演劇の舞台音響
= サウンドのツールたち 3 =

タイトルはなんか本格的だけど、中身は地方小劇団の音響担当者の独り言に近いものです(笑)



 ハンディー・レコーダー SONY の PCM-D50 (以下、D50 と記す)を手に入れた。この手の WAVE レコーダーは既に EDIROL の R-1 と R-09 と使ってきたが、R-09 にも不満がなくもない。
  • レベル設定がスイッチ式
  • AGC (自動音量調節器)が実用的でない
    (AGC ON でも簡単にクリップする等)
  • 拙者の使用目的には入力ゲインがやや足りない
    (最大にしても録音レベルが低すぎる)
  • マイク・アンプの S/N 比が良いとは言えない
 入力ゲインの不足と S/N 比の悪さは波形編集ソフトで補える場合もあるが、レコーディング・レベルの設定がスイッチ式というのがなんとも頂けない。

 録音中にレベルを調整するとソースにクリック音が入ってしまい、その部分を捨てなきゃならない。第一、直感的じゃないだね。これが R-09 の最大の欠点だ。

 思うに、R-09 ってのは、室内でバンド練習なんかを録る目的の機械で、屋外での自然音やデリケートな音を録ったりすることが考慮されたないんじゃなかろうか?
 その証拠に(?)屋外・野外での録音に必須のウィンド・スクリーン (OP-R09WS)が発売から1年以上も経って、ようやくオプションとして用意された。しかもそれは D50 のウィンドスクリーンに及ばない。

 で、D50 だが、さすがに録音機の老舗 SONY らしく、使い勝手がよい。実に手慣れたもんだ。R-09 で最大の不満だった録音レベルのボリュームが扱いやすいんだね。
 その気になれば手コンプ(手動コンプレッサー=録りながらの手動レベル調整)もできてしまう。

 レベル・メータの目盛の打ち方も -12dB がほぼ中央で、拙者の感覚にマッチする。R-09 は -20dB がほぼ中央なので、どうしてもレベルを低く設定しがちだ。結果として、S/N 比が悪化する。

R-09 のディスプレー

D50 のディスプレー
 目盛の打ち方はほんのちょっとした違い、個人の好み&慣れの問題かも知れないが、我輩の感覚には大きく影響する。

 時折「R-09 はS/N比が悪い、爆音に強い」と耳にするが、レベル・メーターのセイでつい低めに録音してしまうのも一因じゃなかろうか??


 拙者、機械なんて性能さえ良ければミカケなんてドーでもいいと思ってるんだけど、D50 はほとんど金属製のようで、肌触りと見た目もなかなかのものだ。(PCM-D1 には及ばないらしいが)

 D50 の性能は?

 まず、S/N 比の良さはかなりのものだ。それもあってか、R-09 よりずいぶんスッキリした音で録れる。同じ 44.1KHz 24bit で録っても、「格が違う」と感じる場合もある。
 12月の半ばに兵庫県と岡山県との県境の山中で小川のせせらぎを録ったが、清々しい現場の雰囲気や空気感が感じ取れる。 (120°ポジションで録音)

 反面、R-09 より音が軽い感じだ。どっしりした重量感がない。骨太さの不足、言い換えればある種の図太さがないんだね。マイクの周波数特性の違いかも知れない。もしかしたら、風による“吹かれ”を少しでも軽減するためかな?
 しかし、低音不足と感じたら波形編集ソフトで(要するに後処理で)補える場合もあるので、あまり問題なかろう。(処理するたびに音が劣化する、リアリティーが失われることは承知してるが…)

 響きの良いカトリック教会でモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をアルトのソロとピアノ伴奏に編曲したものを Neumann U87i → KORG MR-1000 WAVE 96KHz 24bit とで録り比べた。

 残念ながら D50 内蔵マイク、96KHz 24bit で録ったものは暖かさが出ない。薄っぺらと言うか、中域の充実感の不足と言うか、音楽の表情が平板になってしまうんだね。マイクロフォンの差ではないかと思う。

