ここでは、年金に限らず、社会保険やライフプランなどについて、ホットな話題をレポートします。

協会けんぽ 都道府県別保険料(平成21年10月納付分から)

現在は全国一律8.2%の保険料が、10月納付分から都道府県別保険料とされる。(9月分保険料/10月末納付分)

保険料率 都道府県名
8.26% 北海道
8.25% 佐賀
8.24% 徳島、福岡
8.25% 香川
8.22% 大阪、岡山、広島、山口、長崎、熊本、大分、鹿児島
8.21% 青森、秋田、石川、奈良、和歌山、高知
8.20% 福島、福井、兵庫、鳥取、島根、宮崎、沖縄
8.19% 宮城、神奈川、富山、岐阜、愛知、三重、京都、愛媛
8.18% 岩手、山形、茨城、栃木、東京、滋賀
8.17% 群馬、埼玉、千葉、新潟、山梨、静岡
8.15% 長野

(2009年3月)


平成21年の医療保険制度改定点
出産育児一時金(家族出産育児一時金)の支給額の改正(平成21年1月から)

被保険者やその被扶養者が出産した時に支給される一時金は、35万円となっていたが、平成21年1月から産科医療補償制度(※) に加入する医療機関等において出産したときは、産科医療補償制度に係る費用が上乗せされ、38万円となる。

※産科医療補償制度は、安心してお産できるように、分娩機関が加入する制度であり、加入機関でお産すると、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった赤ちゃんとその家族の経済的負担が保証される。
なお、上記対象医療機関での分娩について出産育児一時金を支給申請される場合は支給申請書に従来の添付書類に加えて、制度対象分娩であるこ※とを証明する所定の印の押印された領収書または請求書の写しが必要となる。(事前申請の場合は必要ない)
産科医療補償制度には、09年1月現在で、約99%の分娩機関が加入している。

75歳到達月の高額療養費の自己負担限度額の特例(平成21年1月から)

75歳になり長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者となった場合、75歳の誕生月においては、誕生日前の医療費と誕生日後の医療費について、健康保険制度と長寿医療制度でそれぞれ自己負担限度額が適用されるが、平成21年1月からは、この自己負担限度額は両制度のいずれも本来額の2分の1の額が適用されることになる。

※被保険者が長寿医療制度の被保険者となる場合、その被扶養者についても特例の対象となる。

70〜74歳の一部負担金の見直しの凍結(平成21年4月から)

70〜74歳の一部負担金については、平成20度に引き続き、平成21年度も一部負担金の引き上げが凍結され、平成22年3月31日まで1割負担となる。

現役並み所得者に係る判定基準の変更(平成21年1月〜)

70〜74歳の方については、被扶養者が長寿医療制度の被保険者となることに伴い、収入が変わらないにもかかわらず、現役並み所得者 と判定される場合(一部負担金が3割負担になる)がありましたが、平成21年1月からは、この判定基準が変更され、被扶養者であった 方との年収の合計が520万円未満の場合は、申請により※1割負担となる。

※平成22年3月末まで一部負担金の引上げの凍結措置の継続により1割負担となる。

(2009年1月)


国民年金の全期前納制度(現在は廃止)
昭和36年4月当時は、国民年金の保険料や年金額を将来的に引き上げる前提がなかったので、60歳までの全期間、保険料を前納できるという「全期前納制度」があった。しかし、昭和42年1月から保険料が引き上げられることになったので、全期前納制度は廃止になり、すでに前納した人には、新しい保険料との差額を追納するようにという通知が出された。
さらに昭和49年には国民年金法施行令に前納保険料の充当の規定が設けられ、前納した保険料を順次取り崩し、自動的に差額に充当する事ができるようになった。
国民年金保険料がどんどん引きあがられていくと、支払った保険料は底をついてしまう。ただし、底をついてしまった後の期間については保険料を払わなくても「未納」期間とはせず、保険料の免除期間とみなす措置がとられた。
3分の1は保険料を払ったものとして年金額を計算するが、このようなことを知らずに追納せず、「全期間支払っているので満額の年金を受け取れる」と思っていた人には、満額の年金が受け取れないことになる。

現在はこのような制度はない。保険料の前納できるのは最長で1年分である。

 国民年金保険料(主な変遷)
昭和36年4月〜 20歳から34歳まで:100円 35歳〜59歳まで:150円
昭和42年1月〜 20歳から34歳まで:200円 35歳〜59歳まで:250円
昭和44年1月〜 20歳から34歳まで:250円 35歳〜59歳まで:300円
昭和45年7月〜 定額保険料450円 45年10月から付加保険料350円
昭和47年7月〜 定額保険料550円
昭和49年1月〜 定額保険料900円 付加保険料400円


現在 平成20年4月〜 定額保険料14,410円 付加保険料400円

(2008年6月)


日本でフランスの年金請求が可能
2007年6月1日より日仏社会保障協定が発効

日仏社会保障協定が発効することにより、
● フランスの年金は、協定の発効前から受け取ることができましたが、既に受け取っている方についても、協定により受け取る年金額が高くなる場合がある。
●日本の年金の加入期間が足りないために、日本の年金が受け取れなかった人も、受け取れる場合がある。

フランスの年金の時効
●フランスの年金の申請が1ヵ月遅れると、1ヵ月分の年金を受け取ることができなくなる。
●フランスの年金は、60歳から受け取ることができる。申請は6ヵ月前から可能。

詳しいことは社会保険庁のHPで
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/index.htm

(2007年7月)


社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定
2007年1月1日より発効
日本とベルギーの社会保障制度の2重加入が解消される。

