秘技・小技


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秘技・ネジ外し

クラシックカメラの修理をしていて、しばしば遭遇する困難に、ネジが外せないことがあります。外せたとしてもネジ頭を舐めてしまったり周辺を傷つけたりする失敗はどなたにもあろうかと思います。かく言う私もネジ外しは大の苦手です。

ネジに合ったドライバーを使うのは当然として、その使い方にはちょっとしたコツがあります。
”秘技・ネジ外し”、つまり、ネジを外す力全体の70%を圧しつける方向に、残りの力を回転させる方向に配分することなのです。これは秘技ゆえ他言無用でおねが、、えっ!!誰でも知っているって、 あっ、そう。
(そして外すときの呼吸、その他テクニックがありますが、これは文章には表し難いので口伝)
ネジに合ったドライバーは当然といいましたが、クラシックカメラには溝の細い(−)ネジが割と多いので、予めドライバーの先をヤスリで薄く加工しておきましょう。

不幸にしてネジ部を残したまま頭部が千切れて取れてしまったり、溝がドライバーを受付けない状態になってしまったらどうしましょう。このような時は、ピンバイスで 埋まっているネジを削り取ってしまいます。運がよければ、ちょっと削ったところで、(−)ドライバーを刺し込んで廻すと外れる場合があります。この時も秘技を忘れないように。また、逆ネジだった場合はピンバイスを廻している途中でネジが抜け 出てくることもあります。このとき、なんか嬉しくなってしまいます。

ネジには(−)や(+)ネジの他、フィルター枠やレンズ鏡胴部そしてボディ等にもいろいろなネジがあるかと思いますが、それらは又の機会にしたいと思います。


 


フォーカシングスクリーンの向き

一眼レフの初期はマット面が下向き(フレネル面が上向き)でしたが、ペンタプリズムまでの高さを抑えるため、次第にマット面が上向きになっていったとさ。
(PENTAX APはコンデンサーレンズの下面がマット面になっておりフレネル面も上向き)


 

ペンEESのシャッター開放の方法

オリンパスペンEE、EESのシャッターにはバルブ(B)がありません。そのため分解後にピント面の結像を確認しようとするとき戸惑います。でも、次の方法で開放状態にできます。
トップカバーを外すと、メーターの横にシャッターチャージ用ギアとその逆転防止爪があります。つまり、逆転防止爪を退避させ、シャッターチャージ用ギアを逆転(左回転)させるとシャッターは開きます。これで目出度くピントを確認することができるようになりました。

 


Cdsにセロファン紙

水銀電池仕様のカメラにアルカリ電池などを使用したとき、 メーターが振れすぎたり、EE機では露出レベルがアンダー側に振れてしまうことがあります。それでも感度調整が可変抵抗やその他の手段でできる場合はそれで調整できます。しかし、それらがなく受光部分の面積をASA感度ダイアルで変更する形式の場合、そして感度刻みが粗い場合、Cdsの受光部分にセロファン紙やフィルムを被せることによって調整することができます。セロファン紙は無彩色がいいですが、透明なものにマジックインキ等で濃度を調整しながら、簡易NDフィルターを作ってもいいと思います。

 


オリンパスペンF(FT)のプリズム再生?


