演劇の舞台音響
= 2005年 10月公演 「黒塚」と「道成寺」 本番 =

タイトルはなんか本格的だけど、中身は地方小劇団の音響担当者の独り言に近いものです(笑)

 10月27日の午後から仕込みだ。今回はスピーカの ClassicPro CSP12 とそれをドライブするためのアンプ YAMAHA P2500S って重量物があるので、今までの公演より仕込みがキツい。

 機器は
  • 音出し1: サンプラー AKAI Z4 + MPD16
  • 音出し2: サンプラー BOSS SP-303
  • 音出し3: パソコン+ソフト・サンプラー SE Producer
  • パワード・ミキサー: Behringer PMH1000
  • サブ・ミキサー: Behringer UB802
  • メイン・アンプ: YAMAHA P2500S
  • メイン・スピーカ: ClassicPro CSP12 x 2
  • サブ・スピーカ: ClassicPro CSP6 x 2
  • 小型パワード・スピーカ: Roland MS-122M x 2
  • ナマ音: カスタネット一組
 こうした構成だ。サンプラーの Z4 と MPD16 がメインの音出しで、SP-303 が「黒塚」の戦闘場面の武器のぶつかり合う音を担当。それぞれの出力は PMH1000 に入る。

 CSP12 がメイン・スピーカで P2500S でドライブされ、センター・スピーカの CSP6 は PMH1000 の内蔵メイン・アンプでドライブだ。
 P2500S は<YSProcessing>スイッチをONにして使った。このプロセッシングは同社の『Concert Clubシリーズ』用にチューンしてあるらしいが、CSP12 とのマッチングも悪くなく、豊かな中低音が得られた。

 本来、メイン・アンプは出来るだけスピーカの近くに置き、スピーカ・ケーブルを短くする方が音がいいんだが、管理上の問題から、やむなくスピーカ・ケーブルを引き回した。

 こう言うときいつも、なぜ手ごろな価格のデジタル式マルチ・ボックスとかがないんだろう?と思ってしまう。
 デジタルだとアナログより信号(音)の劣化が少ないしノイズもまず拾わない。第一引き回しが楽だよな。
 例えば、Roland RSS から Digital Snake S-4000 シリーズなんてのが出てるけど、値段を尋くのもおそろしい。^^;


 さて、小型のモニタ・スピーカ MS-122M 一組は「黒塚」の車の音を担当してる。エンジンをかける音、出発する音、谷に転落する音を受け持ち、Z4 の 3-4 出力からの信号が UB802 を介して入力される。

 パソコンは幕開き前や休憩時間の音楽、それにアナウンスなどを担当。また、ハードウェア・サンプラーがトラブったときのためのバックアップとして、ソフト・サンプラーの SE Producer に「黒塚」と「道成寺」の音を設定している。

 上から2番目の写真は今回の音響席だ。ド暗転の時にジャマになるパソコン画面には黒布を被せ、サンプラーのディスプレーは公演中は見ることがないので、黒ガムを少し浮かして貼り付けた。

 既に舞台が出来上がってる劇場に着いて愕然とした。「スピーカを置く場所がないっ!」前回までの公演はバックやサイドの黒布の後ろに置いたりしたんだけど、今回の公演はサイドはすべて板張りだ。

 両サイドに 12" の CSP12、センターに 6" の CSP6 2本を置こうと思ってたのに…。仕込み前々日に「スピーカを隠すための雑黒をお願いします」って、あれほど言ってあったのにその準備もないや。

 開き直って装置前、客席から丸見えの位置に置いてやった。(笑) 黒バックに黒いスピーカなので、「黒塚」の場合は巨大な糸車などの影でそれほど目立たないが、「道成寺」の場合はスピーカが客席をにらんでるカッコウになるんだね。^^; 強引にそのまんま突っ走ったけど、一般の観客はそれほど違和感を持たなかったようだ。

 センターの CSP6 2台は舞台奧のほぼ中央、ハーフ・ミラーのシートの後ろに並べて置き、レベルはメインの CSC12 より音圧にして 10dB ほど下げた。
 今回はセンターの芯を出来るだけ明確に決めたかったのでこういう配置にした。スピーカがシートの後ろってのが気になったけど、たいして問題なかった。

 また、下手(しもて)後方の音響席の足元に小型のパワード・スピーカを置き、観客席側に逃げ出した二人が乗り込む車の音を出した。ちっぽけなスピーカだが、必要にして充分な音量は得られた。

 ところで、我らが音響オペ君、今回はほぼ完璧と言えるオペレーションをやってくれた。一年足らずの間によっくここまで育ってくれたもんだわい。この実力&感性を維持・発展させて欲しい。
 他劇団の音響さんが観に来られ、音響席を見たら女子高生みたいなのがちょこん座ってるので舌を巻かれたとか。(笑)


