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First Contribution : 04/Nov/2002


1.イントロダクション
 
2.トレモロユニットによるチューニングの狂いの原因と対策
 
  1)ペグポストでの弦の「巻きゆるみ」
  2)
ストリング・ガイドとの摩擦
  3)
ナットと弦の摩擦
  4)
トレモロユニットをボディにガッチリと固定してしまっている
  5)
スプリングの本数をやたらに増やしていないか?
  6)ペグの不調を見逃していないか?
 
3.実験ギターの仕様
 
4.作業開始
 
  a)まずはトレモロの分解
  b)
トレモロベース(プレート)のメンテナンス
  c)
スタッド取り付け!(最重要!)
  d)
弦を張る/摩擦抵抗の軽減
  e)
完成!
   試奏(MP3):調整前 / 調整後(Clean) / 調整後(Drive)
 
5.あとがき

■イントロダクション

 学生時代、音楽雑誌の特集記事や先輩たちの意見などを参考に国産のストラトキャスター・コピーモデルのトレモロユニット調整を行ったことがありましたが、一度たりとも成功した事がありませんでした。もちろん自分の知識が浅く、演奏の腕前もさほど無い時期でしたので、トレモロユニットの調整など到底無理な事だったのかも知れません。

 ・・・それから20年余。今現在、シンクロナイズド・トレモロユニットの調整に関して様々な情報がインターネット上に見つける事が出来ますが、基本的には各々のサイトオーナーさんの手持ちのギターを調整した結果であったり、古くからの迷信(間違いではないが、決定的とは言えない対処法のこと)を書いているものであったり、そして何よりも重要な点は、世界中に無数にあるシンクロナイズド・トレモロユニットが搭載されたギターの固体差についてはフォローし切れていないという点です。

 もちろん、私の「シンクロナイズドトレモロパーフェクト調整術」という仰々しいタイトルのこのページも、既存のインターネットコンテンツと同様「全体から見れば本当に数少ないサンプルの一部」に過ぎないわけで、必ずしもあなたの悩みを100%解消出来ないかも知れません。

 しかし、これから述べさせて頂くレポートは客観的に見ても良く出来ていると思っており、あなたの悩みの解決に何かしら役立つものと信じて疑いません。

 本文に入る前に事前に述べさせて頂きますが、私のスタンスとしましては・・。

1.

あくまでも「ストラトキャスター愛用者の個人レポート」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

2.

当サイトでの調整方法・表現・考え方については各々ご自由にご利用くださって結構です。ただし、メディア等への掲載・引用・紹介についてはご一報ください。

3.

当サイトに記載された内容を実行し、万が一あなたの愛器が破損したとしても当方は一切責任は負いません。必ず自己責任で行ってください。また、当方では特定のリペアルームの紹介など一切行っておりません。
シンクロナイズド・トレモロユニット使用によるチューニングの狂いの原因と対策

 諸説ありますが、まずは常識的な点として・・

(1)

ペグポストでの弦の「巻きゆるみ」
   いくら細いとはいえ、弦の素材が金属である以上、新品の弦に張り替えたばかりの状態ではトレモロアームを使用した直後は少なからず「弦の巻きゆるみ」が出てしまいます。弦がゆるむと書きましたが、現実には弦が「まっすぐに戻ろう」とする力が働く為に、チューニング自体は高く(音程がシャープする)なってしまいます。

 これを解決するには、なるだけ弦を多く巻かないことです。私の経験から言わせてもらえば、新品の弦をポストに通して「ピンと張った状態」からだいたい「ペグ1個半」35ミリ程度の長さをポストに巻き付けられればベストだと思っています。

 この方法の弊害として、ストリングガイドの無い弦(特に3弦・4弦)でテンションが思うように得られず、開放弦でビビる場合がありますが、その場合はホンの少し多めに巻きつけるようにしてください。何度かの弦交換で一番ベストな巻数を調べ、メモを取ることが大切です。

 以前、このコーナーでペグポストの高さの違う「スタガードペグ」をご紹介させて頂きましたが、ごく最近、アメリカンシリーズ用のペグを使う機会があり、実践してみたところ弦の巻き付けがイマイチ不便だということが判明しました。標準では1弦〜4弦までがポストの低いペグになりますが、自分のギターの場合低くあって欲しいのは3弦と2弦のみであったためそれ以外はノーマルのままで使用することにしました。

