民話の郷さくま


狸をだました金蔵さん


 むかし むかし 吉沢の金蔵さんは 浦川の町へ 用事があっての帰り、狸の遊び場と呼ばれる林に差し掛かりました。

 ここまで来れば吉沢はもうすぐ、ほっと一息ついていると 林の奥のほうから、祭りの太鼓や笛の音が聞こえてくるではありませんか。祭り好きの金造さんは もうたまりません。その声のする方へ吸い寄せられるように 近づいていきました。

 そこはにぎやかな お祭り風景でした。みこしをかつぐ若者や おはやし衆 それを取り巻く見物人。今や祭りは最高調。金蔵さんは 家に帰るのも忘れ ふらふらと祭りの中に入ると 囃子にあわせて踊り出しました。ピーヒャラ、ピーヒャラ、ピーヒャラドン。

 どれだけ踊ったのでしょう 金蔵さんは疲れ果てて 道端に腰を下ろすと つい うとうとと寝入ってしまいました。

「おーい おーい 」人の声に 目を覚ますと、あたりは真っ暗です。家の人や、近所の人が 探しに来てくれて 狸にだまされていたことに気がつきました。

 このことがあって 数日後 家から少し離れた山で 薪拾いをしていると「こんにちは 金蔵さん 今夜祭りだでよう 遊びに来てくれよう」男はそれだけ言うと 名も告げず 行ってしまいました。

「さては こないだの たぬきだな」
 金蔵さんは 良い計略を思いつきました。金蔵さんが たぬき林に行ってみるとまさに祭りが始まろうとしていました。祭り好きの金蔵さんは ひとときを 楽しく踊りました。

 やがて大勢の中から 大将らしい ねぎ様を見つけると 今まで隠し持っていた鏡をいきなり顔の前に突き出しました。

 するとどうでしょう ねぎ様は自分の前に もう一人のねぎ様がいるのを見て びっくり 「うー」と うなると 鏡の中でも うなっております。いつしか たぬきの姿に戻ると しっぽをまいて 逃げ出しました。

 それを見ると ほかのたぬきたちも 木の皮や 葉っぱをかなぐり捨てて いっせいに逃げ帰ってしまいました。

 「やれやれ これで村衆も だまされて迷惑する事も 無くなるわい。でも これで たぬきの祭りともお別れか」と 独り言を言いながら 家路を 急ぎました。

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