AYUMI'S エッセイ


一瞬の誤解(2000.10.3)


男にもいえることかもしれないけど、女の場合、「なぜに今だけこんなにモテル」
と感じる時が必ずあるという。かくいう私もそれらしきものがあった。
「ワタシって本当は魅力的な女だったのね(一部に認められた程度で、そう思い込
むアナタは立派)。もてすぎて困っちゃう」と一斉の告白を不満に感じるほど、忠
臣蔵じゃないけれど、突如訪れた寝込みの襲撃のような唐突さにあたふたと戸惑っ
てしまったのである。
たとえば、図書館なんかで本の予約をしたとする。どれもこれも人気が高い本だと、
手元にやってくるまでしばらく時間がかかる。いくら本好きと自慢する人間だとし
ても、本を読む時間と借りることのできる期間は当然のごとく限られているわけだ
から、予約していた何冊かの本が一斉に手元にきたとしたら、睡眠時間や遊ぶ時間
を削ってでも本を読みつづけるしかない。そうなると本を読むというよりは、本と
格闘するといったほうがいい。予約したときのあのワクワク感は消え去り、ただ疲
れたという精神的な疲労が全身を包み込むだけ。なんとも寂しいなのである。
これが人間相手となるとそうはいかない。あっちからも、こっちからもお声がかか
ったとしたら、さあどうする。清く正しく美しくといった部分はこの際おいといて、
おつきあいとなればそれなりに時間がかかる。まあ、それまでお声すらかからない
環境にいたわけだから、何人かの男とうまくつきあうだけの知恵もない。モテナイ
モードの人間が、簡単にモテモテモードへと頭を切り替えられるわけなどありませ
ん。そう!どうしよう、どうしようと頭は真っ白になりながら、なんとかそれぞれ
の気持ちをつなぎとめておく方法を考えようとするわけ。そこのあなた!あなたに
も覚えがあるでしょう!
そして男はみな去っていく。残ったのはひと時の幸福感と、やっぱりモテナイと評
判の女が一人。いいのよ。若いときはこんなオイシイ話いつでもあるさ、と自分を
慰めておける。何年かたって、ふと周りを見渡して男ッ気が全くなくなったとき、
あの幸福の絶頂を思い返すのよ。ああ、フェロモンもんもんの時代よもう一度帰っ
てきておくれ!



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