 また、D50 とほぼ同じ場所に置いた R-09 の 48KHz 24bit は、大げさに言えば「単なる記録録音」といったレベルだった。余韻がスパッと消えてしまうし音楽的膨らみがない。

 屋外での収録の多い拙者として気になるのが、風雑音だ。D50 はそのまんまだとかなり風に弱い。室内でもほんのわずかな風でもボコボコいってしまう。RODE NT4 なみかな?
 オプションのウィンド・スクリーンを使うと、そよ風程度ならほぼ問題ない。R-09+純正ウィンド・スクリーン OP-R09WS)より有効だ。

 D50 に外部マイクとして audio-technica の AT822 と RODE NT4 を使ってみたが、どちらかと言えば NT4 の方がマッチングが良さそうだ。しかし、機動性を犠牲にしてまで、敢えてこれらの外部マイクを使う必要があるかは疑問だ。もちろんタッチ・ノイズが問題にならなければ、の話だが

 D50 内蔵のマイクは AT822 や NT4 と音の傾向は違っても、それほど遜色はない。いや、むしろ AT822 より音の品位が高そうな気さえする。ソニー製のマイクにしてはなかなか立派?(笑)

 テープ時代からフィールド・レコーディングをやってると、ついつい外部マイクを利用したくなるが、今はもう、そういう時代じゃなかろう。そういう面からも、拙者は外部マイク専用の KORG MR-1 や M-AUDIO Micro Track 2496 などは中途半端に思えて食指が動かぬ。FOSTEX FR-2P、KORG MR-1000、MARANTZ PMD671、SOUND DEVICES 744T あたりになってくると話は別

 強いて外部マイクを使うなら、マスター・レコーダーの代用としてミキサーなどと併用するか、PCM-D1/D50 のオプションである XLR-1 経由ってことになるだろう。
 マイクは本格的コンデンサ・マイクか、さもなくば、音質などの傾向がまったく違うビデオ用マイクや超指向性マイク、あるいは Shure SM57 などのダイナミック・マイクがいいだろう。

 ふと気がついたが、拙者、超小型マイクの DPA 4061 と AKG C417 とを持ってる。いずれも無指向性コンデンサ・マイクだ。

 C417 はややノイズが多いので考え物だが、4061 は(金の取れる)音楽録音に使えるほどの優秀なマイクだから、外部マイクとして使うと自然音・環境音収録には効果的だろう。無指向性なので風による吹かれにも強いはず。(要 DPA MPS6030 あるいは、変換アダプタ DPA DAD6001 + SONY XLR-1 等ファンタム電源)


 さて、ハンディー・レコーダー、フィールド・レコーダーとして R-09 とどちらがよいか、って問題だ。レコーダーとしての性能&使い勝手からすると、D50 の方が間違いなく上だ。

 バッテリーの持ちの良さや、録音スタート5秒前から録音を開始するプリレコーディング機能も我輩には有り難いし、リミッターも実用的。てか、民生用機器に搭載されてるリミッターで初めて実用になるリミッターに出会った。

 R-09 はコンパクトだし、重量も D50 の半分以下なので、常時バッグの中に入れておけるのがいい。手軽なんだね。また、有機ELのディスプレーが実に見やすい。(反面、屋外特に直射日光下ではまったく見えない)

 我輩の使用目的 (演劇のちょっとした効果音の録音) からすると、D50 の音質の良さを活かせるシチュエーションはそんなに多くはなさそうなので、音のクォリティー的には R-09 でも充分に使える。

 今後、普段のちょっとした録音には R-09 を、もう少し気合いを入れて録るときは D50 を、という使い分けになりそうな気がする。;(もっと気合いを入れてのスタジオ録りだと、別の機器を使う)

 最後に D50 の気に入らない点を書いておく。まず、外部メモリーがバカみたいに高い純正メモリースティックにしか正式対応していないことだ。だいたい純正品以外は "UNKNOWN MEDIA" ってしてしまう了見の狭さが気に入らない。しかも、起動のたびに言ってくるのが結構うざってぇ。言い換えると、うざい!
 けど、内蔵メモリーが 4GB もあるので、録音専用で使うんなら、たいていの人は外部メモリーの必要性を感じないだろう。

