春といえばやっぱりさくら.
花を肴にみんなでワイワイやるのも,それはそれで楽しいものだけど,静かにさくらの花そのものを愛で,春を感じる方が好きだ.
3月末の休日,ひさしぶりの青空だ.そこで,ちょっと早いかと思いながらも,家の周りや前回紹介した六郷用水の遊歩道を,さくらを探してモールトンで出かけることにした.
ここはとある会社の正門前広場.毎月末の日曜にノミの市が開かれ,出品する人と買物する人でにぎわう.いかにも商売,という感じで出してる人もいれば,ただすわって仲間どうしおしゃべりしているだけっていうようなのもいて,別に買うつもりとか全然なくっても,そういうのを眺めて歩いているだけでもけっこう楽しめたりする.
広場の中や会社の周りに植えてあるさくらも,もうすっかり満開だ.急に気温が上がったたために,春に追いつこうとしてあわてて咲いたかのようにも思える.
今回はぼくみたいなお花見がてらの冷やかしという人もいたかもしれない.
教会にて.
ここの教会は,たまに子供たちが野球ごっこをして遊んでいるときもあるが,たいていはいたって静かなもの.
ソメイヨシノだけでなく八重桜も植えてあり,長い間目を楽しませてくれる.
こんどは六郷用水の遊歩道の方に行ってみることにしよう.例によって気が向いたところでちょっと寄り道したりする.
増明院のシダレ櫻.
ソメイヨシノよりもずっと濃い色が眼に鮮やか.
宗教心などかけらもないぼくではあるが,こうして寺社に入って写真を撮らせてもらった時には,一応神さま(仏さま)への礼儀としてお参りをしていくことにしている.そういう場合,祈っている時には何も考えてないことが多い.
遊歩道から小径をちょっと入った奥にある野原の丘.周り中住宅地だらけなのにここだけぽっかりと穴が開いたように(実際には小高い丘なのでこの表現は変なのだが),野原が広がっている.
特に公園というわけでもなさそうなのだが,これだけの野原が残っているというのは,なにかふしぎな気がする.
遊歩道をしばらく走り,東急目蒲線の沼部駅のすぐ目の前に,桜坂という少し長めの坂がある.名前の由来はこの季節ならば説明するまでもないだろう.
遠くに小さく見える赤いものは歩道橋だ.ほんとうにどぎついくらい真っ赤に塗られている.
橋ではちょうど親子連れとおぼしき人たちが記念写真を撮っていた.
 
六郷用水のさくら並木.桜坂を越えた辺りから遊歩道の終わりまで,ずっとさくらのトンネルが続く.
前回紹介したジャバラはなぜか取り外されてなかった.
ここは自転車を降りてさくらのトンネルの下をのんびり歩くのもまた楽しい.
おまけ.
おいと坂.変わった名前だが,雄井戸坂と書く.“おいど”といってはいけません.
北条時頼が行脚して中原についた時に病気になってしまったが,そこの井戸を使うとまもなく完治した.その井戸は沼部に一つ,中原に一つあった.その後中原の井戸を沼部に移し,それぞれ雌井,雄井と称したのが名前の由来らしい.
ご大層な由来だが,ごく普通の,ゆるやかな坂である.
(1997年4月記)
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