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新型インフルエンザワクチン接種はおすすめしません
もり小児科院長の見解
流行中の新型インフルエンザのワクチンを10月下旬から接種可能にする、という政府方針が発表されました。
すでに新型インフルエンザは流行期に入っており、季節性インフルエンザワクチン接種で年末まで忙殺されることもあって、
小児科医院はどこも手いっぱいの状態です。
新型ワクチンの接種希望者が殺到すれば現場の混乱は必至ですが、
それを無視して見切り発車的に接種を開始するようです。
しかし、このワクチンは本当にばたばた慌てふためいて接種した方がよいワクチンなのでしょうか。
私はよく考えた末、今シーズンについてはこのワクチンの接種をお勧めしない、という結論に達しました。
以下はその理由です。
(10月13日)
なお、当院も一応受託機関に登録をしていますので、希望者に接種は可能です。
接種の予定については、このページの最後をご覧下さい。
(11月16日)
●このワクチンは効くのか?
このワクチンの有効性についてきちんとした評価は出ていません。
今年中に接種が始まる国産のワクチンは従来の季節型インフルエンザワクチンとまったく同じ製法とのことです。
当院での過去4年間のアンケート調査によれば、従来のワクチンの有効率は、A型で平均して30%程度
(無接種で10人罹患するところ、2回接種は7人罹患)よくて高々50%ぐらいですから、
新型についてもこの程度と推測されます。政府もワクチン接種の目的を、感染防御や流行阻止には置いていません。
「死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこと」としています。
しかし、軽症化についても確かな証拠はまだありません。あくまでも軽症化を期待しているに過ぎません。
しかも、新型インフルエンザの流行はすでに始まっています。この流行がいつまで続くのかは不明ですが、
年明け以後に接種をしたのでは流行のピークに間に合わないでしょう。
●このワクチンは安全か?
年内に先行して接種が始まる国産のワクチンは従来のワクチンと製法が全く同じとのことですから、
これまでのワクチンに比して重大な副反応が多発する可能性は低いと思います。
しかし、来年から接種が予定されている輸入ワクチンは、
国産ワクチンには用いられていないアジュバントという免疫賦活物質が含まれており、
その分効果が高まることが期待できる半面、不測の重大な副反応が起こる可能性が否定できません。
そのようなワクチンを十分な臨床試験もしないまま見切り発車で接種しようというわけです。
●この病気はそんなに怖いか?
南半球での冬場の流行の状況や、わが国でのこれまでの臨床現場での経験からすると、
今回の新型インフルエンザは一般には決してそれほど重い病気ではありません。
無論、肺炎、脳症などの重症者、死者が出ていることは事実ですが、その頻度は例外的なケースの枠を出ていないと思います。
●私はこのワクチンの接種はおすすめしません
ワクチンの効果、副反応の可能性と新型インフルエンザの一般的重症度を勘案すると、
新しいワクチンを、十分な臨床試験を行わないまま、現場の混乱も無視して、
見切り発車的に多数の国民に接種すべき特別な状況とは言えないと思います。
ワクチンについては来年秋以降の接種に向けて、慎重に準備検討するべきでしょう。
以上のような理由で、私は今回の新型インフルエンザワクチンの接種をお勧めしません。
最終的な選択は子供たちの保護者の皆さんがなさることですので、当院もワクチン接種受託機関に登録しておりますが、
希望者は上記の事情をよくお考え下さい。
●新型インフルエンザワクチン接種の予定
上記のような院長の見解をお読みいただいた上で、それでも接種を希望される方
には当院でもワクチン接種を行います。
実は、行政からのアンケートに対して基礎疾患のある優先患者の数を申告しなかった
(主に喘息患者が該当しますが、重症軽症の幅が大きいので具体的な人数を出しませんでした。)ために、
11月のワクチン配布で当院には配布がありませんでした。
次回の配布が受けられるよう、急遽医師会を通じて行政に配布依頼を提出しましたが、次回の配布は早くても
11月下旬になります。現在、当院の予防接種の時間は季節性インフルエンザワクチンの接種でふさがっており、
診療時間は新型インフルエンザ患者の診療で手いっぱいの状態です。
当院での新型インフルエンザワクチンの接種開始は12月以後になると思います。
接種日、予約方法などが決まり次第、ホームページで広報いたします。
(11月16日)
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