 それに、録音時の低域の豊かさだな。あと1オクターブ下まで伸びてるといいんだが…。周波数特性的な意味ではなく、感覚的な音の重量バランスのこと

 PCM-D50 は拙者にとって不要な機能は DPC (デジタル・ピッチ・コントロール)と mp3 再生機能くらいだ。上記のようにさして大きな不満もないから、かなり長く付き合えそうだ。

 その後、ZOOM H2, H4、TEAC DR-1、Olympus LS-10 を試用したが、いずれも買い増すほどの魅力は感じなかった。
 ただ、LS-10 のみ、もし R-09 を持っていなかったら買うかも知れない、と思った。LS-10 は外部メモリーがxDピクチャーカードでない点がおおいに評価できる。(笑) (2008年3月追記)

 あまり参考にならないと思うが、D50 で録った近所の神社の初詣風景(mp3)。ウィンドスクリーン付、LOW CUT OFF、44.1KHZz 24bit で録ったものを 7dB ほど増幅してある。
 何種類かのスピーカ&ヘッドフォンで聴いてみたが、鈴の音が実際より軽い。


EDIROL R-09 & SONY PCM-D50


OP-R09WS が発売されるまでは
大型マイク(RODE NT2)用のウィンド・スクリーンを流用してた

奧までスッポリかぶせるとレコーダーの保護にもなる(^^;)
また、効き目も純正品よりこちらの方がよい



R-09 に D50 のウィンドスクリーン (AD-PCM1)を
付けると純正の OP-R09WS より効きがよい
息を吹きかけて試しただけだが、そよ風程度なら大丈夫そう


本体と一緒に買ったオプション(アクセサリー)は
ウィンドスクリーンとキャリングケースのみ
三脚は R-09 のを流用するつもりだが
汎用性がありそうなマイクロホンアダプター XLR-1 は欲しい



環境音を録る時は上のように 120°のポジションが良い

R-09 はオプションのケースがないと三脚に固定できないが
D50 は、逆にケースを取らないと三脚に固定できない

また、D50 のケース取り付けネジはコインで回すようになってるが
500円玉だと分厚すぎてダメだ(笑)

ストラップは本来、正面右下に付けるようになってる





RODE NT4
外部マイクとして使ってみたが
D50 内蔵マイクと違った色合いが得られる
しかし、このマイクも風に弱いので屋外ではウィンド・スクリーンが必須
ただし、NT4 付属のウィンド・スクリーンは
効きが悪い上にガクンと音質が落ちるので
拙者は Rycote 社製の NT4 用ミニ・ウィンドジャマーを使ってる






上の2本は DPA 4061 (色違い)
下は AKG C417
いずれも無指向性マイクで我輩はワイアレス・マイクに使ってるが
DPA 4061 は D50 の外部マイクとして使えそう
ただし、DPA 4061 を2本購入すると D50 の本体価格を上回る ^^;



PCM-D50 にこのメモリーを入れて
24bit 96kHz で 15 分ほどテスト録音したが
録音・再生&ファイルの取り出しで問題なかった
多分、使えるだろう





ハンディー・レコーダーのモニタには
Etymotic Research の ER-4 シリーズのイヤフォンを使ってる


December, 2007
January, 2008
March, 2008




OLYMPUS LS-10 について

 OLYMPUS の LS-10 を一週間ほど試用することが出来た。なかなか可愛いデザインで、ボイス・レコーダーの老舗らしい縦長のデザインだ。我輩、なぜかブラックではなくワイン・レッドのモデルが欲しくなったぞ。(笑)
 持主は自分のピアノの稽古の友として使ってて、燃えるような赤が欲しいとか。(笑)
 ボディーの主要部分は金属製らしく、見た目&持った感じは R-09 より高級感がある。