日本からベルギーへ派遣される場合(派遣期間が5年を超える場合)
日本の年金・医療保険への加入が免除される。

日本からベルギーへ派遣される場合(派遣期間が5年以内と見込まれる場合)
ベルギーの年金・医療保険・労災保険・雇用保険への加入が免除される

主な内容

● 日本の年金加入期間が25年の場合の人については、ベルギーの年金加入期間を通算して25年以上の場合、日本の老齢基礎年金を受けることができるようになった。

●協定発効前に既にベルギーの年金を受給していた人でも、申請により日本の年金加入期間を通算することで、ベルギーの年金額が高くなる場合がある。

●ベルギー国外に住んでいる人でも、日本に住んでいる場合または日本国民の場合、ベルギー年金を受け取ることができるようになった。(ただし、ベルギー年金の障害給付の受取はベルギー国内または日本国内在住者に限る)

●ベルギー年金の申請が日本の社会保険事務所または共済組合の窓口で行うことができるようになった。

注意点

●ベルギー年金は、原則、男性は65歳、女性は64歳から受給することができる(2007年1月1日現在)
だたし、ベルギー年金と日本の年金加入期間が合計で35年以上ある人は、60歳より受給可能

●ベルギー年金は、通常、申請月の翌月から年金が支給されるため、申請が遅れた場合でも、支給開始日が遡及することはない。ただし、協定発効日にベルギー年金の受給権を満たす人は、2008年12月までに申請した場合に限り、2007年1月分から年金が支給される。 詳しいことは社会保険庁のHPで
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/index.htm

(2007年1月)


沖縄の厚生年金保険にかかる特別措置
平成18年4月1日実施

1.特別措置の概要

沖縄の厚生年金保険は、制度発足が遅れたため、被保険者期間が短く、年金額が本土と比較して低いという状況があり、本土復帰後数回にわたり、給付水準の均衡のための特別措置が講じられてきた。
前回の特別措置(平成7年)では、沖縄独自の厚生年金保険(昭和45年1月1日から昭和47年5月14日までの間のみ存在した制度)に加入していた人が、昭和29年5月1日から昭和44年12月31日までの期間のうち、20歳以上であって、沖縄にある厚生年金保険の適用事業所に相当する事業所(適用事業所相当事業所)に使用されていた期間に係る保険料を納付(特別納付)すれば、年金額を加算(特別加算)する措置が講じられた。

しかし、適用事業所相当事業所に使用されていた期間を有していても、本土に出向、転勤などの事情により、沖縄の厚生年金保険の被保険者期間を有しない人については、これまでの特別措置の対象にならなかった。
今回の特別措置は、このような人について、特別納付を可能とし、特別加算を行うものである。

2、特別措置の対象者

@ 昭和45年1月1日から昭和47年5月14日までの間に、厚生年金保険の被保険者期間を有する人(沖縄独自の厚生年金保険の被保険者期間を有する人を除く)
A昭和20年4月1日以前に生まれた人
B昭和29年5月1日から昭和44年12月31日までの期間のうち、20歳以上であって、次に掲げる事業所等に勤めていた期間を有する人
(1)沖縄にある厚生年金保険の適用事業所に相当する事業所
(2)沖縄に住所または事務所を有する船舶所有者

3、特別措置の対象となる期間

昭和29年5月1日から昭和44年12月31日までの期間のうち、20歳以上であって、次に掲げる事業所に勤めていた期間(他の公的年金制度の被保険者であった期間を除く)
(1)沖縄にある厚生年金保険の適用事業所に相当する事業所
(2)沖縄に住所または事務所を有する船舶所有者


4、雇用経路の認定について

特別措置の対象となる期間については、雇用されていたことの認定(雇用経路の認定)を沖縄県知事に受けなければならない。雇用経路の認定は、対象者の提出する証拠資料にもとづき、沖縄県知事が行う。

5、特別納付保険料

昭和45年1月から平成7年3月までの標準報酬月額の平均額(再評価前) × 9.137% × 特別納付月数

特別納付保険料を納付した月数は、受給資格期間には算入されない。

6、加算額

平均標準報酬月額(再評価後) × 特別加算乗率 × 特別納付月数

7、特別措置の実施期間

平成18年4月1日から平成23年3月31日までの5年間に限り、特別納付を行うことができる。特別納付を行うことができる回数は、各年度につき1回、計3回以内。

雇用経路の認定など沖縄県の問い合わせ先
沖縄県福祉保健部福祉保健企画課 098-866-2164

(2006年4月)


出産・育児に関する社会保険制度   (2005年4月以降)
制度 手続 概要
健康保険 被保険者届 出生児を健康保険の扶養家族に入れる
出産育児一時金請求書 一児につき35万円の一時金を支給
★ 06年10月以降、35万円に改定された
出産手当金請求書 産前産後休暇中に賃金がないとき、標準報酬の6割を支給
雇用保険 育児休業基本給付金申請書 育児休業中に賃金がないとき、3割支給
育児休業者職場復帰給付金(一時金)支給申請書 職場復帰後(6ヶ月経過後)、育児休業全期間の賃金の1割を支給
年金・健康保険 育児休業等取得者申請書・新規 育児休業中の年金・健康保険料を免除する
育児休業等取得者申請書・延長 子が1歳になり、育児休業を延長するときに提出
育児休業等終了時報酬月額変更届 職場復帰後の賃金が下がったとき提出
年金 養育期間標準報酬月額特例申請書 子が3歳になるまでは賃金が下がっても、年金額の計算については従前標準報酬月額が保障される。(3歳未満の子を養育している人であるなら、両親ふたりで活用できる。申し出があった日から2年間さかのぼることができる。ただし、制度が施行された05年4月1日以降)

(2006年2月)


2004年4月からの年金額
現在の情報では、次のようになっている。

■ 平成15年平均の消費者物価指数は、現状のまま推移すれば、対前年比マイナス0.2〜0.4%程度となると見込まれる。

■ 厚生年金や国民年金の年金額等については、物価の変動に応じて自動的に額を改定する「自動物価スライド制」が採られており、原則的な取扱いとしては、平成12年度〜14年度の特例措置を講じた分(マイナス1.7%分)と合わせて、平成16年度の年金額等はマイナス1.9〜2.1%程度の改定となる。

