演劇の舞台音響
= 前段と「桜の園」 =
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前段 この我輩、2004年から演劇界に復帰してしまった。拙者、実のところ数十年前には神戸の劇団道化座ってところに所属してて俳優兼音響効果なんてのを十年以上務めてた。けど、色んな事情があってその後芝居から遠ざかってしまった。。 さて それで音を入れての追い込みの稽古に入ったんだけど、出来ゃしない。タイミングは外すは、音量はデタラメだは…。こっちゃ、連れてきた手前、役者やってるのに「ばかっ!遅い!!」とか「音が小さすぎるっ!」なんて怒声を飛ばしてしまった。
フェードインたって、単に小さい音から入って徐々に音を上げればそれでいいってもんじゃないんだよね。 どこくらいのレベルから入って、どこでどのくらい上げてなんて、台本を読んで感じてもらわなくてはならない。稽古の合間を縫って台本の解説をしながら、手取り足取りしての練習をさせた。 音効のオペって役者と一緒なんだよね。役者ってのはセリフを覚えて段取り通りの動きをすればそれで芝居になるってもんじゃない。それと同じ事が音効オペにも言える。決められた場所に指定の音を入れるだけじゃ“音”にならないんだ。 もっと言ってしまえば、音響効果担当者は演出レベルで本を読まなきゃ、理解しなきゃダメなんだ。ある面、役者以上に本を深く読む必要がある。役者は自分のパートとその前後だけを読めばいいなんて言ってないぞ^^; しかも一旦卓の前に座ると、今度は役者の気持ちにならなきゃなんない。そう、出ずっぱりの役者だ。 さて、だんだんマシにはなったけど、ゲネ・プロの時はまだめろめろ。初日にはかなりレベルにはなってたけど、拙者から見るととても及第点は上げられない。 その時の音響設備は左上の図の通りだ。この劇団は音響効果係が誰もいないんで、劇団の音響関係の財産はMDデッキ2台のみ。 ミキサーはベーリンガーのちっちゃなもので、アンプはマランツの家庭プリ・メイン型だ。マランツのにしては珍しく真っ黒け。 スピーカはモニタ用としてもちっぽけな部類に入るホーム・ユースのが2組だ。MDデッキを除く機材一式は劇団と親しい関係にある、某氏からの借り物。 稽古の段階からこの機材で音出しをした。これしかないし、第一、機材に対する慣れも必要だもんね。 「本番もこんなスピーカでいいんかね」って思ったけど、機材の持主の手前、よけいな口出しはしなかった。^^; しかし、会場の神戸・風月堂ホールに持ち込むと、ををっ!一人前に鳴るじゃん。(笑) この拙者、音だしってば、ここんとこ音楽関係のもっと大掛かりなのしかやったことがない。芝居の音からしばらく離れてたんでビックリしてしまった。 音の解像度って点からは、SR用のスピーカより家庭用スピーカの方が演劇の音響には適してるかも知れない。ただし、くれぐれも無理させてトバさないように注意!(笑) あと驚いたのは、彼らハードの知識って言うか、電気音響学に無知なんだ。デシベルの話はほとんど知らないし、音の位相の話も知らない。音響をやるんだったら最低でも一アマ(第一級アマチュア無線技士)程度の電気の知識は欲しい。徐々に教えねば…。
本番の仕込みも彼らに任せたが、ゲネの前に左右2本ずつのスピーカそれぞれの位相合わせを実地訓練しなければならない始末。それくらいのこと、学校で教えないんかねぇ。耳で聞いて判らないかねぇ…。 それはともかく、演劇未経験の彼らは良くやってくれた。ゲネの前、初日のあとにレベルやタイミングに関して細かい注文を出したんで、無我夢中でその通りやったんだろうけど、初日を除いてそれほど恥ずかしい音じゃなかったぞ。3月17日からの5日間・連続7回の公演は無事終了した。 彼らのがんばりは役者たちの心も打った。我輩、自分の芝居のデキより彼らがちゃんと役目を果たしてくれたことの方が何倍も嬉しかった。 公演は興行的にはいざ知らず、大好評だった。彼らのがんばりも公演全体にプラスだったことは間違いない。そう、貧弱な機械に不慣れなオペでも充分な結果が得られるんだ。 = 振り返って =
オペの問題以外の問題がなかったか、なんだけど、やっぱりスピーカが貧弱なので音飛びの悪さ、アタックの甘さがあった。 使った音楽がクラシック中心だったし、衝撃音もそれほど激しいものじゃなかったから、今回はこれでもなんとかなった。だけど、次回の「ホテル・ボルティモア」はジャズ&ポップス中心なので、これじゃあちょっと…。と言った感じだ。 また、劇団所有のMDデッキがそろそろ怪しい。片方のデッキが録音出来ないそうだ。いつ頃買ったものでどんなメンテをしてるのか知らないが、そろそろ寿命じゃないかな? またデッキのディスプレーの文字が薄く不鮮明だ。そのため、MDデッキ操作担当の男の子君はずいぶん苦労したとか。 |