-CF横丁ブルース-

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[2004年2月〜]

6. オフシーズン・マンスリー <2004年4月号>
5. オフシーズン・マンスリー <2004NFLドラフト増刊号>
4. オフシーズン・マンスリー <2004年3月号>
3. BCS時代の最強チーム
2. オフシーズン・マンスリー <2004年2月号>
1. NFL, NCAA -2つの世界を率いたヘッドコーチ達



6. オフシーズン・マンスリー <2004年4月号>



 ノートルダム大出身のホールオヴフェイマー、ポール・ホーナンがデトロイトのラジオ番組で母校ノートルダム大について、同校の入学基準をもう少し下げてもっと才能のある黒人選手をリクルートしなければ、トップレベルで戦うことはできないと発言。この人種差別的発言が大きな批判を招き、同氏は後日この発言内容について謝罪撤回した。QB及びHBとしてカレッジとプロの双方で殿堂入りを果たしたポール・ホーナンは、史上唯一負け越しチームから選ばれたハイズマン賞ウィナーとしても知られ、錚々たるメンバーが揃うノートルダム大フットボール出身者の中でも最有力OBのひとり。

 ノートルダム大といえば、これまでカレッジフットボール界有数の名門フットボール校として燦然たる伝統と名声を誇ってきた。しかし、近年はなかなか安定した成績を残すことができず、黄金のヘルメットだけが空しく輝いて見えることも多い。今年2月には400名以上のノートルダム大校友が大学理事会に連判状を送り、2004年シーズンに劇的な成績の改善がない場合にはヘッドコーチの交代が必要だとの要求を出している。公の場でのホーナン氏の発言が不適当なのは言うまでもないが、現状のプログラムについて校友会やフットボール部OBなどの不満が相当高まっていることの現れと見ることもできるだろう。就任3年目にしてどうやらタイロン・ウィリングハム政権は、早くも勝負の年を迎えることになりそうだ。



 アリゾナ州立大出身で元NFLアリゾナのFSパット・ティルマン(27)が、陸軍特殊部隊員としてアフガニスタンで作戦行動中に敵の銃弾を受け戦死した。ティルマンは『9.11同時多発テロ事件』の翌年、あえてNFLのスターターFSという栄光の座を捨てて弟とともに特殊部隊に志願、栄光の歴史を誇る第75レインジャー連隊第2大隊(大隊本部:ワシントン州フォートルイス)に所属していた。今回作戦チームのリーダーとして自らの命を犠牲にし、チーム全体の命を救ったとされるティルマンには、陸軍から銀星章(The Silver Star)が授与され、NFLドラフトでもその英雄的行動が称えられた。また、アリゾナ州立大ではティルマンのジャージ(42番)が来シーズンから同校史上4人目の永久欠番にすることが発表された。

 ティルマンはアリゾナ州立大時代には小柄ながらOLBとして活躍し、QBジェイク・プラマーらとともに1996年シーズンには見事パック-10優勝。WRデイヴィッド・ボストンを擁するオハイオ州立大とローズボウルで激突して名勝負を演じた。また、当時のブルース・スナイダー・ヘッドコーチ(現UNLV/TEコーチ)によれば、彼の長いコーチ生活の中でもティルマンは最も成熟自立した新入生だったという。新入生のときスナイダー・ヘッドコーチの意向に逆らってレッドシャツを拒否したエピソードに、ティルマンの気骨がうかがえる(レッドシャツに認定された方が長期的にはより多くの出場機会が期待できるため、通常チームのデプスが厚い場合にはそのポジションの有力新人をレッドシャツ扱いにする)。また、ティルマンは学業も3年半で全単位を取得するなど優秀だったようで、ずば抜けた運動神経、体力とともに、タフな智力、判断力、精神力が要求されるレインジャーにはうってつけの人材だったのかもしれない。

 オサマ・ビンラーディン追跡という大義とアフガンの戦後統治を全うする前に、ブッシュ政権は政治的にも軍事的にも疑問の多いイラク侵攻作戦に突入、さらにイラク戦後統治の雲行きが怪しくなってきた現在では、逆に手薄になったアフガンの情勢悪化も懸念されている。最後にティルマン戦死の一報を聞いた恩師スナイダー・コーチの言葉を引用しておこう。"I'm not subject to cussing, but I got so damn mad. What a loss..."(Snyder on Tillman,by Ivan Maizel;ESPN.comより)
(参考):Arizona Republic, ESPN.com, Arizona State Sun Devils Official Site



 テネシー大学が4月に発表した新しいシーズンチケットポリシーが波紋を呼んでいる。マイク・ハミルトン体育担当ディレクター(Athletics Director)の書簡によれば、1985年以前から毎年シーズンチケットを購入し続けて現在サイドライン席をキープしている忠実な約1000人のシーズンチケットホルダーも、今後同じ席を維持するためにはボランティアーズ体育奨学金基金(VASF: Volunteer Athletic Scholarship Fund)への寄付が必要になった。1986年以降にテネシー大でサイドライン席のシーズンチケットを申し込んだ場合にはVASFへの寄付が条件となっており、これら献金者との公平を図るためとテネシー大は説明している。2004年度は経過措置として最大2枚のサイドラインチケットが確保されるが、2006年度以降はVASFに寄付をしない場合には席はサイドラインからエンドゾーンに移される。

