旧古河邸は足尾銅山等を経営していた古河財閥の三代目,古河虎之介の邸宅として1917(大正6)年,東京の北,西ヶ原の丘(駒込駅から徒歩10分程度)に建てられた.設計はジョサイア・コンドル.
正面.真鶴産の小松石で覆われた外壁は荒く仕上げられ,重々しい感じを醸し出している.
クラシックな洋館なのに窓の大きさがバラバラなのが興味深い.
庭側.武蔵野台地(今はビルだらけのこの辺も武蔵野だったのですね)の南斜面という地形を活かし,丘のてっぺんに洋館を建て,それを見下ろす形で斜面に洋風庭園を,さらに低地には和風庭園を配している.
外からはわからないが,この建物は一階を洋室,二階を和室とした和洋折衷の構成になっている.そう,ここは建物の中も外も和洋折衷(区分けはされているので和洋併置というべきか)なのである.
洋風庭園の設計はコンドル自身が行った.和風庭園は京都の庭師,小川治兵衛の手になる.
コンドルは薔薇が好きだったそうだ.自宅はもちろんのこと,手がけた邸宅建築にも薔薇園を造っていたそうだが,これほど本格的で立派なものは,ここの他に例を見ないのではあるまいか.
和風庭園は森に覆われて屋敷から直接は見えないため,庭園どうしの風景がケンカをしてしまうことはない.だが「融合」「共存」とは言い難いこの一種奇妙な空間を,日本に帰化しいわば和洋双方の精神を持つコンドル自身はどう思っていたのであろうか.
内部見学は事前予約が必要だが,一階に喫茶室が用意されており,いつでも入ることができる(ただし内部は撮影禁止です).
部屋のインテリアには派手さはないが,食堂の暖炉は鏡付き,イオニア式の付け柱,マーブルの大理石とさすがに立派なものだ.あと食堂の天井部分に果物をモチーフにしたレリーフが付けられているのが目につく.
(1999.05 記)
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