 また、ロックペグも使用してみました。結果はかなり良好で、弦を張ってから2〜3度弦を引っ張って伸ばすだけでチューニングが非常に安定しました。問題は、1本のギターに取り付けると他のギターにも欲しくなる事です。コストがかさみます・・・(涙)。
   

(2)

ストリング・ガイドとの摩擦
   多くのストラトキャスターにはストリングガイドが乗っています。1〜2弦用だけのものや、3〜4弦用のものが乗っているもの、機種により様々ですが、これまた私感になりますが開放弦でビビらない限り、最悪でも1〜2弦用のみに留めるべきだと感じます。

 この際、ストリングガイドの高さは弦がビビらない限界まで上げた方が摩擦が減り、チューニングキープに有効です。楽器屋さんでフェンダー純正のストリングガイドを買うと2セット入っており、そのうちナイロンワッシャーの高さが高いほうのものを利用するといいでしょう。

 加えてもしも可能であれば2弦をストリングガイドから外すというのも良いアイディアでしょう。私の殆どのストラトキャスターは1弦のみがストリングガイドを利用しています。
 「摩擦ゼロ」を目標に1弦を何度かガイドから外してみましたが、どうしてもアップピッキングの際に1弦がナットから落ちてしまいます。どうやら1弦にはストリングガイドが必須のようですね。

 以前「使われていないストリングガイドは外すべき」と書きましたが、考えが変わりました。ネジ穴の保護という点を考慮すると「ストリングガイドはそのままで、必要なければ弦をガイドから外す」というのが良さそうです。
   

(3)

ナットと弦の摩擦
   多かれ少なかれ、ギターの構造上、ナットには物理的な摩擦が存在します。これはどうしても避けられないものですので、摩擦抵抗を極力小さくする工夫が必要です。(下記参照

 今までの試行錯誤の結果、自分でナット溝をいじってしまったり、自分でナットを新しく作成した場合で、チューニングの狂いの原因としてナットが疑わしいと感じたのならば、一度プロが利用しているような有名なリペアショップでナットを作成してもらうと良いでしょう。調整はそれからです。私はディバイザーに出しました。(かなり満足しています)
   

(4)

トレモロユニットをボディにガッチリと固定してしまっている
   トレモロユニットを全く使わない人ならトレモロユニットをボディに固定させることも全然OKなのですが、少しでも使用する可能性のある人は、必ずフローティングさせる必要があると思います。

 もちろん強制ではありませんが、フローティングをしておく事により、アームダウンの後に万が一チューニングが狂った場合に、アームアップをする事により、チューニングが復元する場合も少なくないからです。

 アルバム:「メイドイン・ジャパン」でのリッチーブラックモア氏の演奏においても、氏が激しいアーミングの後にチューニングの復元を試みている場面が聞き取れる個所があります。

 フローティングを推奨する理由はこれだけではありません。私が言いたい、最も大切な点は「
レオフェンダーが考え出したトレモロユニットの元々の仕様がフローティングを前提としており、その状態のときに100%の性能が発揮出来るように設計されているから」という事に尽きます。
   

(5)

スプリングの本数をやたらに増やしていないか?
   ギターの裏側にはトレモロユニットのバランスを取るために装着されているスプリングが最大で5本取り付けらるようになっていますが、トレモロユニットを使用する場合、「スプリングの本数はなるだけ少い方が良い」という結論に達しました。

 本数が少ないということはスプリングの張力(ハンガーの締め込み)はなるだけ強くするという事になりますが、逆に本数を多くして張力を弱くする事と同じように感じられますが、後者の場合、セッティングによってはアームアップの際にスプリングが外れてしまう事がありました。

 この件についてジェフベック氏のインタヴューにもヒントはありましたが、前項のフローティングにするメリットと合わせると、スタッドに掛かる負荷が減り、楽器全体の寿命が延びる点と、スプリングにある程度の張力を与える事により復元性能が向上する点に注目しています。
   

