正 義 の 法 律 用 語 辞 典
| は し が き 法とは、国家による強制力をともなった社会規範を意味します。「社会的生物」であるホモ・サピエンスが、統治権を君主から民衆へと移すために、想像を絶する人的物的犠牲を経て獲得した成果であり、また、食うに困らず、他人から不当に脅かされない程度の平穏な生活基盤を確保しつつ、さらには円滑で誠実な経済的取引を実現しようとして、延々と蓄積させてきたインフラです。まさしく、霊長類ヒト目ヒト科ヒトが「人間」たりうるための、英知の結晶なのであります。 しかし、しょせん法は、私たちの知らないところで誰かが勝手に作ったもの。裁判を執り行う司法権は、司法試験で満点を取らずに合格してしまった不完全な人たちも一緒に混じって運営されているもの。そんな欠陥だらけで、どこの馬の骨ともわからん連中で寄ってたかってデッチ上げたシステムは、本当に手ばなしに信用できる代物でありうるのか。 ……時には、それぐらいの引いた目線が必要です。そういった法や裁判をめぐる現状に振り回されているままでは、直視しなければならないものが霞んで見えなくなってしまいますから。 今日もまた、不完全な連中が、不完全な法律に基づいて、不完全な私たちを不完全に裁いています。法には、いい子ぶりっこして「正義」や「理想」を説教くさく語り通す表の顔があるかと思えば、他方では、格好が付かないので必死で隠し通そうとしている裏の顔も持ち合わせています。また、こちらが視点を変えることによって、法の横顔や後ろ姿を観察することだってできるのです。上から狙って見たら、ちょっと隅っこがハゲてるかもしれません。しかし、それが法の偽らざる姿。この真実を白日の下に晒さずして、どの口が「正義」を叫ぶか。 だから、せめて法律用語を収録する書物には、その時代の司法の現状を忠実に映し出す鏡でありつづけてほしいし、法の手が届きにくいところで「正義」とやらを貫く存在とならんことを希望しているのです。 わかりにくい司法の仕組みを、露骨なほどわかりやすく。権力の動向を監視するのが法ならば、そんな法の動向を監視する役割は、どうか法律用語辞典が担ってくれますように。私は、そんな願いを込めながら、毎晩お星様にお祈りしているのに。 「正義の法律用語辞典」編者 長嶺超輝 |
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い-ごん【遺言】(名)[民]
(1)一定の方式に従って、その者の死後の法律関係を定める最終意思の表示。遺言者の真意を確保し、同時に後の変造や偽造を防止するため、民法上には7つの方式が厳格に定められている。
(2)死亡危急時にある者が遺言をする場合は、証人3人以上が立ち会い、その1人が口述を筆記する(967条)。また、船舶等の遭難時には、証人2人に向けて口頭で遺言できる(979条)。
(3)公認ダイイングメッセージ。
い-じょう【以上】(名)[司試]
(1)論文の答案で、最後に書く結びの言葉。
(2)「これ以上は勘弁してください」の略。
いとう-まこと【伊藤真】(固名)
(1)2度目の受験で、1981年(昭和56年)司法試験最終合格。かつてはLEC東京リーガルマインドで十数年間、司法試験受験の予備校講師を務め、絶大なる人気を誇ってきた。憲法の講義には特に定評がある。論証をカード形式にまとめた「論証パターン(論点ブロック)」の発案者としても有名。その後、弁護士登録を抹消し、受験指導に専念。1995年(平成7年)5月3日、「合格後を考える」の理念の下、伊藤真の司法試験塾を開校し、現在、同塾塾長。
(2)身長は186cmという長身だが、映っているテレビの大きさによって伸縮自在。代ゼミの教室にある大画面だと、推定身長4mほどになる。これは、絶滅した幻の怪鳥モアとほぼ同じ体長。
(3)ビデオでしか対面したことのない在宅生は、彼の下半身を見たことがない。
(4)伊藤真について語る者は、必ず「私は別に、伊藤真の信者ってわけではないですが……」という前置きが入る。
