It believes(スプリンターズS)

いいとこなしのユウキャラットを自分と投影したマスターは
もうきっぱり彼女のことは忘れようと思った。
そして、内秘めていた言葉を噛み砕いて飲みこんだ。

そんなマスターの気持ちを知らずに、黒川はある情報を元に、
吉原のある店いた。美和に良く似た娘「あやか」を指名した。

「お待たせしました。お客さんどうぞ・・・」
そういった女は言葉を失い固まった。
若干ケバくなったものの、3ケ月前までJackPotで働いていた美和だった。
「探したぜ」
そう黒川が意気込む。
「誰?人違いじゃないの?」
「人違いだぁ〜。出るとこでて困るのはあんたじゃないのか」
「・・・・・・」
言葉にならない美和に追い討ちをかける。
「支配人呼んできな!」
その言葉弾かれた様に奥にひっこみ、青ざめた支配人と
ともに再び美和が現れた。

「どういう話で・・・」
支配人が恐る恐る切り出す。
「こいつが、うちらから借りた金と持ち逃げした店の金踏み倒して逃げやがった。
だから、連れて帰る。」
「おい。ちょっと待てよ。こいつは借金の型に銀竜会から預かってんだ。」
慌てふためく支配人をよそに、黒川はこう切り出す。
「そちらでうちらの債権買い取ってくれないかね。」
「いくらで・・・?」
「マスターからの借金50万。店の持ち逃げした金100万。健からの5万と利子。
コウシャクの3万と利子。高橋からの2万と利子。それからそれに伴う慰謝料閉めて、
200万!きっちり払ってもらいたい。」
「わかった・・・。」
支配人は、売れっ子美和の勤める期間が延びることによる利益を頭の中で
弾きあっさり認めた。
そして金庫から、帯びに閉じられた2つの札束を黒川に渡した。
「私どうなるの・・・」
不安そうな美和に
「な〜に勤める期間が延びただけだよ・・。」
そう支配人は笑顔で答えた。
そして契約書に署名捺印させた。この辺は抜かりがないようだ。
「利子分は頂いてくか・・・」
そう言って黒川は美和と個室に入る。
「それは・・・」
そう言う支配人を目で殺した。


その頃、田島は長瀬と赤坂のお好み焼き屋にいた。
お好み焼き屋と言えど、品があって落ち着きがある個室の部屋だ。
表向きはG1から再びスタートする長瀬のコラムの打合せ。
本当のことを言うと田島の快気祝いと秋のG1勝利を誓っての所期祝いだ。
要領よくお好み焼きを作る田島に長瀬は見とれていた。
「田島さんって何でもできるんですね。」
「なんでもではないけどこのくらいなら・・・」
テレながら独身生活が身にしみた。
「ところでスプリンターズSはどんな感じ?」
「もうすぐ仕事の話なんだから・・・」
「ははは・・。」
思わず笑ってしまう2人。
目と目が合って沈黙・・・・その沈黙に耐えられなくなった長瀬が
「さあ、田島さん飲んでください〜」
「どうもどうも、じゃあ若菜ちゃんも」
お互い差しす差されつで、すっかり酔いも回ってきた。
「私は武豊のビリーヴを信じるの。」
そう長瀬が競馬の話をし始めた頃は、冷酒を傾け始めた頃だった。
「相手はね〜アドマヤとショウナン。それからサニングでしょう、ディヴァイン
でしょう・・サーガに・・・」
「なんでビリーヴなの?」
そう聞く田島。
「偉大なるサンデーサイレンスに敬意を表して!なん〜ちゃって。」
「???」
ぽかんとする田島に向かって
「武豊って騎手は実力馬を実力どおりに走らせるのも上手いけど、
本当は実力のない馬を実力以上に走らせるのが異常に上手いの。」
「うん。天才だからな。」
「で天候や馬場を考えたらどうしても3番手じゃない?武豊が乗らなかったら、
何番人気?って考えるの。」
「うむうむ。」
考え込む田島に
「3番人気ぐらいが妥当でしょう。だから武が乗ったらそれ以上の成績。
つまり連は外さないの。」
と自信ありげの長瀬である。
あすの紙面、長瀬のこの馬から流せは◎ビリーヴを信じる。
武をビリーブをIt believes.ってとこだろうか。


このあとは、ショットバーへでも・・・そう考える田島。
彼女は私をビリーヴなのだろうか?
その答えはショットバーで明らかになりそうだ・・・・。