金属探知機の製作 (Metal Detector)
金属探知機の回路図は、探せばネット上などで色々見つかります。その中でシンプルで自作が容易なものを作ってみました。金属に近づいた時にブザーを鳴らすタイプのものもありますが、一般的には感度が低いと思われるので、金属に接近すれば、音の周波数が連続的に変化して行くタイプを選びました。これだと音色の聞き分けに熟練すれば、感度を上げられるかもしれません。安価な製作キットも売られていますが、これらの感度はコインくらいの大きさの物に1cmくらいまで近づかないとブザーが鳴らないと言うようなレベルなので、使い物にならないと思います。
●BFO(Beat Frequency Oscillator)方式
参照元
オリジナル参照元
"Simple BFO metal detector"と言う名前が付いていますが、これは発振回路を2つ持ち、その周波数の差を音として聞くと言う方式で、発振周波数は50KHz〜150KHz程度、今回は100KHzくらいに合わせました。
片方の発振回路のコイルは探知用で、オリジナルでは直径15cmほどで10回巻きでしたが、手元に手頃なボビン代用品が無かったので、とりあえず、8cm径、18回巻きでやってみました。このコイルの径は探知範囲や感度に大きな影響を与えるみたいです。
もう一方のコイルは基準用で、専用のコア入りのボビンを使えば基板に載せることも可能でしたが、これも手元に無かったので、外径18mmの塩ビパイプに巻きました。巻き数は百数十回だったと思いますが、線の長さが探知用より少し長い程度で、探知側と同じ周波数に調整出来ました。
調整の仕方ですが、まず少し多めに巻いて回路を組み、音を聞きながら音が無くなるまで(耳に聞こえない周波数になるまで)巻き数を減らして行きます。これ以外にも、2つの発振回路の周波数差を少し持たせておいて、常に音が鳴るような状態にしておき、金属に近づいた時に音が高音になるようにしておく調整もあると思います。常に鳴っているので少し邪魔ですが、周波数変化は判断し易いと思います。
音は小さなスピーカーをドライブ出来るかもしれませんが、ハイインピーダンスのヘッドホンがあれば電池の持ちもいいかも知れません。ヘッドホンやイヤホンの場合には音を絞る為のボリュームも必要だと思います。
<2004年12月>、基準用発振回路をHD14046のVCO部を使った可変周波数発振回路に変更しました。これにより使い勝手が格段に良くなりました。もしこのタイプの金属探知機を作る場合は最初からこの方法にしておく方がいいと思います。基準コイルが無い分作りやすいし、探知コイルの変更も容易だし、使用時の微調整も可能なので。
改良でビート周波数を倍にする回路も組み込んでみました。一応感度が倍という言い方も出来ます。但し感度倍と言っても探知距離が倍になるわけではありません。ちょっとだけ感度が上がる感じだとは思います。改良部回路図(アナログ回路は専門じゃ無いので、人の回路のつぎはぎみたいなものですが。)
まだコイルに満足出来ない状態ですが、探知距離を測ってみたところ、コインで4cmほどでした。手持ちの最大の砂金では0cmでかろうじて反応する程度。大きな鉄板では15cm。
<2005年1月>、前回の改造で基準周波数調整機能を付けたことによりコイルの交換が簡単になったので、小さいコイルを作ってみました。呼び径13mmの塩ビパイプ(外径18mm)に巻いて塩ビテープで固定。0.4mm径のエナメル線を3mほど巻いたら周波数は100KHzくらいになりました。
このコイルは、場所探しでは無く、水中の溝に差し込んでの金属探しを目的として作ってみたのですが、結果は良好でした。使ってみた感じは、なんか「魔法の杖」みたいで面白いです。水中でのテストでも発振周波数の大きな変化は無く、5mm以上の砂金でテストしてみたところ、接触状態〜1cm程度で砂金を検知出来ました。コインだと2cm〜3cm。
実際の溝では鉄クギとか鉛とかを見つけることも多いでしょうが、そういう場所には砂金もあるでしょうから、実用性は極めて高いと思われます。BFO方式は感度が低いので、市販の金属探知機と比べるのは無理がありますが、このような接触状態に近い用途で使えば、その作りやすさや感度が低いゆえの安定度は長所となると思います。土砂が留まれないような急流の岩盤のメガネ掘りは結果が出ないことが多いですが、そう言う場所をこれで調べて反応のある場所だけやれば効率的だと思います。濁りやすい盤のメガネ掘りでは、濁りが消えるのを待つのが面倒ですが、これで調べて何かあるのがわかれば、待つ甲斐があるかも知れません。実地テストはまだですが、たぶんこのコイルは活躍してくれるはずで、お勧めです。
●IB(Induction Balance)方式
参照元
この方式はBFOタイプに比べて感度が高いようです。回路に関しては少し複雑なものの、そう大したことはありません。ただ、コイルに関してはものすごく細かな2つのコイルの重なり調整が必要で、この点で難易度は高いと思います。
コイルの重なり調整は近くに金属が無い場所で、受信コイルの出力が最低になるように、TP1の電圧を監視しながら行います。安定な位置は存在せず、ほんの1ヶ所なんとか使える位置がある、と言うような状態です。コイルのケースは100円ショップのポリプロピレンの容器を使っていますが、柔らかいので容器が曲がると感度に影響を与えます。もっと堅い容器でないとだめかも知れません。