(6)

ペグの不調を見逃していないか?
   意外にもこの点については見過ごされがちなのですが、私の所有ギターに起こった事件を書かせて頂きます。

 トレモロユニットのセッティングは終わった、ナットもリペアルームにより新調しグリスアップも完璧で弦の巻数も規定どおり。・・・これでチューニングが狂うわけが無い!と思っていましたが、何故か6弦だけが半音近くも音程が上がってしまう・・・ 原因不明!今までの研究成果は無駄なのか?と激しく悩んでおりました。

 ところがある日、楽器をクリーニングしている最中に6弦ペグにガタ付きがあることに気が付きました。実際問題、ペグのガタ付き位問題にしていなかったのですがチューニングの際にペグつまみの動きが気になって仕方ないので気休めにスペアのペグと交換してみたところ何と前出のチューニングの問題がいともあっさり解決してしまったのです。

 原因を突き止めたところロトマチックペグであるにも関わらず、ウォームギアの噛み合わせが緩く、トレモロユニットを使用するたびにギア同士に隙間が出来、バックラッシュが起きていたのです。

 色々な調整を施したにもかかわらず全く改善されない場合はペグも疑ってみましょう。もしも同じタイプで予備のパーツを持っているのならば、交換してみるのも良いと思います。
   

■実験ギターの仕様
【ブランド】フェンダージャパン
【モデル名】MST-32
【製造年】恐らく80年代
【スケール】不明(デュオソニックよりも2回りほど短い)
【チューニング】6A/5D/4G/3C/2E/1A
【ゲージ】008-038

いわゆる「ミニギター」と言われるシロモノです。

■作業開始!
◆まずはトレモロの分解
 弦を外し、トレモロユニットを分解する。ミニギターなので色々な部品が小さい。弦のテンションも弱いし、ユニット自体の精度も気になる。果たして成功するのでしょうか?(不安)

 手に入れてから一度もメンテナンスしておらす、かなり汚れていたのでとりあえずは部品をワイアブラシとコンパウンドで磨きあげました。
◆トレモロベース(プレート)のメンテナンス◆
 全てのシンクロナイズドトレモロのユニットがこうなっているのかは疑問ですが、とりあえずこのユニットを見る限り「良く考えてあるなぁ」と思いました。

 写真は裏側から見た状態ですが、アームアップをした時にスタッドネジに当たらないようにテーパー加工されています。しかも結果的に接触面がナイフエッジとなっていて、トレモロ使用時の抵抗を最小限にするように工夫されていました。(ボニーレイットストラトも同様)

 フェンダーのものには必ずこの加工が存在しています。逆に某有名国産ギター・ブランドの70〜80年代ものにはこういった加工はありませんでした。どうりで当時必死になって調整してもダメだった訳です。

 ところで、フェンダーのユニットが優れているという点は素晴らしいのですが、例えば国産某社のギターのユニットが上記のような仕様になっていなかったからといって、フェンダーのユニットに載せ換えれば良いか?というと、一概にそうとは言えません。何故なら、ギターを作った工房ごとにトレモロユニットのテンプレート・ジグが違うので、6本のネジ穴がフェンダーのものと正確に一致しているとは言い切れないからです。

 今回の件で本当に感心したのは、フェンダーUSA・フェンダー・ジャパン・フェンダー・メキシコ・・それぞれのテンプレート・ジグの正確さと、装着される部品のジグに対する適正さです。やはり生産国は違っても「さすが本家」ですね。 私は改めて決心しました「フェンダー以外のストラトキャスターは買いたくない」・・と。
 若干、経年によるバリが出ていたのでやすりで削り落とします。あと、ナイフエッジも少しだけ鋭角に修正しました。(ま、気分の問題ですね(苦笑))

イナーシャブロックを取り付けます。

 
サドル取り付け。バネを無くさないように(実は私、よくやります(苦笑))
サドルは高さ調整のイモネジで、プレートと水平になるように調整します。
(弦を張った後に再びサドルの高さ調整をします)

