行政視察報告書
住民参加型福祉施策の推進(北海道栗山町)
お客様窓口・行政情報処理システム・特産品育成活動(北海道鷹栖町)
道央道ハイウェイオアシス(北海道砂川市)
大規模複合商業施設・サッポロファクトリー(北海道札幌市)
平成9年9月29日・30日・10月1日
四街道市議会・会派「新声」議員団
大熊文夫 清宮一義 斉藤勝彦 阿部治夫 森本次郎
視察日程
9月29日(月)
5:30 6:30 7:40 9:10 11:00
市役所集合→羽田空港/JAS103便→千歳空港→(レンタカー)→栗山町・町内視察
12:00 13:00 18:00
→昼 食→栗山町・福祉センター視察→(道央道)→旭川/旭川グランドホテル・泊
9月30日(火)
9:30 10:00 11:30
ホテル発→鷹栖町・役場「お客様窓口」視察→(株)鷹栖町農業振興公社視察→(道央道)
14:00 16:00
→砂川ハイウェイオアシス視察・昼食→(道央道)→札幌市・市内視察→
18:00
→ホテルサンフラワー札幌・泊
10月1日(水)
10:00 11:00 13:00
ホテル発→大規模複合商業施設・サッポロファクトリー視察→昼 食→
19:30 20:50 22:20 23:30
市内視察→千歳空港・ANA074便→羽田空港→市役所・解散
※なお、本視察の実施にあたっては、格安航空券を利用したため、行きにおいては早朝便
帰りにおいては最終便となり、その結果「市内視察」時間が通常よりも多くなっている ことを、あらかじめお断りしておきます。詳しくは、別紙領収書をご参照下さい。
本視察に関するお問い合わせは
四街道市議会 рO43−421−2111
会派「新声」議員団・北海道視察事務局(森本次郎)рO43−433−2446
URL:http://village.infoweb.ne.jp/~fwik3116/index.htm E-mail : fwik3116@mb.infoweb.ne.jp
北海道栗山町
1.視察の意義
昨今の「介護保険」導入を巡る議論に象徴されるように、高齢化社会の到来を迎えて、保健・医療・福祉分野における、総合的かつ効率的な施策の推進は急務となっている。特に、近年当市はもちろんいずれの地方自治体においても、その財政状況が著しく悪化しており、国の支援も今後多くは期待できないことを考えれば、福祉の原点にある「助け合い」の精神に立ち戻る必要があるであろう。
北海道栗山町は、夕張市に隣接する人口1万5千人の町である。この小さな町が、近年「住民参加型福祉施策」を行い、マスコミにもしばしばとりあげられ、在宅福祉事業推進功労厚生大臣表彰や、通産省主催の「メロウ・グランプリ・ユニーク賞」を受賞するなど、全国的な注目を集めている。当市は、本年4月に高齢化率が10%を超えたところであるが、その比率が倍以上高い栗山町での先進的な取り組みは、今後の当市が掲げる「市民主役」のまちづくりや、「保健福祉計画」の見直しに大きな示唆を与えると確信している。
9月29日の視察当日は、総合福祉センター「しゃるる」にて、町議会議長栗山忠正氏のご臨席を賜り、町の福祉施策を中心的に進めてきた総合福祉センター主幹吉田義人氏よりお話を伺った、以下はその概要である。
2.取り組みの契機と主な施策
栗山町は、かつて「特養銀座」とよばれ施設介護が、町の福祉施策の中心であった。しかし、今後のまちづくりを議論していく経過において、多くの周辺自治体が観光や企業誘致に取り組む中で、「安心して住めるまちづくり」が、企業誘致・観光振興にもつながるという、これまでにない視点で、福祉施策の取り組むようになった。
こうして昭和63年には、町立の「北海道介護福祉学校」を設立し、介護福祉士・社会福祉主事等の養成を始め、また町内の障害者施設においても、地域と連携した取り組みを行うようになった。
