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カルトGSの世界へようこそ
 
 
 
 

カルトGSという音楽ジャンルがあるらしい。
と、いうか昔はたぶんカルトGSという名前なんてないはずだから、何と呼ばれていたのだろうか?B級GS?C級GS?

GSというのは言わずと知れた「グループサウンズ」の事である。
「ガソリンスタンド」の事ではない。だいたい「ガソリンスタンド」にカルトだのB級だのあったら大変な事になってしまう。

話は脱線するが太陽石油というガソリンの販売店があって、太陽石油全般に言えるのだが錆びだらけで朽ち果てそうなスタンドと妙に安い価格設定。
「水で薄めてある」とか
「入れると事故が起きる」などいろんな噂があったので、この場合は「オカルトGS(ガソリンスタンド)」と呼ぶことにしよう。

話を戻して、カルトGSの魅力について語ろう。 グループサウンズと言えば、だいたいの人は沢田研二のいた「ザ・タイガース」ショーケンのいた「テンプタース」や、堺将章・井上順・かまやつひろしのいた「ザ・スパイダース」、あるいはこないだ自殺してしまった井上大輔もいた「ブルーコメッツ」のちにゴダイゴの中心的メンバーとなるミッキー吉野や、チャーとバンドを組むルイズルイス加部がいた「ゴールデンカップス」なんていうのが名前ぐらいは聴いた事はあるかもしれない。

GSブームという物があるぐらいだから、当然無数の無名GSが数多くあるんだが(皆さんの記憶ある範疇でも、小室系ブームにしてもビーイング系ブーム、バンドブームなんて頃は良く分からないアーチストがいたでしょ?)これらをカルトGSと呼ぶらしい。
何がカルトなのかというと、いわゆるGSのヒット曲の多くは「歌謡曲そのもの」であったのに対し、カルトGSのそれは明らかにバンドサウンドであったり、歌謡曲を意識しすぎてキテレツなものが出来たりして面白いのである。

はじめてカルトGSを聴いたのは3年ぐらい前であった。
私は「東京ボルメッツ」というソフトボールチームをやっているのだが、そのチームの由来となった「東京ボルメット」という曲を作ったM氏から良くテープをダビングして貰っていた。
そのテープのA面には自作曲があり、B面はカルトGSの曲が並べられていた。
曲名を並べても仕方ないのだが(後で説明)「赤く赤くハートが」とか「赤毛のメリー」とか「さよならサハリン」とか素っ頓狂な曲が多かったから最初はあまりにも可笑しすぎてまともに相手にしなかったのだが、いつのまにか聴いているうちにハマってしまった。
その時、有線で「カルトGS特集」なる6時間番組が1ヶ月放送されたので、テープに録音して貰ったら、可笑しい曲以外にも仲々カッコイイ曲もあるではないか? そんなこんなで俺はカルトGSの曲を漁るようになってしまった。

これらカルトGSはいろんなジャンルに細分化されるのであるが、個人的に好きなものをセレクトして紹介していこうと思う。

(ガレージ系)
ガレージとは、その名の通り「ガレージの中でシンプルでラフな古典的ロックンロールナンバーを演奏する様な」音楽を指す。
だいたい騒がしくて荒々しいロックンロールと思ってもいいだろう。
荒々しいロックンロールに欠かせないアイテムとしてファズという機械がある。
エレキギターはそのままでは音は鳴らない、よってケーブルで「アンプ」に繋いでアンプのボリュームをあげ音を鳴らす。
しかしそのままではただ増幅されただけの音しか鳴らない。 そこでエフェクターと呼ばれる機械をギターとアンプの間に繋ぎ、音を変えるのであるが、GSに欠かせない物は何と言っても「ファズ」と呼ばれるエフェクターである。 こうすると音が荒々しくなるのだ。
古典的なロックンロールをカヴァーする意味ではあのビートルズだって、ガレージバンドだったと言っても過言ではない。
ザ・ダイナマイツの「トンネル天国」という軽快なガレージナンバーがある。もうイントロからファズ全開でかっこいい。数多くの無名バンドがこの曲をこぞってコピーし、今では外国のバンドも取り上げる程の人気ぶりである。

マイベストガレージ
1.電話でいいから/アウトキャスト
2.トンネル天国/ザ・ダイナマイツ
3.アフロデティ/ザ・クーガース
4.ゲルピンロック/ムスタング
5.エブリシング・オール・ライト/アウトキャスト

東京ボルメッツの試合でたまにかかる「ゲルピンロック」このゲルピンというのは大昔の若者言葉で「お金がない」事を言うらしい。 アウトキャストの「電話でいいから」はハイロウズのヒロトが歌ったらはまりそうな30年前にこんな曲が日本にあったのか?という程の騒がしいパンクナンバー。 パンク好きは必聴である。

