ALL or NOTHING
〜宴会編〜








相葉  「ねーねー、酒ってこんなもんでいいかな?」



両手に下げているビニール袋を揺らしながら相葉が首をかしげた。





10月17日。
今日は新曲“ピカ☆ンチ”の発売日だ。
今回の新曲は嵐初の主演映画の主題歌になっていて、
嵐にとって特別な曲となっている。
その特別な曲の発売を記念して、大野宅で宴会を開くことになったのだ。
PRなどに大急ぎだったにもかかわらず、
夜の十時を回って、奇跡的に全員が大野宅に集合した。
そして、じゃんけんで負けた相葉、がコンビニに買出しにでたのだ。


酒が少ないのでは?との
相葉の問いかけに、相葉の横を歩いていたが首を振る。



  「いいんじゃない?こんだけあれば。」



  「うん。・・・ビール1ダースと焼酎でしょ、焼酎割るジュースと
     缶チューハイ数本・・・多すぎるくらいっしょ。」



の答えに、相葉は不満そうに口をとがらす。
それを見たは、呆れ顔で相葉をにらんだ。



  「いっつもそんなこと言って、買いすぎて飲みすぎるでしょ?
     面倒みるこっちの身にもなってみてよ。」



冷たいの一言に、相葉は頬を膨らましてすねる。
はケラケラ笑いながら相葉の背中を叩いた。



  「あはは、の勝ちーっ!
     まぁまぁ、大ちゃん秘蔵の日本酒もあるらしいから、
     拗ねんなよ相葉ちゃん。」



相葉  「マジで!?日本酒あんの?」



の言葉に相葉は思わず声をあげた。
はしゃぎまわる相葉とは正反対に、は眉をピクピクと寄せる。
そして、小声でに耳打ちした。



  「ちょっとぉ、日本酒なんか出して平気なの?」



はちょっと眉をよせて考えたが、
ポンッと手を打ってニッコリ笑った。



  「大丈夫大丈夫!明日の仕事は全員夜に
ラジオの収録があるだけらしいから。」



  「や、そーじゃなくてね。」



えらくポジティブに言い放つに、慌ててがつめよる。
そして、相葉をゆびさして声のトーンを落とした。



  「悪酔いしたアイツらの面倒、だーれがみるのかな?」



は座った目でニッコリ笑う。
そのあまりにも怖い笑顔に、
は引きつり笑いをしながら、と自分を交互にゆびさした。
そうなのだ。嵐は比較的下戸が多い。
と、言うか、酔っ払うと性質が悪いのだ。
以前、七人で一度だけのみに行った事があるのだが、
その時もと幸子が散々世話をした。



  「でしょー?いっつもあたしととニノで最後片付けとかやるんじゃん。」



不満げにツマミの入った袋を振りまわす
がなだめる。



  「まぁまぁ、多めにみようよ。
     みんなノドの調子とか、次の日の顔のむくみとか気にして、
いつも思い切りのめないんだし。
お祝いなんだから今日くらいは…ね。」



になだめられ、は諦めたようにため息をもらした。
そして、跳ねるような足取りで前を歩く相葉をみて、
諦めたように微笑をうかべる。



  「まーね。
     しょうがないないなぁ・・・。面倒みてやるかぁ。」



も笑って頷き、二人は相葉の下へ走り寄った。






そのころ大野邸では、残っていたメンバー
翔、大野、二宮、松本の四人による会場のセッティングが行われていた。
いつもは部屋の真中に置いてあるテーブルが廊下にどかされ、
フローリングの床にコップが人数分並べられている。