コイルは位置調整後、シリコンの防水充填剤で固定してあるのでコイルはほとんど見えませんが、半円形にした2つのコイルを少し重ねて配置してあります。
コイルを手で持った状態で探知距離を測ってみたところ、大きな鉄板で30cm以上、コインで12cmほど、手持ちの最大の砂金では3cmほどでした。さすがにBFO方式に比べて感度はいいようです。
コイルに柄を付ける簡単な方法を色々考えていたところ、100円ショップで使えそうな容器を見つけました。「計量・クッキングボール」と言う名称の容器で、買ってきて底を切り取ったらコイルの容器がピッタリ入りました。持ち手が付いていて、そこには呼び径13mmの塩ビパイプがこれまたピッタリ。
結局、容器の底を抜いて、塩ビパイプを曲げて持ち手にビニールテープで固定するだけで、柄の取り付けが出来てしまいました。コイルはいつでも取り外せるので持ち運びにも便利です。
●ワンチップマイコン使用タイプ 回路図
LC発振回路の出力をワンチップマイコンに入れ、後の処理は全てプログラム的に行うと言う方式を考えているのですが、同じ事を考えた人は他にもいるみたいで、金属探知機について検索している時に同じような構成の物を見かけました。まあ、中のソフトで動作が決まるので、同じにはなり得ませんが。
<2005年2月>、作ってみました。PIC開発キットは秋月電子から購入。一式で1万円弱でした。使ったチップはPIC12F629です。
動作ですが、入力の100KHzの周波数を0.075秒〜0.15秒毎にカウントします(カウント数は7500〜15000)。最初考えていた基準周波数の自動化は止め、基準周波数取得ボタンを押した時のカウント数を基準周波数として取り込むだけにしました。後はこの基準周波数と入力カウントの差を音として出力します。出力方法は、65uSec毎の割り込みで出力ポートをON/OFFします。
結果ですが、期待したほど大幅な感度アップは出来ませんでした。取り込み時に周波数差が1/13〜1/7になってしまうのですが、これは入力段階で感度がそれだけ下がると見ることも出来ます。その後の出力周波数の調整で耳に聞こえると言う意味での感度はいくらでも上げられますが、入力単位の誤差部分や変動部分は除外しなければならないので、ごく小さな周波数変化は感度として利用出来なくなりました。このあたりの数ヘルツと言う周波数変化を利用しないと探知距離を倍以上にするとかの感度アップは無理みたいです。
入力カウント差と出力周波数の具体例ですが、(かっこ内の周波数は、75,100,125,150mSecの各カウント周期における元の周波数差)
0: 無音、
±1: 無音(入力誤差除去の為に)
±2: 無音(安定した出力の為に)
±3: 126Hz( 40Hz, 30Hz, 24Hz, 20Hz)
±4: 133Hz( 54Hz, 40Hz, 32Hz, 27Hz)
±5: 150Hz( 67Hz, 50Hz, 40Hz, 33Hz)
±6: 168Hz( 80Hz, 60Hz, 48Hz, 40Hz)
長い時間カウントすればするほど感度は上がりますが、反応が遅くなり過ぎるので、このカウント周期を変えられるようにしました。通常は0.1秒毎あたりで使って、詳しく調べたい箇所で長い周期のカウントを使うとかだと思います。
しかし簡単な構成と言う点では期待通りでした。実戦ではたぶんこれをメインに使うと思います。出力する音の高さは段階的な変化になるのですが、なんか不協和音的なので、ついでに音階で出力させてみましたが、これがなかなかでした。特に1オクターブ当りドミソの3音しか使わないバージョンでは鳴らしていると音楽っぽくなって、面白いです。(^^) ちょっと段階が少ないので、現在は1オクターブ当り白鍵だけの7音にしていますが。
ケースは、期待通り小さなサイズのケースに入りました(3個100円のポリプロピレン容器)。コイルの柄は持ち運びに便利なものを探していたのですが、これも100円ショップにいいものがありました。「伸縮ダスター」の柄で、その名の通り伸ばせます。細い方は直径10mmで、この先端に3mほどの長さのエナメル線を巻きました。外径18mmの塩ビパイプに巻いたコイルよりも、更に細い溝向きになりました。
PICマイコンを使ってみてですが、これは充分使えます。開発ツールも入手し易いですし。アッセンブラは命令セットの簡素化のせいで癖がありますが、このサイズと価格でコンピューター?と言うのはすばらしいですね〜。
●ワンチップマイコン使用タイプ2 回路図
6年生の科学?のおまけの金属探知機の中身をワンチップマイコン使用のものに入れ替えてみました。圧電ブザーは他励振タイプ?だったので、スピーカーの代わりに使いました。出力ポートからブザーへ直結出来たので、音出力部分の回路は省けました。
結果ですが、さすがに元の金属探知機よりはだいぶ良くなりました。この金属探知機は、「ドライの土を手のひらにのせ、その土の中から金属を探し出す」みたいな用途を想定して作りました。
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