Tanka  

 「記憶」 ─『短歌朝日』2003年5・6月号

 

天井の白さ、白衣の医師の白さ、背もたれのない椅子にすわりて

コンタクトレンズつけたるひとの目にのぞかれておりわれの裸眼は

階下より悲鳴のごときものきこえひときわ高くなりてやみたり

ひとりごとつぶやく運転手をのせてバスはあかるき市街をすすむ

心身をやむけものらを獣園にみてほのぼのと帰りきしかな

街灯のともりはじめるほそみちに白きマスクとすれちがいたり

そのむかしこどもがひとりころされし神社にひとりこどもがあそぶ