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ERPは、Enterprise Resource Planningの頭文字を取ったものです。日本では、統合業務パッケージと呼ばれており、一言で言えば、受注・販売管理、在庫管理、生産管理、会計といった企業の基幹業務をサポートする情報システムパッケージだということができます。もともと製造業向けの情報システムパッケージとして育ってきましたが、現在は他業種でも利用できるものもあります。
ERPは、特に10年くらい前から欧米の企業で採用されることが多くなり、5年くらい前からは日本企業でも注目されるようになってきました。ある程度の規模以上の企業では、多くの場合、基幹業務の情報システムを自ら開発してきたのですが、その情報システムをERPに置きかえる企業やERPを次世代の基幹業務システムとして検討する企業が増えて来たわけです。
ERPの特長とともに、その背景について簡単に紹介したいと思います。
ERPは、豊富な業務機能を提供するパッケージシステムです。このため、ERPでは、自ら基幹業務システムを開発するのに比べて、一般に短期間でシステムを稼動させることができます。これは、業務の複雑化と変化のスピードへの対応で、情報システムの開発・保守負担が大きくなってきており、既製品で間に合わせようという考え方であるということもできるでしょう。たとえば自社で使うワープロソフトを自ら開発しようとする企業はありません。世の中で売られているワープロソフトの方が高機能なものと安く購入することができるからです。業務パッケージであるERP採用についても同様のことが言えます。もし必要な機能が自ら開発するよりも安く入手でき、早くシステム構築できるのなら、という観点です。企業がERPを採用する1つの理由として、システムのコストと構築する時間を節約したいという点をあげることができます。
一方、基幹業務のニーズは、その企業の生産する製品、業界慣習、企業文化などによって変わってきますし、業務手法にはその企業の付加価値を生み出して競争を優位に導いているその企業特有のノウハウが含まれていることが少なくありません。ワープロだったら既製品を採用しても業務のノウハウへの影響は微々たるものでしょうが、ERPは基幹業務の情報システムパッケージであり、業務そのものと密接に結びついています。多くの企業の業務を良いところ(ベスト・プラクティス)を参考にして培われたERPを採用したら、他社で行われているそれらの良い業務処理を参考にできるメリットがありますが、一方では自社特有の業務の長所をうまく生かしきれないリスクがあることになります。パッケージソフトといっても、ワープロを購入する時などとは意味が違ってくるわけです。
ERPでは、大企業で開発されてきた従来の部門単位の情報システムと違って、企業の基幹業務全体が「大福帳型のデータベース」を介して統合的に管理されます。特に、受注・販売・生産などの業務における個別処理が、入力時点で即時に会計情報として反映され、参照することができることが大きな特長となっています。1つの伝票処理(トランザクション)によって、すべての部門の情報を一度に変更することができますし、そこから要約された会計情報は、その内容の詳細を辿っていく(ドリルダウン)ことで、業務情報のそれぞれのトランザクション(伝票)1つ1つへ結び付けることができます。業務効率が上がるとともに、スピーディな財務会計、管理会計が実現します。ただ、これを実現するためには、関連する基幹業務全般にERPを利用することが必要です。
また、ERPは、その名称の中にある「Planning」という名前の通り、計画系に強いことが1つの特長となっています。基幹業務の諸情報に結びついた財務会計、管理会計の情報は、会社の経営資源をどのように有効に配分していくかという計画への発展に役立てることができます。もちろん、本当に経営計画に生かすためには業務情報を読む力と経営のセンスが必要になってくるのは当然のことです。
最近は日本で生まれたERPが製品化されてきていますが、まだまだ欧米で育ったものが市場での注目度が高いようです。ERPのもう1つの特長にそのグローバル性があります。多くのERPは、多言語をサポートし、通貨に関する為替処理機能や、多くの国々での特有の制度に対応した機能を備えています。このため、海外の工場や事業所との連携は比較的容易ですし、海外の事業所を含めて業務の統一性や業務情報の交換を促進することができます。業務自身についても、欧米の優良企業の業務をベースにしているものが多く、グローバルな業務を実現できる可能性を備えた情報システムであるということができます。
日本でも多くの企業でERPの導入が行われてきました。今までのところ、成功している企業のパターンとしては、
- 海外の工場、事業所
- 新たにオープンする工場や事業所
- 中堅企業
といったケースが多いようです。これらのケースでは、今までの業務や情報システムのしがらみが少ないことが、ERPの導入を成功させる要因となっていると考えられます。一方で、日本の大企業が本格的にERP導入に挑戦しているところでは、スムーズな導入に苦労しているケースが少なからず見受けられます。そこには、従来の業務方法でERPパッケージによりサポートされない部分をどうするのかといった問題、ERPによる業務の変化とそれに関連する人の問題、部門間の調整の問題などがあります。ERPを成功裏に導入するためには、それによって企業が何を目指すのかを明確にして経営トップがそれを現場に伝えていくことが1つのポイントとなっていると考えています。
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