ペンFの修理でしばしば見られるのがプリズムとポロミラーの腐食劣化です。
機械部分の修理は何とかなっても、素材そのものの劣化などは困ってしまいます。
ミラーの方は新品汎用の前面反射ミラーが手に入ることがあったり、別種ジャンクカメラから部品取りして加工・作製するができます。
しかし、プリズムの方は?..腐食部分の銀蒸着を取り去って銀テープ(セメダイン製ラピー)を貼るという方法が何かの本に紹介されていました。私も試してみましたが結構難しい。広い面積の中にはどうしても粘着剤のムラ部分があったり、粘着層のせいでしょうか、反射像がわずかに違和感がありました。しかし、これはこれで、実用はできます。ピント合わせも問題なくできま した。この方法も面積の小さい部分になら良いかも知れません。
もっと良い方法は・・・・テープを貼らなければよいのです。腐食面全面の銀蒸着(メッキ)を取ってしまって素通しのまま。この方がずっとシャープで明るい像が得られます。しかし、素通しのままだと背後にあるものが見えてしまうので、黒紙を後ろに置きます。これでほぼ完璧です。おめでとうございました。なお、この方法は主プリズム、接眼部プリズムの両方に適用できます。メッキを剥すのが ちと面倒ですけれども。
なお、私の入手した中古品にも同様の処理がなされたプリズムが入っていました。こういう面倒な作業をする人が他にもいるんだな、と妙に感心してしまいました。


 


レーザーポインターの意外な使い方

レーザーポインターは、間違った使い方をされて以来、肩身の狭い存在になってしまいました。そういえば、バタフライナイフも同じような境遇でした。何でもモノは使いよう、有用でもあり凶器にもなります。でも、それらは皆もともとは有益な用に供されるために作られたモノです。活用してあげなければなりません。
そこで、活用の方法ですが、レンズに照射するとレンズの構成枚数が観察されたり、光軸のひどいズレなどが判る場合があります。また、曇りやカビがあるのは何枚目のガラスなのかを推測することができます。一枚のレンズにレーザー光をあてると、表面には強い光点が裏面には弱い光点が認められます。


 

黒い粉

絞り羽根をちゃんと洗浄したのに、なんか作動がイマイチすっきりしない。特に、絞りを制御するEE機の場合、こういうことがよくあります。EE機ではなくても結構あります。シャッターの場合は駆動力が強いですからとりあえず動きます。EE絞りは連動系の問題もありますが、駆動力が小さいため、動きを軽くしてやらなければなりません。
そこで黒い粉です。これで極薄にコーティングしてやるとビックリするほど動きが軽やかになります。この黒い粉の正体は、、何を隠そう、モリブデンでした。あるとすごく便利なものです。ない場合はどうする? .家庭でのリペア術では身近なものを利用します。えんぴつ、鉛筆です。6B以上のやわらかい鉛筆で、結構、いけます。
 

 

油に賛成の反対なのだ

動きの悪いところには油を注す、というのが常識の一般論。でも、精密機械では必ずしもそうではありません。油を注すと動きが悪くなることがよくあります。粘ったり、抵抗が増えてしまったりします。スローガバナーやEE絞り連動部など軽妙はところは注油よりも、反対に、油と汚れ抜きを重点に行います。注油をする場合にも極薄に希釈した精密油を少量つけます。その場合、軸受けに注すのであって歯車につけてはいけません。料理の秘伝に、”アク取り3年柿8年柚子の大馬鹿18年”とあるように(ウソ)、きれいに澄んだ状態にするのが第一なのです。修理品に、絞りの動きが悪いからといって羽根に油をたっぷり注したレンズがありましたが、このようなことはくれぐれも しませんように。
 

 

そうじ、そうじ、そうじ

無精者のあなた、この言葉、嫌いでしょう。新撰組の好きなあなた、ニヤッとしたでしょう。
カメラリペアでは”そうじ”は重要な位置を占めます。位置だけではなく時間も占めます。オーバーホールにおいて、モルトプレンの除去・清掃から始まって内部各パーツの清掃だのファインダーだの外装の清掃まで、大半は”そうじ”の時間です。 掃除自体は好きではないけれども、”そうじ”の効用はモノをきれいにすることだけではありません。解からなくなった時、調整がうまくいかない時、シコシコと清掃を始めるのです。そうしていると部品や関係が見えてきて、頭の上にランプが点ることがあります。そういう時 のため、僕は、”そうじ”に 励みます。
 

 

