
サンタと鈴の音(1998.12.14)
幼い頃、12月になるとサンタさんのそりを引く音が聞こえて嬉しくなった。
あたしがそのころ住んでいたのは、結構田舎。
雪が降ってくると、いろんな楽しみから閉ざされてしまうような所だった。
シャンシャンシャンシャンとリズミカルに響き渡る音は、どう考えてもサンタさん
の鈴の音としか思えない。音は必ず遠くから聞こえ、あたしが振り向くときが最大
限になり、また遠のいていく。
絶対に姿を見せないサンタさんに、関心するやらホッとするやら・・・。
「やっぱり、赤い服着ているのかな?」「トナカイって、本に描いてある通りなの
かな」
次から次ぎへと沸いてくる疑問に、頭の中がいっぱいになりながらも、心はワクワ
ク感で一杯だった。
イブの夜まで、そのワクワク感をため込みながら過ごすことが唯一の楽しみ。
「きっと、いろんな所にプレゼントを置きに行くから、早い時期からサンタさんて
働くんだな」
と思い続けた2年間。
あたしの夢はある朝、無惨に引き破られる。
サンタさんへお願いしたプレゼントは女の子には珍しい顕微鏡。それも結構高額な
やつ。
ところが田舎なもんだから、近くのお店にはあるはずがない。当然のことながら、
取り寄せとなった。
まあ、普段だったら予定していた日に入荷できるはずの物なんでしょうが、年末の
混雑に加え、あんまりほしがる人もいないものだったからか、全く入荷の予定なし。
25日、26日と日が過ぎていくのにあたしの枕もとには何もない。
落ち込むあたしと慰める母。
溜まるストレスは爆発寸前。あたしは母に訴えた。
「きっと、世界のどっかほかの地域の子どもたちのところで問題が起きて、サンタ
さんまだ来ないんだよ」
一応、信じてはみるものの、同級生の家にはすでに来ているという。
結局、プレゼントが届いたのは正月明けの10日。
その間ひたすら待ち続け、じっと外を眺めていたためあたしは気が付いた。
あのシャンシャンシャンシャンという音は、タイヤに付けるチェーンの音だってこ
とを。
サンタの存在だけでなく、2年間信じ続けていた音までが、無惨にぱぁー。
今も、あの音を聞くとちょっぴりホロ苦い思い出なんだなぁ。
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