演劇の舞台音響
= ミキシング・コンソール =

タイトルはなんか本格的だけど、中身は地方小劇団の音響担当者の独り言に近いものです(笑)


風月堂ホール
平戸間形式で、こういう風に舞台を組むと客席数は 120〜150 ほどになる




YAMAHA MG16/6FX




Behringer PMH1000
バス・アウト(グループ・バス)が使えないから
1台でたくさんの出力をコン・トーロールできない



サブに使ってるコンパクトなミキサー Behringer UB802

サブには YAMAHA MG10/2 を使うこともある
気のせいか UB802 より音が良いように思う
 通常の演劇(ストレート・プレイ)の公演にはどんなミキシング・コンソール(以下ミキサー)が必要だろう?
 もちろん、演劇の公演ったって公演内容や劇場の規模も様々だから一口には言えない。

 この際、大劇場とかでの公演は置いといて、客席数数百以下の小劇場での公演について考えてみる。アマチュア劇団や高校演劇程度の規模の公演だ。
 左の一番上は我々の劇団がよく使う神戸・風月堂ホールだ。舞台の組み方にもよるが、客席は 150〜200 ほどセットできる。

 そらまあ、やろうと思えばミキサーなしでミニコンポだけでも出来るには出来るけど、それだと話が前に進まないんで、そういうのはこの際、ちゃぶ台の横にでも置いとく。(笑)

 さてさて、まず重要なのがスピーカだが、まともな音を出したいんだったら、12"〜15"クラスのスピーカ4本は必要だろう。中央(プロセニアム・スピーカ相当)とサイド(カラム・スピーカ相当)だ。そうなるとパワー・アンプはモノラル換算4台必要だから、ミキサーの出力は4チャンネル欲しい。

 演劇の音響の場合、ミキサーのグループ・アウトはメイン・スピーカ以外のスピーカへの出力のために使うのが普通だ。このへんが音楽の録音やPAでの使い方と違うところだ。

 次に入力だ。普通はMDデッキ2台を使うよね。サンプラーも使いたいし、ソデからのナマの声を入れたいこともあるだろう。

 すると入力数はステレオ3チャンネル。マイク1チャンネル。
 モノラル換算7チャンネルだね。これでミキサーの規模が決まってくる。
 入力7チャンネルのミキサーなんて聞いたことないから、入力8チャンネル・出力4チャンネルだ。この条件で探してみると、これがなかなかない。

 フェーダーなんだが、やはりスライド・フェーダー、それも 60mm 以上のものの方が扱いやすいらしい。(拙者は古い人間なので丸形ェーダーにも慣れてるけど ^^;)
 入力8チャンネルでスライド・フェーダーのものってたぶんないよね。あっても機種が限られてくる。
 ・・だいたい入力8チャンネルで出力4チャンネルってミキサーなんてあるんだろうか? ある。てか、持ってた。(笑) YAMAHA AW2816 ってHDDレコーダだ(後述)

 スライド・フェーダー・タイプで出力4チャンネルのミキサーとなると…、しかたなく12チャンネル程度のミキサーになってしまう。
 もしかしたら、客入れ・休憩、客出しの音楽はCDプレーヤを使いたいかも知れないから、入力8チャンネルじゃ不足する場合もある。

 YAMAHA だと MG12/4 あたりだ。余裕があるならエフェクタ内蔵の MG12/4FX が便利かも知れない。例えば風呂場からの声とか怨霊の声とかをナマで入れる場合なんかね。

 けど、客席のサイドや舞台裏にスピーカを配置したいこともあるから、やっぱり出力チャンネル数はあと2チャンネルは欲しい。なら、入力16チャンネル(以上)のミキサーになるかな?
 演劇公演用のミキサーの場合、入力数より出力数から規模が決まってしまう場合が多いようだ。

