Tanka  

 「住宅地図調査」 ─『塔』2000年10月号

 

三日月湖のように残りて旧道は青葉の深き影に沈みぬ

山襞のひだの奥まで水張田は隙間なく嵌め込まれたように

その人なら随分前に死んだよと言われて小さな名前を消しぬ

ふるさとへこのまま続いていきそうな道を歩めり熊蝉が鳴く

縮尺の大きな地図の中ほどを小さくなって歩み行くなり

蟹二匹路上に轢き潰されており見えざる音の乾きゆくかも

姫野ばかり十七軒の集落を終えて次なる場所へと向かう