荒業・ネジ外し

タクマー300mm/4.5などのようにねじ込み式で組み立てられた鏡胴が太めの望遠レンズを分解するとき、私のように手が小さく非力な者にとって、これをねじ伏せるのは難儀なことです。手が鏡胴を包み込めないため力が入らないし、もともとが固く締め付けられているからです。血圧の高い人はこういう作業をあまりするべきではありません(私は低血圧だから大いにやった方がよいのかも)。しかし、これとてベテラン なら秘技と力でハッと外してしまうかも知れません。悲しいかな、手の小さな私は鏡胴を十分に掴むことができないからハッとはいきません。でもここで泣き寝入りしてはいけません。ちょっと乱暴ですが、”荒業・ネジ外し”。外す部分にCRC556を注入し、ゴムなどの緩衝材を巻いて、木槌でガンガンガン。振動とショックでネジの間にわずかな隙間ができて、そう、後はハッと一気に回します。依頼者には見せられない光景です。でも 習熟すれば、本体に影響を与えずにできるもんです。


 

変形したフィルターの外し方

レンズを落としたり、ぶつけたりで、フィルター枠が変形してしまい、フィルターがレンズから外せなくなってしまうことがあります。これは困ってしまいます。 こういう場合の外 し方はあるのですが、その変形の形や度合いなどの状態によって手法や加減が一様ではありません。それぞれの状況により技の加減が変わってしまうため、文章にては説明できず、よって、口伝。

 

 

簡易なシャッター速度の点検法(バルナック型カメラ)

バルナックライカ型カメラの場合、裏蓋が開きませんので、シャッターが開いているかどうかを光を通して確認できません。店頭でカメラを買う時に、できたら、簡単な確認法があったらと思います。以下の方法は、精度はおおよそですが、簡単で結構有効な方法だと思います。試してご覧あれ。
まず、レンズと底蓋を外して、白い紙などをフィルムの位置に差し込み、最高速度(1/1000秒など)でシャッターを切ります。それを前(レンズマウント側)から見て(同時に)四隅が見えれば最高速シャッターは開いていることになります。ただし、開いている時間が長過ぎるのは駄目で、全部開いているかギリギリのところを見分けます。
さらに、最低速(1秒又は1/2秒)を時計の秒針をみて測ります。この2箇所のチェックでいいと思いますが、さらに1/25秒や1/30秒などは整備された別の機体のものと音の間隔などを比較してもいいでしょう。
これらをチェックするだけで、かなりの確率で使い物になるシャッターを手に入れることができるかも知れません。
 

だるまさんがころんだ

「だるまさんがころんだ」は1/2秒時シャッター開閉の間隔だそうです。
私は、そのほかに、1/4秒を「かあちゃん」、1/8秒を「かちん」、1/15秒を「かち」、と口の中で唱えます。大雑把ですが、低速シャッターを診るのに、結構、役に立ちます。なお、1秒は「あいうえお」です。面白いのは、シャッター秒時は「文字数」ではないんですね。「だるまさんがころんだ」は早口で、なんです。

 

 

簡易なストロボのシンクロ目視テスト

横走りフォーカルプレンシャッター機でのテストは次のように行ないます。
レンズを外し、カメラの裏蓋を開け、アパーチャーの左端を少し開けて黒紙で遮光します。
シャッター速度をにして、白壁などに向けて、ストロボをシンクロ発光させます。
このとき、後方から見て、左端にストロボ光が確認できれば左側はOKです。
同様に右端側を行なって、こちらもOKならば、シンクロはほぼ良いのではないかと思います。
 

 

半田付け

ハンダ付けする部分にコテを2〜3秒あて続け、その部分に熱が充分に伝わってから、ハンダをコテ先に付けます。ハンダが十分溶けて部品に着いたらハンダを離し、次にゆっくりとコテを離 します。(実際の場合、私はこんなことしません。狭い場所で接合部分が不安定な小さな部品の多いカメラでは手が3本必要になってしまうもの。普通に、コテ先にハンダをつけて、やってしまいます)
線状のもの同士をつける場合は、それぞれの先端にハンダ付けしておいてから、両者を合わせて、改めてハンダ付けして繋ぐと簡単にできます。

