清洲寮
〜下町の白亜の建物〜



清澄庭園の近く,清洲橋通り沿いに清洲寮は建つ.1932(昭和7)年竣工.寮と言っても単にアパートの意味で,今で言う寮のことではない.

全景

見ての通り真っ白な建物である.装飾を極力排したデザイン,バルコニーの造作などもまさにモダンというにふさわしいと思う.内風呂こそなかったようだが,建設当初から水洗トイレがついており,デザインのみならず機能的にも最先端をいく住宅だったようだ.
入口は5つあり,それぞれ「い」〜「ほ」と付けられている.なぜか和風なのである.両端の入口だけ段がなく小さいのが特徴的だ.一階は店舗向けのようだが,今はバイクショップとゲームセンターだけが入っており,残りは駐車場になっているようだ.
建物の両端のブロックには各階に手摺りがあるが,両端だけでなぜか真中がごっそりなくなっている.柱が一部残っているので,老朽化して取り外したのかもしれない(注:どうも戦時中の金属供出でなくなったものらしいです).

中央入口各戸玄関

写真左:中央玄関.玄関上部には「清洲寮」の文字が入っている.明朝体なのが生真面目な感じ.
階段室方式になっているので各フロアは通り抜けできないのだが,真ん中だけはバルコニーを通じて隣のブロックに行けるようになっている.しかしなぜ真ん中だけにバルコニーをつけたんでしょうねえ.
写真右:各戸の扉はなぜか引き戸.モダンな外観に和風が現れるのがミスマッチしている.

ここは改修を加えながら現役として使い続けられるようだ.実際私が訪ねたときも入居者募集の貼り紙があった.
外から見るかぎり補修状態もよさそうで,近代建築ファンにはうれしい限りである.
(1999年7月記)