正 義 の 法 律 用 語 辞 典
監 修 : 長 嶺 超 輝
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マス-メディア[mass media](名)[憲]
(1)大量情報伝達媒体。新聞・テレビ・ラジオ・雑誌など。マスコミ。
(2)主権者である国民の知る権利を充足するものであり、事実上、国家権力の動向に牽制をかける役割を担う。そこで、立法・行政・司法にならぶ「第4の権力作用」などとも呼ばれる。 →【しゅざいテープ】
(3)たかだか3,4人の「街の声」を、まるで世論を代表する声であるかのように増幅し、どのようなアンケートの採り方をすれば、自分たちにとって都合の良くない要素をアンケート結果から排除できるかについて、調査・研究する機関。
(4)集めてきた映像を切り貼りしたり、思いつきで出てきた文字を駆使することによって、新たなる真実を創造するクリエイティブ集団。
(5)弱きをくじき、強きに従う。
(6)「……とする見方もある」「……という声も出てきている」などの客観的な言い回しを用いることで、結局は自分たちの立場を表現する。
(7)夏場の炎天下、全国の高校生を球場に呼びつけて試合をさせる大会を主催し、正月には、大学生にランニング一枚で冬山をリレーで登り下りさせる大会を主催する、ちょっぴりサディスティックな企業。
まわ-す【回す】(他動)[司試・書士・公務員等]
(1)基本書やテキストを読み通すこと。あるいは、過去問などの問題集を最初から最後まで解くこと。主な用例として「オレ、もう刑法3回まわしたぜ」など。
(2)過去問を回している最中の受験生は、日常生活に気が回らない。
みがら-こうそく【身柄拘束】(名・動サ変)[刑訴]
(1)捜査機関や裁判所などが、ある者を一定区画内に確保することで、その行動の自由を制約ないし停止させること。逮捕や勾留など。
(2)逮捕や勾留後、被疑者を留置する必要がないと思料したときは、ただちに身柄を釈放しなければならない(刑事訴訟法第203条第1項、第205条第1項)。
(3)被疑者や被告人を取り調べることを目的にして行う身柄拘束は、逮捕や勾留の要件を満たさず、捜査として違法である。
(4)でもねぇ、今さらそんなこと言われても困っちゃいますよねぇ、刑事さん。
みひつ-の-こい【未必の故意】(句)[刑]
(1)不確定的故意のひとつで、刑法上は通常の故意犯と同様に取り扱われる。
(2)「犯罪結果が実現してしまうかもしれない」という不確実な事実を認識しておきながら、「そうなってもかまわない」と事実を認容すること。
(2)一方で、「相手の家庭を壊してしまうかもしれないが、それでもかまわない」という感情は、「ヒミツの恋」と呼んで区別する。
みんじ-ふかいにゅう-の-げんそく【民事不介入の原則】(句)[行]
(1)警察職員は、私法上の法律関係にかかわる事柄に立ち入らないという原則。
(2)したがって、交通事故の示談金について、警察官は少なくとも、事故が起きたその日に具体的な話にまで踏み込むことは無い。このことさえ気に留めていれば、オレオレ詐欺パターン全体の約6割(2004年統計)の被害は、なんとか未然に防ぐことができるのではないか。
むき-ちょうえき【無期懲役】(名)[刑・刑訴]
(1)刑期の定めが無い懲役刑。
(2)仮出獄が叶うときまでの有期懲役。
むざい-の-すいてい【無罪の推定】(句)[刑訴]
(1)有罪の判決が言い渡されるまでは、被疑者や被告人を有罪として扱ってはならないとする建て前。有罪とするための挙証責任を検察官に負わせるだけでなく、被疑者や被告人への強制処分を慎重に行わせる趣旨まで含むとされるため、いわゆる「疑わしきは罰せず」よりも意味は広い。
(2)たしかに有罪だと決めつけてはいけないが、かといって無罪だと言い切れるわけでもない、という訴追側のホンネ。場合によっては、裁定する側のホンネ。
メモ[memorandum](名・動サ変)
(1)忘れないように書き留めること。また、その用紙。覚え書き。備忘録。
(2)自国では、傍聴人がメモを取る自由について憲法で保障されているというのに、日本の法廷の傍聴席で阻止させられたことに驚いたアメリカの弁護士が最高裁まで争った結果、当時の長官に「特段の事情のない限り、傍聴人の自由に任せるべきである」と言わせたもの(レペタ訴訟判決)。
(3)1989年(平成元年)、わが国の法廷に伝来した異国の文明。
もくひ-けん【黙秘権】(名)[憲・刑訴]
(1)憲法第38条第1項、刑事訴訟法第311条第1項。自分に不利益な供述を強要されない権利。刑事手続における被疑者・被告人は、刑事手続のどの段階においても、自分の意志に反して事実に関する供述をする義務はなく、終始全面的に沈黙することもその権利として認められている(包括的黙秘権)
(2)警察官による取調べの最中に行使すると、さらに厳しく感情的にエスカレートした取調べに切り替えてもらえる権利。
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やくそく-じはく【約束自白】(名)[刑訴]
(1)検察官が被疑者に対して、利益供与の約束をし、それと引き換えに被疑者に自白させること。最高裁判例では、自白の任意性に疑問があるとして、証拠能力を欠くものとする。