■ しかしながら、平成15年度の物価スライドと同様、現役世代の賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者等の生活に配慮しつつ、特例として、平成15年の消費者物価の下落分(マイナス0.2〜0.4%の見込み)の年金額等の改定を行うこととする。

■ この内容で平成16年度予算を編成した上で、来年1月下旬に平成15年の年平均の消費者物価指数が確定するのを待って、次期通常国会に年金額等の物価スライドの特例措置を講ずるための法案を提出することとする。(日切れ法案扱いの処理が必要)

(2004年1月)


未支給の年金
年金は後払いである。
8月12日に60歳になった人の年金は9月分から。手続きがまにあえばの話だが、9月分が10月15日に振り込まれ、10月分と11月分が12月15日に振り込まれるということになる。
では、死亡した場合はどうなるのか。
たとえば、7月15日に死亡した場合、7月分の年金までもらうことができる。本来なら、8月15日には6月分と7月分の年金が振り込まれることになる。
ところが、年金を受け取るはずの本人は死亡しているので、死亡した人は年金を受けとることができない。遺族が年金を受けとることになる。
それが「未支給の年金」である。未支給の年金は、遺族が自分の名前で請求することになる。
では、もし対象となる遺族がいなければどうなるのか。
その年金は国へと返されることになる。
年金をもらっている人が死亡した場合、年金の後払いという性格上、必ず、未支給の年金がある。しかし、それを請求できるにも条件がある。 いっしょにくらしている場合、別居でも仕送りなど経済的な援助をしていた場合などは問題ないと思われるが、別居で援助もなしという場合は、結局誰ももらえないことにもなってしまう。(対象者は、配偶者、子、父母、孫、兄弟姉妹まで) (2003年8月)


介護保険料が下がる
40歳から65歳未満で、社会保険に加入している人の介護保険料が下がる。4月分から。つまり、5月支給給与分から。
現在の介護保険料は、1.07%。それが、0.89%に下がる。総報酬制で、ボーナスからも介護保険料が引かれることになるからだ。
健康保険料とあわせると、9.09%となる。(健康保険組合はそれぞれで異なるので注意)
介護保険料は40歳になったときから。4月1日に40歳の誕生日をむかえる人は、3月31日に40歳になったとみなされるので(民法による)、3月分から保険料を支払うことになる。4月2日生まれの人は4月分からでよい。
(2003年3月)


4月からの社会保険料徴収の実務
4月からの総報酬制導入で、社会保険料の徴収の仕方がかわる。実務上、注意しておくべき点をあげてみよう。
まず、保険料の変更は、4月分から。
4月分の保険料は翌月5月の給料からひく。つまり、4月支給分の給与からの保険料の変更はなく、5月支給分の給与から保険料が変更になる。4月支給分からではないことに注意したい。

そして、4月に期末手当を支給するような場合。
4月に支給された期末手当からは、総報酬制導入後のしくみで、社会保険料をひく。つまり、健康保険は8.2%、厚生年金は13.58%(働いている人負担はその半分)。3月中に支給される期末手当は、従来の特別保険料1%となる。
では、4月5日に期末手当をもらい、4月25日に退職した場合、保険料はどうなるか。
この場合、4月に社会保険の資格を喪失したことになるので、4月分の保険料は徴収しないことになる。4月5日の期末手当で社会保険料を引いていても、25日に退職したら、その分は本人に返すことになる。
実務上、今までと大きくかわるところ。複雑になって、社会保険の事務もよけいにめんどうになってしまうようだ。
(2003年3月)


女性と年金 4つの案
昨年12月に厚生労働省から「年金改革の骨格に関する方向性と論点」が出された。ここで、以前から検討されてきた「女性と年金」について4つの案が出されている。

@夫婦間の年金分割案
保険料負担は今までどおりで、例えば夫が働き妻を扶養している場合、夫に支給された賃金を分割して妻の年金に上乗せしようということ。この場合、妻の年金は増えるが、夫の年金は減ることになってしまう。
A負担調整案
現在保険料を負担する必要のなかった第3号被保険者に、何らかの方法で、保険料の負担を求めるということ。
B給付調整案
第3号被保険者に保険料の負担は求めないが、基礎年金給付を減額するということ。
C第3号被保険者縮小案
パートタイマーの厚生年金加入基準を拡大することによって、加入者を増やして、第3号被保険者の対象者を少なくしていこうということ。

 今後、どの案をとるのか検討されていくだろうが、年金は「世帯単位」から「個人単位」という考え方になっていくだろうと思われる。
 第3号被保険者が、現在保険料を負担しなくていいことに対しての不公平感はかなり以前から出されているが、たんに保険料の負担増にだけはしたくないと思う。財政の問題もあるが、現在の基礎年金の水準は低い。誰もが安心して暮らしていけるだけの年金制度を保障した上での負担増なら納得できるが、不安だらけの上に、さらに負担増では、多いに問題があると思う。 (2003年2月)



4月からの総報酬制と介護保険料
 総報酬制の導入で、健康保険料と厚生年金保険料がかわることは、比較的知られているが、介護保険料のことは知らない人が多いのではないだろうか。
 介護保険料は40歳以上65歳未満の人については、健康保険料に一定の保険料率が上乗せされて、徴収されることになる。
 介護保険料は現在、毎月の給与から徴収されている。健康保険や厚生年金のように、特別保険料として賞与から徴収されることはなかった。ところが、今年の4月以降支給される賞与からは、毎月と同じ率で介護保険料が徴収されることになる。
賞与のある人にとって、4月以降の保険料負担が増えるのは確実である。介護保険料は現在1.07%で、4月以降下がる予定はない。(1.07%は事業主と本人が折半する) (2003年2月)


4月からの総報酬制
 今年の4月から健康保険・厚生年金保険に総報酬制が導入される。総報酬制とは、毎月の賃金と賞与から同じ率の保険料を徴収するしくみである。
現在、年3回以下の賞与に対しては、特別保険料が徴収されるが、それは毎月の保険料率と比べると、低いものである。
 だから、こういうことがおこった。年間支給する賃金は同じであっても、毎月の賃金を低くして、賞与を多くすると、トータルの保険料が少なくなるということだ。
 これは不公平であるということから、賞与と毎月の給与、保険料率を同じにするというしくみになる。