同時に、平成4年から、福祉施設職員を交えた各課横断組織「高齢者サービス調整チーム」が発足し、行政の各課が連携して、市民の要望に機動的に取り組む体制づくりを整えた。また同年の「老人保健福祉計画」の策定に当たっては、将来予測を見据えて、その予測に基づく施策を着実に実施してきている。その予測と、それに基づく施策は次の通りである。
(1)在宅介護の時代の到来
近年の保健・医療・福祉政策の潮流は、病院から老康あるいは特養へ、さらには在宅へとなってきている。そうであるならば、まず家庭を住み易くしようと、住宅の改築に30万円、新築50万円を助成するとともに、バリアフリーの住宅づくりをアドバイスするリフォームアドバイザー制度を創設した。また、平成5年には、全ての公営住宅をリフォームし、バリアフリー住宅とした。そして、現在は在宅介護の拠点として、地域の集会所を活用することを目指している。
(2)地域・家族の時代の到来
福祉の原点は「助け合い」であり、今後の高齢化の進行、自治体の財政状況を考えれば、いわゆる「自助・互助・公助」の中でも、互助の役割が大きくなってくる。先般、大きな被害をもたらした阪神大震災においても、町内会が果たした役割は大きなものがあった。
現在、厚生省が進めているドイツ型の介護保険制度は、医療中心の発想であり、日本にはなじまないと栗山町では考えた。同時に、これまでのいわゆる「バラマキ福祉」では、「自立してガンバレ」とは言いにくかった状況もあり、この地域に残っている地域の助け合いを活用する方向で、施策展開を図ってきた。
「いきいきホームスティ」では、地域の独居老人をホストファミリーが世話をすることによって、世代間の交流を図るとともに、老人の健康状態の把握が容易となった。また、富士通と協力して試行しているテレビ電話による、ボランティアと老人との交流も、大きな反響をよんでいる。そこには、地域の活力によって、福祉サービスでなく日頃の疾病予防に費用をかけ、結果として医療費削減を図ろうという姿勢がみられる。
(3)有料化時代の到来
高齢化の進行によって、今後福祉サービスの水準切り下げ、あるいは負担増という避けられない懸案となってくる。こうした状況の中では、自治体予算について、費用対効果を検討しながら、重点的分野に配分していくことが求められる。また、場合によっては、サービスの有料化も行うとともに、その対価にふさわしいサービス内容とする必要がある。 この考え方に立って、栗山町では平成7年度から敬老の日に行っていた「紅白まんじゅう」の配布をやめた他、平成8年度から、敬老の日に実施していた「独居老人のつどい」を廃止する一方、老人に外出をもっとしてもらおうとの狙いで、クリスマスの時期にあわせて、「おでかけリュック」を、ボランティアの手で配布することになった。
また、給食サービスについても週7回実施しているが、民間企業が対応できるものは、民間に任せ、高齢者と民間企業の橋渡しを社協が行うという形をとっている。
(4)選択の時代の到来
今後、福祉分野での有料化、あるいは高負担の流れにともなって、民間企業が多数参入することも当然考えられ、そこではサービスの質もこれまで以上に問われることになる。 ところが、これまでの栗山町の福祉施策をみると、事務職員の能力のなさ、現場への無理解が、結果として施設職員の意欲を失わせているという指摘があった。そこで、選択肢が多様化する状況において、より高齢者のニーズに即したサービスを行うために、現場の声を積極的に取り入れていくこととした。
こうして、栗山町では、老健施設において、夜間高齢者を入浴させるという、道内で始めての試みを行った。通常は職員の勤務時間内である8:00〜17:30間での間に入浴させるのが一般的であるが、ここでは入所者本位のサービスが行われている。また、痴呆の検診等においては、事務職員も参加して、現場の実態を知ることに努めている。
3.施策の効果
