ときめき武闘伝Gメモリアル

この物語は、「ときめきメモリアル2」と「機動武闘伝Gガンダム」のパロディ小説です。
元ネタが元ネタなので、大きな心で読んでやってください。


機動武闘伝Gガンダム/(C)サンライズ、創通エージェンシー、テレビ朝日





 スポットライトが、パイプ椅子に座る、真っ赤なタキシードに身を包んだ一人の女性を照らしている。
 その女性、――九段下舞佳は、静かに、語り始める……。

「……さて、みなさん。ご存知のように、陽ノ下光は、幼なじみの主人公に告白する権利を得るために、ライバルの女の子達と戦って、戦って、戦って!……ついにはおのれの親友とも、悲しい戦いの末に、勝利を収めたのです。そして、とうとうやってきた卒業式の日。主人公に告白するべく、光は中庭の時計台に向かいます……。
 しかし! そこには、最後にして最大の敵が待ち受けていたのです。
 もはや言うことはありません。これが最後の戦いです!」

 舞佳は、立ち上がるなり上着を勢いよく脱ぎ捨て、小指を立てつつ握るマイクに向かって、白い歯を輝かせながら、叫ぶ!

「それでは主人公争奪戦最終決戦、レディー・ゴー!!」


『陽ノ下光大勝利!希望の未来へレディー・ゴー!』






「公くん、公くんっ」

 弾む心に足取り軽く、光は、まっしぐらに中庭に向かっていた。
 女の子から告白をして、中庭の時計台の鐘に祝福されて結ばれたカップルは、永遠に幸せになれる……。そんな、ひびきの高校に伝わる、伝説。
 そして、今日、このひびきの高校の卒業式の日に、とうとう、光は、彼に告白するのだ。

「あれ……?」

 中庭にたどり着いた、光。
 しかし、そこにいたのは、主人公ではなかった。
 腕組みをして仁王立ちしている女性……麻生華澄!!

「……華澄さん、どうして、ここに……?」
「ふっふっふ……光ちゃん、悪いけど、彼に告白なんて、させないわよ」

 尋ねる光に、不敵な笑みを浮かべて、応える華澄。
 その様子に、光は、警戒心をあらわにして、身構える!

「どういうことですか!」
「こういうことよ!」

 パチン、と指を鳴らす、華澄。
 すると、時計台の扉が、ひとりでに開く。
 その中には、……なんと磔にされている主人公の姿が!

「公くん!」
「安心していいわよ。薬で眠ってもらっているだけだから。もっともこの後、この私が、光ちゃんみたいなお子様じゃ想像もできないような、あーんなすごいことや、こーんないけないことを仕込んであげるのだけど……そう、あなたを始末した後でね」

 華澄は、もう一度、指を鳴らす。

「来なさい、在校生諸君!」

 それを合図に、ひびきの高校の1、2年生、計724人が、一斉に校舎から飛び出してきて、光の周囲を取り囲む!

「こ、これは!」

 この事態に驚きを隠せない光に、在校生筆頭の伊集院メイが、バツの悪そうな顔で、応える。

「す……すまないのだ、陽ノ下。メイ達も内申をタテにとられては先生に逆らえないのだ。ここは潔く主人公をあきらめて欲しいのだ。そしておとなしくメイたちにやられて欲しいのだ」

 一斉に、光に襲い掛かる在校生達。
 ここに来て、光は、ようやく事態が飲み込めた。
 華澄は、主人公を光から、かっさらおうというのだ。
 それも、在校生全員を使ってまで。
 これには、光も、切れた。

「ふっざけるなああああっ!!」

 とりあえず、襲い掛かってきた生徒10人ばかりを殴り飛ばす光。
 さらに襲い掛かる、在校生。
 応戦しながらも、光は、華澄を睨みつける。

「これが教師のすることなのっ!?」
「なんとでも言いなさい、世の中、勝った者が一番えらいのよ」
「おのれ〜!!」

 次々と襲い掛かる在校生を、バッタバッタとなぎ倒す、光。
 しかし、さすがに疲れが、見え始める。
 すでに100人近くを返り討ちにした光であったが、その動きは、明らかに鈍ってきている。

「……こ、このままじゃ……」

 光が、くじけそうになったその時!
 一筋の彗星が、在校生の群れの中に飛び込んできた!

「真・流星会長キィーック!!」

 何人もの生徒が、その一撃で吹き飛ばされる。
 その彗星の正体は……かつて主人公をかけて戦ったライバルの一人、赤井ほむら!