(5)その講義があまりに熱い語り口で行われ、解説にどうしても時間を食ってしまうため、各マスター講義の最終回は、超音速のスピードで進行する帳尻あわせになってしまう(頭でっかちの原則)。論文答練の解説講義でも、第1問の解説に全体の4分の3ぐらいの時間が費やされることは、塾生らにとっての暗黙の了解。
(6)つまり、塾長による「論文マスター民事訴訟法」を受けた塾生は、複雑訴訟の知識だけが、かなり怪しいということ。
い-ほう【違法】(名・形動)
(1)ある行為や状態が、法に反しているということ。
(2)法が間違ってるということ。
いん-めん-ちょうしょ【員面調書】(名)[刑訴]
(1)司法警察職員面前調書の略。被疑者が警察官に対して述べたことなどを録取した供述調書。
(2)原則として、裁判所は公判廷で述べられたこと以外の供述等は証拠にできない(伝聞法則・刑事訴訟法第320条第1項)が、一定の条件の下で、「伝聞例外」として、員面調書に書かれている内容は信用して証拠として採用できる(同第321条第1項第3号、同条第3項)。
(3)→【けんめんちょうしょ】
うたがわし-き-は-ばっせ-ず【疑わしきは罰せず】(句)[憲・刑訴]
(1)刑事訴訟法上、犯罪事実の存否について検察官が挙証責任を負い、犯罪の立証につき合理的な疑いを超える程度の確信を裁判官に抱かせない限り、処罰できないとする原則。疑わしきは被告人の利益に。 →【むざいのすいてい】
(2)仮に、真犯人を多少取り逃がしたとしても、誰一人としてぬれぎぬを着させないことを最優先させていこうとする趣旨。
(3)一方で、検察側の立証方針や、自分たちの事実認定能力を疑わない裁判官たちが、疑いを寄せている原則。
えん-ざい【冤罪】(名)[刑訴]
(1)無実の者が罪に問われること。ぬれぎぬ。
(2)犯罪捜査や刑事裁判に携わる人々が、決め付けやヒューマン・エラーを少しずつ出し合って、そこに被疑者から絞り出した自白も混ぜ込みながら醸成させていく、現代司法制度の結晶。
(3)大量生産での歩留まりから漏れて、どうしても出来てしまう多少の不良品。
おと-め【乙女】(名)
(1)年の若い娘。少女。
(2)思わず「おつじょ」と読んでしまったあなたは、司法試験受験生。
おやこ-かんけい【親子関係】(名) →【しんしかんけい】
おれおれ-さぎ【オレオレ詐欺】(名)[刑]
(1)電話帳でお年寄りっぽい名前を探し、その家へ片っ端から電話をかけ、「オレだよ、オレ」と、そのお年寄りの孫を装うことで、「交通事故を起こしてしまったために払わなきゃいけなくなった示談金を立て替えてほしい」などの名目で、その装った孫の代理人と称して金銭を受け取る詐欺事件の通称。
(2)孤独な余生を送る老人と、見知らぬ若者とが、世代の垣根を超えて交流を持つことのできる場。また、事件の一報を聞いて「ばあちゃん、オレオレ。オレの声忘れちゃったの?」と、本当の孫が珍しく電話をかけてきてくれる、貴重なふれあいの機会でもあった。
(3)しかし、2004年(平成16年)半ば頃から、あらかじめターゲットの個人情報を仕入れた上で、中途半端な理論武装と、警官や弁護士役などを演じ分ける演技力で騙す「第2世代オレオレ詐欺」が台頭してきたせいで、つまらない普通の犯罪に成り下がった。
→【ふりこめさぎ】
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がいかん-ゆうち-ざい【外患誘致罪】(名)[刑]
(1)外国と通謀して、日本国に対して軍事力を行使するように仕向ける犯罪(刑法第81条)。法定刑は死刑のみ。
(2)そんな凄まじいコネを持てたんだったら、死んだって悔いは無いじゃん。
がいこく-じん【外国人】(名)[憲]
(1)日本国籍を持たない者。憲法による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民を対象としているものを除き、日本に在留する外国人にも及ぶとする、いわゆるマクリーン事件最高裁判決がある。
(2)黒ぶちメガネをかけず、髪を七三分けにせず、首からカメラを下げていない人。
かいしゃ-ほう【会社法】(名)[商]
