マクロスシリーズで最も不憫な男








連綿と続く、マクロスシリーズ。

世界観はますます広がり、様々なエピソードが展開しています。



さて。

マクロスも、物語である以上は、色々なキャラクターが登場します。


その中でも、最も不憫なキャラクターといったら、皆さんは誰を思い浮べますか?








初代マクロスで、マックスとともに一条輝の部下として登場しながら、マクロスのバリアー暴走に巻き込まれてあっさり戦死し、その後ろくに思い出してももらえなかった柿崎でしょうか?




それとも、マクロスプラスで大事なYF-19をイサムに酷使された挙句、地球でシャロンに惑わされ、イサムによって大空へ放り出されてそのままのヤンでしょうか?








他にも、不憫なキャラクターは数多くいるでしょう。

でも。



私は、「最も」不憫なキャラクターとしては、

誰よりも彼の名を挙げたいと思います。



















フィジカ・ファルクラム。

マクロス7において、特務部隊ダイヤモンド・フォースの隊員として登場した人物です。











第一話でいきなりスピリチアなる精神エネルギーを敵に奪われ、戦線離脱してしまったドッカー少尉の交代要員として、第2話でダイヤモンドフォースに配属された、フィジカ少尉。



まず彼は、同僚に恵まれませんでした。

隊長の金龍大尉は、スキンヘッドに麒麟の刺青といういかしたナイスガイ。

もう一人の隊員、ガムリン中尉は14歳のお子様に入れ揚げている偏屈な堅物。



この個性あふれる2人の中にあっては、控えめな彼など、目立つべくもありません。




しかし、それでも次第に、慎重派の人物として、少しずつ劇中での登場の機会、発言の機会も増えていきました。


「だ、だいじょうぶでしょうか?」
「僕が割り出した成功の確率は、50%に満たないのですが……」
「自分は分かりませんが、確か、書物では……」




……………。
………。





あんた、本当にエリート部隊の隊員なのか?



逆に、それが彼の個性なのかもしれないな、と思い始めた頃。




彼の、最大の見せ場が訪れました。


マクロス7第16話「戦場のオルゴール」。


敵の策略によりシティ7と離れ離れになってしまったマクロス7船団。

そこに、敵の大部隊が本格的な急襲をかけてくる、というストーリーです。





憂いに満ちた表情で、一人宇宙を眺める、フィジカ少尉。
心配するガムリン中尉に、彼は、手作りのオルゴールを見せるのです。



「今日、子供の誕生日なんです。それに間に合わせようと作ったんですが……」








あんた、妻子もちだったのか!

かなりデカルチャーな事実が明らかになりつつ、はぐれてしまったシティ7にいる妻子を想うフィジカ少尉は、ガムリン中尉に慰められるのでした。

「明日になれば、フォールドブースターの調整も終わる。そうすれば、シティ7に急行できる」




しかし。

そこへやってきた、敵の大艦隊。

当然、ダイヤモンドフォースにも、スクランブルがかかります。

フィジカ少尉は、オルゴールをお守り代わりにコクピットの中に据えて、戦場に赴きます。





金龍隊長に、「まだシティ7は敵の手に落ちていない」と諭され、俄然張り切るフィジカ少尉。

いままでの控えめな彼からは信じられないほどの、獅子奮迅振りを見せてくれます。

「うおおおお――――っ!!」








その間、バトル7はトランスフォーメーションを開始。
切り札、マクロスキャノンの発射体制を整えます。



「もうすぐだよ……」

その時。
油断だったのでしょうか。



フィジカの駆るVF-17Dは、敵弾の直撃を受けてしまうのです。






「フィジカァ―――――ッ!!」

いったい、どれだけの人間が、ガムリン中尉と一緒に画面の前で叫んだことでしょう。




こうして、フィジカ少尉は、再び家族に会うことなく、非業の戦死を遂げ、二階級特進となりました。























と、ここまでなら。

「悲しいけど、これって戦争なのよね」

というお話なのですが。





彼には、この後があるのです。






この後、金龍隊長もスピリチアを奪われ、戦線を離脱。
一人残ったガムリン中尉は、ようやくシティ7に合流しました。


ガムリン中尉は、フィジカの遺品となったオルゴールを手に、フィジカの家族に報告に赴きます。

そこで、ガムリン中尉が見たものは。





フィジカ少尉の奥さんと、子供と、……男。

公園で、仲良さそうにしている三人。


フィジカ少尉の妻子が、フィジカ少尉でない男と、アットホームな雰囲気を作り出しているという、あんまりと言えばあんまりな光景でした。


とどめに、あどけないお子さんの、男に駆け寄る姿。

「パパーっ!」




私は、ガムリン中尉と一緒に、その場を逃げ出したい思いでした。

報われません、フィジカ少尉。

不憫です。あまりにも不憫です。



このエピソードは、基本的に大円団のマクロス7という話の中にあって、大きな「しこり」となって、私の胸に残りました。



そりゃあ、残されてしまった家族は、新たな幸せを見つけなくてはいけません。

いつまでも故人の思い出にとらわれてはいけないでしょう。







それにしても早すぎ。

悲しい。悲しすぎます、フィジカ少尉。




その後……。

私は、購入したマクロス7のLDに入っていた資料の中に、
この件に関するフォローがあるのを、見つけました。

「言葉を覚えたての子供には、大人の男性を見境なく『パパ』と呼ぶことがある」













……なあんだ。
必ずしも「新しいお父さん」ができていたわけじゃなかったんだ。








……って、ことはですよ。

ガムリン中尉と私達の早とちりだったわけですね





いや、ちょっと待ってください。

私はLDを買ったから、その事実に触れることが出来ましたけど。



TV放映しか見ていない人。

レンタルビデオで借りてみただけの人。



この人たちは、このフォローを知ることはないんですよね。










やっぱり不憫すぎます、フィジカ少尉(涙)。











余談ですが、この後、第一話で戦線離脱したドッカー少尉は、歌の力で復活。
大尉に昇進し、特務部隊エメラルド・フォースの隊長に就任します。

……復活しただけで2階級昇進……。

やっぱり報われません、フィジカ少尉。







おしまい




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