(2)浮気相手と今夜会う約束について匂わせるようなことを、恋人や配偶者の前で、ポロッと言ってしまうこと。その効果は、とてもここには書けない。
やまねこ-スト【山猫スト[strike]】(名)[労]
(1)組合員の一部が、労働組合の承認を得ないで、または労働組合の意思と無関係に行うストライキ。正当な争議行為とはいえないと解するのが通説である。
(2)ニャー。エサ寄こせニャー。
ゆい-ごん【遺言】 →【いごん】
ゆうきゅう-きゅうか【有給休暇】 → 【ねんじゆうきゅうきゅうか】
ゆう-けん【郵券】(名)[民訴・刑訴]
(1)郵便切手のこと。
(2)訴訟の手続きを行おうとする人に向けて、ただの切手代を「ユウケンダイ」と言い換えて告げることにより、その庶民の戸惑う姿を裁判所職員たちが楽しむための別名。
ゆうどう-じんもん【誘導尋問】(名)[刑訴]
(1)尋問者の望む供述を暗示するような尋問。反対尋問では許されるが、供述が暗示に迎合して行われるのを防ぐため、主尋問・再主尋問では原則として禁止されている(刑事訴訟規則199条の3、199条の4)。
(2)しかし、徹子の部屋の主は、多用する。
ようぎ-しゃ【容疑者】(名)
(1)犯罪を犯した疑いがあるために、捜査機関による捜査の対象とされているが、まだ起訴されていない者。起訴後は被告人と呼ばれる。
(2)捜査機関においては、まだ犯人であるとの確信を抱くには至っていない者についていわれるのが通例である。
(3)マスメディアにおいては、犯人と同義の用語として使われ、公判に先だって、決めつけで裁いていくのが通例である。 →【マスメディア】
よだん-はいじょ-の-げんそく【予断排除の原則】(名)[刑訴]
(1)裁判官が公判に先だって、起訴事件について先入観や偏見などに基づく一定の心証を抱くことのないよう、白紙の状態にさせておく原則。憲法第37条第1項の要請する「公平な裁判所」の実現を志向するもの。
(2)具体的には、起訴状以外の余計な書類を添付したり引用したりすることの禁止(起訴状一本主義・刑事訴訟法第256条第6項)や、第1回公判期日前の裁判所に対する証拠調べ請求の禁止(刑事訴訟規則第188条但書)など多数。
(3)予断排除の原則というものの存在を、裁判官が意識していることそれ自体が、予断を生んでいる。
よび-こう【予備校】(名)[司試等]
(1)試験について網羅的・組織的に研究し、その成果を有償で提供することによって、合格したい受験生を後押しする株式会社。司法試験対策では、伊藤塾・辰已法律研究所・LEC東京リーガルマインド・早稲田セミナー(五十音順)の4大勢力の他、親身な直接指導を売りにする中小勢力も。
(2)本試験会場に受験生を装った工作員を送り込み、問題文を巧妙に小型カメラで撮影させたり、独自の闇ルートで極秘書類を入手したとウワサされる、確信犯的スパイ組織。短答式試験の問題は、1998年(平成10年)まで当局によって一切非公開とされていたはずなのに、短答が開始された1961年(昭和36年)以来、すべての問題が堂々と一般販売されているのは、そのため。
(3)法科大学院をつくろうとする大学法人にとっては、新司法試験への対策の面で提携しようとすれば、文部科学省から「大学院の運営において主体性に疑問が残る」「試験対策に偏重している」とみなされ、設立を認可されなくなってしまう原因となる企業。決して触れてはいけない恐怖。
(4)法科大学院と新司法試験の実現によって、それらに関わる者たちが混乱させられている中、対策すべきテストが増えた(法科大学院入試や適性試験)おかげで、誰よりも得をした一群。
よん-ばん【4番】(名・数)[司試]
(1)五者択一の短答式試験において、正解肢である確率が最も高いとされている番号。残し問や捨て問には、とりあえず4番をマークしておくのが定石。司法試験受験生に共通のラッキーナンバーだといえる。
(2)私はかつて、この方法で1点から3点ほどを丸儲けしたものだった。しかし結果は…… お父さんお母さん、ごめんなさい。
(3)「3番説」も有力。
(4)それにしても、なぜ野球のバッターだけ、4番を「よばん」と呼ぶのだろうか。誰か教えてください。
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り-こん【離婚】(名・動サ変)[民]
(1)夫婦がその生存中に婚姻を解消する身分行為。民法上は、協議による離婚(第763条以下)と裁判による離婚(第770条以下)とがある。前者は役所への届出をもって成立するが、裁判所に離婚の訴えをするには、まず家事調停の申立てをしておかなければならない(調停前置主義・家事審判法第18条)。
(2)役所の戸籍簿に大きく描かれた×の数が、その者がかいくぐってきた人生経験の深みを示す指標となり、しばしば社会的ステイタスとしても扱われている。
れい-がい【例外】(名)
(1)一般的な例から外れる場合において、はじめて適用される法規範。
(2)とくに刑事訴訟法においては、原則をそう呼ぶ。→【げんそく】
(3)→【いんめんちょうしょ・けんめんちょうしょ・こうりゅう(1)・せっけんこうつう・だいようかんごく・でんぶんしょうこ・ほしゃく・みがらこうそく・れいじょう】