(1)商法典の一部(第2編・第52条から第500条まで)と商法特例法、有限会社法の総称。営利を目的とした社団法人である会社をめぐる利害関係を規律する。
(2)毎年のように情け容赦なく、ちょこちょことマイナーチェンジを繰り返す。どこかのパソコンや携帯電話と、いい勝負。
(3)新しもの好きに有利な科目。一方、なかなか基本書や六法を買い換えたがらないケチやシブチンは、たちまち流行に乗り遅れる。
(4)なお、2005(平成17)年に、フルモデルチェンジ。有限会社法も廃止。どんなにシブチンな私でも、さすがに資料を買い換える。
かこ-もん【過去問】(名)[司試・書士・公務試等]
(1)入学試験や資格試験などにおいて、過去に出題された試験問題のこと。当該試験での出題傾向を知る上で有益な資料。法律系資格試験においては、「条文」「判例」と並んで、三種の神器と呼ばれるほど重要視されるもの。
(2)受験生らが、回した回数を競い合って遊ぶもの。ただし、多く回した方が勝ちだという単純なルールではないところがミソ。多く回せば、それだけ目が回ってしまうことも多い。
(3)こないだ解いたはずなのに、全く記憶に残っておらず、また新たな気持ちで最初から取り組むことができるもの。
(4)この現象を、既視感(デジャヴ)に対して「未視感(ジャメヴ)」と呼ぶ。
(5)しかし、単に集中力が無いだけの話だったりする。
(6)かといって、あまり相手のことを知りすぎると、マンネリ化して気持ちが冷めてしまうため、つき合い方が非常に難しいデリケートなもの。
か-し【瑕疵】(名)[民]
(1)なんらかの欠点や欠陥があること。
(2)相手方の詐欺・強迫(民法第96条)に基づく意思表示を指して「瑕疵ある意思表示」という表現が用いられる他、瑕疵ある占有(同第187条第2項)や、瑕疵担保責任(同第570条)など、条文内での使用例も多数。
(3)このような、読むことすらままならない身元不明の漢語を好んで使いたがる、格調高き法曹界の体質をあらわす言葉。
かしつ-そうさい【過失相殺】(名)[民]
(1)債務不履行や不法行為による損害賠償において、債権者や被害者の側にも過失があるときに、これを斟酌して損害賠償責任を免除、またはその金額を減額すること(民法第418条、第722条)。
(2)「どっちもどっち」という直感的な判断を、10段階程度に分類することによって、もっともらしく定量化すること。
きそ-べんぎ-しゅぎ【起訴便宜主義】(名)[刑訴]
(1)公訴の提起について、一定の場合に検察官の裁量にゆだね、被疑者の性格や年齢および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の情況にかんがみ、訴追を必要としないと検察官が判断した場合には、起訴猶予または起訴しないことを認める制度(刑事訴訟法第248条)。
(2)いったん起訴された事件の有罪率
(3)膨大な事件数を抱えている裁判官の手をわずらわせないよう、前もって検察官が有罪と無罪とに振り分けておくこと。
き-ひ【忌避】(名・動サ変)[民訴・刑訴]
(1)裁判官が不公平な裁判をするおそれがあるときに、当事者の申立てにより、裁判によって当該裁判官を職務執行から排除すること。民事訴訟法第24条、刑事訴訟法第21条。
(2)したがって、当事者の一方に検察官がいる公判や、被告が国である行政訴訟において、裁判官には常に忌避原因がある。
きほん-てき-じんけん【基本的人権】(名)[憲]
(1)人間が人間である以上、生まれながらに当然に持っているとされる基盤。国家対個人の関係や、地方公共団体対個人の関係を規律する局面において顕在化する。自由権・参政権・社会権などといった種類がある。
(2)「これは残酷だ」という出来事や社会問題について、西洋人が注目して食いついてくれるように味付けするための調味料。
(3)侵害されたと唱えることによって、一瞬で「被害者」の外観を装える呪文。
(4)文章のところどころに混ぜておくだけで、あたかも正しいことを言っているように見せかけられるオイシイ言葉。形而上学的な、炊き込みごはんの具みたいなもの。
(5)大げさだっていいじゃないか、にんげんだもの。
