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隕鉄剣 隕鉄剣のことを、以前、ある友人から尋ねられたことがあります。 そう、隕鉄剣って、とてもマニアックな響きですね。実在するのでしょうか、年代はどのくらいなのでしょう?ほんとうに隕鉄から製造された刀剣なのでしょうか?とても興味のあるところです。 流れ星は、通常、大気中で発光して燃え尽きます。ところが、質量の大きな大流星の場合、大気中で燃え尽きずに、地表まで到達することがあります。これが隕石 meteorite です。隕石は、大部分が石質隕石ですが、ごくまれに金属鉄からなる隕鉄 siderite というものがあります。これは、鉄とニッケルを主成分として、リン酸化物や硫化物を含みます。断面には、ウィドマンステッテン組織 Widmansttaten structure という幾何学模様が見られます。日本最大のものは、1885年の田上隕鉄(174kg)と言われています。 地球上の自然界には、通常では、鉄は存在しません。鉄鉱石を精錬して始めて、人類は鉄を手にします。歴史としては、石器、土器、青銅器、そして鉄器の順になります。鉄は銅にくらべて、精錬がむずかしく、しかも高温であることから、道具としての実用化はかなり遅れます。ただ、古代からも、隕鉄の存在はありえたわけで、青銅器時代に、銅よりさらに硬くて優れた鉄製の武器や道具を使用する人たちがいた可能性はあるわけです。 隕鉄の成分は、鉄に20%ほどのニッケルが含まれていることが多く、通常の鉄にくらべて、耐食性に優れていると考えられます。ただ、刀身に使用することを考えた場合は、カーボン含有量が少ないために、焼入れの作業をしてもマルテンサイト変態は起こらず、焼の入らない、なまくらで、刃物の切れ味は悪い状態になります。硬く強靭な刃物にはなりません。ですから、そのままの材料では、その剣は、装飾品の部類にはいるものと考えられます。さらに、刃物としての性能の向上を考えるならば、高炭素鋼とのメカニカル・アロイング(鍛錬)や、溶融して含有成分の調整、または、浸炭などの表面処理が必要になるものと考えられます。 たしか、仙台の金属博物館には、隕鉄のウィドマンステッテン組織の標本があったような記憶があります。ここで、隕鉄剣のことが、もう少しわかるかもしれませんね。 (97/11/21) |
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