−おひさ。この前の話の続きを聞かせてよ。「具体例」ってどういうこと?
●ありゃ、覚えてたのか。俺が具体例って言ったのは、いくつかの意味があるんだけど、まず、わかりやすいほうから説明してみようか。
本の中で石原氏がいろんな問いを土屋先生に出してたじゃん。
−そうだね。「暢気な誤解」の章だっけ。職場の人間関係がうまくいかない、転職すべきかどうか迷っている、結婚するかどうか、とか、不倫で悩んでいる、ってやつでしょ。
●そうそう。で、こういう悩みに対して、土屋先生は、そのものズバリを答えてはいないだろ。ま、答えたら土屋先生じゃないってところもあるんだけどさ。だから、ある意味、ないものねだりではあるんだよ。
−まあね。なにせ裏切りを芸としている人だからね。
●で、具体例の話なんだけど、もし、ある哲学者が石原氏の問いになんらかの答えを出していたら、それは、「哲学は人生の悩みに答えられない」わけではない、ってことが言えるんじゃないの。
−うんうん。そうだよね。でも、そんな哲学者いるの?
●デカルト。
−マジ? だって、デカルトって、なんでもかんでも疑ってみよう、って人でしょ。自分が存在していることさえ、夢かもっていうような疑い深い人だよ。まさか、人間関係にこじれてどーしよーって悩んでいる人に、「それは夢かもしれないとまず疑ってみよ」ってことじゃないよね。
●違うよ。それで悩み解消するような人は、そもそも悩まなそうだけどな。それはともかく、デカルトが疑うのは、絶対に確実なものを確保するために、方法として疑っているんだよ。別に、疑うことが趣味ってわけじゃないぜ。
−じゃあ、なに? デカルトさんは、なんて言ってるの?
●それは次回のお楽しみ。
−ケチ!(次回に続く)