 ちなみに拙者は YAMAHA の MG16/6FX を所有してる。重量も MG12/4 と 500g しか違わないし、このクラスだと小劇場での公演には入出力数はまあ充分だと思ってる。もちろん音質や機能・使い勝手の面から、もっと高級品がいいだろうけど、重量とかサイズ、それに価格も結構重要だ。

 おっと、別に YAMAHA のが一番いいってワケではない。探せば他にもっといいのがあるかも知れない。あくまでも一例だ。

 実は我輩、演劇の公演にはここんとこ Behringer の PMH1000 ってパワード・ミキサーをメインに使ってた。入力はステレオ4チャンネルを含めて12チャンネル、パワーは 150W+150W(8Ω)。

 パワード・ミキサーでありスライド・フェーダー・モデルであるってことからこのパワード・ミキサーを使ってきた。
 稽古の時にもセッティングが楽だしね。重量 8kg だから通常のパワー・アンプ1台より軽い。持ち運び&セッティングが楽だってのは、少人数の劇団には結構重要なポイントだ。

 上に書いたように、ストレート・プレイの公演なら入力数は充分だろう。しかし、グループ・アウトがないし、ミキサー部からの出力がステレオ・アウトとモニター・アウトしかないのが不便だ。パワー・アンプは少し貧弱かと思うが搭載してるだけでも有り難い。

 出力チャンネルが不足する場合は、同じ Behringer の UB802 かYAMAHA の MG10/2 ってコンパクトなミキサーをサブに使う。これらのちっこいのも意外に便利だ。色々と重宝してる。

 なお、PMH1000 はミキサー部の音質はそれほど悪いとは思わないが、内蔵エフェクタやグライコはオマケ程度と思った方がいいかも知れない。^^;

 つい最近(2006年 3月)、軽くてコンパクトなデジタル・パワー・アンプを手に入れたので、この PMH1000 を使うメリットはあまりなくなった。たぶん、稽古でしか使わないだろう。


YAMAHA Digital Mixing Console 01V
デジミキが真価を発揮するのは MIDI シーケンサを使ったライブだと思う
MIDI シーケンサを使ったミュージカルなんかだと
デジミキの完全自動コントロールも夢じゃない





AW2816 の SCENE MEMORY 専用ボタン群(下)
01V96 もこれと同様のボタンが用意されてる







YAMAHA 01V & MG16/6FX

デジ・ミキならでは、ってワケでもないが
この2つを比べると BUS の自由度に大きな差がある
01V の方が遥かに柔軟性に富んでる
 上に挙げたのは通常のアナログ・ミキサーだ。しかし、10年ほど前からデジタル・ミキサー(以下デジミキ)なるものがポピュラーになりだした。ホールの設備としても入ってるし、音楽イベントでは当たり前のように使われてる。果たして、小劇場での演劇公演にはどうなんだろう?

 左は YAMAHA の 01V ってモデルで入出力数からすると MG16/6FX とほぼ同等ってことになる。ちなみに拙者のは、元祖 01V で 2006年 3月現在の現行品は 01V96 Version2

 アナログ式とどう違うかってことだけど、まず値段が違う。10倍とまでは行かなくても、デジミキになるとグンと価格が跳ね上がる。01V96: 294,000円(本体価格280,000円)、MG16/6FX:52,290円(本体価格49,800円)

 で、その高いデジミキなんだけど、デジタル式だから、当然内部処理はすべてデジタルだ。(アナログのヘッドアンプや出力アンプなんかも積んでるけど)
 
デジタルだから音がいいかってば、我輩には決してそうとは思えない。ウチのデジミキが旧式だから余計にそう感じるのかな?(笑)
 また、公演内容によってはデジミキの音がふさわしくない場合があるかも知れない。

 それより、デジミキのメリットはフェーダーがペア/グループ化できることと、オペレーションが自動化できるって点だ。

 シーン・メモリに保存しておけば、シーンごとのフェーダーの位置やパッチ、エフェクトの設定なんかも呼び出せるし、フェードイン、フェードアウト、クロスフェードさえも自動化できる。オペレーションの省力化だね。…気持ちを込められるかどうかは別にして・・。

