福岡発大阪行きの夜行バスから、朝6時前に西宮北インターで下りたのは私ひとり。そこからタクシーに乗って特急の止まる駅まで行く予定が、どれだけ駅方向に歩いてもタクシーが全く通ってくれず。 某牛丼屋の新メニューで腹ごしらえしながら、結局なし崩し的に1時間半の早朝ウォーキングをするはめに…。 その間、自転車2、3台に抜かれただけで、歩行者とは全くすれちがいませんでしたから、タクシーが通りかからないのも無理ないですな。
見通しの甘さがもとで、最初からつまずいた私ですが、特急でも自由席が途中まで満杯で、1時間ぐらいドアの前にしゃがんでました。それで更にくたびれつつ、10時49分にJR城崎駅に到着。
本当はこれより1時間以上早く着いて、映画の前にひとっ風呂あびてやろうかと思ってましたが、贅沢は言わず、タクシー代と指定席代が浮いただけでもよしとすることにしました。 駅前の無料休憩所にも、今回のイベントポスターが貼ってありました(↑表題の写真)。日頃の運動不足がたたった疲れで下がっていたテンションも、少しずつ上がってくる感じです。
会場には徒歩で11時半ぐらいに着きましたが、開演30分前だというのに、地元の方を中心に、かなりの席が埋まっている状態。とにかく、この熱気を少しでも冷ますべく、ジュースを買いに入り口近くの自販機へと向かいましたが、そこにも10人ぐらい並んでいます。自販機のジュースを買うために行列に並ぶのは、生まれて初めての経験かも。
会場受付の横では、TシャツやサントラCD、カレンダーなど、映画関連グッズの販売もされていました。私はパンフのみ購入。
開演時間前に、予告編とメイキングが上映されました。 メイキングでは、今井監督直伝の「肉練」と呼ばれる筋トレの様子も紹介されていて、興味深い内容です。 ランニングと腕立てをしてる新山ちゃんも、ちゃんと記録されておりました。 ただ、自分が腕立て伏せして苦しんでる横でカメラ向けられてる…というのは、いくら仕事とはいえどうなんだろう。(笑) 私ならちょっとイヤ。
正午。客席は見事に最上段まで人の山。こりゃ1000人近く入ってるんじゃないでしょうか。 まずは、城崎町長からのごあいさつ。これからの観光地は、映像文化の発展へも積極的に協力していく方向で取り組まなければならない、と頼もしいコメント。一方で、映画に出演できたのは嬉しいことだが、セリフが無い役だったので、私の美声を披露できなかったのが残念…と一言ぼやきが入りました。
つづいて、ひときわ大きな拍手の中、今井雅之監督が登場。「今日が一般の皆さんへ本邦初公開の日です。 恥ずかしいですね。自分のヌードを見られる感じでドキドキしています。」と、いきなりかましてくださいました。
「こんなにたくさん来ていただいてホッとしています。1ヶ月前までは、チケットが全然売れていなくて、どうなることかと思いました。結局、1,500円にダンピング(※正規の前売りは2,500円)されたらしいという話もチラホラ聞きましたが。(会場、複雑な笑い)」
そのツッコミに、司会者の地元局アナウンサーも「わたしは聞いてませんが…」と言葉を濁す一幕も。
次に、映画のBGMとして4曲提供して下さったという、ミュージシャンの多胡邦夫さんによるステージ。 サラリーマンの名刺に書かれてそうな、一見堅そうな名前の多胡さんです。しかし、こんな客前に七三分けのサラリーマンが出てくるわけがなく、見た目はまさに今風のミュージシャンで、少しホッとしました。
今井さんに負けず劣らず熱い魂を秘めている感じの多胡さん。なんと、エブリリトルシングや、浜崎あゆみなどへの楽曲提供もしたという、泣く子も黙る実績のある方なのです。 ナマ歌を披露してくださった曲の中では、個人的には「赤い雨」が一番好きですね。 実は、今年6月に、この「赤い雨」で多胡さんはメジャーデビューされるのだとのこと。 この曲がヒットしたら嬉しいですよ。
ここで10分の休憩が入った後、いよいよ出演者によるトークイベント…とはいかず、司会者がグッズの紹介をし始めました。その最中にも、裏のスタッフが「もっと詳しく説明しろ」風の指示を出してたようで、けっこう長い間引っぱってくださいます。
「おいコラ、まだか?」と思いかけていた、ちょうどその頃に、突然トークイベント開始です。 まずは今井監督の再登場。
司会 : 「つづいて、新山千春さん!」
今井 : 「千春は最後!」
新山ちゃんは、たった今到着して準備できてなかったらしく、渋谷亜希さん、岡安泰樹さん、AKIRAさん、梅宮哲さんの後、満を持しての登場。 客席最前列の今井監督ファンらしき女性達に手を振り返します。
今井 : 「…オイシイとこ持ってくなぁ。」
この日、朝5時半起きで、この会場まで駆けつけたという新山ちゃんの生しゃべりによると、映画の中のハスキー声は、本当にノドをつぶしたんであって、吹き替えではないということでした。そして、今井さんに「悟郎(←役名)になれ。悟郎になれ」と言われながらしごかれた「肉練」のおかげで、かなり筋肉がついて、マネージャーさんに「これなら『筋肉番付』にも出れるか」とも言われたとか。
今井 : 「こいつ、ニンニク注射まで打ってきて、これがまたクサいんだ。(笑)」
共演者の渋谷さんも、「肉練」の辛さを強調しておられました。
新山ちゃんの監督に対する印象は… 下ネタ好き。この発言に若干あわてる今井さん。 でも、おかげで現場はとても明るかったとのフォローも忘れませんでした。フォローになってたかどうかわかりませんけど。
