つれづれなる読書日記 2011年

12月14日(2010)〜1月1日〜1月14日読了(2011)

『#9(ナンバーナイン)』 原田マハ著(宝島社文庫)

 もともと美術系に才能のあった深沢真紅は美大への進学を諦めざるを得なかった。
 芸術に関連のある仕事に就いたものの、売り上げを伸ばすことだけが評価される美術品のセールスに現実を思い知らされていた。
そんな真紅は雪の降るクリスマスに謎めいた紳士と出会う。
 外国語なまりのあるその男性は真紅の欲しかった指輪の入った箱をプレゼントする。
 真紅は現実離れした成り行きに長いことその箱の存在を意識から遠ざけていた。
その箱の中には彼女が喉から手が出そうなほど欲しかった指輪が入っているはずだったが、入っていたのは紳士の名前と電話番号を記した紙切れだった。

 この紳士との出会いで真紅の人生は大きく変わる。
舞台を上海に移して、真紅はこの紳士、王剣に次第に魅かれていく。

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しかし、幸せを予感させた上海での生活が当初の予想とはかけ離れたものになっていくに及んで、真紅は癒しの対象を別の男性に見つける。

1月5日〜1月15日

ラットマン』道尾秀介著(光文社文庫)

 高校時代に結成して以来14年目になるアマチュアロックバンドでギターを演奏している姫川亮は、或る日、スタジオで奇妙な殺人事件に遭遇する。
 事件の捜査が進む中で、亮の暗い過去が浮き彫りにされていく。
 そしてドラム担当の桂との関係も何やら妙な方向に向かう。
 次々と明かされていく亮の過去。そして意外な結末。

1月15日〜2月5日
目線』 天野節子著(玄冬舎文庫)

 建設会社社長の堂島新之助が誕生日にベランダから身を投げて自殺した。
 現場の状況から他殺の可能性がないことで警察も事件性はないと判断した。
 しかし田園調布署の刑事津由木は釈然としなかった。自殺として処理された以上警察は捜査をしない。歯がゆい思いでいた津由木ら田園調布署に堂島邸で新たな死亡者が発見されたという連絡が入った。

2月6日〜18日

春を嫌いになった理由』 誉田哲也著(光文社文庫)

 大学を出た後フリーターをしている秋川瑞希は、その語学力を買われて、TVプロデューサーの叔母から、霊能力者・エステラの通訳兼世話係を頼まれる。
 気の進まない仕事だったが、単発だし、そんなに大したことのない仕事だろうと高をくくっていた。しかしロケ現場に行くと、エステラはいきなり廃ビルに遺体があると言い出した。そして実際に遺体が発見された。
 このビルの界隈で幽霊を目撃したという人物が多数存在していた。幽霊はその遺体と関係があるのだろうか?
 番組の狙いは霊能力者による未解決事件の解明と幽霊の正体の解明だった。
 もとより瑞希は霊能力者などというものを信じたくなかった。それは瑞希が幼い時に起きた友人の失踪が原因だった。それで瑞希は局側のヤラセではないかと疑う。
 ところが番組制作の進行につれて、次第に謎が明らかになっていく。
 最後の最後まで展開が読めないホラー・ミステリー。

2月19日〜3月26日

テロリストの夏』 佐伯泰英著(光文社文庫)

 フリーノカメラマン時峯隆治はひょんなことから19歳の日本人女性を連れてカリフォルニア半島を取材する仕事に出発した。しかし条件の良すぎる仕事のオファーにはとんでもない裏があった。
 フォークランド紛争当時大量虐殺した人物たちが隆治たちの一行に紛れていたのだ。やつらの目的は一体何なのだろうか?テロか?

3月27日〜6月2日

骸の爪』 道尾秀介著(幻冬社文庫)

 ホラー作家の道尾は仏像の工房・瑞祥房を取材のために訪ねる。その夜彼は、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像を見てしまう。
 翌日には仏師が一人姿を消していた。
 道尾は霊現象探求家の真備、彼の助手・凛の3人で瑞祥房を再訪する。
 この工房で誰もが口を閉ざしている20年前の事件が次第に明らかになっていく。
 最後には意外な結末。

6月3日〜6月8日

『被爆のマリア』 田口ランディ著(文春文庫)

 結婚式を控えた38歳の私に父は、キャンドルサービスに「原爆の火」を使うように言った。
 戦後60年以上が経っても、原爆の影が薄らぐことはない。
被爆者ではなく、戦争も知らない者の視点から、今なお日本人の心にくすぶり続ける闇を語り、「広島」が頭の中だけの世界ではなく実在の広島だと実感することに辿り着く。読み応え有り。