東京芝浦いちべつ物語(東京港区芝浦にある本社に帰任してからの体験記)
この物語は私が3年間のアメリカニュージャージー州における単身赴任を終えて東京にある本社勤務になった時から始まるんです。
2001年夏から2003年の10月まで私は人生で初めて単身赴任を経験したんです。人間何だかんだと言ってもいざ今までやったことも無いことをやるとなると腰が引けてしまうもので最初にこの話を上司からされた時はいやだと言って断ろうとしたんです。といっても初めから単身赴任ということではなかったのですが、家族が誰も、また海外しかも十年以上住んでいたところに行きたいと言わなかったのでそうなっちゃたんです。家族に誰も行かないと言われた時は少し正直言って落ち込みました。そしてこんど三年ちょっとの単身赴任が終わって、またまたある日突然上司から(今度は上司が変わっていたのですが)今度は帰任して本社勤務になるといわれたんです。人間とは勝手ってなものだと自分でも思うのですが、こういわれると単身赴任と本社から離れた自由な仕事の環境に馴れてしまった自分はまたいやだなと思ったんです。でもサラリーマンですからやめる以外に自分の思いをかなえることができず、しぶしぶ、あっ、そうですかと言って新しい職場、仕事を拝命することになったんです。
ところで私の仕事なんですが単身赴任のときはアメリカのニュージャージーにある販売会社のオフィスではあったんですが、本社直轄の商品企画部門をまかされていました。この部門は私の会社が世界で売るプリンター新商品を企画する部門なんですが、部下は殆どアメリカ人でヨーロッパと日本の人も加わって何を作ったら売れるだろうかと言うことを来る日も来る日も喧喧諤諤と議論しておりました
この部門は毎年、中期計画と言う企画書の中で製品ロードマップなるものをまとめるんです、これが大変なしろものなんですが結構私たちのグループでは力をいれて世界各地の要求を聞いて(もちろん聞かれたほうは聞いただけで要求は入れてもらえないじゃないかという声はいつもあるんですが)まとめて報告することにしていたんです。これは200ページ以上もある報告書なんですがこれから創るべき商品とそれがどうして必要かそしてそれをいかに売っていくときの課題が書いてあるのです。その課題にはいろいろと有るのでしたがその中で自分もグループの人たちも重要な問題だと認識したいたことがあったんです。それが私が今度新しく仕事として与えられた“ブランド”だったんです。
ここでちょっと私の勤めている会社の話をしないといけなくなったのですが私たちの会社の製品売上の殆ど8割以上が海外で売り上げてましてコンピュータに繋げるプリンターを製造販売しています。このプリンターにもいろいろありまして皆さんが良くご存知のインクジェットプリンタ、これはいろいろと事情がありまして当社ではやっていません、そして昔からある紙の上を細い針金のような棒でインクリボンを通して叩くインパクトプリンタ(これが結構まだ売れているんです)そしてコピアのようにトナーを使って印刷するページ式のノンインパクトプリンタ。当社はこのページ式のノンインパクト特にカラープリンタに力を入れてるんです。試行錯誤しながらも当社のカラープリンタはだんだんと売れ始め世の中で認められてき始めたんです。そこでもっとカラープリンタの売上を伸ばすためにはブランド力を高める必要があるということになりそれも今までは各地域ごとにばらばらにやってきた活動をグローバルにブランド戦略を統一して効果を高めてブランドを確立しようと言うことになったんです。
ブランドは言葉としてはいつも商品企画のなかで大切だと言ってきたことなのである程度の知識は持っていました。しかし実際にやってみるまではそれがどういう意味を持ちどう会社とそこに働く人たちに影響を与えるかは知らなかったことにあとで自分が始めてみてやっと気がつくのでした。
そしてまだそれまでの仕事も終わるか終わらないかの状態でグローバルブランドプロジェクトが2003年8月に始まりましたが私が現地を引き払って日本に帰任したのは11月のことでした。
ブランドプロジェクトは私たちの販売拠点のメンバーがチームとして加わり各地域から1―2名参加して約十数名のチームが出来たのでした。
会社のブランド戦略プロジェクトを始めてまず最初にやったことは世界の各拠点の人たちにブランドに関してまた会社のことや状況についての一般的な質問をしたことです。その質問の内容はと言いますと、
ブランドに関して:
製品:
少し話が飛びますが、ハワイの大きな教会の先生でマラソンが好きなCordeiroという牧師さんがいらっしゃいますがその方がDoing Church as a Teamという本の中でこういう事を書いていらっしゃいます。
