ハッコウマーチ
僕が見た事がある高知競馬で走ったアラブの中で、もっとも強い生え抜き馬は?と聞かれると「そりゃイチヤでしょう。」と迷わず答えるでしょう。それでは、もっとも強かった古馬は?と聞かれるとこれも迷わず「そりゃハッコウマーチでしょう。」と答えます。
禍福はあざなえる縄の如しという言葉が似合う、今回はそんなハッコウマーチの話を。
ハッコウマーチは1991年にアラブのメッカといわれる園田競馬場でデビューしました。
4歳時に重賞の菊水賞を勝ち、六甲盃や福山の西日本アラブダービーを2着、楠賞を4着と立派な成績を残しています。
順調なら、園田でも立派な成績を残せるほどの馬だったことでしょう。しかし脚部不安で、5歳の3月から1年半の休養に入り、9月の復帰戦を8頭立ての7着と惨敗して再度休養し、翌年7歳の2月に高知競馬へ移籍してきました。
都落ち。そういう言葉がぴったりだったのかもしれません。しかし、この高知への移籍がハッコウマーチにとっては再度表舞台に立つ転機となったのです。
高知競馬にはクラス編成上の大きなルールがあります。それは過去2年間以前に獲得した賞金は0と計算して格付けを行うという点です。つまり、過去に園田の重賞戦線で獲得した賞金が0計算されて最下級でレースが行えるという事になるのです。
最下級スタートのハッコウマーチに相手になる者は存在しません。当然のように連勝街道を進みました。もちろん脚元に爆弾を抱えているだけに無茶な走りはできませんが、高知競馬移籍して1年間ほとんど休養もなしに走りつづけてその年の大晦日には15連勝ですでにA3組までクラスを上げていました。
ちなみに15連勝を飾ったのと同日に行われた南国王冠を勝ったのが前回紹介したイチヤで、この時は"イチヤとハッコウマーチがもし戦ったらどちらが強いんだろう・・・?"と思ったものです。この2頭の戦いは、イチヤの上山移籍で実現はしませんでしたが、今でも見てみたいと思うレースの一つです。
次の年もハッコウマーチは走りつづけます。当時のA2級重賞・南国梅花賞を2秒6の大差で勝ち、次のレース南国桜花賞も1秒3と圧勝を続け、いよいよオープン入りをしました。
さすがにオープン入りするとそれまでの様に大差の楽勝というわけにはいきませんが、ハッコウマーチを止めるような馬は無く、連勝は伸びていく一方でした。
このころ、ふと思ったことでしょう。"地方競馬での連勝記録っていったいいくつなんだ・・・?"当時の連勝記録は、公式記録で残るものとしてトモエゴゼンの記録した26連勝。意外と目前に迫っているのでした。
その後もオープンの中で着実に勝利を重ねていき迎えた1996.12.01の山茶花特別。それが高知競馬へ移籍して26戦目のレースとなります。ここまで負け無しできたハッコウマーチが勝てば歴代の連勝記録タイとなるレースです。
このレースも2着ツカサエンペラーに0.3秒差で勝ち、いよいよ新記録27連勝を目指して迎えた暮れの大一番南国王冠。
格付けの終わった相手。ここも勝って27連勝の日本新記録と思った直線。しかし、直線半ばで苦しそうなハッコウマーチをバイタルサインが差し切り、ハッコウマーチは0.2秒差の2着となり日本新記録は夢となったのでした。
なにかの本で高知競馬実況の橋口さんの文章を読んだのですが、その時の場内の歓声から悲鳴のようなものに変わった瞬間に実況席がゆれるように感じたという事です。
しかし、大きな舞台はもう一つ待っていました。南国王冠を2着に破れ、その後2連勝したハッコウマーチが出走するレースは、佐賀競馬場での西日本アラブ大賞典。
このレースには福山のタッチアップ。そして園田からは26年ぶりの三冠馬で前年の地方競馬年度代表馬ケイエスヨシゼンが出走していました。
ここで、ケイエスヨシゼン、タッチアップの強豪2頭の叩きあいを外から首差差し切りで優勝したのです。
その後、高知へ帰ってきて南国桜花賞をラッキーイチロウの0.2秒差で2着となり、脚の限界もあってかハッコウマーチは引退しました。
引退後は種牡馬として頑張る予定でしたが、受精能力が著しく低かったために乗馬となり千葉の牧場へと行きました。
乗馬となったハッコウマーチを一度見に行った事があります。去勢されていたこともあってか競馬場で見た激しい一面は影をひそめていました。牧場の人に話を伺うと「競馬場であれだけ活躍した馬だから、きっと乗馬の世界でも活躍するよ」と言っていたのが印象に残っています。
※その後連勝記録は足利のドージマファイターの29連勝に塗り替えられました。
| ハッコウマーチ |
| (アア)ハツタダイドウ |
(アア)スマノダイドウ |
| (アア)オーエヌカリム |
| (アア)ハツコウタイム |
(アア)タイムライン |
| (アア)ハツコマ |
生涯成績:54戦33勝2着7回3着4回
主な重賞勝ち鞍:菊水賞(園田)、南国梅花賞、南国桜花賞、南国菊花賞(高知)
西日本地区招待アラブ大賞典(佐賀)
当時の連勝記録日本タイの26連勝
※南国菊花賞については、高知競馬公式ホームページRyomaDerbyのLIVE中継→重賞&名勝負の"ファンが選んだ名勝負"で見ることができます。
写真は自転車人さんからお借りしています。
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