22. 表板の接ぎ

難易度 : ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

材 料

今 回 使 用 す る 道 具


今回やる表板の接ぎは、ほとんど裏板の場合と手順は変わりません。違いと言えば、平面出しをする時のカンナがけの方向が変わるくらいのものです。

図 1
裏板の平面を出す(水色の部分)
図 2
裏板の平面を出す(水色の部分)
  1. 図1の水色の面を平面にします。表板の場合、カンナは年輪に対して同じ方向にかけた方が滑らかに削れます。平面は450mmのものさしを当てて確かめて下さい。
写真 1
接ぎ面をつくる
写真 2
接ぎ面の確認

  1. 2枚の板を合わせてクランプでしっかりと締め、バイスに固定します(写真1)。図2の水色の面を完全な平面にします。この面が接ぎの接着面となります。
  2. 2. で出した平面の真ん中を中心にほんの少し低くし(0.2〜0.4mmくらい)、左右対称ななだらかなカーブを作ります。へこみ具合は写真2のように確認します。
図 3
接ぎ面が出来たらハタガネで締める。完全にピッタリいってなかったらやり直し!
  1. うまく出来たと思ったら、接ぎ用ハタガネで真ん中の矢印部分をぎゅっと締め上げます。
  2. 表から見ても裏から見ても隙間無くピタリと付いたら次に進みます。少しでも間が開いていたら、一枚ずつ手直しをして(9 1/2のカンナも使う)合うようにします。失敗したら 2. に戻って平面出しからやり直します。

    ※ 夏の暖かい時期にはとくに必要ありませんが、寒い時期に接ぎを行うには、部屋をよく暖めた上、接着面をガスコンロなどであぶって温め、素早くニカワを塗り、速やかにクランプで締め上げて下さい。ただし、コンロであぶる際に火に近づけすぎると木の表面が焦げたり、長時間やりすぎると木が動き、接着面が狂うことがあるので、十分な注意が必要です。
写真 3
ハタガネで締めたところ
  1. 接着面全面にたっぷりとニカワを塗り、接着面同士を何度か擦り合わせてなじませてから、真ん中を接ぎ用ハタガネで締めます。
  2. はみ出したニカワを拭き取り、表から見ても裏から見てもうまく付いているかどうか確認します。隙間があったら微調整します。
  3. 両端を450mmのハタガネで締めます。
  4. 両端のハタガネが板から浮かないよう、クランプで固定します。(写真3)
  5. 24時間以上固定したままにしておきます。

表板の接ぎは、木質が軟らかいため、接着面がごく微妙に不確かでも、圧力によって面を密着させることが可能です。また、ニカワを塗ると、水分でさらに木が軟らかくなるので、この特徴に拍車がかかります。裏板で苦労してきっちりと作業をした方にとっては、いくぶん楽に完成させることができると思います。



ハーゼのこと

楽器のカエデの部分に杢があるものは、一般的に好まれます。杢は強ければ強いほど良く、これが無い方が好きだと言う方は少ないと思います。それと比べて、表板には何の模様も無くて味気無いと思ったことはないでしょうか。

実は、表板にも「ハーゼ」という模様が浮き出ていることがあります。右の写真の、斜めに走っている模様がそれです。

ヨーロッパでは、ハーゼが多く出ているものの方が人気が高いようです。日本ではハーゼについてあまり話題にのぼることがなく、これについての知識や認識がそれほど定着していないがために、一見傷が付いているかのように見えるハーゼの模様が、好まれないこともあるようです。

カエデの部分に杢があるものが好まれるのは、その方が美しいからというのと、模様のある木は珍しくて希少価値が高いからという理由によるものだと思われます。美しさの観点から言うと、人それぞれの好みや価値観によって評価が様々になりますが、希少価値という点では、表板のハーゼは裏板の杢よりもさらに珍しいものです。


今度楽器屋さんへ行った時は、ハーゼに注目して楽器を見てみては?


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