この馬から流せ(天皇賞)

次の日、長瀬の事務所に当新聞への原稿依頼したら、女優という面を押し出すこと
を条件に承諾を得た。これで、当社の新聞の売り上げが伸びるこを期待して、
上司の尾崎に報告した。
「ギャラの話はどうなんだ?」
「ええ・・。なんとか当社の規程の範囲でやってもらえそうで・・・」
大まかな話はしていたものの、実金額までは話はしていなかった。
「その辺は、私と編集長で交渉するよ。ここまで話がまとまっただけでも
凄いことだからな。なんせ、各新聞社が交渉してもなかなか首を立てに振らなかった
らしいし・・・。よっぽど君の交渉の仕方が上手かったのかな。」
そう言って笑みを浮かべる尾崎は、誉めたつもりなのだろう。
「は、はあ・・」
話は簡単にスムーズに進んだだけに、今の話はあっけに取られた。
こころよくした、尾崎が飲みに行くぞ〜と競馬班に声をかけた。
仕事は8時で切り上げ行きつけの居酒屋に向かった。
「班長、いつもの居酒屋じゃ代わり映えしないね〜」
と西澤が言う。
「まあ、急遽だからしかたない・・・」
といいわけがましく言う尾崎に、気の利いた店やセッテインは誰も期待していない。
いつもの居酒屋「大蔵」
はいつものように空いていた。 
「今日は田島くんのオームランを祝って、盛大にやろう」
そういって乾杯する。
「田島さんやりましたね。どうぞ。」
そういって同僚もビールを注いでくれる。私の成果を不愉快に思う人は誰一人として
いなかった。なぜならこの企画が成功し売上が伸びれば、リストラされずに済むからだ。
一番ホットしているのは田島本人かもしれない。
競馬班だけに、共通の話題はやはり競馬となる。
「長瀬さんはちゃんと予想できるのかね」
そう尾崎は心配で聞いてくる。
「たぶん自分より詳しいので、当たるんじゃないかな」
そう、答える。
「タイトルは若菜のおっぱい予想ってのどう?」
そう口を入れてきたのは、伊地知だ。いかにも好色そうな男はもうほろ酔いかげんだ。
「いやいや、ボインボイン馬券っていうのもいいぞ」
尾崎も拍車をかける。
さえぎるように
「もう決まっているんですよ。本人も了解済みで。」
「な〜んだ。でタイトルは?」
本当に残念そうな伊地知が言う。
「若菜のこの馬からながせ!」
そう私が言うと
「おお!いいネーミングだね」
尾崎も気に入ったようだ。
時間も遅かったので、1次会で解散となった。


朝6時に長瀬からメールが入る。
「調子のいい馬いますか〜。教えてね」
丁度、美浦トレセンで調教タイムを取り終えて、馬房まわりを始めようとしていたところだった。

馬房回りを一通り終えて、長瀬にメールを入れる。
「マンハッタン、ジャングルともにいい。ナリタ前走を維持。サンライズもいい。ボーンギング上り調子」
結局みんな良くて、参考にならないかも知れませんね。と付け加えた。

週末に長瀬からメールが入った。
「長瀬のこの馬から流せは◎ナリタトップロード○ジャングルポケット▲エリモブライアン△マンハッタンカフェ。
△サンライズペガサス。◎流しの4点勝負よ。田島さんもお仕事頑張ってね。」

早速、ワープロ打ちして原稿にする。
テイエムオペラオーやメイショウドドウと勝負して引けを取らなかった馬です。京都3000mの
菊花賞では4コーナー早めにスパートでテイエムを封じたのはもう記憶の遥か片隅ですね。
ライバル達が消え、のびのび走れるようになったこの馬に◎を打ちます。○ジャングルポケット▲エリモブライアン
△マンハッタンカフェ。△サンライズペガサス。に流します。

さて、私の予想だが、本命◎マンハッタンカフェ○ジャングルポケット▲ナリタトップロード△サンライズペガサス。
でいく。◎流し&○−▲
結果はいかに・・・・