(R&B系)
この頃は西暦2000年と同じように「R&B」という名前が付けば偉そうなそしてイケている音楽であると思われていた。 そして日本でもスタックスやモータウンと言ったR&B系のベースラインをそのまま持って来てしまった曲が溢れた。スタックス系R&Bにはじまり、ビートルズがアルバム「リボルバー」一曲目の「タックスマン」 あのポールが弾いている永遠のフレーズである。

マイベストR&B
1.シェイキンマイソウル/ボルテイジ
2.キャント・ターン・ユー・ルーズ/ブルーコメッツ
3.ワンモアキッス/スピリッツ
4.恋はふりむかない/リンガース
5.ホールド・オン/ズー・ニー・ヴー

「キャント・ターン・ユー・ルーズ」「ホールド・オン」は言わずと知れた古典的なR&Bの名曲。「ホールド・オン」は個人的に本家サム&デイヴのバージョンよりカッコイイと思う。「キャント・ターン・ユー・ルーズ」を聴くと「ブルーシャトウ」をヒットさせた同一人物が演奏しているの?というぐらいクールでかっこいい。「シェイキンマイソウル」は和製R&Bの最高傑作ではないかと思う名曲。

(サイケ系)
1.熱くなれない/ザ・モップス
2.スカイ・パイロット/バーンズ
3.グッドバイ・ベイビー/ザ・フェニックス
4.恋のサイケデリック/ザ・デビィーズ
5.ムスタング・ベイビー/ムスタング

「熱くなれない」のイントロはジェファーソン・エアプレインのパクリだが「60年代サイケ」を醸し出すいい味出している。
「熱くなれない」「スカイ・パイロット」「グッドバイ・ベイビー」共にエコー・マシーンというエフェクターを使って「ウニョンウニョン・・・」というSEを出している。これぞ「60年代サイケ」であると思う。
「恋のサイケデリック」のイントロはトワイライトゾーンのイントロをそのまんま借用、トリップしそうな「ムスタング・ベイビー」の気だるさも学べ!

(カルト系)

1.赤く赤くハートが/レインジャーズ
2.お宮さん/トーイズ
3.お前のすべてを/ザ・モップス
4.さよならサハリン/ザ・ジェノバ
5.真夏の夜の動物園/ザ・ダイナマイツ

ある意味、ごくごく普通の人はここから入るとわかりやすいかもしれない。何しろどう見てもただのコミックソングにしか聞こえないからだ。 本人たちはコミックソングのつもりで演奏しているとは思っていないが、充分コミックソングとして成立している。
特に「お前のすべてを」はモップスのボーカリストであった鈴木ヒロミツが「もうやだ!やだよ!」と哀願調に叫びまくるというだけの曲(?)、最後に「あい・・らぶ・・・ゆー」と呟くのはまさにカルト感覚満喫だ!そんな鈴木ヒロミツもコミカル俳優となって、NHKの「試してガッテン」に出てしまうとなると、全部笑いに聞こえてくるから不思議だ。
「真夏の夜の動物園」の中でメンバーが「動物の鳴き声」をマネしてるんだが、カルトGSというよりはオカルトGSである。

GSブームは66年に起きて69年の終わりに消滅してしまったのであるが、それまでの日本の音楽シーンはレコード会社お抱えの作曲家の先生に弟子入りして修行して曲をもらいやっとデビューできるというシステムでしか歌手になる手段がなかったものが、素人が曲を書いてレコードが出せるようになったきっかけを作ったのだから非常にエポックメイキングな出来事であったのだ。
シンガー・俳優として今もなお芸能活動に勤しむ人のほかに、作曲家・編曲家・プロデューサー・スタジオミュージシャンとして裏方にまわる人など、今のJ-POPシーンにGS出身者は貢献しているのだが、何故かGS出身の作詞家だけはいない。 それもそうはずである。GSナンバーの歌詞なんて、歌詞と呼ぶには恥ずかしいほど陳腐なものが多かったからね。

最後に、カルトGSを聴いてみたい!という人に参考となるCDをセレクトしてみた。 現在ULTRAVIVEというレーベルから「CULT GS BOX」がリリースされているが1万5000円もするのでおいそれとは買えない。中身は保証付のナンバーの勢揃いなんだけど・・・
比較的安価に集めたい場合は、BIGBEATというイギリスのレーベルから出ている「JAPANIES SAMPLER」というCDは安くて曲も多いのでお勧め。タワーレコードとかでも容易に入手出来る(新宿のタワレコで10枚入荷してたのはビックリ!)
あとはカルトGSシリーズのビクター編(ダイナマイツ・モップス)・クラウン編(クーガース・ジェノバ・レインジャーズ・バーンズ)あたりも上記ランキングの曲も多くお勧めだ。
さらにハマってしまった方はシンコーミュージックから「日本ロック紀GS編」というGSのコンプリートガイドと呼べる本も出ている。 この著者である黒沢進氏はGS研究家としては第一人者なので、黒沢進氏が書いているコラムなどあればガイドとして一読を勧める。

 
 


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