鶴見
〜工場地帯の建物〜



横浜市とは言いながら鶴見はちょっと地味なイメージがあるが,歩いてみるとなかなかよい建物に出会える.


鶴見線の最初の駅,国道駅.スクラッチタイルの柱や木でできた改札口が古さを感じさせる.そして駅前ガード下の通り,アーチの美しさももちろんだが,両脇を固めている家々の古めかしさといったら,まるでここだけ時が止まってしまったかのようだ.

旧「オラガビール」工場国道一号線,新鶴見橋のたもとに建っているのが旧「オラガビール」工場.
1920(大正9)年に日英醸造という会社の工場が建ち「カスケードビール」というのを売り出したが経営不振に陥ったのを,寿屋(現サントリー)が買って「オラガビール」というビールを作っていたのだそうだ.「オラガビール」というのは田中義一首相のニックネーム「おらが大将」からつけたものらしい.ちなみにこの時の広告コピーをやったのがスモカ歯磨きで有名な天才コピーライター片岡敏郎である.
非対称な建物の構成や,付け柱の角柱と柱頭飾り(といっていいのか?),屋根辺りのデザインがなかなか洒落ていると思う.
今は倉庫になっているらしいが,ボロボロで窓も塞がれてしまっており,単に放置されているといった感が強い.

小島工業「オラガビール」工場の近くにあるのが小島工業.
一階が工場でその上がおそらくは従業員用のアパートになっている.見事な職住接近.
これは戦前ではなく1950年代くらいの建物だと思うのだがどうだろうか.コンクリート打ち放しで手すりも錆だらけ,装飾的にも特に見るべきものはないが,こういう機能的デザインは高度成長期を下支えしてきた中堅企業には似つかわしく思えてくる.

(1999年10月13日記)