これらの施策の展開によって、栗山町は全国的に有名になったが、単に有名になっただけでなく、町民自身が「栗山ならだいじょうぶ」というスローガンを誇りを持って語るとともに、自らも地域社会の一員として助け合いに参加する意欲が高まってきたことが、もっとも特筆すべきことである。
そこには、「住民の意識改革こそが、地域で支え合う高齢社会を創造する力になる」(吉田主幹)との強い信念がある。実際、町民対象のホームヘルパー養成講座には、定員の3倍が応募するようになり、福祉課への相談件数も400を数えるに至っている。
一方、財政を運営する行政の立場として、こうした福祉施策の推進によって、地域の活力を伸ばし、高齢者の意欲を高めることこそが、医療費の削減にもつながるという合理的な考え方が、実際に効果をあげている良い例でもあろう。
4.キーワード
今回の視察の中で、住民参加型福祉施策の中心的役割を担ってきた吉田主幹の話しの中で、いくつか印象に残るキーワードとその考えをここに記しておきたい。
(1)24時間公務員
現在の行財政改革の潮流は、やがて公務員の身分そのものにも影響を及ぼしてくる。これまでのいわゆる「役人感覚」で業務を執行する時代は終焉し、能力があり「市民感覚」の豊かな人が求められるようになる。それは「24時間公務員」として、地域社会に積極的に溶け込み、その経験を仕事に活かせるかどうかにかかっている。
(2)「国の補助があるからやる 」ではダメ
国の補助があるかどうかではなく、町民のニーズがあるかどうかが基準。栗山町では、早くから障害者のディサービス事業を行っていたが、平成7年から国の補助もつくようになった。正しいことをやっていれば、あとから結果はついてくる。
(3)「投げかけ」が人を動かす
単に指示を与えるだけでは、人は本当に意欲を持って取り組まない。その人が問題意識を持ち、課題を持つような「投げかけ」が大切。
(4)必要な情報は出し惜しみしない
行政が「地域で助け合いしましょう」と言っても、また地域社会が、「助け合い」活動に意欲を持っていても、行政の側が高齢者の個人情報を「プライバシーに関わるから」と提供しないのでは、地域の実状が住民に理解できないばかりか、助け合いをしようにもできない。ある面では、プライバシーに干渉するのが助け合いであり、それに必要な情報は積極的に提供する。
(5)マスコミの活用
栗山町がこれまでやってきた住民参加型福祉施策は、他の多くの自治体でもやっているものもある。ただ、そこに「栗山らしさ」という味付けをすることによって、マスコミの注目を集め、そのマスコミ報道が契機となって、より大きな反響を住民に及ぼして参加意識を高めるとともに、行政やボランティアなどの側でも、今後さらに良い施策を行おうとの刺激になっている。
北海道鷹栖町
1.視察の意義
行財政改革の推進は、より効率的な行政の執行体制を実現することと同時に、住民本位の行政サービスを実現することにある。ともすれば、「敷居が高い」「無愛想」「たらいまわし」等と揶揄される行政サービスを超克し、親しみやすく、迅速で確実なサービスを提供するためには、職員の不断の努力はもちろんのこと、その条件整備としての総合的な行政情報システムの導入は不可欠である。
また、当市では本年12月に情報公開条例の上程が予定されているが、円滑な情報公開を行うためには、行政情報の管理・運用について、効率化・高度化・一元化を図る必要がある。
北海道鷹栖町は、人口7000人の小さな町であるが、この平成9年4月より、「総合行政情報システム」という業務効率化を図るコンピューターシステムを導入するとともに、そのシステムを活用し、住民票・年金・福祉・税金関係等、住民に密着した業務を1カ所の窓口で処理する「お客様窓口」を開設した。
この先進的な試みは、当市が「行財政改革大綱」を推進し、今後さらにその理念を住民の目線に近づけていくためにも、大いに参考になるものである。