 

 

モルトプレンの貼替え方

簡単なようで馬鹿に出来ないのがモルトプレンの交換です。
モルトプレンを”貼る”ということだけが頭にあると、簡単・単純な作業だと感じてしまいます。
ところが、難物は、その前の、劣化したモルトを”除去する”ところにあるのです。事故が起きるとしたら、大半はこの工程で起きます。スクエアーシャッターの幕にベタつくモルト を付けてしまったり、スクリーンを汚したり傷つけたり、ファインダー内に滓が入ってしまったり等々、、、結局、分解しなければならない羽目になってしまうことも稀ではありません。実際、古い一眼レフカメラでは、かなりの確率で、劣化したモルト剥がしを行うとファインダー内にごみが入ります。カメラを分解しないでモルトプレンの交換だけをするのでしたら、下記のように、慎重に行います。分解掃除とセットで行うのでしたら、モルトの交換は組み立てようとする以前には終わらせておきます。

1)劣化したモルトプレンを取り除く
 竹串などでモルトを剥がしていくのですが、モルトの劣化状態は2種あります。
 べたつく場合はシャッターなどに着かないよう注意を要します。
 粉状にくずれる場合はファインダー内等に入らないよう注意します。
 ミラーボックス内部はスクリーンに着かないよう注意します。
 取り除き難いときは、シールはがしや接着剤溶剤の使用も可能です。
 粉状に散って困る場合は、少し湿らしてから取り除きます。

2)モルトプレンを必要なサイズにカットして準備しておく
 幅や長さだけでなく、厚さにも注意してください。
 ミラー受け部分は極端に厚さが違うと作動に支障をきたします。
 裏蓋蝶番部分は厚過ぎても薄過ぎても光漏れの原因になります。

3)モルトプレンを貼る
 先の細いピンセットを使って貼っていきます。
 接着剤は、合成ゴム系(G17、Gクリアー等)を使用します。
 溝内は細いノズルまたは注射器に接着剤を入れて使用します。
 接着剤は付け過ぎないように注意します。

4)はみ出た接着剤を取り除く
 接着剤を周辺に付けてしまったり、外にはみ出てしまった場合は、
 少量の水を含ませたシルボン紙などで拭き取ります。

 


接着剤の正しい使い方

一般的事項

・接着する直前に接合面の清掃、脱脂、水分除去等を行う。
・食いつきをよくするため、表面に傷を付けたりする。
・接着剤を塗って、数分待ってから接合する。(待ちが能力を左右する)
・ある程度接着するまで、圧力を加えて押さえておくと効果大。

接着剤別使い方

合成ゴム系接着剤
 金属同士やビニール以外のほとんどのものに使える万能接着剤。
  曲げにも強く、水にも強い。
 シャッター幕から貼革、アクリル板の接着まで使えるカメラ修理の必須アイテムです。
 使い方は、両面に塗った接着剤が仮乾燥した後、圧着します。

瞬間接着剤
 接合面が小さいときに使用します。また、仮留めにも使用します。
 空気中の水分と反応して硬化するので、付け過ぎるとかえって接着しにくくなります。
 液状のものは他の部分にまで滲みてしまう可能性が大きいので要注意です。
 修理品でこういうのよく見かけます。困っています。
 チューブから直接付けるのではなく、針先などにとってから付けるようにしましょう。
 ゼリー状のものとの使い分けもよく考えましょう。

エポキシ系接着剤
 水・油に強い、荷重に耐える、接着面が凸凹のときに威力を発揮します。
 二剤混合型の接着剤で、絵の具を混ぜると地の色と合わせることができます。
 片面にのみ薄く塗布し、一度相手面に付けて具合を見て離し、硬化直前に本接着します。

セメダインC
 ネジロックに使ったりします。


 

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