 テネシー大の体育担当部は独立採算を貫いており、VASFで集められた資金は主に老朽化の激しいニーランドスタジアム(約104,000人収容/1921年築)の改築(見積もり費用は約50〜100百万ドル)に充当される予定となっている。テネシー・フットボールと言えばテネシー州では今でもタイタンズではなくボルズを意味することが多く、対アラバマ大戦、フロリダ大戦などの大試合は毎年一大社交場となるそうだ。それにしても、このような全米有数の人気チームでいい席を維持するのは容易なことではなさそうだ。サイドライン席の中でも最高の席であるテネシー大側50ヤードライン付近の1階席では、なんとシーズンチケット1枚当たり5,000ドル!(1985年以前からのホールダーは1,000ドル)、一番はずれのサイドライン席でさえ1枚当たり1,000ドル(同じく500ドル)の寄付が、シーズンチケット代とは別に求められるのである。

 最後にニーランドスタジアムの座席割当をテネシー大公式サイトから引用しておこう。全米有数の人気校の姿を移す鏡としてなかなか興味深いからである。

(1)22,700席-VASFへの献金者が保持するシーズンチケット席(主にサイドライン席、カッコ内は筆者注)
(2)30,400席-VASFへの寄付が不要のシーズンチケット席(大部分はエンドゾーン席)
(3)6,900席-大学教職員用のシーズンチケット席(テネシー大の教職員数は約13,800人)
(4)14,000席-学生席(テネシー大の学生数は約28,000人)
(5)16,500席-校友会に割り当てられるシーズンチケット席(会費や寄付が求められる)
(6)9,500席-ヴィジター校席
(7)残り(約4,000席)-シングルゲームチケットとして発売(実際には定員を上回るチケットが発売される。ただし、人気カードの場合は大口の献金者や一部のシーズンチケットホールダーなどに優先的に追加割当てされるため、単独でのシングルゲームチケットの正規発売は前売り・当日を含め一切ない)

(2004.5.9)

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5. オフシーズン・マンスリー <2004NFLドラフト増刊号>



 NFLドラフトは、フットボールファンにとってオフシーズンで最も楽しみな行事のひとつである。もちろん、NFL各チームのチーム事情(スキーム、補強方針、FAの状況など)に通じていなければ、その面白さを満喫することはできないかもしれない。しかし、カレッジファンにとっても、贔屓のチームからどれくらい多くの選手がドラフト指名を受けるかはささやかな楽しみのひとつ。また、カレッジでの活躍とドラフトでの評価の微妙なギャップがいろいろあったりして、ある程度カレッジの試合を観ていた人にはこれがまたけっこう興味深い。というわけで、心はすでに04-05シーズンにあるとはいえ、カレッジファンとしての立場から今年のNFLドラフトを簡単にまとめておこう。


1. 全体1位指名はイーライ・マニング

 まず栄誉ある全体1位に指名されたのは、ミシシッピ大のQBイーライ・マニング(SD指名で、NYGにトレード)。伝統の6強がひしめく最強カンファランスSEC(南東部競技連盟)の中で、イーライはオウルミスを32年ぶりの10勝に導き、1963年以来40年ぶりのSEC優勝まであと一歩と迫る大健闘。父アーチーのマニング神話を見事に復活させ、その実力とマニング家の血統が大いに評価された形となった。これでマニング家は兄ペイトンに続き兄弟ともに全体1位指名!という偉業を達成。また、QBの全体1位指名はこれで4年連続となった。

 全体2位指名を受けたのは、アイオワ大のOTロバート・ギャラリー(OAK)。攻守ラインの輩出では定評のあるビッグテンから、今年も素晴らしいラインマンが誕生した。アイオワ大定評のストレングスも今後さらに評価を上げることだろう。続いて全体3位に指名されたのは、ピッツバーグ大のWRラリー・フィッツジェラルド(ARI)。NCAA(I部A)連続試合TDパスキャッチの新記録をひっさげ、タレントのひしめくWR陣の中で堂々最高の評価を勝ち取った。


2. WR大豊作

 カレッジファンにとっては当然予想されたこととはいえ、ポジション別ではやはりWRの相次ぐ上位指名が目を惹いた。ラリー・フィッツジェラルドを筆頭に1巡指名が実に7人で、ドラフト新記録。また、3巡までにポジション別最多の13人が指名を受けた。QBはイーライ・マニングの他に、4位でノースカロライナ州立大のQBフィリップ・リヴァーズ(NYG指名でSDにトレード)、11位でマイアミ大(オハイオ)のQBベン・ロスリスバーガー(PIT)ら4人が1巡指名を受けた。それぞれタイプは違うものの、上記3人はともに6フィート4インチ(約193cm)とその体格を誇り将来が楽しみだ。また、近年注目のTEはマイアミ大(フロリダ)の良血万能型TEケレン・ウィンズロウ(CLE)をはじめ6人が1日目で指名された。

 守備陣ではいつの時代でも稀少価値の高いDT/DEで、オクラホマ大のDTトミー・ハリス(CHI)ら7人が1巡指名を受けた。また、WR大豊作と対応するように、CBでもヴァージニア工科大の快足CB/PRディアンジェロ・ホール(ATL)ら4人が1巡、計12人が3巡以内で指名された。またスペシャルチームでは、ビッグテンの誇るアイオワ大のKネイト・ケイディング(SD)、オハイオ州立大PのB.J.サンダー(GB)がともに3巡指名という高評価を受けた。


3. 主役は2003年フィエスタボウル出場組

 BCSランキングのいたずらなどから6年ぶりに南カリフォルニア大、LSUと2校の全米王者が誕生した2003年シーズンだったが、今年ドラフトの主役になったのは1年前のフィエスタボウルで全米王座を賭けて雌雄を決したマイアミ大(フロリダ)とオハイオ州立大の2校だった。マイアミ大(フロリダ)が大型FSショーン・テイラー(WAS/1巡5位)をはじめ実に計6人!が1巡指名を獲得。対してオハイオ州立大DEウィル・スミス(NO/1巡18位)ら3人の1巡指名を含めて計14人!がドラフトされ、ともにドラフト新記録となった。2003年フィエスタボウルにおいて彼らの多くは上級生に混じり、すでに中心選手としてその才能の片鱗を見せていた。カレッジフットボール史上に残る名勝負のひとつと言われたこの2003年フィエスタボウルから、将来何人かのプロボウラーが誕生するとしても、カレッジファンにとって別に驚くほどのことはないだろう。