9月30日の視察当日は、町長の神田正男氏、町議会議長の谷口幹男氏のご臨席を賜り、本システムの導入を推進してきた総務課電算推進係係長の西永俊幸氏よりお話しを伺った。また、あわせて当日試飲させていただいた鷹栖町の特産品「狼の桃」という超高級トマト・ジュースについても、議会事務局長の栗林洋司氏より説明いただき、工場を見学する機会に恵まれた。
2.取り組みの契機
鷹栖町では、平成6年より事務作業のOA化を目指した取り組みが進められていたが、今回の「お客様窓口」の設置は、神田町長のイニシアチブによるところが大きい。
町長は、平成7年に初当選し、現在1期目であるが、平成3年に教育長を退職し、一町民となった時、これまで何気なく勤めてきた役所という場所が、町民にとって遠い存在となっていることを実感したという。
そして、町長の言葉を借りれば、今まで「職員のための役所」であったのを、「住民があって役所がある」という発想に転換し、町民に身近で、町民が気軽に対話できる役所にするべく、当選直後から町民本位の町政を推進する施策の展開を進めてきた。
まず、「明るい役場を目指す会」(略称:あやめ会)を、町内の郵便局職員、商店経営者、主婦等で組織し、役場内の様々な部署・サービスについて、町民の立場から点検を行い、それに基づく提言を行った。一方、行政サイドでは、「事務改善委員会」を、総務課・福祉課・町民課・水道課などで組織し、事務の効率化を図るようにした。こうした取り組みの中で、役場に町民が来訪した場合に、「町民が動くのではなく、職員が動く」ということを基本に、行政サービスのシステムを改革していくことになった。そして、各種証明・住民票・税等約100種類の形が決まっており、申請書に記入して提出すれば、必要書類の交付が受けられるものについては、1カ所の窓口で対応することになった。また、複雑な手続きや相談等についても、職員が窓口まで出向くようにした。
このような経過で、クライアント/サーバー型・総合行政情報システムが導入され、平成9年4月1日、「お客様窓口」がオープンした。
3.システム開発・運用支援企業の選定
これまで鷹栖町では、電算関係について、旭川市内の企業を採用していたが、今回のシステム開発にあたり、5社からの提案があり、町が目指しているシステムづくりに具体的に熱意を持って応えてくれた会社が、(株)日立情報システムズとのことであった。
※(株)日立情報システムズ連絡先:自治体情報サービス本部営業部
03-3464-5250 E-mail:adworld@netforward.or.jp
ちなみに当市の電算システムの導入会社である沖電気でも「キャメックス・ブイ」といわれる類似のシステムがある。
※沖電気工業(株)連絡先:官公営業本部 рO3−3454−2111(代)
URL: http://www.oki.co.jp/OKI/Cng/Municipal/JIS/PROD/index.htm
4.推進体制
庁内OA化を進めるに当たり、目標の設定と職員意識の統一が必要なため、事務改善委員会の内部に「事務改善・総合窓口化検討部会」と「庁内OA化推進部会」を設けた。ここでの作業によって、「お客様窓口」が開設されるとともに、「行政事務の効率化」が図られていった。
5.システムの特色と導入の成果
(1)専門職員は養成しない
システムの導入に伴っては、専門職員を養成せず、全ての職員がシステム運用をできるようにした。但し、実際には個人データの取り扱いであるので、パスワードによって端末操作者を限定し、操作者の職務に応じたメニューの表示がなされるようになっている。
(2)自己完結型システム
情報処理の高度化を進めたことによって、業務の効率化が図られ、外部委託を行わないで済む「自己完結型」のシステムが可能となった。一般的に官公庁では、繁忙期にあわせた職員数となっているが、鷹栖町では日常業務を必要最小限の職員で行い、繁忙期には臨時職員を採用する等の形態をとっている。
(3)情報の一元管理