あるロシアの町のラバイが人生の方向と目的を見失い信仰も薄れかけて寒い街角を歩き漂っていたところ、間違って軍隊の敷地に迷い込んでしまいました。するとそこで警備をしていた軍人がこのラバイに向かって「あなたは何者か?何処へ行こうとしているのか?」と叫びました。
ラバイは突然の声にびっくりして「何かいいましたか?」と答えました。
軍人はもう一度同じことを繰り返して「あなたは何者か?何処へ行こうとしているのか?」と問いかけました。
しばらくの沈黙の後ラバイはこの問いに憤りも見せずに穏やかな口調で「あなたはこの仕事をしていくら給料をもらっているのか」と反対に質問しました。
軍人は「それとあなたに何の関係があるのだ」と返しました。
するとラバイはその軍人に「もしそれを教えてくれたらあなたが貰っている給料と同じだけ払ってあげてるからそれを教えてくれ」と答えたそうです。
この話は私たちクリスチャンや教会にも当然当てはまることですがこの世の人たちの中で一体何人の人がこのロシアのラバイのように寒くて暗い町をさまよいながら一体自分は何者で、何のために、何処へ行こうとしているのかを探していることでしょうか。
会社も教会や全ての組織、家族もそうですがやはりお互いを結びつける共通のもの、絆を持つことによりその力が何倍にもなって通常では考えられない期待以上のことが可能になってくるのだと思います。
このブランド・会社に関する質問とラバイ求めていた質問に対する答えには大変お互いに共通するものがあります。
私の会社では、この質問を世界各地の主要なメンバー約7−80人に行ったのですが一番私がが質問していて興味を持ったのは、会社・ブランドを三つの言葉にまとめて表現するとすればなんでしょうかと言うことでした。三つと言うとやはり会社に着いて長年かかわってきていた人たちに質問しているわけですからいきなり三つの言葉で会社を表現してくれと言われても困るわけです。技術系の人はやはり技術とか革新性などの言葉が出ましたしセールスに近い人は販売チャネルとか顧客のサポートなどがありました。
このブランドに関する質問ですが、これを見ていただいてこの会社、ブランドを教会、クリスチャンと置換えたらどうでしょう?
殆どこれらの質問は私たちクリスチャンそしてクリスチャンが属する教会が自分自身に問いかけてみるべきものではないでしょうか。
人間がこの世に存在する理由、会社がこの世で存在し活動する理由その目的とするものや活動形態は違うにしてもその個人や企業という組織を動かしていくための力というかまた意思というか、うまくいえませんが存在し活動するための意義が必要なんだと思います。もちろん労働に対する賃金と言う目的はあるんですがやはり人間の力が本当に発揮されるのはそれ以上の理由がないと会社として組織として良いとは言えないと思います。
というわけでなんとなく上司に言われて、なんでわたしがこんなことをやるのかと思いつつ始めたブランドの仕事は私の心の中で思いがけない展開を始めたのです。
ブランドランド戦略を始めて思ったこと、
ブランドの考え方、構築の仕方は世の中にたくさん出回っておりいろいろと有りますがここでは私の会社で使っているブランド戦略モデルを紹介します。
ではブランドの戦略はどういう要素で構成されているかといいますと、
| Belief(理念) | ブランドが位置する業界に対する世界観 |
| Vision(ビジョン) | 将来への展望とどうよりよく変革するかの意志、ブランドの存在理由 |
| Mission(ミッション) | 何をどう差別化して行うか、顧客に提供する製品やサービス |
| Positioning | マーケットに占める位置付け |
| Proposition | お客様に対する約束 |
| Values(価値) | ブランド構築の基礎、ブランド実現の為の行動基準、ガイドライン |
| Essence(エッセンス) | ブランドの凝縮して一言で表現されたもの |
というような要素があります。
ブランドを構築するためにはこれらの戦略要素を組織そしてその中の個人一人一人が理解して共有していることが大変重要です。これらの言葉使いからわかるように私たちクリスチャンが使っている用語かいくつか入っているのは大変興味深いことです。
またブランドの考え方で大変面白いと思ったことは、
ブランドはブランドを所有している企業・組織の中だけで形成されるものではないということです。製品とか技術というものは企業の財産として会社の中にあるわけなんですがブランドは会社の中よりもそれを使っていただくお客様の心に蓄積されるものなんです。したがってブランドの価値は会社の大きさにはよらずその対象とする全顧客が対象ですからうまくいけば途方もない大きな財産となるわけです。例えば、