 最高が3巡指名でマイアミ大、オハイオ州立大両校の影に隠れる形となったものの、パーデュー大も強力守備陣を中心に大量9人の選手が指名を受けた。パーデュー大やアイオワ大などはリクルーティングでは必ずしも全米トップクラスの高校生を獲得できているわけではないだけに、その選手育成手腕は大いに賞賛に値するだろう。2003年シーズンの全米王座を争ったLSUからは、WRのマイクル・クレイトン(TB/1巡15位)など計7名、南カリフォルニア大(USC)からは、DEのケニチ・ウデーゼ(MIN/1巡20位)ら計4名、オクラホマ大からは、トミー・ハリスら3名がそれぞれ指名を受けた。USCはピート・キャロル政権になってからはリクルーティングも上昇気流に乗り、下級生に多くの才能溢れる選手を抱えている。したがって、かつての70年代のようにUSCが今後数年間にわたって再びトップブリーダーに返り咲き、NFLに多くの選手を送り込む可能性も十分あるだろう。

 I部A校出身以外でドラフト指名を受けたのは、255人の全指名選手中わずかに19校20人(I部AA:14人、II部:4人、NAIA:2人)。その中ではI部Aの海軍士官学校から敵地で堂々の大金星を挙げ、見事I部AA選手権優勝を果たしたデラウェア大から6巡でエースQBのアンディ・ホール(PHI)ら2名が指名を受けて気を吐いた。また、体育奨学金制度を採用していないアイヴィー・リーグからは、イェール大TEのネイト・ローリー(TB/6巡181位)ら2人が指名された。


4. アーリーエントリーの明暗

 今年も有力下級生のアーリーエントリーが目立った年だった。登録選手は43名に留まったものの、トップ10指名では全体3位のラリー・フィッツジェラルドら5名(ドラフト史上3位タイ)、1巡指名がドラフト史上最多の15名、全体指名でもこれまでのドラフト記録を一挙に4名更新の35名。多くの下級生がドラフトで高評価を受け、良くも悪くも下級生指名増加のトレンドは今年もさらに拡大した。

 一方これと明暗を分けたのが元オハイオ州立大のRBモーリス・クラレットと南カリフォルニア大(USC)の怪物WRマイク・ウィリアムズだった。NFLのアーリーエントリー規定を不当だとするモーリス・クラレットの訴えが今年2月にニューヨークの連邦地裁で認められ、クラレットに続いてUSC全米王者の立役者マイク・ウィリアムズが2年生(True Sophomore)として初めてNFLドラフトへの道を選択した。しかし、NFL側の必死の反撃により、ドラフト直前になって連邦地裁の命令は連邦控訴裁によって延期が認められ、連邦最高裁も連邦控訴裁の判断を支持。このためクラレットとウィリアムズらは2004年ドラフトから事実上締め出されることになった。

 それにしても史上最多の下級生青田買いを実行する一方で、アーリーエントリー制限の撤廃を頑なまでに拒み続けるNFL(及び影の支援者NCAA)の姿は、先鋭化するアーリーエントリー制度の矛盾を象徴しているかのようだ。四大プロスポーツ最高の人気を誇りながら四大プロスポーツ最低水準の労働条件しか提供できないNFLと、どこかの宗教法人もびっくりのドル至上主義を突き進む非営利団体?NCAAにとって、3年というアーリーエントリー制限は誰も犯すべからざる、まさに絶妙の落とし所なのかもしれない。


5. たかがドラフト、されどドラフト・・・

 ドラフトはどんなに華やかであろうとカレッジとプロをつなぐ通過点に過ぎない。たとえドラフトでは負け組となったとしても、フリーエージェントや他リーグから身を起こして大成した選手も多い。また、残念ながらドラフト指名選手が出なかったチームも、視点を変えれば乏しいタレントをやりくりしながらも戦術的に大健闘したチームや、多くの有力な下級生を抱えて来季以降が楽しみなチームもあるだろう。最後にドラフト指名選手がゼロだった主なチームと、ドラフト指名を受けなかった主な選手を挙げて、今後の健闘に期待しておきたい。