 厳密に比較してないが、形状は異なるものの、大きさ(体積)は R-09 とほとんど変わらないみたいで、重量は LS-10 の方が若干重いようだ。けど、スリムなせいか、LS10 の方が持った感じ、コンパクトに感じる。

 やや気になるのが、仕様に “内蔵ステレオマイク録音時:70Hz 〜 20kHz” と書いてあるマイクの周波数特性だ。
 果たして内蔵マイクで 24bit 96KHz で取る値打ちがあるのか?
 低域に関しては、OLYMPUS のサイトに上のような周波数特性図があるので判る。
 低域を思い切って落とすって姿勢にはあながち反対じゃない。むしろ音声録音も意識したレコーダーでは当然だと思う。けど、出来ればあと1オクターブほど伸ばして欲しいな。
 LOW CUT 1 と LOW CUT 2 とを設けて、LOW CUT OFF では、ほとんどフラットってのはどうだろう?
 ちなみに ROLAND のサイトを見ると、R-09HR は Lo-Cut 設定が 100/200/400Hz の3段階になってるらしい。

 問題は高域だ。せっかく 40KHz 以上まで録れるはずの、サンプリング周波数 96KHz で録っても 44.1KHz の時と同じこと、ってんじゃまったくとは言わないけど、あんまり意味ないよな。
 もちろん、デジタル・フィルタでスパッと切ってるわけがないので、70Hz と 20KHz は、たぶん 3dB 落ちの周波数だろうが。

 試した。音源は物置に転がってたハイハット・シンバルだ。拙者がその昔、練習用に使ってたものだから上等じゃないが…。
 これを1枚だけシンバル・スタンドに取り付け、カップ近くをスティックで叩いた。安物とはいえ、叩いた瞬間は 40KHz くらいまでの成分は出てるはずだ。あまり根拠はないが…。

 音源までの距離が1mほどだったので MIC SENSE=LOW で REC LEVEL は2.5程度。もちろん、クリップなんてさせてないぞ。
 うん、まあ…、かなり大甘だけどなんとかギリギリ合格じゃない?
いいとこ 22KHz ってところだが、かなり減衰しながら 30KHz あたりまでは拾ってるようだ。高域が 40KHz 以上までほとんどフラットに伸びたマイクとしては測定用の Earthworks M55 なんてのを知ってるが、値段は20数万だ

 さて、実際に録っての“音”だ。試したのは主に 24bit 44.1KHz。まず芝居の稽古場で台本の読み合わせ。役者たちとの距離は3mから7mくらい。LOW CUT=OFF だが不自然さもなく実にクリアーだ。セリフ録りも問題なかろう。さすがボイス・レコーダのオリンパス!

 次に録ったのがバンドの練習だ。エレキ・ギター、シンセ、エレベ、ドラムスといった編成。本来ならシンセくらいはライン引きしたいんだけど…。

 三脚→マイク・スタンドのアダプタを使って、マイク・スタンドでクラッシュ&ライドと同じくらいの高さくらにセットした。ドラムからの距離は、さ〜て…、3〜4mだったかな? 指向性(レコーダーの傾き)はドラム・セットの中央あたりに向けた。
 いわゆるワン・ポイント録音だから、各パートのバランスなどはスピーカ位置の工夫とアンプの音量調節だ。レコーダーのレベル合わせも含めて追い込みに1時間ほどかってしまった。

 ついでながら、ワン・ポイント録音の場合、音源の音量調節がほとんど不可能なコーラス(合唱)なんかでは、マイクを半円形に囲むようにして録らないと、中央の人の声だけ目立ってしまう。直接音の音量は距離の二乗に反比例する。いわゆる逆2乗の法則だ

 MIC SENSE=LOW だが、LEVEL は最終的にいくらになってたか覚えてない。てか、文字が小さすぎてよく見えないので、ピーク・ランプが点く直前ギリギリに追い込んだ。
 音量調節は R-09 と違って、回転式なので感覚的に判りやすいし、録音中に変化させても、それほどノイズにならないだろう。

