沖縄県国頭村(ヤンバル地域)における環境改善の実践
この自然豊かなヤンバルにおいて、この十数年の間に人の手によって最上流にダムが建設され、中流の丘陵地帯には農業開発事業によって広大な農地が切り開かれ、各谷の河川の河口を含めた沿岸海域の港湾及び道路がコンクリート護岸で固められるようになった。
この開発とほぼ時を同じくして、上流のスダジイの原生林地帯では、各谷で土砂崩れが頻発するようになり、法面、尾根の各地では倒木や幹枯れ、大枝の枯れ込みが進行してきた。また、リュウキュウクロマツを中心に、松食い虫等の病害虫による被害も頻発している。さらに農地周辺の防風林やその周囲の自然林にも、明らかに同じような痛みが見られる。
これらの開発に伴って、ヤンバル全域に赤土の流出(泥水)が頻発するようにもなった。そして、農地を始め林地、河川及び沿岸海域各所での収穫量は、十数年前に比べて数分の一に低下してきていると言われている。



2003年 10月 改善前 農地
2004年 4月
2005年 1月

写真上 隣接する未改善農地で収穫されたジャガイモ
2005年 9月
「杜の会は、これまで各地の都会で、消えていく自然を見つめながら造園土木を中心に、植物に始まる生き物空間作りを手掛けてきた。この空間作りで最も重要なポイントは、 基本として、人が開発をする前の自然状態と同じように、 生き物の呼吸が健全に確保されることである。そのためには、降った雨が大地に浸透し、大地を潤しながら新鮮な空気と混じりあって地面に抜けていく状態を施工として押さえることである。
この視点でこのやんばるを見つめた時、コンクリートずくめの都会とこの大地における水と空気の動き(大地の呼吸)には、よく似た点があると考えられる。それは、コンクリートを中心とした開発地周辺で泥水が発生し、植物を中心とした生き物が呼吸不良の症状を呈していることである。これは、先ず開発地の土の中ではコンクリートを始めとした重量物により土圧がかかって、圧迫され、空気と水の動きが低下するためだと考えられる。なぜなら、現代の土木工事では、土の中において、自然状態のときとは違って、水の抜ける排水施工は施されていても、空気が十分に抜ける通気施工がほとんど考えられていないためである。こうした要因で、地下における全体的な水と空気の動きのムラ(大地の呼吸不良)が発生し、最終末端での地表面で水や空気が動きにくくなり、降ってくる雨水が地表面に停滞したり、浸透しきれずに表面を流れ出したりする結果、表土を侵食しながら都会と同じように泥水を発生させる原因になっていると考えられる。
上記の原因を考え、これまで私達が行ってきた各地での改善施工を踏まえて、このやんばるの開発農地の一部の敷地(42m × 83m = 3,500m2)で、素堀側溝による畑地の通気改善作業を実施した。具体的には、パワーショベルによる深さ1m弱の素堀側溝をとり、この部分から滞った空気を入れ替えてやることによって、結果的に表層の雨水の浸透を回復し、停滞水を解消し、作物の根の周辺の水と空気の動き(呼吸)を改善することを目的とした。」
写真下 改善した畑で収穫されたジャガイモ