[ドラフト指名選手がゼロだったボウルゲーム出場チーム]
ボイジー州立大、ミズーリ大、ニューメキシコ大、ノースウェスタン大、ルイヴィル大、タルサ大、ユタ大

[ドラフト指名洩れの主要選手]
QB-ケイシー・クローセン(テネシー)、ライアン・ディンウィディ(ボイジー州立)、ジャレッド・ロレンゼン(ケンタッキー)、スコット・リスロフ(サンホゼ州立)、エル・ロバースン(カンザス州立)、ロッド・ラザフォード(ピッツバーグ)
RB-ザック・エイブロン(ミズーリ)、リッチ・アレクシス(ワシントン)、ラン・カーソン(フロリダ)、デリック・ナイト(ボストンカレッジ)、ジェレット・ペイトン(マイアミ-FL)、フレッド・ラッセル(アイオワ)、シャド・ウィリアムズ(アラバマ)、トラヴィス・ウィルスン(カンザス州立)、ジェイスン・ライト(ノースウェスタン)
WR-オマール・ジェンキンズ(ノートルダム)、B.J.ジョンスン(テキサス)、ジェイムズ・ニュースン(オレゴン州立)、ジョン・スタンドフォード(パーデュー)、ウェス・ウェルカー(テキサス工科)
TE-ベン・ユーテックト(ミネソタ)
OL-タイスン・クレイボ(ウェイクフォレスト)、イヴァン・ダグラス(オハイオ州立)、オージー・ホフマン(ボストンカレッジ)、ライアン・リリア(カンザス州立)、ヒュー・ライリー(ジョージア工科)、シャノン・スネル(フロリダ)
DL-ケヴィン・イマニュエル(フロリダ州立)、コンスタンティン・リッツマン(テネシー)、タイ・トゥパーイ(ワシントン州立)、アンドリュー・シュル(カンザス州立)
LB-ジョシュ・ビュール(カンザス州立)、マイク・ラビンジョ(ミシガン州立)、ジェフ・マック(ウィスコンシン)、ジョシュ・アット(ボストンカレッジ)、グラント・ワイリー(ウェストヴァージニア)
DB-マーセル・アーモンド(南カリフォルニア)、ルーファス・ブラウン(フロリダ州立)、ブランドン・エヴァレイジ(オクラホマ)、スタンフォード・サミュエルズ(フロリダ州立)、イーライ・ウォード(ミネソタ)、ヴァージル・ウィリアムズ(ワシントン州立)
K-ビリー・ベネット(ジョージア)、ニック・ブラウン(TCU)、カーク・イェリニーミ(オレゴン州立)
P-カイル・ラースン(ネブラスカ)

(2004.5.5)

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4. オフシーズン・マンスリー <2004年3月号>



 BCS(ボウル・チャンピオンシップ・シリーズ/Bowl Championship Series)が、2006年シーズンから五大ボウル制になる見通しとなった。

 BCS学長統括委員会(BCS Presidential Oversight Committee)と非BCS陣営の体育競技改革派学長連合(PCAR/Presidential Coalition for Athletics Reform)は、2006年シーズンよりBCSに5番目のボウルゲームを追加して五大ボウル制とすることに合意した。また、非BCS校のBCS優先出場権の要件が現行基準から大幅に緩和され、非BCS校に対するBCSボウルの大幅な門戸開放が実現する見通しとなった。前回(昨年11月)のBCSとPCARとの会議ではほとんど成果が見られず、議会や法廷闘争も含めたBCS陣営と非BCS陣営との全面抗争に発展するのではとの懸念さえ一部から出ていた。そのため、今回の急転直下の合意成立はやや予想外の驚きとともに各メディアで報じられた。そこで今回の合意のポイントを整理しておこう。


1. BCSの五大ボウル制への拡大

 2006年シーズンからは現行の四大ボウル(フィエスタ、オレンジ、シュガー、ローズ)に加えて、新たに5番目のボウルゲームをBCSに追加し、5つのボウルゲームが毎年持ち回りでBCS全米王座決定戦(BCS National Championship Game)を開催する。これにより、BCSの出場枠は8から10に拡大する。


2. 非BCS校に対するBCSの大幅門戸開放

 現行のBCSガイドラインでは、非BCS校がBCSボウル(四大ボウル)に優先出場するためには、BCSランキング(最終-以下同)で6位以内に入る必要があった。しかし、2006年シーズン以降は(1) BCSランキング12位以内であれば、自動出場権が保証される、(2) 非BCS校がBCSカンファランス優勝校6チームのいずれかよりBCSランキングで上位にランクインしている場合は、BCSランキング16位以内のときでも自動出場権が保証される、と選出基準が大幅に緩和される。

 この基準を過去6年に適用してみると、1998年のテュレイン大(BCSランキング10位)、1999年のマーシャル大(同12位)、2000年のテキサスキリスト教大(同14位、このときパーデュー大-ビッグテン同率優勝校-はランク外)、2003年のマイアミ大(オハイオ/同11位)の4校が、BCSボウルのいずれかに自動選出されていたことになる。


3. ビッグイーストに対するBCS優先出場権の維持

 マイアミ大(フロリダ)など有力校3校の離脱にもかかわらず、ビッグイースト競技連盟の優勝校には2006年シーズン以降も引き続きBCSへの優先出場権が与えられることになった。今回の合意の最大の勝利者は、実は非BCS陣営のPCARではなく、ビッグイーストだったという見方もあるほど、ビッグイーストの優先出場権確保は危ぶまれていた。にもかかわらず、ビッグイーストがBCS優先出場権を確保できた背景には、主に次のような理由が考えられる。

(1) ビッグイーストの主なテリトリーである東部は、プロスポーツやカレッジバスケットボールが圧倒的に優勢な地域である。しかし、全米メディアの総本山が属する地域であり、特に巨大な人口を抱える北東部のマーケットを無視することはできなかった。
(2) BCS創設メンバーであり、らつ腕・うるさ型で知られるビッグイーストのマイク・トランギージー・コミッショナーとその加盟校からBCSの特権を奪い、反BCS陣営に回すことによるデメリットを考慮した。


4. 問題点と疑問点

 今回の決定については、まだ全体像のごく一部しか決定・公表されていないこともあり、各メディアの評価は大きく分かれている。主な問題点・疑問点を挙げておこう。

(1) BCSの基本的仕組みの温存
---非BCS陣営は今回の合意を大きな勝利と位置付けている。しかし、非BCS陣営にとって自動出場権の要件が大幅に緩和されたとはいえ、BCSカンファランスと同様に毎年優先出場権が確保されるわけではない。5つの中堅カンファランスは今後も外様扱いであることは変わらず、六大カンファランス中心に運営されていくBCSの基本的な構造は温存されることになる。非BCS陣営はBCS出場機会の大幅拡大、BCS陣営は既得権の死守という実を取ることでお互い歩み寄り、NCAAフットボールの内部抗争激化という最悪の事態だけは辛うじて免れた。なお、RCARのスコット・カウエン・テュレイン大総長は、これでPCARの役目は事実上終わったと表明している。

