、車の周りは
首ばかりです !!
もう、恐ろしくて、車を降りようとする彼に「降りないで
! 」と叫ぶのがやっとでした。
驚いたように私を振り返る彼は、
私の蒼白の顔を見て 何かを感じたのか
(私に霊が見えることは知っていたので)
「何か見えるの?」と、おそるおそる聞いてきたので、うなずくと、すぐ車をUターンさせ、
来た道を引き返してくれました。
私の異常な反応に彼も冷や汗を流しつつ、急いで道を戻るのですが首は後ろを追ってきます。
やっとの事で、街灯のある通りに出て、ホッと一息つきました。
その後、数日は悪夢にうなされ、寝れない日を過ごしていますが無事に過ごしています。
友人に後日聞いた話では、
そこは、昔、一揆を起こした村人が全員首をはねられた村の跡・・という事でした。
もう、二度とそこにはいくまいと心に決めましたが、
あの時、車から降りると何が待ち受けていたのか・・・。
恐怖だけは忘れられません。