きゅう-さい【救済】(名・動サ変)
(1)困っている人を救い、助けること。
(2)司法に携わる選良たちが、人生で追いつめられている庶民に、施しの手を差しのべること。司法救済。人権救済。
(3)司法に携わる選良たちは、庶民に善を施せば、その仕事と引き替えにお金をたくさんもらえる契約を結んでいるのであって、結局はお互いに持ちつ持たれつの関係であるはずなのに、司法による施しの有り難みばかりを一方的に強調・喧伝すること。思い上がり。
ぎょうせい-そしょう【行政訴訟】(名)[行・民訴]
(1)司法裁判所が公法上の権利関係に関し、正式の訴訟手続によって行う裁判。行政事件訴訟。住人が国や地方公共団体を訴える、という形態が典型。
(2)行政事件訴訟法第2条は、訴えを提起できる類型を4種に限定しており、住人が行政に対して何らかの義務づけを迫ることや、計画の段階で早めに訴えたり、安全基準等の決定にモノ申したりすることなども許していない。そのうえ、行政訴訟を起こす資格(訴訟要件)も極めて狭く解されている。
(3)また、もともと行政側は、その職務上、さまざまな方面の膨大な情報を独占しているうえ、専門の訴訟担当者が公務として訴訟追行に集中してあたっている。鑑定や証拠収集にも、巨額の予算を投じられる。
(4)しかも、裁判所は行政の違法性を判断する際、いわゆる「裁量権緊縮の理論」を採用して、行政側の賠償責任を認めるのに慎重な姿勢をとる傾向にある。
(5)出来レースの別称。
(6)なぜ住民側が勝てないのかは諸説あるも、受験生時代に行政法を勉強していない裁判官や弁護士たちが、住民側の勝たせ方を知らないから、というのが一般的な見解。
きんろう-の-ぎむ【勤労の義務】(名)[憲]
(1)国民の三大義務のひとつ。憲法27条第1項。義務とはいっても具体的な法的強制力は無く、国は労働意欲をもたない者のために、彼らの生存を確保するための施策を講ずる必要がない、との立法上の指針を表明したものとされる。勤労の権利と表裏一体。
(2)戦前における国民の三大義務としては、納税の義務・教育を受けさせる義務と並んで「兵役の義務」が定められていた。本義務は、戦後に制定された日本国憲法のもと、その兵役の義務に取って代わったもの。
(3)つまり、戦前の徴兵制に代わるかたちで、現在の就職活動が位置づけられている。なお、「正義の法律用語辞典」は、全国の企業戦士の皆さんを応援しています。
クーリング-オフ[cooling off](名・動サ変)[消]
(1)訪問販売やキャッチ・セールス、割賦販売等において、契約の申し込みまたは締結をした購入者等が、一定の冷却期間中に限って、理由を問わず無条件で一方的に、書面で申し込みの撤回や契約の解除をおこなうことができる制度(割賦販売法第4条の4など、特定商取引に関する法律第9条など)。 クーリングオフ一覧表
(2)たとえば、契約日を含めて8日以内に受けたエステティック・サロンのサービスについて、クーリング・オフを主張すれば、その対価を支払う必要はない(特定商取引法第48条)。また、形のある商品と違って、いったん受けたサービスをサロン側に返したくても返却のしようがない。
(3)クーリング・オフで、貴女もより美しく。
けいさつ-かん【警察官】(名)[行・刑訴]
(1)警察の職権職務を行使し、警察の事務を執行する国家公務員および地方公務員の総称(警察法第34条、第55条等)。
(2)相手の任意に基づくべき処分(例:路上での職務質問・交通違反キップへの署名や指紋採取など)を、自分たちの都合で巧みに強制処分へとすり替える公務員マジシャン。
(3)路上でコスプレしながら、社会的地位の優位を利用しつつ、庶民に説教してまわってストレス解消することによって、安定収入を得る人たち。
(4)しばしば白黒塗りの特注車を乗り回し、深夜の交差点を、けたたましい騒音をかき鳴らしながら、むやみに信号を無視して通過し、円滑な道路交通を妨げることによって、安定収入を得る人たち。
けいさつ-ひれい-の-げんそく【警察比例の原則】(名)[行・刑訴]