 24bit 96KHz で録り、現場で ProTools に取り込んでモニタ・スピーカ JBL 4428 で再生しバンドのメンバーと一緒に聞いた。
 金物系はマズマズ。スネアやタムの皮には不満が残るが、マルチ・マイクと比べちゃチトかわいそうだな。
 しかし、バス・ドラムとベースの低弦は、すぐ近くにセットした R-09 で録ったのと比べたら、明らかに迫力不足だ。「スカスカ」とまでは言わないけど。まあ、マイクの周波数特性図からある程度予測はついてたが…。
 もっと響きのいい部屋で弦楽四重奏でも録ったら、結果が良かったかも。(ビオラが)飛び出したかな? ^^;)

 あとで SONY の PCM-D50 で録ったものの方が、かなり良かった。しかし、同時録音じゃないしマイクの傾きなども微妙に違ってた可能性もあるので、細かく比較することは避ける。
 PCM-D50 のメーカー発表の内蔵マイク周波数特性は上の通り。  周波数特性だけ見ると、LS-10 と同じマイク・エレメントではないかと思うほどそっくりだが、上の場合は PCM-D50 の方がはるかに豊かに録れた。
 単にマイクの(正面)周波数特性だけでは音質は判らない、っていい例だ。

 ちなみに、R-09 のメーカー発表の内蔵マイク周波数特性は下図の通りだ。



 その次は外録だ。踏切で電車が通過する音を録った。おっと、風だ! 当然の事ながらそのまんまだとボコボコいう風音でまるっきりダメ。付属のかわゆいウィンド・スクリーンも役に立たない。

 で、付属のウィンド・スクリーンに更に SONY の PCM-D50 のウィンド・スクリーン(ジャマー)をかぶせてやっとなんとか…。
 電車の走行音としては重低音不足は否めないが、演劇の効果音としては、たいていの場面に使えるだろう。

 その後、同じ条件で試したが LS-10 は R-09 & PCM-D50 に比べて風に弱い。そよ風程度でもゴボゴボノイズを拾うので、はっきり言って屋外では実用にならない。
 LS-10 を屋外で使用するなら、防風対策をした外部マイクが必須だ。

 LS-10 用に限らず、現時点ではハンディー・レコーダー用の外部マイクとしては、価格、入手性、付属ケーブル(マイク・プラグ)、サイズ&重量の点から audio-technica の AT822 が最右翼と思う。(除 内緒の録音)

 ただし、このマイクは電池チェック用のランプがないので、くれぐれも電池切れに注意が必要。頼まれての録音などのときは、スペアの単三電池を用意しておく方がいい。
 また、このマイクの音質に過度な期待を抱いてはならない。今どきの PCM レコーダー内蔵マイクより優れてるかってば、必ずしもそうとは言えない。

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 またまたその後、風防は Rycote のミニ・ウィンドジャマーがかなり有効なことに気がついた。ちゃんとした測定はしてないけど、風ノイズを 30dB 以上落とせるようだ。
 2008年 4月、芝居の稽古場への行き帰りに LS-10 の持主と同道できたので拝借してテスト録音した。LOW CUT は OFF。
 16bit 44.1kHz で録り、切り出し以外は無加工のファイルを LAME で mp3 に変換した。(拙者はレベル変更やリエフェクトなどの後処理をするつもりのない場合は 16bit 44.1kHz で録る)

 1. 特急通過
 阪神電鉄のマイナーな駅のプラットフォームで目の前を下りの特急が通過するところ。録音位置から電車までは3mくらいだろう。
 MIC SENSE は LOW で REC LEVEL は5を少し上回ったぐらいだったハズ。使い慣れないレコーダーなので、電車を一台やり過ごし、ピークで -3dB 程度になるようにレベル調整をした。
 当日はそよ風程度だったが、それでも風音は完全には防ぎきれない。しかし、電車が通過したあとの風もまあまあ押さえられているし、帽子が飛びそうなほどの風なので、これくらいの方が却ってリアルかも知れない。

 2. 特急通過→普通到着
 1の数分後、上りの特急通過直後に下りの普通電車が到着して乗り込んだ。やはり風音が少し入ってるが HPF で除去可能だろう。だけど、電車の低音も一緒に減ってしまう。