「赤井さん!」
「こいつらの相手はあたしたちが引き受けてやっからよ、おめーは早く、あいつのところに行ってやれ!」
「――そうだよ、陽ノ下さん!」

 ほむらだけではない。光と、在校生の間に、やはりかつて主人公をかけて戦った、一文字茜が、白雪美帆が、八重花桜梨が、割って入る!……転校した佐倉楓子と、いつもどこかでトラブルに巻き込まれている寿美幸の姿は、ないのだが……。

「――みんな!」
「ここはボクたちに任せて!」
「こんな形で、あなたの想いを、そして私たちの想いを踏みにじらせるわけには行きません!」
「必ず、幸せになって、陽ノ下さん……!」

 そして、三人も、在校生達に向かって、それぞれの必殺技を、放つ!

「くらえっ! 豪熱!フライパンパーンチ!!」
「行きなさい、妖精さん! フェアリーハリケーン!!」
「うおおおーっ! グラビトンスパイクーッ!!」

 たちまち吹き飛ばされる在校生。

「おのれ〜、負け犬どもが〜!」

 苦虫を噛み潰す、華澄。
 その華澄の前に、喧騒を抜け出た光が、立つ!

「ここまでだよ、華澄さん!」
「ふ……ふふん」

 しかし、華澄は、まだ余裕の笑いを見せる。

「勇ましいわね、光ちゃん。さしずめ、あなたは囚われの王子様を助けにきた勇敢なお姫様で、私はそれを邪魔する悪い魔法使い、というところかしら」
「うるさい!」

 光が、一喝する。

「おとなしく公くんを返せばよし! さもなくば……」
「さもなくば……?」
「あなたをぉぉぉっ、倒すっ!」

 華澄に向かって、かまえる、光。

「ふふふ……こんなこともあろうかと、鍛えに鍛えたこの体!」

 スーツの上着を勢いよく脱ぎ捨てる華澄。

「あなたに、勝てるかしら?」
「ならば受けてみよ、流派ときめきメモリアルが王者の風!」

 いきなり、最終奥義を繰り出す、光。

「ときめき天驚けーんっ!!」

 華澄に向けて、光は、強大な闘気の塊をぶちかます。
 しかし!
 華澄は、口の端を吊り上げて、余裕の笑みをうかべる。

「ふんっ!!」

 真正面から、光の技を受け止める華澄。その豊かな胸がふるえる……それだけであった。

「なっ……無傷っ!?」
「今度は、こちらの番ね」

 華澄は、両手の平を光に向ける。そこに、凄まじいまでの黒い闘気が集中する!

「はあああああああーっ!!」

 闘気の塊を放つ、華澄。
 それは、凄まじい勢いで、光に襲いかかる!
 その時!
 割って入る一つの巨大な影!

「はあっ!!」

 闘気の固まりは、その影に阻まれ、霧散する。

「むっ!?」
「あ、あなたは!?」

 乱入してきたその影……それは、白馬にまたがる、光の親友、水無月琴子!

「あんたの相手は、私がしてあげるわよ、最低女!」
「琴子!」

 親友の登場に、喜ぶ光。
 琴子は、そんな光に向かって、微笑む。

「さあ、光、ここは私に任せて、あいつのところに行きなさい!」
「うん!」

 そして、琴子は、華澄と対峙する。
 思いっきり歯軋りしている、華澄。

「おのれ〜、元ネタどおり、おとなしく死んでればいいものを〜!!」
「うるさいわね、行くわよ、風雲再起!」

 琴子が手綱を引くと、白馬はヒヒン、といなないて、華澄に突撃を始める。
 一方、光は、とうとう主人公の下にたどり着く!

「公くん、公くん!」

 磔にされた主人公は、しかし、光の呼びかけに応えない。

「ふふふ、無駄よ無駄! 巨象も三日三晩眠る強力な麻酔薬よ! 何やったって起きやしないわ! 伝説の告白なんてできないのよ!」

 高らかに笑う華澄。
 その華澄に、白馬、風雲再起の後ろ足が襲いかかる。

「まったく!……人の恋路を邪魔する外道は、馬に蹴られて地獄に落ちなさい!」
「きゃあ!!」

 文字通り、馬に蹴られる華澄。ものの見事に、見事にふっ飛ばされる。
 そして、琴子は、光に向かって叫ぶ!