(2) テレビ放映権交渉の行方
---今回の決定は正確にはBCS加盟校グループと非BCS校グループとの合意に過ぎず、今後はこの合意に基づいて、BCSカンファランスの代表がABC(放送)にBCS五大ボウル案を売り込む(本格的な交渉を始める)ことになる。したがって、現在の時点ではBCS五大ボウル制が実現するかどうかはまだ最終決定されたわけではない。もっとも、BCSのデイヴ・フローンメイヤー・オレゴン大総長は、BCS五大ボウル制の売り込み(ABCとのテレビ放映権更改交渉)には楽観的な見通しを表明している。また、ABCとの独占契約交渉が難航した場合には、BCS放映権の一部が他のネットワークへ分割譲渡される可能性も指摘されている。なお、5つめのBCSボウル有力候補であるコットンボウルはFOX、ゲイターボウルはNBCが、現在それぞれ放映権を所有している。

(3) 全米王座決定戦新設案は?
---今回の合意では、プレイオフ形式の導入は改めて明確に否定され、2006年シーズン以降は5つのボウルゲームによって全米王座決定戦を持ち回り開催することが示唆されている。したがって、四大(五大)ボウル終了後に全米王座決定戦を新設して、四大(五大)ボウル勝者の中から2チームを選抜して戦わせるというワンゲーム・プレイオフ案はひとまずお預けという形になっている。しかし、ケヴィン・ワイバーグ・ビッグ12コミッショナー兼BCS新コーディネイターやジェフ・ロング・ピッツバーグ大体育担当ディレクター(Athletic Director)など複数の関係筋が、いわゆる『5プラス1』案は完全に立ち消えになったわけではないと述べている。したがって、全米王座決定戦新設の行方については、テレビ放映権交渉や、どのボウルゲームが5番目のBCSボウルに昇格するかも絡んで、今後思わぬ方向に発展するかもしれない。

(4) 新たな火種は尽きず?
---BCSは2003年シーズンに発生した分裂王座問題に対処するために、BCSランキングのさらなる手直しを検討している。最も有力なのはBCSランキングのなかからコンピュータランキングを除外するか、比重を減らすことである。しかし、これは非BCS校に不利に作用する可能性がある(もし、コンピュータランキングの要素をBCSランキングから完全に除外した場合、2003年シーズンでのマイアミ大(オハイオ)のBCSランキングは11位から14位に転落する)。BCSランキングのいじり方次第では、せっかく大幅拡大した非BCS校のBCS出場のチャンスが、再び狭き門に戻ってしまう可能性もあるのである。
---前述のようにビッグイースト優勝校は2006年シーズン以降も優先出場権を確保することとなった。しかし、マイアミ大などが離脱した新ビッグイーストのフットボールは、実力・人気の両面においても、非BCS陣営のひとつであるマウンテン・ウェストのフットボールとほぼ同程度に過ぎない。このため、ビッグイースト優勝校の成績次第では、5番目のBCSボウルの質や人気(集客力・視聴率・広告料収入)の点で新たな問題が生まれるかもしれない。今回の五大ボウル制導入の合意にもかかわらず、今後もBCSのあり方を巡る論争が完全に下火になることはどうやらなさそうだ。



 NFLサンフランシスコの黄金時代を築いた名将ビル・ウォルシュ氏が、スタンフォード大体育担当ディレクターの特別補佐に就任することになった。ウォルシュ氏は、テッド・リーランド・スタンフォード大体育担当ディレクター(Athletic Director)のもとで、主に体育担当部(Athletic Department)の資金集め(fund-raising)などに関わることとなる。

 スタンフォード大は学問はもちろん競技スポーツでも全米屈指の名門私学として知られている。しかし、体育競技最大の収益源であるフットボールに限っては、強豪校というにはほど遠い存在だ。抜群の知名度を誇るウォルシュ氏はかつてスタンフォード大でも2期5年にわたってヘッドコーチを務め、地元実業界との人脈も豊富なだけに、金集めでも大いにその手腕が期待されるかもしれない。



 リクルーティングも一服した2月から3月にかけては、新シーズンに向け各校でコーチングスタッフの入れ替えなどが積極的に行なわれた。その中でも注目のひとつだったのが、昨年歴史的不振に沈んだ名門ペンシルヴェニア州立大のスタッフ人事。事実上不振の責任を取らされたフラン・ギャンター攻撃コーディネイター(OC)が体育担当部副部長に転出し、後任OCにはゲイレン・ホール・NFLダラスRBコーチ(XFLオーランド・レイジ、NFLEライン・ファイアー、AFLシャーロット・レイジ、WFLオーランド・サンダー及びフロリダ大の元ヘッドコーチ)が就任した。また、リクルーティング・コーディネイターには御大ジョー・パターノ・ヘッドコーチの子息ジェイ・パターノQBコーチに代わり、マイク・マキアリー・新アシスタントWRコーチが就任することになった。ギャンター前OCは長年御大の腹心として仕え、いずれは次期ヘッドコーチ職を継ぐものと見られただけに、この人事には相当抵抗した模様だ。