 3. 特急通過 (参考: R-09)
 2007年12月下旬に同じプラットフォームから EDIROL R-09 で上りの特急が通過するのを録ったもの。LS-10 に比べると中低音ががリッチに感じる。ただし、車両のタイプが異なる可能性もある。
 オプションの OP-R09WS を付けてるが、やはり風音が防ぎ切れてない。もじゃもじゃタイプの風防ならほぼ完全に取り切れるはず。

 4. 阪神・三宮駅梅田行きプラットフォーム
 1,2と同じ日の夜、芝居の稽古場からの帰りに録った。MIC SENSE は、やはり LOW で LEVEL は8程度だったと思う。一発勝負のヤマカンで設定した。この部分だけだとピークで約 -12dB だけど、まあこんなもんか。
 プラットフォームは地下なのでほとんど無風だけど、電車が入ってくるときにやはり風が巻き起こる。しかしよく押さえ込まれてる。

 5. 阪神・三宮駅梅田行きプラットフォーム (参考:R-09)
 3と同じ日に R-09 で録ったもの。上りの特急が入る前に、後ろの下りプラットフォームから電車が出発してる。INPUT LEVEL は覚えてないが、MIC GAIN は HIGH だったはず。4とほぼ同じレベルで録れてるのは、たまたまだ。
 この部分ではあまり判らないが、R-09 は「サー」というヒス・ノイズが感じられる。
 また、カサコソ音がしてるが公演の帰りだったので、手に持ってた紙袋の音が入ってしまった。^^; 低域のノイズは風音ではなかろう。
 4とほぼ同じ位置での録音だが、LS-10 の方がアナウンスが明瞭に聞こえるし残響の具合も異なる。この辺が LS-10 の特徴かな?

 この結果からすると LS-10 は MIC SENSE HIGH での野外録音は無理っぽいな。鳥の声を録る場合はケージ+ウィンドジャマーってスタイルで、更に低音カットの必要があるかも知れない。

 6. 「こだま」・相生駅到着 (参考: PCM-D50)
 2007年12月に SONY PCM-D50 で新幹線・相生駅の上りプラットフォームで収録したもの。レベルの目盛は覚えてないが、MIC ATT は0、つまり、LS-10 の MIC SENSE HIGH 相当だったはず。
 24bit 44.1kHz で録ったものを 16bit に変換した後、更に mp3 にした。風よけに AD-PCM1 を装着している。確かに風音は入ってるが、入力ゲインは1,2と3の中間ぐらいだろう。
 阪神電鉄とは車両の大きさも違うが、LS-10 に比べてスケール感が一枚上手のようだ。 (追記: April, 2008)

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 さて、S/N比、ノイズ・レベルのチェックだ。外部マイク端子にプラグを差し込んで、録音レベルを R-09 の最大レベルに近くした。ボリュームは6にした。結果は右の図の通り。1kHz 以上では R-09 よりかなりノイズが少ない。

 このレコーダ、使い勝手も含めてかなり気に入った。条件によっては PCM-D50 と同等の音質で録れるかも知れない。
 R-09 を持ってなければ、また R-09HR の発売を知らなかったら、買ったかも。

 問題はレベル・メーターだ。拍子木とかムチのように頭に鋭いアタックのある音は、レベル・メーターの振れに目が追っつかないのだ。リリースが早すぎるんだね。ホールド時間が短すぎ。
 確かに右端に数値で示され、それがしばらく残るが表示も小さく、見にくい。

 そうそう、長時間(の会議)録音などのためにもファイル分割機能が欲しい。あとでパソコンで編集する場合、ギガバイト・クラスのファイルを一気に読み込んでの編集なんてゾッとする。