「光! 相手が寝てようが関係ないわ! あなたの想いのたけをぶつけてやりなさい!」

 琴子だけではない、ほむらたちも、光を激励する。

「そうだぜ、陽ノ下!」
「言ってしまえばいい!」
「そうです、今こそ!」
「告白、して!」
「みんな……!」

 みんなの激励を受け、光は、力強く、頷く。
 そして、眠る主人公の方を向き……意を決した。

「……そのままでいいから、聞いて欲しい」

 静かに、光は話し出す。

「小さい頃、君はずっと私と一緒にいてくれたよね。それが、当たり前だった。だから、君が引っ越して行っちゃったとき、本当に、本当に、かなしかったんだよ。まるで、自分の体の半分がなくなっちゃったみたいで……」

 主人公の眉が、僅かに、動く。

「私、ずっと、君のこと、忘れられなかった。そして、このひびきの高校で再会できたとき、私、本当にうれしかった!」

 主人公は、光の言葉に、明らかに反応している。

「ずっと変わらなかった、……ううん、再会してからは、ますます強くなっていった私の想い……。私は、私は……!!」

 光は、叫ぶ!!

「君が好きだ! 君が欲しいーっ!!」
「光!」

 ぱっちりと、目を覚ます主人公。
 そして、自ら、磔の拘束をぶち壊して、自由になる!

「公くん!」
「光!」

 二人は、しっかりと抱き合う。

「もう離さない!」
「もう離れない!」
「「ずうっと、ずうっと、一緒だよ!」」

 もう目のやり場に困るくらいのアツアツぶりである。

「そんな!……おのれ〜!!」

 馬に蹴られたダメージからようやく立ち直った華澄は、主人公が目を覚ましたことに驚き、お熱い二人を見て歯噛みする。

「子供の頃からさんざん私に憧れといて、このオチはないでしょう!!」

 そう叫んで、二人に襲いかかろうとする華澄。
 主人公は、そんな華澄に、きっぱりと、言う。

「すいません、華澄さん、やっぱり俺、同い年の光のほうが大切です!」

 が――――んっ……

 その言葉に、真っ白になってしまう華澄。
 光は、そんな華澄をキッと睨んで、主人公に、言う。

「さあ、最後の仕上げだよ!」
「ああ!」

 二人は、一緒に構える。

「二人のこの手が真っ赤に燃える!」
「幸せつかめと轟き叫ぶ!」

 くるくるダンスを踊る、二人。

「「しゃ〜くねつっ!!」」

 ここで、ビシッとポーズを決める。
 そして、凄まじい闘気を、溜める。

「「サンシャインフィンガー!!」」
「とき!」
「めき!」
「「ら〜ぶらぶ天驚けーんっ!!」」

 二人が放つ、強大な闘気の拳!!
 その闘気は、やがて、爆裂山校長の姿を形作る!!

『麻生君! いかに自由をモットーとする我が校でも、生徒とのアバンチュールは新聞沙汰になるからご法度じゃ!!』
「そんなーっ!!」

 たちまち闘気の渦に巻き込まれ、華澄は、はるか彼方へと吹き飛ばされる。
 星となって、消える華澄。
 もはや、光と主人公を妨げるものは、何もない。

「さあ、私たちの門出だよっ!」
「ああ!」

 光が、主人公を両手で抱えあげる。
 そんな二人を、琴子が、ほむらが、茜が、美帆が、花桜梨が、そしてメイたち在校生が、万雷の拍手で祝福する。
 そして。

 ――がらん、ごろん。がらん、ごろん。

 鳴らないはずの伝説の鐘が、二人の永遠の幸せを約束するかのように、高らかに鳴り響いた……。



  ――― * ――― * ―――



 ひびきの高校の裏山。
 そこでは、光と主人公のらぶらぶ天驚拳でズダボロにされた華澄が、一人泣いていた。

「……なによっ、なによっ、どーせ私は年上よっ。いーじゃないの、5つくらいの年の差っ。まだまだ肌のツヤだってプロポーションだって、若い子に負けてないのにっ!」

 ひとしきり泣いた後、華澄は、おもむろに懐から携帯電話を取り出し、親友に電話をかける。

「――あー、もしもし、舞佳?今晩飲むから付き合ってくれる?……え?バイト?……そんなもんフケちゃいなさいよっ!……いいわねっ、問答無用よ!」

 見事な失恋であったが、さすがというか何と言うか、なかなか、たくましいようで。




おしまい


後書き:
この話は、以前書いた「ときめき武闘伝Gメモリアル」の続編として考えていたものです。今までネタの一つとして寝かせていたのですが、とある掲示板で、たまたまGガン×ときメモのパロディの話題が挙がったので、勢いに乗って書いてしまいました。
その凄まじい告白シーンで話題になった元ネタの最終回。ある意味、前作よりもこちらのほうが「ときメモ」らしい話と言えるかもしれません(←嘘つけ)。
で、ウォン、ウルベ、そしてデビルガンダムと、悪役総取りの華澄センセ。ファンの皆さん、本当にごめんなさい。でも光っちが主役だと、やっぱり……(汗)。
それでは、こんなバカ話を読んでくださって、ありがとうございました!