(1)捜査など警察権の行使については、その対象となる社会公共の障害の大きさに比例しなければならず、その障害を除去するための必要性に応じた最小限度のものにとどまらなくてはならないとする原則。
(2)自転車や小銭入れを盗まれたぐらいで、いちいち被害届を書きに来んなよ。そんなに暇じゃないわけよ、こっちは。どっかに忘れてきただけなんじゃないの?といった内心を露骨に表情に出す原則。
けだし【蓋し】(副)
(1)思うに、たいてい、たぶん。(←
一般人向けの意味)
(2)なぜなら。(←
司法試験受験生向けの意味)
けっ-こん【結婚】 →【こんいん】
けっこん-もくてき-かいしゅ-ざい【結婚目的拐取罪】(名)[刑]
(1)刑法第225条。行為者または第三者との婚姻または内縁の目的で、人を略取または誘拐する犯罪。法定刑は、1年以上10年以下の懲役。
(2)このまま、君を奪い去りたい。
けんさつ-かん【検察官】(名)[憲・行・民・刑訴]
(1)刑事事件について、公訴の提起などを行い、その他公益の代表者として与えられた権限を行使することを任務とする行政官。法曹三者の一角。いかなる犯罪についても捜査をすることができる(検察庁法第6条第1項)。
(2)しばしば警察官と混同されるほど、名称も職権も捜査対象の取り扱いも、体育会系のノリの引きずり方までもよく似ている。似た者同士だけに互いの仲は良くない。「検察官と都道府県公安委員会及び司法警察職員とは、捜査に関し、互いに協力しなければならない」と、刑事訴訟法第192条から注意を受けているほどに、仲は良くない。
(3)でも、裁判官とは意気投合。
(4)密室で被疑者を怒鳴りつけながら、いったん、なだめすかしたかと思えば、また立場の格差を利用しつつ恫喝を繰り返してストレス解消することによって、安定収入を得る人たち。
げん-そく【原則】(名)
(1)普遍的で一般的な場合に適用される法規範。原則規定。
(2)とくに刑事訴訟法においては、例外規定を指してそう呼ぶ。 →【れいがい】
(3)→【いんめんちょうしょ・けんめんちょうしょ・こうりゅう(1)・せっけんこうつう・だいようかんごく・でんぶんしょうこ・ほしゃく・みがらこうそく・れいじょう】
けんぽう-だいきゅうじょう【憲法第九条】(名)[憲]
(1)「平和主義」を謳っている憲法の規定は世界中に散見されるも、日本国憲法の本条は、戦争の永久放棄と戦力の不保持にまで踏み込んでいる点において、世界で唯一の類の条文。1項と2項で構成され、両者の文言の関係性が問題。
(2)いかようにも解釈できる、懐かしのノストラダムスの大予言のようなもの。
(3)いかようにも解釈できるのは、憲法改正するために定められた厳格な手続(第96条)を踏まなくても、なし崩し的に好きなように「解釈改憲」できるよう、巧みに本条を組み立てた、GHQの優しさがにじみ出たもの。
(4)いかようにも解釈できることから、この条文の改正に反対すればするほど、かえって、その解釈の便利さが時の政府にとって都合よく維持されることになる。
(5)いかようにも解釈できるせいで、これを素材にした短答の問題が、ややこしい形で作りやすくなっている。
けんぽう-はんだん-かいひ-ルール【憲法判断回避ルール[rule]】(名)[憲]
(1)訴訟当事者が法令の憲法違反の問題を提起した場合、裁判所は必ずそれを審理して結論を出さなければならないわけではなく、憲法問題に直接触れなくても妥当な結論が導ける場合は、憲法判断を避けるべきとする原則。 →【しほうしょうきょくしゅぎ】
(2)憲法判断専門の裁判所が設置されておらず、具体的に提起された訴訟の中でのみ違憲立法審査権(憲法第81条)を行使する(付随的違憲審査制)という、我が国の司法制度上の性格があらわれたもの。
(3)なにぶん、最高裁判事がご高齢であることに鑑み、国政を揺るがす判断に伴うストレスやプレッシャーを軽減させるため、という健康上の理由、ないし長寿を願う素朴な気持ちの表れだという説もある。
(4)「いいかげん白黒つけてほしい」と期待されている憲法判断からも、このルールを駆使して背を向けつづける最高裁判所は、警備の都合上、自分も憲法に触れることができないという意味で「憲法の番人」と呼ばれている。