岡安さんは、10年ぐらい昔、青春18キップでの失恋旅行で、なんとなくこの城崎にたどり着いたとき、地元の方に宿を紹介されたり、まかない料理をいただいたりで非常に親切にされ、いい思い出になってるとおっしゃってました。 そして10年後、城崎を舞台にした今回の映画。すごい縁ですね。
一通りのコメントの後、グッズの抽選会が行われました。 当選者の半券を当選したグッズの横に置いたり、さりげなくこまごま働く今井監督。 その間にも、新山ちゃんは渋谷さんと談笑したり、最前列の今井ファンが盛んにアピールするパンダ人形を見て「カワイイ!」と言って気を遣ったりしてました。
岡安さんからは、友情出演されたという映画「あずみ」のスタッフジャンパーが出品されました。 上戸彩さんとお揃いだということを、しきりに強調されてましたね。 ちなみに、「あずみ」での活躍はというと、出演していた唯一のシーンがカットされていたそうで、「友情も何もあったもんじゃない!」というのが可笑しかったです。
新山ちゃんからのプレゼントグッズは、サイン入りSUPPINパンフと、サイン入りTシャツでした。
今井 : 「早くから並んでくれてる、前の人には全然当たらんねぇ。」
今井さんからは、「THE WINDS OF GOD」(原作:今井雅之)の原作本のプレゼント。「SUPPINぶるうす」の原作本は、新山ちゃんがもらってしまって、しかも絶版になってるため、手元には1冊も無いんだとのこと。 それと、SUPPINの舞台時代のTシャツなど3点セット。
今井 : 「これもらっても… ファンしか喜ばんと思うけど。」
そして、監督は当選した観客にひとこと。
今井 : 「一番前にいる連中になら、高く売れます。(笑)」
こうして、トークイベント終了。 なんだか最後は心なしかバタバタしていたようにも見えました。ひょっとして、今井ファンの追っ手から逃れるためでしょうか…? だとしたら、大変ですね、監督。
私はこんな偉そうに新山千春のファンサイトを立ち上げてますが、新山ちゃんをナマで見たのは、この日が初めてでした。 でも、言葉の通り「見た」というのが実感ですね。 いちおう前のほうの席ではあったんですが、やはり距離がある上、ステージとの段差もあるし、相手は立っててこっちは座ってるわけですから。 新山ちゃんと同じ空間にいたのは事実なんでしょうが、「ぬぉぉぉ、感激ばい! 今日まで生きてて良かった!!」という感じではなく、テレビのバラエティ番組を観てる延長のように普通に見ちゃってました。 せめて観客からの質問コーナーでもあったら、少しは違ったのかもしれませんが。
でも、背が高くて、スタイルも良くて、その辺にはまずいない、半端じゃないベッピンさんだということは分かりました。
正直に告白すると、感激したのは、新山ちゃんを初めて見たことよりも、むしろ、この後に上映された映画本編に対してです。
かねてから今井監督は、この「SUPPINぶるうす ザ・ムービー」について、低予算の上に撮影期間も2週間と短かったとおっしゃっていました。その条件で果たしてどれほどの出来になるのか、期待半分・心配半分の構えで臨んだんですが、まさか初監督で、これほどまで素晴らしい作品に仕上がっているとは思いませんでした。私がコメディ好きであるという個人的な好みを差し引いても素晴らしいです。 まさに「金が無いなら知恵を出せ」の典型ですね。
何よりもまず、脚本がいい。 たしかに、ちょっと説明がクドいかな?というセリフがちらほらあったり、映画の演出にしては舞台っぽいクセを残しすぎなんじゃないかと、素人目にも見えます。今井さんのギャグセンスも、私にはどうも合わないなという印象を受けます。しかし、そういう細かな違和感も軽くフッ飛ばすほど、なにより底に流れるテーマがしっかりしている映画です。
私だけでなく、「自分の気持ちにバカ正直すぎて、現実の壁にボコボコぶつかりっぱなしの人」は、同じように心にビンビン響くものがあるんじゃないかと思います。そんな真っ直ぐなテーマで貫かれているだけに、物語全体にただよう強烈な色気も、むしろ、ほどよいスパイスになっているように感じられました。出演者のファンの人だけでなく、他人に普通に勧められる映画ですね。こういう作品が単館上映としてマイナーに押しやられるのは、やっぱりおかしいし、もったいない。 9月にビデオとDVDが出るそうですが、今すぐ欲しいくらいです。
新山千春演じるニューハーフの「お瑞」も良かったです。 ガンアクションがあるというので、ドラマ「リミット」の泉水と重ね合わせながら観てみようと思ってましたが、この映画のウリは、ガンアクションだけではありません。 岡安さん演じる文ちゃんと二人きりで夜中に語り合う、しっとりとしたシーン。 そして、運命に振り回される自分を痛々しいまでに責め立てて追い込んでいくシーン。
…女優・新山千春は、ついに「リミット」の泉水ちゃんを超える役に出会えたのかもしれません。 ということは、彼女の8年間のキャリアの中でも、最高峰のパフォーマンスを魅せてくれているのが、この「お瑞」役だ、と評価しても過言ではないと思います。
こういう、ハイテンションな物語の中では、新山ちゃんの演技は本当に光りますよね。 理屈抜きに、ノーガードで自分の感情を役にぶつけられるのは、陳腐な言葉を使わせてもらえば、彼女の「才能」なんでしょう。私は、とにかく楽しませてもらうだけです。
ただ、今度は逆に、普通のセリフが中心の、一般社会人の役で、「お瑞越え」を果たしてほしいな、と思っています。
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