 総報酬制導入で、保険料はどうなるか。
 賞与のない人にとっては、年金の保険料支払い総額は少なくなる。賞与が年間2.28ヶ月以上ある場合は、年間の保険料が増えるという計算になる。しかし、標準報酬月額には通勤手当も入るし、賞与は必ずしも標準報酬月額に月数をかけるものではないので、○ヵ月以上になると総額が増えるとははっきり言えないが、2.4〜2.5月が分かれ目になるだろう。それ以上賞与のある人は、保険料の総額は増えることになってしまう。
 そして本人負担だけではなく当然、、事業主負担も増えることになる。
 賞与が少なくて負担額は減るという人も、同時に将来の年金額が減ってしまうことになるので、注意してほしい。
 毎月の賃金額と賞与と保険料、この3つが複雑な関係になってしまったのが、この総報酬制である。 (2003年2月)



サラリーマンの妻、会社を14年と11ヵ月で退職したほうがよいか
 夫は30年間サラリーマン、妻は41歳から会社に勤めて、もうすぐ15年になろうとしているという夫婦。妻が会社を14年11ヵ月で辞めると、将来加給年金や振替加算がもらえて年金が増える聞いたが、ほんとうだろうかという質問があった。
 共働きの夫婦の場合、どちらも厚生年金の加入期間が20年(特例により15年)になると、加給年金はもらえず、したがって、振替加算もつかない。
 妻が14年11月で退職して、特例を満たさないようにしたほうが、受け取る年金額が増えるということは正しい。しかし、これは離婚もせず、夫婦二人、元気でそろって65歳まで生きるということが条件である。
 妻が65歳になる前に離婚すれば、振替加算も関係ないし、離婚となれば、自分の厚生年金が少しでも多いほうがよい。離婚後、再婚すれば、また話は違ってくる。
 また不幸にして、早くに夫が死亡し、遺族年金となれば、加給年金・振替加算も関係なくなってくる。
 人生はどうなるか、わからない。確かに加給年金・振替加算をもらうとなると、妻自身の35歳以降の厚生年金加入期間を14年11ヵ月としたほうがいいが、この選択がよい結果になるとは限らない。働けるときは働いて、給料ももらい、なおかつ自分自分の厚生年金を増やすとしたほうが、一生涯で受け取る手取り額は多くなる、結果はよかったというときもある。
 夫まかせでない、自分の年金をしっかり確保することも考えに入れて選択してほしい。
(2002年9月)


老齢基礎年金の繰り下げの効果
 2002年の4月から老齢厚生年金の繰り下げ支給の制度が廃止された。ただし、老齢基礎年金は繰り下げできるとなっているが、この繰り下げの効果はどのようなものだろうか。
 繰り下げについては、前回の法改訂で、支給率が減らされたことで、かなり魅力がなくなっている。それまでは70歳までまてば188%に増えたのに、今は142%増にとどまる。
 先日、繰り下げしたいが…という相談があった。少しでも年金が増えればいいというお考え。66歳までは働くし、給料も会社役員として多いので、年金はなくてもよい、少しでも増えたほうがいいからということだった。
 増加の金額を考えてみよう。65歳時点で満額の804,200円をもらえる人が65歳まで繰り下げしたとする。65歳時点での年金額は871,800円。これで計算すると、77歳11ヵ月になってはじめて65歳時請求よりも年金の受取総額が上回る。
 それまでに死亡すれば、繰り下げは損だったということになる。わからないのは人間の寿命である。繰り下げが得だ、損だという答はない。結果としてどうだったかということだけである。
(2002年8月)


スウェーデンの年金制度
 スウェーデンでは、1991年に公的年金改革が実施され、それまで確定給付型であった年金制度が、確定拠出型の年金制度になった。保険料は18.5%。内訳として、賦課方式が16%、積み立て方式が2.5%。その保険料は将来にわたって変更しないと決められた。
 そういう年金改革の背景には、経済危機があった。1990年にバブルが崩壊し、1992年には、ヨーロッパの通貨危機、翌年には一段と国家危機が強まった。そこで、1995年に構造改革に着手。スウェーデン版「痛みを伴う構造改革」が始まった。
 年金制度は1991年より段階的に改革が実施された。

主な改革は
@基礎年金+付加年金(報酬比例)を報酬比例年金のみに変更
A基礎年金廃止。保証基礎年金で高齢者に最低所得を保証
B確定給付型を確定拠出型へ
C賦課方式を、賦課方式16%+積み立て方式2.5%に変更
D保険料の事業主全額負担を労使折半へ変更
E給付開始年齢65歳を、61歳から可能とした
F遺族年金の廃止。婚姻期間中の所得を合算、1/2所得分割方式へ
G物価スライド制を賃金スライド制へ

 これらの改革は国の負担を軽くするという改革だったと言える。確定拠出型ということは、将来の年金給付に対する責任を負わないということである。給付金額の約束をしないということだ。
 また、スウェーデンの年金制度の特徴として、子育ての社会的責任をはっきりさせているということだ。子どもが4歳までは、働いていなくても、就労したものとして、年金権を与え、以前の給 与の100%を、みなし賃金として国が補償するという。
遺族年金は廃止された。婚姻期間中所得を合算し、その賃金の2分の1をそれぞれの所得とみなす。年金は完全に個人化された。だから、遺族年金はない。子どもに対する遺族年金もない。子どもが親をなくした場合は、年金制度による遺族補償という概念ではなく、児童福祉法などにより、国が責任をもって育てるという考え方である。

 こういう改革の結果、1998年には、財政収支は黒字になり、失業率は3%台に回復した。

 以上、スカンディア生命の鈴木教夫さんのお話をまとめてみた。
(2002年7月)