けん-めん-ちょうしょ【検面調書】(名)[刑訴]
(1)検察官面前調書の略。被疑者が検察官に対して述べたことなどを録取した供述調書。
(2)原則として、裁判所は公判廷で述べられたこと以外の供述等は証拠にできない(伝聞法則・刑事訴訟法第320条第1項)が、一定の条件の下で、「伝聞例外」として、検面調書に書かれている内容は信用して証拠として採用できる(同第321条第1項第2号、同条第3項)。
(3)検察官が仕事中に気まぐれに書いてみた、リアルな描写を誇る即席モデル小説(犯罪サスペンスもの)を、その主人公のモデルとなった被疑者へ自慢げに披露して、記念にサインと指印をさせたもの。 →【けんさつかん】
こ-い【故意】(名・形動)[民・刑]
(1)罪となる事実を認識し、かつ、その実現を意図または認容すること(刑法第38条1項)。 →【みひつのこい】
(2)自己の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえて行為すること(民法第709条)。
(3)しかし、恋の始まりは、いつも知らないうちに起きるものだ。
ごうかく-しゃ-せんゆう-りつ【合格者占有率】(名)[司試・書士・公務試等]
(1)その年度の最終合格者数全体に占める、資格試験予備校が輩出に成功したと称する最終合格者の割合。「○○試験最終合格者の92%が●●出身!」などの形式で表現される。
(2)とりあえず模試を1回受けてみた合格者、直前の予想問題講座を受けただけの合格者、書籍購入のみの合格者… どのレベルまでを含めて、「自校出身の合格者」として定義するのかは、各予備校の裁量に任されている。
(3)したがって、各予備校が発表する合格者占有率を足し算すると、300%に迫ったりするもの。 →【よびこう】
ごうかく-しゅくが-かい【合格祝賀会】(名)[司試・書士・公務試等]
(1)最終合格者たちの前途を祝し、これからの輝かしい将来に向けて英気を養ってもらうために資格試験予備校が主催するパーティ。予備校によっては、客船でクルージングするなど豪華。
(2)特に司法試験合格者にとっては、その後の司法修習を要領よくこなしていくための「人脈」を構築する目的で集まる、一斉メルアド交換会。
ごうかく-たいけん-き【合格体験記】(名)[司試・書士・公務試等]
(1)最終合格者が受験生時代を振り返り、当時の勉強方法や、本試験中の状況、お世話になった人々への感謝の言葉などを綴ってくださっている有り難い文章。
(2)「今思えば、ああしておけば良かった」という付け足しや、「私が合格までに経た道のりは、まさに波瀾万丈だった」という妄想も含めて語られる。そんな壮大なフィクションである点で、「居酒屋オヤジの武勇伝」と同義。
(3)最終合格を果たした受験生は、たしかに慢性的な不安からは解放されるが、予備校から提供された合格システムやパターン思考からは解放されず、引きつづき合格者たちの心に染みつく。そんな方々が、そこはかとなく書きつけて予備校からお小遣いをもらうための定型文。
ごうけん-げんてい-かいしゃく【合憲限定解釈】(名)[憲]
(1)憲法判断回避方法の一種。憲法判断そのものは回避しないが、ある法令の文言についてAの解釈(たいていは文字通りの解釈)をとると違憲であるが、Bの解釈をとると合憲である場合には、Bの解釈を採用することによって法令自体に憲法違反は無いとしつつ、Aの解釈の下で行われた国家行為についての法令違反の問題として対処する手法。
(2)簡単に言えば、裁判所が「法令解釈」という名目で、忙しい国会の代わりに立法してあげること。
こうしょく-せんきょ-ほう【公職選挙法】(名)
(1)公選の選挙制度を確立し、その選挙が選挙人によって自由に表明された意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする法律(第1条)。