 御曹司ジェイ・パターノQBコーチも含め大規模なスタッフ入れ替えも予想されたペン州立大だが、結局は比較的小幅な改造人事に留まった。ゲイレン・ホール新OCはペン州立大OBで御大子飼いの人物であり、ペン州立大オフェンスに新風を起こせるかどうかについては疑問の声もある。また、プレイコールもホールOCとジェイ・パターノQBコーチが兼任するという異例の体制で臨むことが伝えられている。一時は賭博開帳で解任されたリック・ニューハイゼル前ワシントン大ヘッドコーチのスタッフ入りも噂されたペン州立大再建の前途は、まだまだ視界良好というにはほど遠いようだ。ペンステイトは州立大学には珍しいほど徹底的な文武両道を貫き、最もカレッジの香り漂うチームのひとつ。それだけに、ペン州立大の巻き返しが大いに期待されるところなのだが・・・。

(2004.3.27)

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3. BCS時代の最強チーム



 1998年シーズンに六大カンファランスが結集して誕生したボウル・チャンピオンシップ・シリーズ(BCS: Bowl Championship Series)も、6シーズンが経過した。BCSは毎年のように様々な論議や問題を惹き起こしながらも、人気投票という独特でノスタルジックだが曖昧な制度に代わり、カレッジフットボールの王者を決定する新たな仕組みとして機能し続けてきた。ボウル・コウアリション(Bowl Coalition, 1992-94年)、ボウル・アライアンス(Bowl Alliance, 1995年-97年)を経て築き上げられてきたBCSのフォーマットは、さらに進化することこそあれ、全てを放棄して旧来の仕組みに戻ることはもはやないだろう。今年は第1期BCS契約の切れる2006年シーズン以降に向け、第2期BCS(あるいはポストBCS)の骨格が話し合われる重要な年になる。そこで、このへんで過去6年を振り返り、我らがBCS時代のトップテンチームを算出してみた。

トップテンチーム -BCS時代

  チーム 所属 ポイント* BCS出場回数(通算成績)
BCSボウル合計 全米王座決定戦
1 フロリダ州立 ACC 10 5回 (1勝4敗) 3回 (1勝2敗)
2 マイアミ(FL) ビッグイースト 10 4回 (3勝1敗) 2回 (1勝1敗)
3 オクラホマ ビッグ12 8 3回 (2勝1敗) 2回 (1勝1敗)
4 オハイオ州立 ビッグテン 8 3回 (3勝0敗) 1回 (1勝0敗)
5 LSU SEC 6 2回 (2勝0敗) 1回 (1勝0敗)
6 テネシー SEC 5 2回 (1勝1敗) 1回 (1勝0敗)
7 フロリダ SEC 5 3回 (2勝1敗) -
8 ネブラスカ ビッグ12 4 2回 (1勝1敗) 1回 (0勝1敗)
9 南カリフォルニア パック-10 4 2回 (2勝0敗) -
9 ウィスコンシン ビッグテン 4 2回 (2勝0敗) -

*ポイント
全米王座決定戦(BCS National Championship Game)に出場して勝った場合:4点
全米王座決定戦に出場して負けた場合:2点
全米王座決定戦以外のBCSボウルに出場して勝った場合:2点
全米王座決定戦以外のBCSボウルに出場して負けた場合:1点
同点の場合は、全米王座決定戦の勝ち数、出場回数が多い順に並べた。



 BCSが始まった90年代後半のカレッジフットボールは、フロリダ州の両雄フロリダ州立大フロリダ大と、ビッグ12のネブラスカ大を中心に回っていたと言っても過言ではなかった。しかし新世紀に入ってビッグ12では、ケンタッキー大のスプレッドオフェンスを導入して生まれ変わった新生オクラホマ大が大躍進を果たすのと対照的に、2002年ローズボウルでネブラスカ大伝統のオプション神話が衝撃的な崩壊を見せ、主役があっという間に入れ替わった。

 フロリダ州でも80年代を席捲したマイアミ大が、華麗なIフォーメーションのバランスアタックで再び表舞台に返り咲く一方、15年近くも続いてきたフロリダ州立大不滅の常勝伝説もついに翳りを見せ始めた。また、フロリダ大もSECで一時代を築いたスパリアー・コーチのNFLへの転出で大きな転機を迎えることになった。

 このようなフロリダ州、ビッグ12圏内での地殻変動に加えて、かつてスーパーパワーだったビッグテンのオハイオ州立大、パック-10の南カリフォルニア大などが新ヘッドコーチのもとで再び栄光を取り戻しつつあり、カレッジフットボールの勢力地図も、久しぶりに群雄割拠の様相を呈している。これからもこの戦国時代が続くのか、新たな勢力が加わってさらに混戦に拍車がかかるのか、それともこの中から新たな絶対王朝が出現してくるのか。来シーズンの開幕が待ち遠しい今日この頃である。

(2004.3.8)

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2. オフシーズン・マンスリー <2004年2月号>



 2004年もまだ始まったばかりだというのに、今オフシーズン最大、いやひょっとするとカレッジフットボール史上の重要事件となるかもしれない出来事で2月が始まった。

 オハイオ州立大のRBモーリス・クラレットが、高校卒業後3シーズンを経過していない選手のドラフトへの参加を認めない規定が不当だとしてNFLを訴えた民事訴訟で、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所(U.S. District Court, Southern District of New York)のシーラ・シャインドリン(Shira Scheindlin)判事は、NFLのアーリーエントリー指針を反トラスト法違反として、NFLに対しクラレットに今年4月のドラフトへの参加を認めるよう命じた。NFLは第2巡回区連邦控訴裁判所(U.S. Court of Appeals for the 2nd Circuit)に控訴する方針だが、連邦地裁の命令が上級審で逆転しない限り、今後クラレットに限らず大学1・2年生(True Freshman, True Sophomore)や高校3年生(4年制では4年生)がNFLドラフトに登録することが可能となった。

