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収穫の悦楽

上海旅行記:衝撃の商法

上海の2日目は、上海市内観光がツアーに付いていた。
東台路骨董市に案内された。
カエルのガラスの小さな花瓶のようなものを見つけた。
あまりにキュートで欲しくなった。
ガイドブックには、「お店の人が提示した金額の半額から交渉しよう」と書いてある。
そこで、ガイドブック通りにやってみた。
言葉がわからないので、電卓で自分が買いたい金額を打ち込む。
店員は、「いやマケない、そんな金額じゃあ売れない」という顔をして、
先程よりはちょっと下げて、売りたい金額をたたいてくる。
こちらもこちらで、とんでもない、それは高い、という表情で、また電卓を叩く。
それでも折れずに自分の希望価格を打ち込み続け、お店が納得しない場合は、
じゃあいらないわと商品を置き、店を去ろうとするようにガイドブックはすすめている。
その通りにしてみた。
すると、店員が引き止めてくる。
OK。
みごと半額。
わたしの言い値で通ったのである。

茂名南路雑貨街へ散策した時も、その方法で
オールビーズでガマグチタイプのバッグを購入した。
黒のビーズ地のきれいな色の花柄で、もち手とガマグチ部分が燻し銀でいい味をだしている。
世界にひとつのバッグだ。
これも店員が最初に言った半額で購入。

でも、1度だけ、安く言い値を設定し過ぎて、
去って行ったわたしの背中に向って「ソーリー」と言い放たれ、引き止められなかったことがあった。
その商品が欲しかったわたしは仕方なく自分で戻り、店の言い値にそれでも少し値引いて買うハメに。
レースのティッシュカバーだ。
いっしょに行ったミリちゃんとコマちゃんに爆笑された。

彼女たちはバッグや財布をたくさん買ったが、
お店の人は、「ホンモノ、ホンモノ」とカタコトの日本語を繰り返しながら、
なんとライターを出してきた。
何をするのかと思ったら、その財布を火であぶり出すではないか。
ミリちゃんは、「ノーノー!」と叫び止めさせたが、
隣りに置いてあった別の商品を当然のごとく火であぶってみせた。
合成の皮なら溶けるが、これは本物の皮、大丈夫と言いたいのだろう。
口がポカンと開いてしまった。
同じようなことがもう1件。
真珠のネックレスを見ていたらまたしても「ホンモノ、ホンモノ」と言いながら、
今度はハサミで真珠を削ってしまったではないか。
それを買えと差し出すのだ。
日本では考えられない衝撃的な商法だ。

とにかく市場の商人はたくましい。
やはり日本とは物価の差がある。
お金持ちと思われている日本人には、高額な値段をつけてくる。
そして、ちょっと商品に興味を見せたお客は逃がさない。
根性を入れて売りに勝負を賭けてくる。
客の方もそれを受けて立ち、欲しいものを納得のいく値段で買うよう店員に挑まなければならない。
その駆け引きが楽しい。
そして、最後には笑顔で商品の包みを下げ、店を後にする。
でも、さて、本当に笑っているのはどちらなのか。
店員の提示した言い値は高価だったのか、安価だったのか、購入価格は妥当だったのか、
ふらっとやって来た旅行者には定かではない。

とにかく、納得がいくかいかないかは、お互いの交渉力にかかっている。



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