国民年金の学生納付特例制度
 こんな相談があった。
「通信制の大学生。二十歳になって国民年金の学生納付特例の手続きをしに行ったけれど、できませんといわれた。なぜですか、通信制もいいはずなのに」
というご相談。
 4月から夜間や通信制の高校や大学も学生納付特例の対象になっている。
 しかし、よく調べてみれば、学校教育法による大学でないと、学生納付特例の対象にはならない。どこの大学でもすべてOKというのではない。
 相談された方は、学校教育法による大学ではなかった。残念ながら納付特例は利用できない。
 ただし、一般の方対象の申請免除は申し込むことができる。申請免除の場合は、同居の家族の所得など基準があるが、認められれば全額免除となる。4月からはもう少し基準のゆるやかな半額免除の制度もあるで、検討をおすすめした。
(2002年6月)


税制改革の方向性
 5月10日の新聞に、政府税制調査会、会長の会見が記事になっていた。税制改革の今後の方針として、所得税の配偶者控除など各控除を整理縮小し、基礎控除にまとめる方向で簡素化をすすめる方針を表明したこという内容だ。
  具体的にいうと、現在38万円の基礎控除を50万円程度に増額して、配偶者控除や配偶者特別控除を見なおすということだ。
 基礎控除の引上げは多くの人にとっては減税となる。課税最低限の103万円で調整しているパートタイマーにとっては限度額があがることになる。
 方向性としていは歓迎すべきことではないか。確かに専業主婦のいるサラリーマンには増税となる。増税となる側からの反対はある思うが、働く女性を応援するという意味ではいい方向性だと思う。育児や介護で働けない場合は、税金の控除で応援するのではなく、もっと別な応援のしかたがあると思う。
 低所得者が結果として増税になるということはあってはならないと思うが、女性が働きやすい世の中をつくっていくためには、税制も見なおされるべきだと思う。
(2002年5月)


65歳以降の厚生年金加入で年金額はどのくらい増えるか
 2002年4月から65歳以上の人も、厚生年金に加入することになったが、果たして年金額はどのくらい増えるのだろうか。
 すでに年金をもらう権利のある人は、65歳以降厚生年金に加入しても、老齢基礎年金は増えない。増えるのは老齢厚生年金部分(報酬比例部分)のみ。
 仮に65歳以降毎月20万円の給料で継続雇用されたとしよう。保険料は月々17350円(本人負担分)そして65歳から66歳まで1年間は会社勤めをした。増える年金額は、年額17100円(この金額は生年月日によってことなるが、ここでは乗率を7.125/1000として計算)
 もとを取るためには12年以上年金をもらい続けなければならない。66歳に12年を加えると、78歳。これ以上生きて年金をもらわないと、もとをとれない。年金において「もとをとる」という考え方は適切ではないが、保険料を支払う側からいうと、もとはとりたい。
 「65歳以上の厚生年金加入で年金額が増えます」という説明はどうなのか。増えるにはちがいないけれど、平均余命を考えたら、その分貯金して取り崩すという方法もある。
 いくらぐらい増えるのかということをきちんと説明して、その上で、「増える」という言葉を使ってほしい。一般の国民はよくわからないうちに、保険料を支払わされている。
(2002年3月)


今年の4月から65歳以上も70歳未満の人も厚生年金に加入
   60歳未満の妻は注意しよう!
 今年4月より、65歳以上70歳未満の人も厚生年金保険に加入することになる。今までは65歳になったら厚生年金被保険者の資格を喪失していた。会社に勤めていても、加入する必要はなかった。
 ところが2002年4月からは、65歳以上70歳未満の人も厚生年金に加入しなければならない。いったん厚生年金からはすれていた人も、再度加入となる。具体的には、昭和7年4月3日以降生まれの人が対象になる。(昭和7年4月2日生まれの人は対象外であることに注視)
 ただし、65歳以上70歳未満の人は、厚生年金に加入はするけれど、65歳未満と同じように国民年金の第2号被保険者とはならない。
 ここで注意しなければならないのは、扶養されている配偶者。いわゆるサラリーマンの妻は、夫が厚生年金に加入していれば、第3号被保険者として、実際に国民年金の保険料をおさめていなくても、保険料納付済期間となっていた。
 ところが、65歳以上の夫に、60歳未満の妻が扶養されている場合は、この妻は第3号被保険者とはならない。つまり、4月以降は夫が65歳になった時点で、妻は第1号被保険者となり、60歳までは自分で国民年金の保険料を納めなくてはならない。サラリーマンの妻だからと安心していれば、保険料滞納期間となってしまう
 とはいっても、年金の受給権が発生せずに65歳以降も加入している場合のみ、国民年金の第2号被保険者となる。
実に複雑なしくみである。
(2002年3月)


地方公共団体の長の年金
地方公共団体の長とは、県知事、市長、町長、村長。こういった役職についた人は地方公務員共済組合に加入することになる。
地方公務員等共済組合法には、地方公共団体の長に関する定めがあって、一般の共済組合の加入員にはない特例がある。
地方公共団体の長であった期間が12年以上であると、通常の退職共済年金にプラス分がつく。1期4年だとすると、3期当選すれば、年金の加算対象になるということである。 加算される年金額は、地方公共団体の長であった期間に係る平均給与月額の57/100。また、障害年金も、遺族年金にも加算がある。
たしかに地方公共団体の長という立場は、責任も重いし、大変な仕事には違いないが、もともと共済組合は厚生年金よりも年金額が多くなるしくみになっている。そのうえ、なおかつ加算があるとなると、一般の厚生年金加入者に比べると、相当優遇されていることになる。
地方公共団体の長の年金にこんな特例があることは、意外に知られていないのだろうと思う。
(2002年2月)