(2)選挙人や選挙運動者を買収したり利益誘導したりする行為については、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する(第221条第1項)。その買収等を候補者自身が行った場合は、4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金(同第3項第1号)。多数人を買収等した場合は、5年以下の懲役もしくは禁錮に処する(第222条)。
(3)国会議員や、地方自治体の首長・議会議員の選挙について適用される法律。
(4)日本弁護士連合会の会長選挙には適用されない法律。
こうじゅつしき-しけん【口述式試験】(名)[司試]
(1)論文試験合格後に課される、司法試験の最終関門。口述試験。 →【しほうしけん・たんとうしきしけん・ろんぶんしきしけん】
(2)日本全国の論文合格者が、法務省浦安総合センターに一堂に集結し、法律問題について司法試験委員から5日間にわたり根ほり葉ほり訊かれる。試験順のクジ運が悪いと、緊張感に包まれたまま、センターで丸1日待機させられることになる。
(3)法曹資格を人質にした、体のいい軟禁。
こうむ-いん【公務員】(名)[憲・行・刑]
(1)国または地方公共団体の公務を担当する者。憲法第15条第2項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定する。刑法上においては、賄賂罪の主体。
(2)他人様から集めた金を、民間企業の後追い計画、あるいは思いつき、行き当たりばったりの判断に基づいて乱用し、その残額を仲間うちで分配することによって、安定収入を得る人たち。 →【そぜい】
(3)難しい知能テストに合格できた人ほど、たくさんの仕事をもらえるため、おうちに帰るヒマがなくなる。なので、そのぶんだけ、お家賃や家電製品などの特別割引を受けられる人たち。
こうむ-しっこう-ぼうがい-ざい【公務執行妨害罪】(名)[刑]
(1)公務を執行中の公務員に向けて、暴行または脅迫を加える犯罪(刑法第95条)。法定刑は3年以下の懲役または禁錮。
(2)いつもお仕事が大変な公務員の方々に、いったん一休みしていただきたいという優しさの表れ。
こう-りゅう(1)【勾留】(名・動サ変)[刑訴]
(1)刑事手続上、被疑者の逮捕の後に行われる身柄拘束の一種(刑事訴訟法第60条、第207条)。未決勾留。 →【みがらこうそく】
(2)検察官による勾留は原則10日間で、やむを得ない事由がある場合にのみ、さらに10日を限度とする延長が認められる(同第208条)が、常に「やむを得ない」らしい。
(3)被疑者または被告人が、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、かつ、住所不定であることか、罪証隠滅のおそれ、または逃亡のおそれのいずれかがある場合にのみ認められる。
(4)へぇ〜、そんな条件なんて付いてたんだ。
こう-りゅう(2)【拘留】(名・動サ変)[刑]
(1)刑罰の一種。刑法第9条、第16条。1日以上30日未満の期間、拘留場に拘禁しておく自由刑のこと。
(2)刑法上は、拘留刑は罰金刑より軽いものとして取り扱われている。(刑法第10条1項本文・第9条)
(3)しかし、1万円の罰金よりも、1ヶ月もの間、狭い場所に閉じこめられてる方が断然イヤです。
こくさい-きょうちょう-しゅぎ【国際協調主義】(名)[憲]
(1)憲法前文第3段。自国の主権を維持しながらも、他国と対等の関係を築いていこうとする建て前。とくにわが国では、戦前の独善的な国家主義的傾向を否定する意味合いも込められる。第98条第2項が規定する国際法遵守義務もそのあらわれ。
(2)自国よりも強い国に付き従い、自国より弱い国の労働力を安く買いたたくこと。
(3)異国の役者やアーティストに熱狂すること。
こくさい-べんごし【国際弁護士】 → 【しょうがいべんごし】
こくせん-べんごにん【国選弁護人】(名)[憲・刑訴]
(1)刑事被告人のために国が選任する弁護人(憲法第37条第3項)。
(2)その日当や報酬は国が立て替えるが、1件につき数万円程度。公判が長引けば、1回ごとに数千円ずつ上積みされる。
(3)法曹資格を持った派遣アルバイト。
こくみん-しゅけん【国民主権】(名)[憲]
