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2 ERPとは何か

2.1 ERPの概念とERPパッケージとの区別

 ERPというと、通常ERPパッケージ製品のことを思い浮かべる人が多いが、厳密にいうと、「ERP」とは以下に述べるような経営概念のことを言う。そして、ERPの経営概念を実現するための情報基盤を「ERPシステム」、ERPシステムを具現化するパッケージ製品のことを「ERPパッケージ」と呼ぶ。以下、本稿では、この3つの言葉を区別して記述を進める。

 まずは日本における代表的なERPの研究・推進団体である「ERP研究推進フォーラム」に従って、これらの言葉を定義しておこう([3])。

 ERPとは、「企業の事業運営における購買、生産、販売、会計、人事など、顧客に価値を提供する価値連鎖を構成するビジネス・プロセスを部門や組織をまたがって横断的に把握して、価値連鎖全体での経営資源の活用を最適化する計画、管理のための経営概念」をいう。

 ERPシステムとは、「ERPの概念を企業の経営に具現化するための情報基盤である。具体的には企業の事業運営のバックボーンとなる基幹業務のための新しい情報システムである。」

 そして、ERPパッケージとは、「ERPの概念を具現化する新しい情報システムを迅速に構築することを可能とするツールである」とされている。

 なお、ERPという言葉が登場した背景については、松原がその著書[4]の中で、『ERPについては、SAP社をリーダーとするソフトウェア・プロダクトが先行し、後に1991年ごろからガートナー・グループ(Gartner Group)やAMR社(Advanced Manufacturing Research, Inc.)といった情報処理関連のリサーチ会社がそれらのカテゴリーを「ERPパッケージ」と称したことから、パッケージ・ベンダーが、主としてマーケティング上の理由から「ERPパッケージ」の名称を用いるようになり、それが広まった』という推測を述べている。

2.2 ERPパッケージの概要

 ERPパッケージとは、具体的には国内外のベンダーが開発しているパッケージ製品である。代表的なものには、SAP社(独)のR/3、オラクル社(米)のOracle Applications、バーン社(蘭)のBAAN IVなどがある。現在、既に30製品以上が市場に出まわっているが、その中で知名度の高いものを第1表に示しておく。

 ERPパッケージのイメージは第1図のように表すことができる。ERPパッケージは企業の基幹業務を支える多数の機能モジュールから構成され、データベースを介して広範な業務を統合的に取り扱うことができる。この「統合的」にという点が、ERPやERPパッケージの重要なねらいの1つであり、ERPパッケージが「統合業務パッケージ」と呼ばれる所以である。

 第2表には、現在国内外で流通している多くのERPパッケージが標準的に備えている一般的な業務機能を示した。特に、入力した業務伝票が直接会計に反映されるなど、「サプライチェーン(supply chain)」と呼ばれる調達・生産・物流・販売という基幹業務の流れと、会計業務との統合がERPパッケージで特記すべき特徴となっている。

 企業は、ERPパッケージの中で必要とする機能モジュールのみを購入して、導入することができる。導入時には、企業特性を考慮して、パラメータ設定によるカスタマイズや多少の追加開発(アドオン開発)が行なわれる場合が多い。ERPパッケージには、通常、第1図に書かれた業務機能モジュールや統合データベースに加えて、開発・カスタマイズ支援機能や運用管理支援機能が用意されている。

 続いてERPやERPパッケージの特徴を議論するが、その前に少しERPの発展過程を振り返っておくことにしよう。

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