成年後見制度
 2000年4月から、介護保険制度と時期をおなじくして成年後見制度が導入されているが、介護保険ほど知られていないようだ。
 成年後見制度は。禁治産・準禁治産制度にかわり導入された。介護保険が身体の支援をするのに対して、成年後見制度は、判断能力が衰えた人に対して、意志能力について支援する。
 旧制度の「禁治産」財産を使うのを禁じるという意味であるが、新しい成年後見制度は、本人の意思を尊重し、本人を支援する制度である。
 たとえば、長く働いてかなりの金額の年金ももらい、財産もある人がいたとする。その人が痴呆になり判断能力がなくなると、財産争いがおこったり、その人自身のお金を自分にとって一番いい方法で使えなくなってしまうことも、おこりうる。
 成年後見制度は財産管理だけが目的ではない。その人にとって必要なお金を使う、人間らしい生活ができているかどうか配慮して財産管理をするということが重視される。
 せっかく年金があるのに、それを自分の介護のために使えないなら、意味がない。
 成年後見制度には、「法定後見制度」のほか、今は判断能力に問題のない人が将来にそなえて 制度利用を予約しておく「任意後見制度」も新設された。公証人役場で任意後見契約を結び、もし支援が必要になったら、いつでもできるようにしておく。
 安心して老後をすごせる制度としてこれからもっと注目されると思う。
(2002年1月)


介護保険料の負担
 介護保険は40才以上の全国民が対象になり、保険料の負担の方法により、40才以上65才未満は第1号被保険者、65才以上は第2号被保険者となる。
65才以上は、年金から天引きされる。免除の制度はなく、所得に応じて保険料を徴収されることになる。
 ところが、介護保険料を負担しなくてもいい人もいる。65才未満のサラリーマンの被扶養配偶者である。社会保険の扶養になっていれば、介護保険料を負担する必要はなく、健康保険・厚生年金同様の扱いとなる。
では、こういう例はどうだろうか。夫のほうが年下で35才、扶養されている妻が40才になったという場合。
 妻は40才になったので、当然介護保険の対象になるが、夫は対象ではない。夫の給与から介護保険料分が控除されるかというと、そうではない。夫自身が40才になるまで、介護保険料を徴収されることはない。しかし、妻は要件に該当すれば、介護保険のサービスを受けられることになる。
 どう考えてもおかしい保険料徴収のしくみだ。65才以上のわずかな年金しかない高齢者からも介護保険料をとり、夫に1000万円の収入があっても、妻の分は払わなくてもよいというのは、矛盾している。
 だから、サラリーマンの妻からも保険料をとればよいといっているのではない。保険料徴収はもっと公平であるべきだし、ほんとに収入がなくて困っている人に対しては免除制度をもうけてもよいのではないかと考える。
(2002年1月)


厚生年金のモデル
検討会で「専業主婦標準型」から「共働き標準型」への変更を提起
 厚生労働省の「女性と年金検討会」では、12月14日、報告書を提出した。この中で、年金給付額の水準を決めるモデル設定を「専業主婦世帯」から「共働き世帯」へと変更することを提案している。
 「老後の年金はいくらになりますか」というモデルを、今までは専業主婦のいる家庭を想定して出していた。夫171000円。妻67000円。
 ところが共働きがふえ、それでは実情にあわないということで、夫171000円、妻は働いていたものとして、その加入期間に応じて77000円または103000円とするというものである。
 となると、当然世帯あたりの年金モデル金額は今より多くなる。この数字が、私たちへ不利益につながらないか、とても気になるところだ。
 つまり、モデルでこれぐらいあるのだから、もっと減らしてもいいだろう、もっと他の負担を増やしてもいいだろうとういう使われ方をしないかということなのだ。

 私は年金制度において「世帯」と言う発想はやめるべきだと思う。多様な生き方がうまれてくるなかで、必ずしも夫婦そろうというパターンにはならない。1人分の年金で、その人1人の生活がまかなえるかという発想をしないと、年金はまだまだ多いということになり、モデルからはずれた人は苦しい年金生活を強いられる。
モデルはあくまでも、モデルである。1人分の年金で1人生活していけるということ、それが基本ではないかと考える。
(2001年12月)



年金制度にみえる女性観
 現在の年金制度は女性にとって有利だと思う。原則20年以上厚生年金に加入した夫がもらえる、年金の配偶者手当というべき加給年金や、それが配偶者65才以降に振り変わる振替加算の制度がある。これは別に妻とは限らないけれど、夫でもいいのだけれど、多くは妻が該当する。サラリーマンの妻を想定して作られている。

 遺族年金はまさに女性のための年金。
 国民年金の制度からの遺族基礎年金は、子のある妻、子のみ権利が発生する。子のない妻には発生しないし、まして、男性には、子がいててもらえない。
 遺族厚生年金は男性も対象となるが、55才以上の夫に権利が発生し、しかも支給は60才からとなる。
 60才からやっともらえるよと思っても、そうではない。60才になると、夫自身の厚生年金の受給権が発生して、妻の遺族厚生年金とはいっしょにもらえないのだ。どちらかひとつの選択となり、結局は自分の老齢厚生年金を選んだほうが金額が多くなる場合が多い。
 そうなると、結局権利は発生しても、もらうことはないということになる。まず男性は遺族年金に縁が無いと思ってもいい。
 国民年金の寡婦年金も女性だけが対象だ。「寡夫」ではないのである。

 現代のように共働きが増えると、女性の賃金の方が高い場合もある。妻が亡くなることによって、残された夫と子どもが収入面で困ることもあるはずだ。逆に夫がなくなっても妻の収入だけで暮らしていける家庭もある。

 私はここに年金制度の女性観をみることができる。つまり、「女性は働かないものだ」「男性はどんなことがあっても自分で働き食べていくものだ」みたいな、性役割分担を年金制度が主張しているようにみえる。
 年金制度が発足した当時はそうだったかもしれないが、こういう考え方をひきずり、時代にあわなくなってきている。遺族年金の安易な廃止には賛成できないし、困っている人を切り捨てるようになってはならないが、見直しは必要だと思う。
(2001年12月)