| Stock market value | Net Tangibles | Intangibles | % | |
| Coca Cola | $164.8bn | $6.6bn | $158.2bn | 96% |
| Amex | $41.6bn | $6.7bn | $35bn | 84% |
| Kellog’s | $19.5bn | $0.6bn | $18.8bn | 97% |
| IBM | $111.2bn | $18.9bn | $92.3bn | 83% |
| BP | $75.4bn | $21.6bn | $53.9bn | 71% |
| Christianity | NA | ? | ? | ? |
ブランドの構築は自分自身がいくら頑張っても、自分の中でいくら良い製品やサービスを作り上げてもそれをお客様に伝えて理解してもらい気に入ってもらわないといけないわけです。したがっていかに効率よくブランドの提供するものを伝えてそれを納得して頂くか、が問題です。
ブランドが形成されるステップとしては以下のようなものが考えられます
1.知ってもらう 知る
2.知らせたことが十分信用するに値することがわかる 理解する
3.その人は納得して客となる 購入
4.客となって商品を買ってくれるがそれが言いとわかるとまた買ってくれる 最購入
5.もっと気に入ると他に人に勧めてくれるようになる 推奨する
ビジネスのブランド戦略ではこのような分け方で顧客を分析して自分のお客の構成がどうなっているかを分析します。そして分析した結果どこがうまくいっていないかを探し出してそこを対策するわけです。この対策は知られていなければ広告宣伝やPRをしますし、理解してもらっているが買ってもらっていないとすると買いやすいように販売網を強化します、また最購入率が悪ければ製品やサービスを直しますといったぐあいです。
これをキリスト教、クリスチャンの場合に当てはめてみるとどうなるでしょうか?
まずキリスト今日を知らない人はいないと思います。ですから認知度はほぼ100%、企業の立場から言えば本当にうらやましいような状況です。
でも明らかに客となっている教会員の数は人口の1%、即ちマーケットシェアが1%なわけです。企業で言えば超マイナー、ニッチプレーヤーですがこれでは競合に勝てませんし企業存続に必要な利益も生み出せないでしょう。
したがって100%の認知度が1%のシェアになってしまっているのは理解されていないのかまた理解しても教会にいけないというのかどちらかです。
またこの他の可能性としては教会には来てくれるがそこで提供される製品・サービスが不十分ですぐに離れていってしまうという可能性はありますがそこは100%から1%に落ちてしまうほどのギャップはないような気がします。
では私たちのコミュニケーションに問題があるということでしょうか?
私たちの働いている会社、信じているキリスト教と言うものの価値(ブランド価値)に対する疑問はないと思います。私たちの信じている神様、イエスキリストが与えてくださった恵み、祝福はこの世の何ものにも変えがたい宝物であることを私たちは信じて疑わないとおもいます。
もちろん悪魔、不信仰の誘惑に駆られるときはありますが、私たちが神様から頂いている恵みと約束はどんなものよりも尊く、価値が有るもであると私たちは信じて疑ってはいないのです。
イエス様の伝道にはいろいろとユニークなものがあると思うのですがその一つはたとえ話であると思います。難しい表現ではなくとても分かりやすい私たちに身近なものとして捕らえられるような表現を使ってメッセージを伝えられています。
たとえば天国とはということでイエス様はマタイによる福音書13章で、「天国は、畑に隠してある宝のようなものである。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである。」本当に福音とは、私たちが信じている信仰の価値はこの通りで本当にその価値を見出したら自分の持っているものを全て投げ出しても手に入れたくなるようなものであると思います。
ではこのように私たちクリスチャンも含めて福音の価値を本当に信じて全てのものを投げ出して天国と言われる宝を手に入れているかというと残念ながらそうでない部分も多々あるのではないかと思います。
したがって私たちが伝えるべき本当に人々が求めているもの、天国「神の国」と言われる宝がこの世にあるんだと言うこと、そしてそれが誰にでも、しかもただで与えられるんだと言うことを知ってもらうことがとても大切です。