買出し係りの三人が部屋に戻ると、
現場監督(?)の松本の指示がとぶ。



松本  「おかえり。ビールは冷蔵庫いれて、
     他の酒は真中にあつめるのね。
     で、つまみは大皿にあけちゃって。」



さすが段取りを決めるのには手際の良い松本。
テキパキとした指示に、
相葉は慌ててのもっていたビニール袋を一手に引き受ける。



相葉  「俺持ってくよ。」



  「え?大丈夫?結構重いよ?」



相葉  「大丈夫、持てるって。」



そう言って、ビニール袋を四つを持ち上げた相葉は
ヨロヨロと歩き出した。
そして、お約束どおり一度転びそうになりながらも
台所に消えていった。


居間ではセッティングを終えた翔と二宮が二人がけのソファーに陣取り
テレビをみている。
その横でと松本は、
相葉の置いていったビール以外の酒を袋からだす。



  「あれ?大ちゃんは?」



部屋の主が居間にいないことに気づき、は松本にたずねた。
すると松本は、目だけをキッチンにむけて



松本  「キッチンで氷だしてる。」



と、答えた。
はキッチンの手伝いをしようと、居間を離れる。
そして、声をかけながらキッチンをのぞいた。



  「おーい、何か手伝おうか?」



すると、氷のはいった容器を持った大野が、
つまみを用意している相葉を指差す。



大野  「もうすぐ準備終わるから、つまみとか運んで。」



は頷いて、相葉からつまみの入った皿を受け取った。






用意もおわり、がビールを各自のコップに注ぎわける。
皆が思い思いの席について、コップを手にもち、
楽しそうに笑い合う。




二宮  「乾杯の挨拶ってだれがやんの?」 



二宮が皆を見回して尋ねた。
皆顔を見合す。



松本  「どうする?」



櫻井  「やっぱリーダーじゃないの?」



翔の言葉に、皆の視線が大野にあつまる。
大野は照れくさそうに肩をすくめた。



大野  「え゛!?
む、無理。
・・・別に誰でもいいじゃん。」



  「えー?じゃ、誰がやんのさ?」



逃げる大野に、隣に座っていたがつめよる。
これではいつまでたっても埒があかないと、
相葉が場を仕切った。



相葉  「じゃあ、翔君。決まり!!」



相葉が翔を指差すと、翔と相葉の間に座っていた二宮が
早く宴会を始めたいとばかりに強引に話をすすめる。



二宮  「はい、じゃあ翔君!みんな拍手!」




二宮の言葉に、みんなが拍手をした。
その拍手に促され、ちょっと照れながら翔が立ち上がる。



櫻井  「んじゃぁ、櫻井翔!
僭越ながら乾杯の音頭をとらせていただきます!」



そう言って、翔がわざとらしく大げさにお辞儀をすると、
相葉が指笛をピュ〜と高らかにならす。
それにあわせて皆がはやし立てる。



二宮  「いよっ!待ってました!」



& 「「翔君かっこいい〜♪」」




大野と松本もバチバチと大きく拍手をしながら、
口々に歓声をあげた。
それに気をよくした翔は、某昼番組のサングラスの司会者のように
拍手をおさめる。



櫻井  「え〜、本日はお日柄も良く、無事“PIKA☆NCHI”が発売されました!」



櫻井の言葉に、皆がまた歓声をあげた。
その声をかき分けるように翔は続ける。



櫻井  「え〜それでですね、今日はそれを記念してみんなで飲みたいと思います。
     こうして見回してみると、ぶっちゃけ過半数がまだ未成年ですけど、
     本日は無礼講ということで、病院と警察のお世話にならないように
     楽しく飲みましょう!」



“未成年”という言葉に何人かが舌をだす。
・・・まぁ、未成年という事を気にするなんて、
今更何言ってる!という感じだが。

皆はコップを高くかかげて、翔の言葉をまった。



櫻井  「それじゃ、かんぱ〜い!」



翔の掛け声と同時に、七つのコップを鳴らし合わせる。
一通りコップを鳴らすと、皆は一口目を飲み始めた。

翔と相葉はコップをあおり、中身を全てのみ干す。
それを見たは嫌な予感に眉をしかめた。



  「また始まったよ・・・。」



の嫌な予感は的中した。
コップを空にした翔は、皆を見回して口を開く。



櫻井  「あれ?相葉ちゃん意外、みんな空じゃなくねぇ?」



翔の言葉に、相葉以外全員が「ヤバッ!」と目をそらした。
皆のコップを指差しながら、翔が不満げにため息を漏らす。



櫻井  「“カンパイ”ってさぁ、どういう字書くか知ってる?
     杯を乾かすって書いて、“乾杯”だよ?」



“それって、つまり一気飲みしろってか?”
皆は意味を分かりつつも、わざと知らん振りを決め込む。
馬鹿が一人紛れ込んでいるとも知らずに・・・。



相葉  「あ!そっか、杯を乾かすで、乾杯・・・
     なるほどね!翔君頭良い!」



世紀の新発見をしたとばかりに相葉は手を叩いた。
それを横目で睨みながら、二宮はボソッと呟く。



二宮  「余計なことを・・・この馬鹿。」



相葉は新しい言葉を知ったことにウキウキしながら、
皆のコップを指差した。



相葉  「みんな!乾杯したんだから、杯を乾かさないと!
     早く飲んで!!」



相葉の馬鹿さ加減に脱力してしまい、
抵抗する気力も無くなってしまった他のメンツは
嫌々ながらもビールを飲み干す。







  「でたよ、ツインタワーめ・・・」



ビールを飲み干して、が呟いた。
やっとの思いでコップを空にしたが、
渋い顔でを見上げる。
相葉と翔の間から、逃げるように、
二宮も二人の話の輪に加わった。


& 「「?何?ツインタワーって??」」
二宮



は、
肩を組んでゲラゲラ笑い合う
翔と相葉を指差した。



  「勝手に二人でガンガン飲んで自爆するでしょ?
     だから“ツインタワー自爆テロ。”
     しかも周りも巻き込んで被害大きくするし・・・。」



の言葉に、はさっきの相葉のように
手を打ち合わせる。



  「あはは・・・、上手いねソレ!
     確かにあの二人、悪酔いの2トップだからね。
     ツインタワーだね。」



の感心する顔を細目で見つめながら
二宮は苦笑いを浮かべて、体育座りをした。



二宮  「洒落になってねー・・・。」



、二宮は顔を見合わせると、
無言で頷く。
そして空になったコップに新たにビールを注ぐと、
静かに“乾杯”した。