峠の向うから  (渡邉光一)


嬉しい再会を 楽しい出会いを
 悲しみを癒しに つらさを消しに
 リヤシートに縛ったバッグのなか一杯に
 心の想いを詰めて
 峠の向こうから

フルフェイスのなかの笑った目
  ジェットヘルのなかの気取った目
  ハーフヘルの中の恥ずかしそうな目
  いくつもの色に染まった目
  いくつもの色のヘルメット
  峠の向こうから

並列4気筒の集合管 吠えるような排気音
  V型2気筒のダウンマフラー 全力疾走の後のような不連続音
  シングルのメガホンマフラー 弾けるような排気音
  直立2気筒のキャブトンマフラー 
  ワンツーストレートのような確かな音
  心の想いを右手に込めて
  山の峰に叩きつける
  峠の向こうから

タイトなコーナーに落ち葉が舞い 雪雲に追われるように
  S字コーナーの桜吹雪 遅い来る睡魔と戦いながら
  合羽を着る間もなく ずぶ濡れで下った落雷の道
  里道のコスモス 柄にもなく写真などと考えながら
  峠に吹く風の数だけ色がある
  それぞれの想いを2本のタイヤに託し
  今年もまたやってくる
  峠の向こうから