ブランド戦略で言うところのコミュニケーション戦略です。いかにわかりやすく人々が求めているものにあわせてコミュニケーションメッセージを発信するかと言うことが大切です。私たちが天国の宝と言うメッセージを伝えるときやはり伝える相手に対してそのメッセージが訴えかける、相手の心を捉え、興味をそそる何かを持っていないといけません。これがコミュニケーション戦略で言うところの“Relevance”(自分の生活・活動に直接影響・関連するもの)ということです。
もう一度ここで整理しますと
ここでいうコミュニケーションは単なる伝道・広告・PR活動だけではなく私たちクリスチャンが接する会社、仕事、家族、友人との係わり合いにおける全てのコミュニケーションを意味します。
ブランド戦略がまとまると次の段階はその実行です、にこの戦略に従って
ブランド戦略では前に述べましたブランド戦略要素に基づいてコミュニケーション戦略を立てます。ブランド戦略要素の理念、ビジョンを立てる為には自分のいる市場をよく理解しないといけません。私たちの担うブランド、キリスト教はグローバルブランドです。しかし私たちが生きていて活動しているのは日本という国、固有の民族と文化を持つローカルな市場です。したがってグローバルに創られている神様のブランド価値を日本人のローカルな必要にあわせて効果的なコミュニケーションをし、メッセージを伝えていく必要があるのではないでしょうか。
ブランド戦略を作りみんなの合意、この合意を得るのがそうたやすいことではないのですが、を得て私たちの進むべき方向と皆に伝える価値をしっかりと認識したら次にやることはそれを相手、お客様にわかるように具体的に表現することです。この表現の方法はいくつか有るのですが、
またこれらの表現が一貫していること、継続性があるということそして認知されやすく差別化されていることが必要です。
イエス様は
わたしは平安をあなたがたに残していく。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。
ヨハネ13:27
このようにイエス様はメッセージもたとえ話を用いて分かりやすく、そしてこの世のものとはことなるあまりにも俗っぽい表現で言うのもはばかれるのですがはっきりと差別化されていたのです。
わたしはクリスチャンとて、イエス様から本当に素晴らしい宝、恵みと祝福を頂いてどうにかしてこのイエス様からの贈り物を一人でも多くの方に知ってもらいイエスキリストにある喜びと平安に溢れた希望に満ちた人生を送って頂きたいと思っています。そのためにはわたしたちが頂いている賜物、ある人は話し上手、聞き上手、絵がうまい、人に親切、教会での色んな奉仕、などなどあります。わたしがここ一年ちょっとの間に祈って示されたものはわたしが与えられた仕事で得たものを使って福音伝道をすることは出来ないか、と言うことでした。
いろいろと悩み、迷いは有りましたが是非この示された思いを進めてみようとVIPのメンバーの方々にも相談してクリスチャンの為のブランド戦略のワークグループ、市村さんが仰るところのクラブ活動を始めることにしました。
現在は月一度数人が集まってどうすればもっと効果的にイエス様の福音が伝えられるかということや現在色んなところで行われているVIP活動や教会での伝道活動をクリスチャンのブランド戦略でまとめることにより大きな声、大きな活動にすることができ今の人々が苦しみ、悩んでいることにGood Newsを伝え新しい命、希望の光を証することができればと思っています。
現在話し合っていることはまだまだそんな大きい計画にはいたらない段階ですが、
などです。
クリスチャンのブランド戦略はまだまだ模索中の段階ですが神様は私たち一人一人にユニークでかけがえの無い賜物を与えてくださっています。私達はその賜物を使って私が神様から頂いた恵み、Good Newsを出来るだけ多くの人に分かりやすくそして生活に直接係わり合いのあるインパクトのあるメッセージを発信していければと願っています。
最後にこれはある化粧品会社のブランドに関する標語です。
‘IN THE FACTORY, WE MAKE COSMETICS; IN THE STORE WE SELL HOPE.’
...products are made in a factory …brands are created in the mind!
では私達クリスチャン、教会は日々の生活の中でどんな活動をし、何を生み出し、そして私達のお客様、人々に何を提供しようとしているのでしょうか?