 今のところ直ちにクラレットに追随する動きは出ていない
*。また、現実的に高校を出たばかりや大学1年生で、ドラフト指名の可能性があるレベルに達している選手はほとんどいないだろう。しかし、2年生(True Sophomore)なら話は全く別だ。今年はともかく来年以降一部のポジションについては、2年生のアーリーエントリー選手が何人かは必ず出現するに違いない。また、ハーシェル・ウォーカーやアール・キャンベルのような超人的高校生が再びこの世に現れたときには、そのときこそ高校から直接プロへ進む先駆者が登場するに違いない。

 ではカレッジフットボールへの影響はどうだろうか?大学という縦糸と、プロスポーツがカヴァーできない広大な非大都市圏という横糸で支えられている独特のカレッジフットボール・ワールドの人気に、今回の決定が水を差すことはほとんどないかもしれない。しかし、アーリーエントリー制限がなくなったことにより、カレッジフットボールはNFLのマイナーリーグとしての一面がさらに鮮明になるだろう。大スターはあっという間にカレッジの舞台を通り過ぎ、学業との乖離がさらに進行し、卒業比率(Graduation Rate)も男子バスケと同じく5割以下にまで低下するかもしれない。そして、トップレベルでは『カレッジ・スポーツ』が名実ともに『アマチュア・スポーツ』ではなくなる日が、やがては到来するのかもしれない。

* 2月25日に南カリフォルニア大の怪物WRマイク・ウィリアムズ(True Sophomore)がNFLドラフトへのアーリーエントリーを表明した。



 『USAトゥデイ』が報じたところによれば、ABCは四大ボウルで構成されるBCS(Bowl Championship Series)の放送で損失が発生している模様。ABCテレビのローレン・マシューズ(Loren Matthews)番組担当上席副社長によれば、『9.11同時多発テロ』以降の景気低迷により、テレビ広告料収入が大幅に落ち込んだことが原因としている。

 今年はいよいよBCS(第1期は8年契約で総額6憶ドル)の放映権契約更改交渉が始まることになっている。カレッジフットボールファンの間では五大ボウル制による非BCS校への大幅門戸開放や、四大ボウルの勝者による全米王座決定戦の新設が期待されている。しかし、今後の経済情勢によっては、そんな贅沢を言っている場合ではなくなるのかも?



 同じく『USAトゥデイ』によれば、ACC(大西洋岸競技連盟)と、ESPN/ABCとのテレビ放映権の更改交渉が大詰めを迎え、契約金額は倍増の年40百万ドル(ABC/ESPN以外のサブ局-現在はJ&P-との契約を含む)を超える見通し。ABC/ESPNでは当初年28-30百万ドルと渋めの金額を提示していたが、タイム・ワーナー系ケーブル大手のTBS(Turner Broadcasting Systems)がACCフットボールに興味を示したため、提示金額が大幅に引き上げられた。

 マイアミ大(フロリダ)などを加えて12校体制(今季は11校)になるACC。もし放映権交渉の倍額更改が成功すれば、1校当たり放映権収入の分配金は2.2百万ドルから3.3百万ドル以上と、5割以上も大幅に増加する。総額ではNCAAトップであるSEC(南東部競技連盟)の年50百万ドル(CBS,ESPN,J&P)には及ばないものの、ビッグテン競技連盟(ABC/ESPN)にほぼ匹敵する水準となるそうだ。財政基盤の強化を狙ってイクスパンションを敢行したACCの目論みは、今のところ見事に的中しているといえよう。イクスパンション消極派のビッグテン、パック-10両競技連盟は、幸先のよい第一歩を踏み出した新ACCをさてどう評価する?



 セックス・スキャンダルに揺れるコロラド大で、不用意な発言によりマスコミから激しい非難を浴びたゲイリー・バーネット・ヘッドコーチが有給休職処分となった。コロラド大がリクルーティング(高校アスリートに対する入学勧誘)を有利に進めるためにストリッパーや乱交パーティーを利用・黙認した疑惑、あるいは何人かのフットボール部選手によるレイプ疑惑については、今のところまだ事実関係が不明確な点が多い。にもかかわらず、連日のようにワイドショー的な過熱報道を繰り広げた全米メディアの反応には、正直当惑せざるを得なかった。

 程度の差こそあれ、レイプ、乱交パーティなどが何もコロラド大フットボール部だけの専売特許でないことは、大学の雰囲気を知る誰もが百も承知しているはずなのだ。しかし、コロラド大学と同体育担当部(Athletic Department)関係者の疑惑初期での鈍い対応に加え、コロラド大フットボール部の選手にレイプされたと告白したコロラド大元PKのケイティ・ナイダ
*に対するバーネット・コーチの無神経な失言が飛び出し、餓えたメディアに願ってもないほどおいしい餌を与える形になった。

 もちろん、これほど多くの疑惑が一気に浮上したということは、コロラド大体育担当部やフットボール部の体質に構造的な問題があるのかもしれない。また、NCAA(全米大学体育協会)の重大規則違反事例を見れば明らかなように、リクルーティングはカレッジフットボールで最も暗い闇に覆われている部分のひとつとされている。したがって、今回の疑惑が今後偶発的なレイプ事件以上の波紋を広げる可能性が全くないわけではない。

 コロラド大の独立調査委員会が結論を出す4月30日までは、少なくともバーネット・コーチに対する有給休職処分は続く見込みだ。したがって、たとえ晴れてバーネット・コーチが復職に成功するにせよ、コロラド大の春季練習へのダメージは避けられそうもない。コロラド大の女神『ラルフィー』姐さんの深いため息が聞えてきそうな残念な事件である。

