二つのマクロスをつないだキャラ、クロレ


※このコラムは、完全にネタバレです。未見の方は注意願います。










マクロス7。


大ヒットアニメ、超時空要塞マクロスの正当続編として製作されたTVシリーズですが、その「全然テンションが違う」「バルキリーに口がありやがる」など、旧作ファンの拒否反応を招いたのもまた事実。

しかも、本来旧作との繋がりを明確に現すキャラクターになるはずだったキャラはといえば……




マックスは苦労人の管理職。

エキセドルは助言するだけの背景キャラ。

ミリアに至っては見事なまでのオバタリアン。


と、ますます旧作のコアなファンを萎えさせるキャラであったこともまた事実。

結果、マクロス7はマクロスとは「別の物」と断じるファンも少なくなかったことと思われます。















しかし、いたるところで旧作との親和性を保とうとしている努力、それは認めて欲しいのです。


私としては、もし食わず嫌いで未見の方がいらっしゃるのなら、偏見を取り除いてぜひ見ていただきたいな、と。

そんな気持ちで、今さらながらこのコラムを執筆いたしました。





今回ご紹介するのは、ある意味、マクロス7という物語の性質をわずか30分で表現した隠れた傑作キャラ&話。



それは、マクロス7:TV未放映のストーリー。
ビデオ、DVDの最終巻にのみ収録されている「最強女の艦隊」に登場する、メルトランディ艦隊司令官、クロレです。


クロレ司令近影(右側。左は片腕のトランキル参謀)









西暦2010年。地球においてゼントラーディ軍と地球人類は壮絶な戦闘の果て、ゼントラーディ軍ボドルザー基幹艦隊が壊滅、文化に触れたゼントラーディ人と地球人類は共存共栄の道を歩き始めます。
しかし、広い銀河には未だに敵を求めてさまようゼントラーディ艦隊がいくつも残存していました。

クロレ司令の率いる艦隊もその一つです。



マクロス7船団を発見したクロレ司令の艦隊は、生粋のゼントラーディ軍らしく、見敵必殺の精神をもって、マクロス7船団正面にデフォールド、堂々と攻撃を仕掛けてきます。









またたく間に前線が崩壊していくマクロス7船団護衛艦隊。
相変わらず弱っちいです。









しかし、そこはマクロス7船団。
戦いとあればヤツが出てきます。

炎のカリスマ、爆弾ミュージシャン、宇宙を翔けるカラオケ野郎、我等がアニマスピリチア、ファイヤーボンバーの熱気バサラ!



旧作ファンをのけぞらせた名台詞「オレの歌を聞け!」の掛け声と共に、旧作ファンを失意のどん底に叩き落した口のあるバルキリーを駆り、颯爽と戦場に現われ、ゲリラライブをおっぱじめる熱気バサラ。

このスタイルを受け入れなければこの作品を愛することは出来ない、基本中の基本パターンです。



サウンドブースター(宇宙空間でも歌を伝えることができる……つまりマイクとスピーカー)もセット完了、ノリノリで「POWER TO THE DREAM」を歌おうとすると……。







戦場に姿を現した、金色黄色のクァドラン・ロー!






黄色のクァドラン・ローはバサラ機のサウンドブースターをあっさり破壊し、さらにスピーカーポッドも華麗にかわしていきます。

それこそが、かつてラプラミズ艦隊でエースの名をほしいままにしたミリア・ファリーナと撃墜数を争っていた、クロレ司令の機体だったのです。

結局バサラは手も足も出ず、というか歌わせてももらえず撤退。
マクロス7船団もクロレ艦隊との距離をとって、戦線を一時停滞させることに成功します。










すかさず、停戦交渉を行なうマックス&ミリア。

回線がつながり、いよいよクロレ司令の登場です。



ミリアと同じように若く見えますが、ミリアと同じようなお年のはずです。
CVも、エヴァの葛城ミサト以来、年増役の第一人者となった感のある三石琴乃女史。

クロレ司令はマックスたちの停戦交渉を一蹴しつつも、ゼントラーディ人の助命は考慮するという裁量も見せます。
小さくなってオバサンになったミリアを鼻で笑うことも忘れません。



まさにその立ち振る舞いは生粋の戦闘民族ゼントラーディ。






「しかし、なぜミリアは男性形態と一緒にいたのだ?」

マクロスファンなら思わずニヤリとするこの台詞。
しかし、実際には少々反応が鈍いも取れます。女性と男性が一緒にいるというありえない事実に対して、ちょっと疑問に思っただけ。