年金制度に未来はあるか
 若い人だけではなく、40才くらいの方でも、「年金制度はこれからどうなるかわかならい。保険料を払いたくない」と言われる。
 確かに年金制度は、年金をもらう立場にたてば、一生涯にもらう年金額の減少という点では改悪され続けている。しかもどの程度減額されるのか、一般の市民にはわかりにくい。賃金スライドといわれる再評価率の引き下げや、報酬比例部分の乗率の5%カットなど、年金のしくみをよほど理解していないと、わからないようなところで、切り下げられている。
 こんなことが続くと、この先どうなるかわからない、年金制度はあてにできない、保険料を払いたくないということになってしまう。
 はたして年金制度は大丈夫なのか。
 これにはたくさんの見解があると思うけれど、日本の公的年金制度が一般の生命保険会社のように破綻してしまうということは、戦争などが起こり日本という国の存在さえ危なくなってしまわない限りありえないと考える。
 公的年金は心配だから民間の保険に入っておくというのも危険な考え方である。公的年金制度が崩壊するよりさきに民間の保険会社が先につぶれてしまうだろう。
 公的年金制度は世代間扶養である。つまり、自分でつみたてておいたお金を運用してもらい将来年金として受け取るという方式ではなく、親への仕送りというしくみなのだ。現在しはらっている保険料は将来の自分の分としてとっておかれるのではなく、現在の高齢者のために使われていて、自分が高齢者になったときは、若い世代の支払う保険料で年金を受けるというしくみである。
 仮に親の生活費が月に10万円として、5人の子どもがいれば1人2万円ずつですむけれど、子どもが2人なら1人5万円になってしまう。将来年金の財政が苦しくなるというのは、簡単に言えばこういうことなのだ。
 しかし、「10万円のうち、5万円は国が負担します、その残りを負担してください」となると、2.5万円ずつですむ。国庫補助をふやせば私たちの負担は少なくてすむ。
 公的年金制度をつくっていくのは国民だと思う。どういう制度を国に求めていくか。私たちひとりひとりの問題意識にかかっている。
(2001年12月)


厚生年金基金が解散したら?
 年金相談で、ある女性が厚生年金基金の計算書を持ってこられた。あまりにも年金額が少ないのではないかという相談だった。
 その方の厚生年金基金の金額は確かに少ない。加入年数も少なかったが、それにしても、厚生年金にだけ入っていた人、とわずかしかかわらない。
「もしかして、繊維関係の会社では?」とたずねてみた。
やはり、繊維関係の会社で、解散した基金に加入しておられた。
解散した基金だから上乗せ分が少なく、厚生年金にだけ加入していた場合とそうかわらないのである。

 厚生年金基金の解散は2002年3月までに増えると思われる。解散を予定してる基金もある。401Kへの移行などもあるが、基金の運営が苦しくて、解散を余儀なくされるところもあるだろう。

 では、基金が解散すると、年金はどうなるのか。もらえなくなるのか。
 もらえなくなるということはない。厚生年金基金連合会に移される。連合会から基金分の年金を受け取ることになる。各基金は最低準備金というのを用意しておかねばならない。そのお金をもって連合会へ移る。一般の厚生年金よりも少なくなるということはない。

 ただし、基金が魅力のないものになってきたのには事実である。基金を設立したときは年金の上乗せを目標として、そして、かなりの上乗せ給付をしてきた。実際厚生年金だけで年金額が300万円を超える人という人に、私は出会ったことがないが、基金加入者なら300万円以上の年金をもらっている人に、時々お目にかかる。
しかし、現在のような状況なら、今後給付が減っていくことは確実だ。

 基金もきびしい状況ではあるが、現行の制度では、解散してもらえなくなるということはないので、ひとまず安心を。
(2001年12月)



どうなる! 専業主婦の年金
厚生労働省の「女性と年金検討会」では、第3号被保険者の年金保険料について検討している。

第3号被保険者は、いわゆる「サラリーマンの妻」であり、国民年金の保険料を支払わなくても、支払ったものとして年金を受け取れる。

この第3号の制度については、厚生年金の保険料を払っている女性や自営業の妻などからすると、なぜサラリーマンの妻だけが優遇されるのという不満が出る。また母子家庭の母親は苦しい生活の中、保険料を支払っているのに、年収が1000万以上あっても、サラリーマンの妻は負担してなくてもいいのはおかしいという声も出ている。

「女性と年金検討会」では、大勢は改革容認だが、改革の具体案となると、依然不透明である。浮上している6つの案は以下のとおり。

現行  サラリーマン全員で負担
1案 夫の賃金の半分を妻の賃金とみなし、妻が賃金分を負担
2案  妻が自営業者と同じ国民健康保険料を支払う。
3案  夫が妻分の国民年金保険料を上乗せして負担
4案  夫が妻分の保険料(定率)を上乗せして負担
5案  育児・介護期間中に限って保険料を免除
6案  高所得者の保険料を引上げ

さあ、どの案がいいだろうか。それぞれ一長一短がある。

ひとつだけ見落としてはならないこと、それは不公平だとか、改革が必要だとかいう中で、負担だけを一般の国民に押し付けることである。不公平だから保険料をとればいいということではない。年金をもらう側からすると、改悪され続けている年金制度。老後私たちを支えてくれる制度でなけれなばならない。

来月女性の年金検討会が報告書をまとめる。注目したい。
(2001年11月)



女性と年金のあり方 「年金分割」について
 10月17日の日経新聞に「年金分割に注目集まる」という記事がでている。
熟年世代の妻が悩む「年金縛り」、その打開策が年金分割であり、最近市民グループが具体的な思案を発表したりしているという内容である。

 女性と年金のあり方の研究がすすめれれている。
 女性と年金のあり方についてはいろいろな問題があるが、その問題の中のひとつに、離婚した場合、専業主婦であった妻が年金において不利になるという問題がある。
現在の制度ではずっと専業主婦であった場合、老後の年金は老齢基礎年金のみ。満額で約80万円。それに比べて厚生年金に加入した夫ははるかに多い。ふたりあわせての年金なら老後の生活はしていけるが、自分の年金だけになってしまった場合、とても生活していけない。 だから、離婚をちゅうちょするということになる。

