おまえの番だよ

 

これは高校のときに同級生だったS君から聞いた話だ。
S君は当時、地元のY団地にすんでいたのだが、その団地に引っ越してくる前に体験した話なのだそうだ。だから引っ越す前に住んでいたマンションから、当時の高校へと通う道に私鉄が通る踏切での体験談なのだという。
その日も学校へ向かう途中の朝8時頃、踏み切りで電車待ちをしていたのだという。ちょうど自分の前に一人の女性がスッと、割り込んできた。
「なんだよ」
と思っていたが、どうも様子がおかしいので声もかけずに黙っていた。すると電車が来たころに、その女性は遮断機をくぐって線路に入り、飛び込み自殺をしてしまったのだ。
S君は生まれて初めて目の前で人間が轢断される瞬間を見てしまったのだ。
その女性は、身体を電車に轢かれて真っ二つになり、首も飛んだのだという。そして信じられないことだが、その首がS君のほうに向かって飛んできて、S君と目が合った瞬間に、
「見ないで!」
と叫んだのだという。
それが悪夢の始まりだったのです。
そしてそれから何日かして、その状況を忘れかけた頃に、またその踏切でS君は、あの日と同じような背格好の女性が自分と反対側の踏み切りで電車待ちをしているのに気がついた。その日は夕暮れで雨が降っていたのだという。
「まさか」と思いつつも、その女性を見ないようにして、遮断機が上がった踏切を渡っていくと、すれ違いざまにその女性がS君に向かって、
「今度は見てよ」
と、声をかけてきたのだという。
驚いて振り向くと、その女性の姿はそこにはなかったのだという。S君はゾッとして、走って家に帰ったのだそうだ。
そしてそれから数日後、S君はまたその踏切で電車待ちをしていた。あれからその踏切を通らないようにしていたのだが、この踏切を避けて高校に向かうと、すごく遠回りになってしまうので、「もう大丈夫だろう」と思い、クラブで遅くなってしまったため、早く家に帰りたくて、その踏切にきてしまったのだ。
またいつものように遮断機の警報装置が鳴っている。
S君は電車が通り過ぎるのをドキドキしながら待っていた。すると彼の頭の上で人の声のようなものがした。
「上」
そう聞こえた気がしてS君は自分の頭上を見上げた。
すると、警報装置の上に、あの女性がニンマリしながら座っていたのである。
S君は「うわああああ」と叫んでその場にへたり込んでしまった。
それからさらに数日後、今度は友人三人と一緒にその踏み切りで電車待ちをしていた。
遮断機が降り、警報装置が鳴り出す。
カンカンカンカンカンカンカン。
不意に誰かに背を押されたような気がした。友人がふざけて押したのかもしれない。
そう思ってS君は「よせよお」と、振り返った。
するとそこにはあの女性が立っていて、S君を指差し、
「お前の番だよ」
と言ったのだという。
その時のS君の顔は真っ青で、物凄い形相だったと、そこに居合わせた友人たちは話してくれた。
それからS君は運が良くY団地に引っ越すことになったので、二度とその踏切を通ることはなくなったのだという。もしもあのままずっとあの踏切を通り続けていたらどうなっていたか。考えると生きた心地がしない、とS君は僕に当時を振り返って語ってくれたのだ。

 

 

 

怖い話なんてもう流行らねぇよ!!ということで前のPageへGo!!