このシステムでは、住民情報、財務会計、人事給与、水道料金等が、全て連携し、一元的に管理・運用されている。従って、住民の異動・口座の変更等があった場合、その情報が税や水道料金などにも一括して反映されるようになっている。また、各種徴収金の管理の標準化、予算及び支払い管理についても、統一したルールに基づいて行われるようになった。さらに、システム内の業務情報を活用して、各種の分析・点検、統計資料の作成も容易となった。
(4)申請書等の様式統一
窓口を一本化し、行政情報管理を一元化したことに伴い、各種の交付申請書の様式も統一したものとなった。住民票、所得証明、児童手当の申請等のほとんど全ての手続きが、同じ申請書で行われている。同時に、納付書、通知書、封筒も統一管理することによって、印刷経費を3分の1程度にまで削減することができた。
(5)圧着ハガキの利用
OA化を図った機会に、各種督促・通知等を封書から三つ折りの圧着ハガキに切り替えた。これにより、郵送料の大幅な削減が実現するとともに、封詰め作業からも解放された。
6.特産品育成活動
当市でも、カラーピーマン(パプリカ)を特産品にしようという運動があるが、鷹栖町では、トマト・ジュース「狼の桃」が画期的な成功を納めているので、ここに紹介しておく。当地では、寒暖の差があるため糖度の高いトマトができるとのこと、その余ったトマトの処理として、ジュースをつくったところ、口コミで評判となり、東京の三越・伊勢丹で販売することになった。1リットル瓶が700円という高値で販売されており、この半額でも採算はとれるが、百貨店側よりブランド・イメージを維持するために、値引き販売はしないよう要請があるという。なお、商品名は、トマトの学名に由来する。
北海道砂川市
1.視察の意義
当市は、インター周辺開発構想を数年来進めているが、現在全国各地でインター周辺開発の一環として、「ハイウェイ・オアシス」の設置が進められている。これは、従来のSA機能を拡大させて、地域の観光拠点として活用しようとの狙いがある。
北海道砂川市は、札幌市から約80キロ、旭川市から約60キロ、千歳空港から100キロの場所に位置し、道央の交通の要衝となっている。ここにある「砂川ハイウェイ・オアシス」(以下「HO」という)の実情を視察し、当市のインター周辺開発構想にどのように活かしていけるかを検討した。
なお、9月30日の視察当日は、当会派が独自に現地入りし、現時の実情を調査した。2.施設及び周辺の概要
砂川市が位置する中空知地域は、もともと温泉やスキー場、キャンプ場、高原リゾートなどの観光資源に恵まれたところである。ここに、宮殿風の「オアシス館」が建設されており、広々とした駐車場も確保されている。
そして、ここのHOに隣接して、約230f(東京ディズニーランドの約3倍)の「北海道子どもの国」が整備されており、広大な森林・草原の用地内に展望台、少年自然の家、「世界の7不思議」のイメージ遊具などが配置されている。この子どもの国へは、HAから自由に出入りができるようになっている。
視察当日は平日であったが、道内観光の中継拠点として観光バスが押し寄せており、施設内は道外からとみられる観光客でごったがえしていた。内部は、北海道名産のショッピングセンターとなっており、カニなどの海産物や農産物、各種加工品などの土産物であふれていた。また、通常のSAでは、アルコール類は扱っていないが、ここのレストランでは販売されていた。2階にはバンケットルームもあり、当日は北海道の業界団体の会合も開催されていた。
3.当市への「ハイウェイ・オアシス」導入の可能性
砂川市の事例からもわかるように、HOの設置には、その周辺の観光資源が不可欠である。当市のインター周辺開発が工業系・住宅系の開発であれば、HAを誘致する必然性もない。また、当市のような東京近郊において、砂川市の「子どもの国」レベルの200f規模の自然公園を整備することは事実上不可能である。