 さて、安定と思ってた AKAI Z4 + MPD16 で2度トラブルがあった。1度目は仕込み&場当たりの日だ。パッドの MPD16 を叩くと指定とは違う音が出るんだ。
 真っ先にZ4のプログラムの異常を調べたがなんともない。しかし、パッドを叩くとZ4のディスプレー上のノート・ナンバーが変化する。「あれ?」と思ってパッドの電源を切って再投入してやったら直った。
 サージ、あるいはノイズの混入で MPD16 の気が狂ったんだろう。サージとは逆に、瞬停(サグ=急激な短い電圧降下)があった可能性も否定出来ない。あるいは照明用の調光器からのノイズか…。

 もう一度は千秋楽の開演前のテスト中だ。いきなりZ4の音が出なくなったそうだ。呼ばれて我輩が駆けつけたときにはデータの再ロード中だったので詳しい事情は判らないが、どうやらZ4のメモリにロードされたプログラムがおかしくなったようだ。

 同時に手元明かり(ワーク・ライト、リトライト)が消えてる。調べてみるとランプは異常なくてACアダプタが発熱してる。
 ACアダプタが何らかの原因で焼損したようだ。ACアダプタがショート状態になり、Z4の電圧が瞬停状態になったとも想像出来る。
 ACアダプタが壊れた原因はよく判らないが、もしかしたらサージで絶縁破壊→短絡→焼損したのかも知れない。もしくは異常電圧で両方同時におかしくなったか…。
 そらまあ、ACアダプタが元々不良品で、いきなり絶縁破壊を起こし短絡したのかも知れないけど…

 もし、本番中に上記のようなトラブルが起こったら…。ちゃんとパソコンのソフト・サンプラーなどからも音が出せるようにしてあったので、なんとかなったろう。バックアップは重要だ。

今回の照明&音響席



音響席の足元に小型のパワード・スピーカ MS-122M を仕込んだ
「黒塚」で山姥(やまんば)の小屋から逃げ出す二人の
車の発進音などをこのスピーカから出した




「黒塚」と「道成寺」の音響セット
グラフィック・イコライザは必要性を感じなかったので使わなかった
必要もないのによけいなものを入れると音の鮮度が落ちるぞ





「道成寺」のセリの場面のキメ音にカスタネットのナマ音を入れた
奏者は音響オペ君
見慣れない形のカスタネットだが、これはオーケストラ用だ
カスタネットに特別のスキルを持ってなくても叩けるようになってる





下手側メイン・スピーカ ClassicPro CSP12
(舞台装置は「黒塚」のもの)





「道成寺」の一場面
左右のメイン・スピーカが丸見えだ ^^;
紗幕+ベニアの鐘の模様の後ろにセンター・スピーカ2本がある
【大反省】

 原因がサージだろうが調光器からのノイズだろうが、やっぱり安物のいい加減なディストリビュータ(電源モジュール)を持ち込んだのがいけなかったのだ。
 最低でもいつも使ってるサージ吸収機能のついたもの、出来ればACラインの影響を受けにくいレギュレーター・タイプのものやUPS(無停電電源装置)、ノイズカット・トランスなどを使いたい。そこまでやれるかどうかは別にして、次回から電源回りを充実させよう。

 電源回りをおろそかにするってのは、パリッとした服装してながら、靴だけボロボロって感じだな。^^; もっと悪いな。“砂上楼閣”って言葉がピッタリだ。…こうしてだんだん荷物が増えてくる。^^;

 なお、サージは何も雷だけが原因ではない。例えば誘導負荷が電源から解放されるとインダクタンスの逆起電力により発生する。
 と書くと難しいが、要するにモータやコンプレッサや電磁弁などがOFFされるときに発生するんだ。最近の電磁弁はサージ・キラーが内蔵されてるし、配電盤にもサージ対策がされている場合が多い

 大型エアコンのセイかもしれないし、このホールは上に食堂やお菓子売り場があったりするので、大型の冷蔵庫や冷凍機などが設置されてる可能性が大いにある。

 なんてことを一応知ってながら、昔のテレコ時代の感覚で電源を用意する我輩、まったく間抜けだよなぁ…。
 音響専用の電源が用意されてない場合は、サージ&ノイズ対策には神経質になろう。

焼損したワーク・ライトのACアダプタ
テスターで一次側の導通を測ってみたら ∞ だった


サージ&ノイズ対策機能付きテーブル・タップ
普段はラック・マウントの電源ディストリビュータを使ってるが
こういうのでもかなりの効果があると思う

October, 2005
December, 2005



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