(1)憲法前文第1段、第1条。国家の意思を最終的に決定する最高の力としての主権が、国民に存するという原理。
(2)自国の政治のしょうもなさを見せつけられるたびに、主権者である自分の不甲斐なさも忘れないようにするための原理。
こくみん-しんさ【国民審査】(名)[憲]
(1)最高裁判所裁判官国民審査の略。いやおう無しに盛り上がりを見せる衆議院議員総選挙の投票日のどさくさに紛れて、ついでに有権者に配られる“忘れられた一票”(憲法第79条第2項)。
(2)最高裁判所の裁判官は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際、国民の審査に付され、その後10年経過した後に行われる総選挙ごとに、さらに審査に付される。世界的にも珍しいとされている司法権への直接の民主的統制(らしさを演出する)システム。
(3)最高裁判事は満70歳で定年を迎えることになっている(裁判所法第50条)。そこから各自が受ける審査の回数が最小限(1回)で済むよう逆算したのか、1964年以降、すべての最高裁判事は、60歳以上の者から任命されている。
(4)投票者の多数が裁判官の罷免を可とするとき、その裁判官は辞めさせられる(憲法第79条第3項)が、過去19回行われた国民審査で、そんなドジを踏んだ最高裁判事は皆無。
(5)その実施のためには、莫大なる国費や人員を要するが、そのわりにあまりにも実効性に乏しい制度。最高裁判所の高度な司法判断について、ゼロ以下の理解能力しか持たない愚民どもに任せておくのは資源の無駄づかいだとして、廃止論も有力である。
(6)ここまで言われっぱなしで悔しくないんですか、皆さん。
こっかい-ぎいん【国会議員】(名)[憲]
(1)衆議院議員と参議院議員。憲法第42・43条。選挙された全国民の代表で、各議員の構成員としてその活動に参加する。
(2)両議院の議員が自由・独立にその職責を果たせるよう、国会会期中の不逮捕特権(憲法第50条)、議院内での演説・討論等についての免責特権(憲法第51条)、歳費の保障(憲法第49条)といった、議員特権が認められている。
(3)他にも、選挙制度や公職選挙法の内容、選挙区の区割りを、自分たちの都合のいいように決定できる特権(保身特権)、
(4)賄賂や政治資金の規制、議員年金やJRの無料乗車券などについて、自分たちの都合のいいように決定できる特権(くれるもんなら、もらっとけ特権)、
(5)テレビ中継されてる会議中に、公衆の面前で議席をベッド代わりにすることが許される特権(そのまま永久に起きるな特権)、
(6)証人喚問に、ちまたで話題の悪いヤツを呼んで、検察官気取りで責任追及することができる特権(正義ぶりっこ特権)、
(7)証人喚問に、呼ぶ必要のないゲストを呼ぶ特権(徹子の部屋特権)などを持ち、その権限は一層強化されている。
こっか-ばいしょう【国家賠償】(名)[民・憲・行]
(1)国または地方公共団体が、違法に国民の権利を侵害した場合の賠償責任。憲法第17条に基づいて、国家賠償法で規定されている。
(2)地方公務員の不法行為によって、都道府県や市町村が賠償義務を負う場合にも「国家賠償法」が適用される。妙な感じもするが、国家たるもの、そんな細かいことは気にしない。
(3)国民が国または地方公共団体に納めた税金について、一部が特別に還付される制度。
こん-いん【婚姻】(名・動サ変)[民]
(1)憲法第24条、民法第731条〜第771条。男女間に夫婦関係が生じる法律行為。実質的要件として、男女間の婚姻意思の合致、民法第731〜737条の要件を満たしていることが必要で、形式的要件として、戸籍法に基づく届出が必要。
(2)将来の財産分与(民法768条)や、相続(民法第882条、第890条)で、相手方から金品を獲得するための予約契約。
(3)身をもって離婚という修羅場を体験してみたい人が行う事前申し込み。 →【りこん】
こん-がい-し【婚外子】 →【ひちゃくしゅつし】
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集英社・国語辞典