しかしながら、インター周辺開発が、インター南東部はもちろん、今後の東葉高速の延伸や千葉環状の開通を視野に入れて、北西部において、ワールドバザール的な大規模商業複合施設やエンタテイメント機能を盛り込んだものにしていき、首都圏はもちろん日本全国、そして世界規模の開発を進めていく可能性があるならば、HOを誘致する意味も生まれて来るであろう。いずれにしても、どのようなインター周辺開発が、当市の将来にとってふさわしいのか、今後とも検討を続けていきたい。
北海道札幌市
1.視察の意義
当会派では、かねてより四街道市の産業集積の方向として、大規模複合商業施設の誘致を提唱してきた。工業系、研究系の場合では、当市にもたらす経済効果、雇用創出効果が比較的少ないことと、近年の経済状況において、県の企業庁造成団地を始め、周辺工業団地においても、企業の進出意欲が薄れているばかりか、工場の海外移転・集約化による撤退という深刻な事態に直面しているからである。
むろん、商業系の場合であっても、不況による消費低迷の影響あるが、依然として活発な新規出店意欲がある。また、四街道市が、首都圏近郊、羽田空港50分圏、成田空港20分圏という、日本全国はもちろん世界に通じる絶好のアクセス条件を活かし、その知名度を飛躍的にアップさせるには、エンタティメント系を融合させた商業系の開発が最も有望であるという指摘もある。
あの東京ディズニーランドにおいても、計画当時、浦安市は漁民の町であり、あのような壮大なスケールの事業の成功を誰もが疑問視していた。そして、そのような計画を推進する現市長(当時町長)の手腕もある面、不安をもってみられていた。しかし、結果はご承知の通り、今では日本はもちろん、東アジア各国の海外旅行においても、その行程に必ず加えられ、毎年1600万人が訪れるという、世界屈指の観光地となっている。また、ディズニーランドは、売り上げに対する物販の比率が55%を占め、一人当たりの売り上げは1万円を超えるという大規模商業施設でもある。当会派では、こうした先例に学んで当市の開発に大きな夢を描き、誇れる未来を実現すべく努力していく所存である。
当会派では、これまで常任委員会の視察等を通じて、尼崎市の「つかしん」や福岡市の「キャナルシティ」などの時代の先駆けとなる(なった)プロジェクトを視察してきた。とりわけ、キャナルシティは昨年5月のオープン以来1400万人が訪れ、博多商業の流れを変えたとまで言われている。一方、こうした大規模商業施設は、その「オープン効果」を持続させることが課題でもあり、オープン5〜10年経過後に陳腐化して、来訪者も伸び悩んでいるところも少なくない。
今回、視察を計画した「サッポロ・ファクトリー」(以下SFという)はオープン5年を経過し、現在は来訪者の伸び悩みで厳しい状況にあるという大規模複合商業施設である。我々は、こうした施設の現状を学び、そこから当市の大規模商業施設開発に求められる方向を探るべく、去る10月1日に現地を訪問した。なお、当日の視察・調査は当会派が独自に行ったものである。
2.施設の概要
(1)施設の立地
SFは、JR札幌駅から徒歩15分の市内東区北二条東四丁目に、平成5年4月にオープンし、開業1年目には800万人を集客した。
札幌市は、道内売り上げ上位大型店10店のうち7店が集中し、市内を売り上げ別にみると、中央区が66%を占めており、東区は6%にとどまっている。中央区は、札幌市のまさに中心部で、札幌駅周辺には、そごう、東急、西武などが出店しており、そこからまっすぐ南に行くと大通り公園があり、その周辺にはパルコ、丸井今井、丸善が出店しており、その南にはすすきの地区があり、ロビンソンが出店している。このように、札幌市内は、JR札幌駅から地下鉄南北線・東豊線を挟んで南方向に商業施設が立地しており、人の流れもそこに集中している。SFは、そこから東に行った場所にあり、中心繁華街とは離れた場所に立地している。
(2)開発の経緯