 R-09/R-09HR には録音中にファイルを分割する SPLIT ボタンがあるし、PCM-D50 は DIVIDE ボタンがある。
 我輩は朗読発表会などのライブ録音を頼まれた場合、ミキサーの REC OUT にリミッター(アウトボード)経由でAC駆動の R-09 を繋ぎ、SPLIT ボタンを多用する。ライン入力だと R-09 のS/N比は問題ない
 業務用のもう少し高級なレコーダで録る場合でも、必ず R-09 などでバックアップすることにしてる。頼まれてのライブ録音などの場合は、お金を頂戴する/しないに関わらず、失敗したくないからだ。

 こうして 電子楽器メーカの ROLAND、録音機(デンスケ)の老舗の SONY、ボイス・レコーダで大きなシェアを持つ OLYMPUS、といった3社のレコーダーを試すと、各社のカラーの違いが分かるような気がする。思いこみかな??


【ついでながら…】
 拙者は録ったファイルをレコーダー内で加工することは絶対にしない。せっかく録ったものを誤操作で消してしまったり壊してしまうのが恐いからだ。
 録ったものはパソコンに移し、加工は更にそれをコピーしたものですることにしている。んで、無加工のオリジナル・ファイルは永久保存だ。
 昔、アナログ・テープで録った効果音もデジタル化して保存してるが、いまだに役立つことがある。中には今ではもう録れないような録音があったりするぞ。例えば電子式以前の踏切の警告音とかだ。


EDIROL R-09 & OLYMPUS LS-10




LS-10 24bit 96KHz で録ったシンバルをスティックで叩いた瞬間
楽器の中で一番超高音成分の倍音が含まれてるだろうと
シンバルを選んだ
もっともグロッケンシュピールとかチェレスタとか言われても
持っちゃないけど ^^;


オリジナルから頭の1秒を切り出した 4496 のファイル
このように鋭いアタックを持つ音は
LS-10 のレベル・メーターでは確認しづらい
リリースが短いので振れたか振れないか判らないのだ
一番右にしばらく残る、小さく表示される数値とピーク・ランプが頼り



入力(録音)レベル・コントローラーは回転式だが
拙者には感触が普通のアナログ・ボリューム式と異なるように思える
別に違和感も支障もないが…
ひょっとしたらロータリー・エンコーダー的なものかな?



OLYMPUS LS-10 に付属のウィンド・スクリーンを装着
ほんの気休め程度の効果しか得られなかった
ないよりマシ…
小さいので無くしそうで恐い ^^;
















更に SONY PCM-D50 のオプション
AD-PCM1 をかぶせた
改善はされるが、それでも屋外での使用はチト苦しい
(LS-10 付属のウィンド・スクリーンを着けないと
AD-PCM1 を固定しにくい)

この機種に限ったことではないが、ウィンド・スクリーンを装着すると
どうしても高音域が甘くなる




audio-technica AT822 に WindTech 製 MM18 を装備したところ
これで風対策はほぼ完璧







LS-10 に Rycote 製の Mini WindJammer を装着
やはり付属のウィンド・スクリーンの上からかぶせてる

ウィンドジャマーはマイクから出来るだけ離れるように
ふんわりとかぶせるのがコツ
上手く装着すると、おそらく、風ノイズを 30dB 以上低減できるだろう

しかし、毛むくじゃらのレコーダーを人混みで振り回すのは
かなり恥ずかしい ^^;;










1の「特急通過」のピーク・エンベロープ
12〜13kHz からかなり落ちてるのは風防の影響かも知れない


















LS-10:MIC SENSE HIGH, MIC LEVEL 6
マイク・ジャックに開放プラグ差し込み
誘導雑音の影響を受けているはずなので
マイク・アンプのノイズはこれより低いはず



ついでに

ROLAND EDIROL R-09HR
なんか、他社から続々競合機種が出るので慌てて出したような気がする

我輩としての最大の注目点は
44.1KHz にダウン・サンプリングしても劣化が少ない、と言われる
サンプリング周波数 88.2KHz のサポートだ

「残留ノイズレベル 約 10dB 低減」でも PCM-D50 には及ばないし
音量調節があいかわらずスイッチ式ってのも減点だな
…でも、買うかも知れない ^^:


R-09HR のメーカー発表の内蔵マイク周波数特性

March, 2008




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