Moulton

Old Buildings

Painting

Link

Diary


Home
六郷用水跡を通って
Through the remains of Rokugo irrigation



久しぶりに "Moultonium" サイト(※休止中) を覗いてみると,東京の坂をモールトンで走るというコラムが追加されていた.その中で田園調布の『どりこの坂』というのが目をひいた.名前が妙でおもしろいし,家からも近い.このおもしろい名前の坂を実際に訪ねてみたくなった.どうせなら以前から気になっていた『六郷用水跡』の遊歩道を走りながら行こうと思う.
実は毎日の通勤で駅へ行く道の途中に『六郷用水物語』と銘打った遊歩道の案内板があって,いつもはちゃんと読む時間がなくて通り過ぎていたのだが,気にはなっていたのです.

六郷用水というのは蒲田から池上,田園調布一帯の潅漑を目的として江戸時代初期に造られた農業用の用水路.完成までに約14年を要したという.

環八通り案内にしたがって出発.少し走ると,いきなり環八通りだ.いつもと変わらぬの車の列.しばらくはこの道に沿って走ることになる.『六郷用水物語』うー看板に偽りあり,なのか?
 
ぬめり坂10分ほど走って環八と別れる.
前記コラムでも指摘されていたが,多摩川下流のあたりは坂がずいぶん多いようだ.ここもそのひとつで『ぬめり坂』という.『ぬめり坂』とはこれまた奇妙な名前だ.案内に書いてある由来を見ると「かつてこの坂はのめって(原文ママ)誰も上れなかったが,土地の豪家の娘が自ら坂に生き埋めになると,それ以来坂の通行は容易になった」という言い伝えがあるらしい.
実際上ってみると多少長めではあるが,別にそれほどキツいというわけでもない,まあ普通の坂だった.これも生き埋めになった娘の霊験のおかげか.

ぬめり坂のたもとの高台には小さな稲荷がある.両脇のお狐さまは首がなかったり顔がえぐられていたりして破損著しい.ここのお狐さまは子どもを抱いている.こういう像は今までにあまり見たことがないように思うのだが,どうなのだろう.
お狐さまと狛犬また,しばらく行くと鵜の木神社があるのだが,ここの狛犬もさきほどのお狐さまと同様子ども連れ,しかも一方などはお乳を与えている.保護のためか金網に囲まれていて見にくいのがうらめしい.

珍しいものかと思っていたが,たまたま新聞に狛犬の記事が載っていて,それによるとふだん気づかないだけで子連れの狛犬は珍しいものではないのだそうな.中には三匹子連れの狛犬もいるのだという.
ちなみに,この記事でも紹介されていたが,落語家の三遊亭円丈さんが狛犬に凝っていて,本まで出してしまっているそうだ.彼のWebPage Enjo's "WHAT-THE-HELL-IS-THAT?" を見ると一口で狛犬といってもバラエティに富んでいてなかなかおもしろい.興味のある人は一度見てみるといいだろう.

六郷用水の碑『六郷用水跡』の碑.現実にはほとんどが埋められてしまい,用水として残っている場所は少ない.

壁に閉じ込められた樹道の途中にはこういうのもあります.まじめな仕事ぶりというのかな,木の幹に隙間なくぴったりはまっていますね.穴を開けておいたところに木が成長して幹が太くなった結果,隙間がなくなったのかもしれないけどね.
ちょっとトマソン的な物件(註: 『トマソン』については東京福袋を見てください).

梅の咲く道出かけたのはちょうど梅の花の咲く季節であった.
休憩所もあり,満開の梅の花を愛でつつちょっと一休みする.

六郷用水跡この辺は短いながらも用水が保存されているようだ.といってもこれは史跡というより親水公園的な意味の方が高いかもしれない.実際もう少し行くとそれっぽく石が積んであって広場のようになっており,そこで遊んでいる親子連れもいたし.それでも水の流れが身近にあると心がなごむ.

ジャバラジャバラ,踏車.水不足の時など,足で踏んで水車を回し,それで田んぼに水を送った.
もちろん今は使われていないし,動きそうなようすもない.

ジャバラのある所から2 - 3分も走れば,東急多摩川園の駅につく.そこからとりあえずの目的地『どりこの坂』まではほんの少し.
昭和の初めごろ,この坂付近に「どりこの」という清涼飲料水を開発した医学博士が居をかまえたのが名前の由来らしい.はたして「どりこの」とはどんな飲み物だったのだろう.誰か知りませんか?

どりこの坂 下からどりこの坂 上から

ここは上りがいのあるけっこうな急坂.ちょっと油断すると自転車がウィリー状態で後ろに倒れそうになるし,道が狭い上に車も意外と通るので気を使って走らねばならない.

息を切らせながら坂を上りきる.土塀とわずかに残った雑木林が美しい.
(1997年3月記)