SFがオープンした場所は、1876年に日本人初のビール工場「開拓史麦酒醸造所」が開設された日本のビール発祥の地である。同醸造所はその後、サッポロ・ビールの札幌工場第一製造所として引き継がれ生産を続けていた。1989年、同工場が恵庭に移転することとなり、同社は90年11月より同工場跡地の再開発に着手した。そして2年以上の歳月と総事業費400億円を費やして、4万1千uの敷地に、大小6棟から成る12万3千uの大型複合商業施設が誕生した。
(3)施設の特徴と主な出店企業
SFは、道路を隔てて3カ所に施設があるが、その中心施設が三条館と二条館であり、その2館の間にあるアトリウム公園である。これは、高さ約40b、幅40b、奥行き80bのガラス張りの広場で、室内は1年中緑があふれている。その広場に面して、和洋食、多国籍レストランが配置されている。また、元ビール工場の赤煉瓦貯蔵庫は、内部を改装してビア・ホールとなっている他、煙突は煙と音で時を知らせる仕掛け時計としてよみがえった。さらに、かつて工場で使われていた機械設備や部品の一部は、日比野克彦氏などのアーチストによって、「サルベージ・アート」として、施設内各所にちりばめれ、訪れた人々の目を楽しませている。
・主な出店企業/テナント
三越(食品売場)/ピーアーク(パチンコ)/無印良品(雑貨)/サティ(雑貨)/
グラビーサッポロ(ホテル)/ローラ・アシュレイ/エディ・バウアー/エレッセ/
ベネトン/アディダス/サッポロファクトリー・フィットネスクラブ/紀伊国屋書店/
サッポロスプリングス(プール&スパ)/札幌マイセン美術館/ミニワールド博物館
3.SFの現状と問題点
鳴り物入りでオープンしたSFであるが、その後は低迷が続いている。我々の視察当日も、施設内のテナントの入れ替わりが激しく、新しい案内パンフができていないとのことであった。実際、大型テナントでも「アイマックス・シアター」がパチンコ店に入れ替わるなどの動きがあった。現地視察を経て、我々なりにいくつかの問題点を整理してみた。
(1)立地条件を補うエンタティメント性の不足
通常、都市型商業施設は駅から500b、10分未満が限界と言われている。福岡の「キャナルシティ」も立地条件を克服するために、AMCシアター、劇団四季の常設劇場など、日本初の試みを行っている。駅から1分の新宿「タカシマヤ・タイムズ・スクエア」でさえ、3Dシアターや新宿ジョイポリスなどのエンタティメント強化を図っており、SFの旧ビール工場跡地という歴史性だけでは、「わざわざ行こう」という動機付けが不十分であり、さらなるエンタティメント性の強化が必要であろう。
(2)魅力ある大規模テナントがない
SFには、三越やサティ、無印良品も入っているが、いずれも小規模でフルラインでの品揃えではない。また、各ブランドのテナントとも同様のことが言える。百貨店同士の競争が激しい札幌市において、SFで買い物するメリットがないのが現状である。ホテルも、上品で落ち着いた雰囲気ではあるが、地元資本の限界がある。大規模施設にふさわしい全国チェーンのビジネスホテルや高級ホテルを誘致すれば、SF自体のブランド・イメージの向上、知名度のアップ、集客力の増加にも結びついたのではないだろうか。
(3)回遊性を高めるゾーニングがされていない
アトリウム広場や、旧赤煉瓦貯蔵庫のビア・ホールなど、SFのそれぞれの施設は魅力あるものであるが、敷地が道路隔てて3つに分割されていることもあり、施設の垂直・水平方向に回遊性を高める考慮が不足している。それは、中心施設の二条館・三条館・レンガ館についても同様である。最近になって、この点は多少の改善が図れたようであるが、構造上の問題でもあり、設計段階からの検討が必要である。
3.当市における大規模複合商業施設の導入
当会派では、これまで本年3月議会での代表質問、本年5月の行政視察報告書「環太平洋の拠点となる商業集積目指して」等で、当市の開発に対する考え方を表明してきたところである。従って、ここでは今回の視察を通じて、今後に活かすべきいくつかの点を列挙し、将来への期待を表明したい。