その解決策として注目を集めているのが年金分割である。

ここでは、年金分割という考え方が現在の問題を解決するのか、また新たな問題が発生しないのか、考えてみたい。

 あくまでも、年金の受給権は個人に発生するものである。年金制度の根底を替えないと年金分割と言う考え方は成り立たない。また、民法とか他の制度では、離婚したら自動的に財産をふたつにわけるというしくみにはなっていない。他の制度がそうなっていないなかで、年金制度だけ分割するというしくみはなじむのだろうか。まず、離婚時における財産分割を法的に定めるほうが先だと思う。

 次に、制度として成り立ったとしても、機能するのか。

すでに年金を受けとっている夫婦が離婚する場合なら、その年金の一部を妻に分割するということもできるだろう。しかし、まだ受給権が発生していない場合は、そもそも年金の権利すらないのだから、分割するということはありえない。仮に60歳になって年金受給権が発生しても、在職中で支給停止となっていてれば、分割した年金を受け取れない。

 また、再婚した場合はどうなるのか。再婚してサラリーマンの夫と結婚した場合、それでも、元夫からの年金分割をうけるのか。元夫が再婚後死亡して、再婚した妻が遺族年金をうけているような場合は、どうなるのか。

 ちょっと考えただけでも、問題は山積みしていて、年金制度そのものを変えることになる。

 問題は年金ではなく、離婚した場合、仕事をもっていない妻があまりにも経済的に困窮するようなこの社会の在り方だとおもう。離婚の財産分与できないことが多いし、養育費の取り決めをしても支払われないことが多く、またそれに対しても罰則もない。払えないもの勝ちみたないな今の制度をなんとかするほうが先ではないか。養育費もきちんと支払わせる、財産分与もするということになれば、また、年金へのこだわりもかわってくる。

 そして、年金制度は世帯単位で考えるのではなく、個人単位にすべきだと思う。結婚していようが独身であろうが、人一人が生活していけるだけの年金を個人がもてるということが大前提ではないか。

 年金分割にはまだまだ十分は論議と研究が必要だ。今後の論議に注目したい。
(2001年11月)



加給年金のふしぎ
 夫に老齢厚生年金の受給権が発生したとき、厚生年金の加入期間が20年以上(40歳以上15年)あり、妻が年収850万円以下であると、加給年金がつく。この場合の加給年金は、「年金の妻手当」ようなものといえる。会社から配偶者手当をもらうように。

 ところがこの加入年金の金額だが、生年月日によって特別加算がつく。そして若い人ほど、加給年金は増える。

 年金制度全体をみると、若い人ほど給付が少なくなっている。年金額も減るし、支給開始年齢はだんだんおくれるし、一生のうちで受け取る年金総額は若い人ほど少ない。

 ところが、そういう年金制度のしくみのなかで、この加給年金だけが若い人ほど増えるしくみになっている。

 以前より疑問に思っていたが、先日勉強会でこのことが話題になった。なぜ若い人ほど増えるしくみを作ったのが、根拠となるものを確認できないが、おそらく、給付額がだんだん減っていくから、せめて、加給年金でおぎなっているのではないかという説もでた。

 私もそうとしか考えられないと思うが、そうだとしたら、どうも納得でなきないことである。なぜ、加給年金でおぎなうのか。

 年金制度では、「世帯」という考え方が強い。「サラリーマン夫婦2人の世帯での給付額はいくらか」ということで計算されている。しかし、すべての家庭がそのモデルにあてはまるわけもない。モデルでの給付額の減少をおぎなうために、加給年金という、いわば配偶者手当という形で保障されるのなら、モデルにあたはまらない場合はなんの意味もない。

 世帯という考え方をあらため、個人単位にすべきだと思う。どういう生き方を選択しようとも、せめて年金は平等であってほしい。
(2001年11月)



厚生労働省「厚生年金パート加入拡大」を検討
10月14日の日経新聞に、「厚生年金パート加入を拡大」という記事が掲載された。2004年の公的年金の改革にむけて検討するということである。

第3号被保険者問題は実は前回の年金改革で何らかの手をつけられることと思われていた。しかし、問題提起にとどまり、具体的な方針はなかった。第3号被保険者については、第3号被保険者は現在保険料を支払うことなく国民年金に加入し、働く女性などから不公平感が出されていた。

確かに専業主婦やパートで働く主婦を優遇する年金制度である。どんなに収入が少なくても、母子家庭の母親は年金保険料を支払わなくてはならず、また一千万円以上の収入がある家庭でも、夫がサラリーマンであるならば、専業主婦は国民年金の保険料を支払わなくてもよい。

どういう方法でこの矛盾を解決しようとくるのかと思ってきたが、今回の発表では、とりあえず第3号の制度を残しながら、パートの加入基準を広げようというものである。

財政がきびしい厚生年金としては少しでも保険料を取りたいところである。

しかし、パートの加入基準を引き下げることによって、現在の問題は解決しないし、新たな問題も起こる。

1点目は不公平感はなくならないこと、2点目は年収の少ない人にとって負担が大きくなること、3点目はパートを雇う企業にとっては負担が大きくなり、景気回復には貢献しないことである。確かに女性自身が自分で厚生年金に加入するのはいいことだと思う。自分の年金を確保するという言意味においては推進されるべきことだと思う。国民年金だけでは満額でもあっても老後の生活支えるには不足する。第3号被保険者は付加保険料も支払えないし、国民年金基金にも加入できない。ようするに、公的な上乗せ制度を利用できないということである。自分自身が厚生年金に加入し、将来の年金額を増やすことには意味がある。

しかし、今回提案された内容では、負担増となる。結局弱いものに負担を押し付けることになりはしないか。年金制度は弱者を守る為の制度であってほしいと思う。
(2001年11月)