 ところがこの元祖 01V はシーン・メモリが呼び出しにくい。[MEMORY] キーを押して液晶画面を呼び出し、シーンを選択して[CURSOL] キーで液晶画面内の RECALL を選択して [ENTER] キーを押さなければならない。
 液晶画面の切り替えはライブの場合、結構イライラする。

 しかし、01V96 では改良されてて、シーン・メモリ専用のボタンが用意されてる。[+] あるいは [−] ボタンでシーンを選択し、本体の [RECALL] ボタンを押せばいい。この改良は当然だよね。

 デジミキはリハーサル段階からじっくりと付き合え、しかも長期間の公演だと便利に使えるだろう。けど、ゲネ・プロはドタバタ、公演は2日間3回なんてイベントに使うメリットはあるんだろうか?

 人間業とは思えないような複雑なオペレーションも出来てしまうだろうから、そういうメリットが活かせるならデジミキを使いたいね。
 でも、下手するとデジミキに使われてしまうってことになりかねないぞ。(笑)

 デジミキであってもアナログ式同様のオペレーションも出来るが、すべてのツマミが表に出てるアナログ・ミキサーの方がはるかに使いやすい。また、ちょっとした事故とか、とっさの場合もアナログ式の方が対応しやすい。
 更に、デジミキはハングアップ(フリーズ)してしまう危険性も皆無ではなかろう。

 手持ちの機材で演劇公演向きのを見つけた。(笑) YAMAHA の AW2816 ってオーディオ・ワークステーション、すなわちHDDレコーダだ。AW2816 は今まで自宅での録音用に使ってて表に持ち出そうなんて考えても見なかった。だからツアー用のケースも持ってない

 しかし、この AW2816 はアナログ入力8チャンネル、アナログ出力6チャンネルのデジタル・ミキサーとして使えることに気がついた。01V よりコンパクトなデジミキとして使えそうだ。

 しかも、同社の 01V などのオプションが使える。我輩、MY4-DA ってアナログ出力4チャンネルのカードを持ってるので、これを装備するとアナログ出力はなんと10チャンネルになってしまう。つまり、出力に関しては 01V に引けを取らないことになる。入力数が少ない分、01V より小型軽量。ミキサーとしての柔軟性も 01V に勝るとも劣らない。

 ただ、問題は STEREO OUT が RCA ピンラグ、OMNI OUT は TS フォーン・ジャックでどちらも不平衡(非平衡)だって点だ。パワー・アンプをスピーカの近くに置く場合やハウス送りをする場合はノイズの点で不利だ。(MONITOR OUT &オプションの MY4-DA は平衡出力)

 入力に関しては、今まで程度の規模の公演なら、なんとか8チャンネルで間に合う。
 それにBGMとかなら内蔵のHDDやCDドライブからも出せそうだ。あるいは音質&S/N比悪化を承知でサブ・ミキサーを使うとか。

 AW2816 はディスコンになってるので、今なら AW2400 かその下位機種の AW1600 だろうが、01V96 Ver.2 との価格差を考えるとわざわざ演劇の公演用に録音機能を装備したAWシリーズを購入するメリットがあるかどうか…。AW1600 なら 01V96 Ver.2 の約半値で手に入るが、非モーター・ドライブの 45mm フェーダーってのが若干気になる。

 AW2400 をちょっと触ってみたが、BUS がステレオになってたり、シーン・メモリが呼び出しにくくなってたりして AW4416/2816 よりライブPAには使いにくくなってる。

YAMAHA AW2816 Digital Audio Workstation
AW4416 とどっちにしようかと迷ったがコンパクトさから 2816 にした




AW2816 背面の入出力
フォーン・ジャック下段左4っつが OMNI OUT
右下がオプション MY4-DA のアナログ出力

March, 2006
April, 2006




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