☆土地区画はスーパーブロック(大街区)で
大規模複合商業施設における、有機的な連携を確保して回遊性を高めるとともに、維持管理・施設運用上からも、大街区による施設整備が望ましい。これは、開発のうえからも、減歩率が少なくて済むというメリットがある。
☆道路アクセスの整備
都市型商業施設では、駅からの距離が問題となるが、郊外型の場合は道路アクセスの良さが絶対条件である。特に、インター周辺の開発に考慮が必要である。
☆リニューアルを考慮した施設づくり
どんなに最先端の施設であっても、時の流れとともに陳腐化してしまう。ファミリーレストラン、コンビニエンスストア等でも、数年おきに内外装を一新しているし、TDLでも常に先を見据えて新しいアトラクションを導入している。こうした現状を考えると、リニューアルしやすい構造を考慮に入れるとともに、施設の配置についても、常に目新しさを感じられるような工夫が必要である。この点は、カナダのWEMに学ぶところが多い。
☆「遊」機能の強化
これまで述べてきたとおり、都市型施設でもエンタティメント機能を強化していることを考えると、郊外型施設ではさらに強い動機付けができる「遊」機能が必要である。それには、従来の都心部にみられるハイテク型ではもちろん、郊外にふさわしく、また郊外だから可能な「遊」機能のありかたを研究していくことも必要だろう。、
☆「パワーシティー」目指す最初の一歩
世界でも屈指の集客地域、フィレンツェやラスベガスでは、都市そのものが戦略をもって、行政、企業、市民が一体となって、街のイメージづくり、都市計画に取り組んでいる。フィレンツェは1000年以上の歴史を誇る、いわば由緒ある都市であるが、ラスベガスは100年にも満たない。100年前は、単なる砂漠であったのに、今日世界的な都市となったのは、最初の一歩があったからである。当市においても、これらのプロジェクトを絵空事ではなく、現実にするための最初の一歩を力強く踏み出して欲しい。
視察を終えて
今回の視察を終えて、これまでも当会派が行ってきた視察は、偶然にも小さな町村が多いが、そこで印象に残ったのは、信念を持って精力的に働く職員の方々の姿であった。
そこでは、市長と職員、市民と行政のナマのコミュニケーションがあり、直に反応がかえってくる。職員の方々はそれを恐れることなく、楽しみながら仕事をしている、しかも政策についても、実に良く勉強されていると感じた。
我々が視察した栗山町・鷹栖町とも、自主財源は少ないが、国からの手厚い交付税措置等を受け、人口一人あたりの歳出では、当市の2〜3倍という恵まれた面もある。
しかし行政の姿勢として大切なことは、「こうだからできない」というできない理由の説明ではなく、「こうすればできる」というできる条件の整備であり、まさに栗山町でも鷹栖町でも、そのために福祉にせよ、総合窓口化にせよ、町長、関係職員が一丸となって取り組んでいたことを記しておきたい。
また、栗山町の吉田主幹にこうしたユニークな施策が進められた経過を伺った中で、町長の口癖は「まあまてや」でなく「まずやりなさい」であり、常に人を動かし、人のやる気を引き出し、組織を活性化することを考えているとのお話しがあった。
実際には、栗山町が行っている施策は、多少内容こそ違え、当市においても大部分行っているものが多い。従って、これまでのも現場の職員の方々には多大なご苦労をいただいているが、こうした施策に、あとほんの少しの想像力と工夫を加えれば、もっともっと当市も輝いてみえるようになり、職員も市民もイキイキとできるのではないだろうか。その想像力と工夫を引き出すための、活力ある組織づくりに、これまで以上に取り組んでいただければ幸いであるし、我々「新声」議員団も必要があれば、惜しみなく支援する決意である。
最後に、本視察を実施するに当たり、多大なるご協力をいただいた栗山町・鷹栖町の関係者の方々及び当市議会事務局に御礼申し述べます。

戻る