「エースのミリアがどのような策を使ってくるのか、興味深い」



この時点では、本当に余裕しゃくしゃくです、クロレ司令。













なんだかんだで、停戦交渉特使として、マックス夫妻自らVF−22に乗ってクロレ司令の艦へやってきました。

ゼントラーディの戦意を削ぎ落とすには、文化を見せつけるのが最も効果的です。
それは、旧作から引き続いて登場しているこの二人なら、まさに肌でそれを知っているのです。





んでもって。



クロレ司令の目の前でキースー。
30年以上連れ添った熟年夫婦はなんだかんだ言いながら、必要以上に濃厚なヤツを見せつけてくれます。





さすがのクロレ司令もこれには思いっきりヤックデカルチャー。
この年で、この容姿で、キスも知らないウブな精神というのはかなりかわいいかも。



だがしかし。




「ええい、やめろ、やめろ!!」



すんでのところで自制心を働かせ、威嚇射撃。宇宙船の艦内でそんなことやるとはなかなか豪胆です。

で、トランキル参謀の機転で、マックスとミリアは別々に閉じ込められてしまいました。













続いて、マクロス7船団はミレーヌ・ジーナスを起用し、ミンメイの歌をカバーしてカルチャーショックを引き起こそうという実にわかりやすい作戦を立てます。
しかし、所詮はミレーヌ。
一部の兵士にこそ影響を与えたものの、クロレ司令をはじめとしたほとんどのメルトラン兵士には効果ありませんでした。異常音波の一言で片付けられておしまいです。




しかし、一時的にでもクロレ司令以下を混乱させることは出来たようで。

そこへ突如、クロレの座乗する旗艦の前にデフォールド反応!



「しまった、奇襲か!?」



クロレ司令、ある意味、正解。

そこに現われたのは、ありえないくらいバカでかいスピーカー射出システム「スピーカーポッドガンマ」を抱えた、旧作ファンの仇敵、ファイヤーバルキリー&熱気バサラだったのです。

「歌ってのはな、こうやって聴かせるんだよ!!」


バサラ、楽しそうにポチっとな。

スピーカーポッドを打ち出します。




発射後、順調に敵艦にめり込んでいくスピーカーポットガンマ。



セット完了。





「なんだ? 不発弾か?」





「Let’s Go つきぬけようぜ〜」
イントロも省いて、容赦なく歌いだす我等がバサラ。


大音量ドゥルビーサウンドで「突撃ラブハート」を強制的に聴かされるクロレ司令。



手をわなわな震わせて、飛び出してしまいます。





黄色いクァドラン・ローに飛び乗るクロレ司令。





「うおおおおおお―――っ!」
アドレナリン全開で出撃、一目散にバサラのところへ向かいます。




興奮しまくって、ミサイルをばらまくクロレ司令。





「貴様! 名は!?」




「熱気バサラ!」

そう答えつつ、戦場を駆けるバサラ。
クロレ司令はもう言葉にならないゼントラーディ語で叫んで、バサラを追いかけます。




















そうして……。








何がなんだか分からないうちに戦闘は収束していき……。














バサラの歌のリズムに乗ってキャーキャー騒ぐメルトランの兵士たち。

















トランキル参謀ももうバサラにラブ。




















あのクロレ司令さえも。



「デカルチャー、バサラー♪」

すっかりしまりのない顔になって、バサラにゾッコンになってしまいました。






結局、バサラの歌は大好評だった、と。

つまりアレですな、ミンメイのアイドルソングはゼントラーディ人のオタ心を直撃したのだけれど、

バサラの歌はメルトランたちの遺伝子に潜むミーハー心にダイレクトに作用した、と。



そういうオチがつきました。




これをもって、クロレ艦隊はそっくりそのままバサラのファンクラブへ転身いたしましたとさ。


めでたし、めでたし。













やっぱり、コアな旧作ファンには怒られそうな話&キャラだったわけですね。

いくらゼントラーディ語を話そうが、動くたびにギチョン、ギチョンと音がする巨人だろうが、カルチャーショックを受けようが、デカルチャーと叫ぼうが萌え萌えツンデレ年増キャラであって、マクロスの世界観にはどーたらこーたら(以下略)






でも、こういうノリがいいんだけどなあ、マクロス7って。






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