れい-じょう【令状】(名)[憲・刑訴]
(1)捜査機関が被疑者の逮捕・勾留、証拠物件の捜索・差押えなどの強制処分を行う場合に、基本的人権の不当な侵害がないかを事前に審査したうえで裁判官または裁判所が発する強制処分許可状。逮捕状、勾留状、捜索許可状など。
(2)裁判官または裁判所の作成した令状がなければ、捜査機関は強制処分を行うことができない(令状主義・憲法第33,35条)。
(3)たとえば、逮捕状は、裁判官が、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときに、検察官や警部以上の警察官などの請求によって発する(刑事訴訟法第199条第2項)。
(4)実際は、請求さえすれば書いてくれる診断書。
れんたい-ほしょう【連帯保証】(名・動サ変)[民]
(1)民法第458条など。保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証契約。通常の保証と異なって補充性を欠き、催告・検索の抗弁権(民法第453・454条)が無く、分別の利益(民法第456条)も認められない(判例・通説)。
(2)壮絶で悲惨な人生を歩みたい人々のために設けられた近道。
ろうどう-ほう【労働法】(名)[労]
(1)狭義では、労働基準法や労働組合法、労働関係調整法、最低賃金法などといった労働関係・労使関係の法規を指す。広義では、資本主義経済を前提とした労働問題に関する法規全体を指し、雇用対策法や職業安定法なども含む。
(2)名前を眺めているだけで疲れてきそうな法律群。
ろっぽう【六法】(名)[司試等]
(1)現行成文法中の代表的な6種の法令。憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法。
(2)転じて、六法をはじめとする基本法や各種の特別法規、行政法規、税法、産業法規などを収録した法文集。六法全書。
(3)法改正が行われたのが、ごく一部の条文のみだったとしても、毎年まるごと買い直さざるをえない。顧客満足と地球環境を無視した商品。
ろんぶん-しき-しけん【論文式試験】(名)[司試]
(1)司法試験法第6条第2項。毎年7月20日前後に2日間にわたって行われる論述形式の試験。論文試験、論述試験とも呼ぶ。短答式試験に合格した者のみ受験資格を持つ。 →【しほうしけん・たんとうしきしけん・こうじゅつしきしけん】
(2)試験科目として、いわゆる六法(憲法・民法・商法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法)から、各2問ずつ出題され、試験時間は1科目につき2時間が与えられる。
(3)合格答案の条件として「一文が短く明快」「項目立てがしっかりしている」「2ページ半程度でまとまっている」「流れがある」などが云われているが、実をいうと、それは司法試験委員の陰謀でしかない。
(4)受験生側は、短答試験でさんざん「事務処理能力」とやらを試されているわけだから、論文試験ではむしろ4ページギリギリまで埋めた、項目立ても段落もロクにないような答案を書いて、採点する側である試験委員の事務処理能力を逆に試すべきである。
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わい-せつ【猥褻】(名・形動)[刑]
(1)いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること。そのような行為を暴行または脅迫を用いて行う強制わいせつ罪(刑法第176条)や、各都道府県が青少年保護育成条例で規定する「淫行の罪」など、犯罪の一要件として位置づけられる。
(2)嫌がる女性や、いたいけな少女に、あんなことこんなことしやがって。うまいことやりやがって、という裁判官や検察官のジェラシー感情に根ざし、厳罰に処せられる。
わい-ろ【賄賂】(名)[刑]
(1)公務員や仲裁人に向けて与えられた、その職務に関する不法な報酬としての利益。
(2)税務署を経由せずに行われる、私的かつ個別的な納税。直接税の一種。
わ-かい【和解】(名・動サ変)[民・民訴]
(1)当事者が互いに譲歩して、その間に存在する争いをやめることを約すること。大きく、裁判外の和解(民法第695条)と、裁判上の和解(民事訴訟法第264,265条、第275条)とに分かれる。
(2)前者は、事件当事者が自主的に締結する契約であり、示談の一種。
(3)後者は、面倒な判決文を書かずにサクッと済ませて事件処理件数を稼ぎたい裁判官たちが、当事者に執拗に勧誘する紛争解決手段。
わら-にんぎょう【藁人形】(名)[民・刑]
(1)稲などの茎を干したものを束ねて作られた人形。
(2)背信的悪意者排除論における絶対的構成の論証で登場する人形。この場合のわら人形は善意である。
(3)不能犯の説明で登場する人形。この場合のわら人形は、深夜3時頃、長さ約15cm(5寸)ほどのJIS規格外と思われる釘で、胴体を無理矢理木の幹に打ち付けられる。
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集英社・国語辞典