* ケイティ・ナイダはその後故郷を離れてニューメキシコ大に転校し、ロボズのキッカーとしてNCAAI部A史上初めて得点(PAT)を記録した女性フットボール選手となる。

(2004.2.25)

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1. NFL, NCAA -2つの世界を率いたヘッドコーチ達



 先月(2004年1月)カレッジフットボールの名門ネブラスカ大は、電撃解任したフランク・ソーリッチ・ヘッドコーチの後任に、NFLオークランド・ヘッドコーチを解任されたばかりのビル・キャラハン氏の就任を発表した。

 NFLで最もプロらしいチームであるレイダーズと、NCAAで最もカレッジらしい伝統を誇ってきたハスカーズには一見何の接点もなさそうだが、背景にはネブラスカ大OBでウィスコンシン大ヘッドコーチのバリー・アルバレスによる強力な推薦があったようだ。一時は自身もネブラスカ大ヘッドの後任に名前が浮上したアルバレス・コーチだが、かつて90年代の前半にキャラハンはアルバレスの下で、ウィスコンシン大の攻撃ラインコーチを担当していた縁があったのである。

 9勝3敗という好成績を残しながら、ライヴァルのカンザス州立大やテキサス大に惨敗して解任されたソーリッチ・コーチの後任となるだけに、キャラハン氏に対する周囲の期待値は、通常の場合よりかなり高めに設定されることになるだろう。キャラハン率いる新生ネブラスカ大の動向は、2004年シーズン以降見所のひとつになるに違いない。

 大学スポーツといっても選手や学生スタッフ以外はすべてプロ、といっても過言ではないのがNCAAの体育競技。したがって、カレッジとプロスポーツのコーチ間でも積極的な人事交流が行なわれている。特に収益の柱であるフットボールや男子バスケットボールなどのヘッドコーチの報酬は、強豪校では大学の総長の給与などはるかに凌駕している。カレッジのヘッドコーチからNFLのヘッドコーチに転身するのが通常の出世コースだが、NFLのヘッドコーチ経験者がカレッジの世界に戻って捲土重来を期することも、決して稀なケースではない。

 調べたかぎりでは、これまでNFLのヘッドコーチ経験者で、その後NCAAのI部Aヘッドコーチに就任したのは全部で29人。彼らの通算成績は1,025勝786敗33分で勝率.561(I部Aの成績のみ。NFL転身前のカレッジでの成績は含まれない)。ずば抜けて傑出した数字とまではいえないが、そのうち5人が全米王者に輝いてるのはなかなか悪くない確率である。

 その5人とは、ダン・ディヴァイン(グリーンベイ・ヘッド→1977年ノートルダム大全米王者)、ハワード・シュネレンバーガー(ボルティモア・コルツ・ヘッド→1983年マイアミ大全米王者)、ルー・ホルツ(NYジェッツ・ヘッド→1988年ノートルダム大全米王者)、ジーン・ストーリングズ(セントルイス・カーディナルズ・ヘッド→1992年アラバマ大全米王者)、そして2003年シーズンに南カリフォルニア大を全米王者に導いたピート・キャロル(ニューイングランド・ヘッド)である。いずれもNFLでは好成績を残せずに比較的短期間で解任・辞任の憂き目を見たものの、その後カレッジの世界では見事敗者復活の栄光をつかんだ人々である。

 2004年シーズンにはビル・キャラハン・ネブラスカ大新ヘッドコーチと、ボビー・ロス陸軍士官学校新ヘッドコーチを加え、10人ものNFLヘッドコーチ経験者がカレッジI部Aのヘッドコーチとして指揮をとることになっている。たとえどんなハードワークとプレッシャーが再び待ち受けているとしても、やはり前線の最高指揮官としての勝利の快感には、ほかのどんな快楽も遠く及ばないに違いない。


付表. NFLヘッドコーチ経験者であるI部A現役ヘッドコーチ

コーチ カレッジ(NFL以後)* NFL
所属* 通算成績* 所属 通算成績
リッチ・ブルックス ケンタッキー大(2003年-) 4勝8敗(.333) セントルイス(1995-96年) 13勝19敗(.406)
ビル・キャラハン ネブラスカ大(2004年-) オークランド(2002-03年) 17勝18敗(.486)
ピート・キャロル USC(2001年-) 29勝9敗(.763) ニューイングランド(1997-99年)
NYジェッツ(1994年)
34勝33敗(.507)
チャン・ゲイリー ジョージア工科大(2002年-) 14勝12敗(.538) ダラス(1998-99年) 18勝16敗(.529)
アル・グロー ヴァージニア大(2001年-) 22勝17敗(.564) NYジェッツ(2000年) 9勝7敗(.563)
ルー・ホルツ サウスカロライナ大(1999年-)
ノートルダム大(1986-96年)
ミネソタ大(1984-85年)
アーカンソー大(1977-83年)
197勝95敗3分(.671) NYジェッツ(1976年) 3勝10敗(.231)
ジュン・ジョーンズ ハワイ大(1999年-) 40勝25敗(.615) サンディエゴ(1998年)
アトランタ(1994-96年)
22勝37敗(.373)
マイク・ライリー オレゴン州立大(2003年-) 8勝5敗(.615) サンディエゴ(1999-2001年) 14勝34敗(.292)
ジョン・ロビンスン UNLV(1999年-)
USC(1993-97年)
63勝54敗2分(.534) LAラムズ(1983-91年) 79勝74敗(.516)
ボビー・ロス 陸軍士官学校(2004年-) デトロイト(1997-2000年)
サンディエゴ(1992-96年)
77勝68敗(.531)

* カレッジ(NFL以後)の所属・成績:NFLヘッドコーチ転身前のカレッジでの所属・成績は含まれない。

(2004.2.4)

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