神保町と言えばすぐ思い浮かぶのは古本屋だが,それとともに看板建築をはじめとする古い建物が多く残っている.ここでは古書街辺りを中心に,神保町から小川町辺りの近代建築を巡っていこう.
 
まずは地下鉄神保町駅からすぐ,白山通り沿いにあるのが学士会館.高橋貞太郎,佐野利器設計,1928(昭和3)年竣工.
元々は学士(大学の卒業生,もちろん今と当時では大学生のステータスが段違いだが)のためのクラブハウスである.今は結婚式やイベント用に使われているらしい.
日本工業倶楽部もそうだったが,倶楽部建築の常として外観はシンプルである.二階の大きな窓がモダンな雰囲気を醸し出している.
ちなみにここで1986年6月10日,建築探偵 藤森照信氏も参加した路上観察学会の発足式が行われた.
 
学士会館横の神田警察通りを歩いていると,現代的なビル群の中にいきなり古色蒼然というか,クラシカルな建物が現れるので驚いてしまうのだが,これは博報堂である.岡田信一郎設計,1928(昭和3)年竣工.
現在の本社機能は田町の方に移転になっており,ここは博報堂の研究所や児童教育振興会といったところが入っているらしい.
正面の三本の円柱などを見ると彼の設計した明治生命館を思い出して,なるほどなあと感心してしまう.正面や側面の窓周りのデザインもすてきだ.
下からでは見えないが,右手の塔屋は屋根部分が階段状(国会議事堂のように?)なっているそうだ.
靖国通り沿いの書店街を歩いてみよう.少なくはなったが古い建物が残っている.
 
写真左:てっぺんの虫(?)のような装飾と窓の周りの緑がよく目立つ.壁に表示された店名が右から左に表示されているのがやはり戦前の作である.
写真右:旧澤書店.唐破風型の屋根の下に西洋風のアーチの装飾と,見事な和洋折衷のデザインである.当時は銅版貼り,手すりも江戸小紋をあしらった,さらによい物であったらしいが,今はボンタイルが吹きつけられ,見るも悲しい風情になってしまった.
長屋風に並ぶ店.円窓に沿って屋根が切り取られているのがいいですね.
ここは1928(昭和3)年に建てられた.二軒の店が長屋形式でつながっているが,屋根が両側にまたがっていて,まるで一つの建物のように見える.ただどう見ても三階部分は屋根裏部屋とは思えないのだが,法律問題はどうやってクリアしたのか.
よく見ると三階左側の窓だけにアーチ様の装飾が施されている.
(2000年1月記.写真は1999年10月撮影)
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