Tanka  

 「陪塚」 ─『角川短歌』2002年12月号

 

動きなき商店街を歩みゆく「お盆休み」の紙を見ながら

瓦屋根かわく旧家のそこだけが色づいておりサルスベリの木

「県大会五位入賞」の垂幕の下がる校舎の前を過りつ

虫を追い払う男を窓越しに見ており虫の姿は見えず

雑音が薄くなりゆく宮内庁の制札の立つところを過ぎて

浮島のごとく古墳は静かなりその傍らに陪塚(ばいちょう)ふたつ

案内図に「い号」「ろ号」と記されて陪塚は濃きみどり色なる

鳥居立つわきの詰所に人はおらず日誌と黒き電話機の見ゆ