 おおまかにオクターブピッチの調整をしておきます。正確でなくても構わないので、とりあえずこの形に並べておきましょう。
■スタッド取り付け!(最重要!)
 スタッドの木ネジを使ってトレモロユニットを取り付けます。とりあえず調整目的なので1弦側と6弦の2本のみをネジ込みます。

 木ネジの締め込みは適当に。とりあえずユルユルでOKです。

 この時にスムースにユニットが抵抗無く動く事を確認してください。もしも不幸にして何かに引っかかるような感触・何かに擦れているような感触がある場合は、プレートのネジ穴を広げるなどの調整が必要です。

 ◆ここが、一番重要です!!◆ 

 トレモロユニットの後ろ側をアームダウンの限界まで持ち上げながら、1弦側スタッドの木ネジを締めます。木ネジのエッジがプレートに当たったところで締め込みを止めます。そしてホンの少しだけ(本当に少しだけ)木ネジを緩めて完了です。

 同様に6弦側も調整します。くどいようですが、その際にトレモロユニットの動きもこまめにチェックしてください。

 ※この調整により「アーミング時の支点のずれ」が最小限になる筈です。

 続いて残りの木ネジをかなりルーズに取り付けます。必ずしも1弦・6弦と同じようにセットアップする必要はありません。アーミングの祭の抵抗とならないようにプレートから1ミリ程の隙間を持たせると良いでしょう。

 その際、注意して欲しいのは必ず1本ずつ締めてゆき、その都度トレモロユニットの動きを確認することです。

 動作させたときに変な抵抗がある様な場合は、トレモロユニットのネジ穴を少し削る等して抵抗を取り除きます。極端にズレがある場合は、トレモロユニットの穴ではなく、ボディ側のネジ穴を開けなおす場合もあります。

 また、裏技として6弦・1弦のスタッドを締めた状態で正常な動きをしていたけど、5弦〜2弦のスタッドを締めると抵抗が出るような場合は、迷わずスタッドを6弦側と1弦側のみにする事です。(スタッドが2本だけになりますが、近年の弦ゲージではビクともしませんのでご安心を)
■弦を張る/摩擦抵抗の軽減

 トレモロユニットのセットアップが終わったら、スプリングを取り付け、弦を張ります。このギターはミニサイズなので若干違いますが、一般的にレギュラーなストラトキャスターならば、008-038ゲージ、009-042ゲージ、010-046ゲージの場合2本のスプリングで充分対応します。スプリングを固定するハンガーのねじを締め付けてフローティングの状態を作り出します。

 これにより、ジェフベック・ライクな非常にタッチの軽いアーミングが可能となるからです。(ジェフベックのインタヴューを参考にしました)

 余談ですが、70年代に現:BOWWOWの山本恭二氏は、何とスプリングを1本だけにしてセッティングしていた事がありました。恐らく 008-038ゲージでフローティングさせていたのでしょうか・・それにしてもすごいですね!!
 サドルの高さを調整し、チューニングをします。その際にオクターブピッチも行ってしまいましょう。

 フローティングさせたユニットは、サドルの位置が若干ネック寄りになりますので、それこそ弦を張り替える度に必要な作業と言えます。

 これが嫌な人は、ずっと同じメーカーの同じセットを使うことです。

 前出のように、プレイ中に弦が切れ、チューニングがボロボロに狂うのを嫌ってユニットをボディに密着させる人も多いと聞きますが、トレモロユニットはフローティングさせてやるのが基本です。
 ユニットを浮かせる際は、アーム・アップで「3弦で1音ないしは、1音半の変化」が出るようにします。私のオススメは、ずばり「1音半」です。理由は、音楽的にエモーショナルであり、演奏の自由度が多いという点と、加えてユニットがスタッドに対して「よりナイフエッジ的な接触」が出来るからです。(騙されたと思って試してみてください。)

 アーム・アップで1音半のセッティングの場合、ヴィンテージ・タイプのストラトキャスターだとアームダウンの幅が若干犠牲になりますが、ジェフベックのようなアーミングが好みであれば、全然許容範囲だと思います。ブラックモア派の人は1音アップのセッティングで行きましょう(完全私感です(笑))
 ストリング・ガイドの、弦が当たる部分ををメタルポリッシュやワイアブラシで研磨します。サビや汚れが溜まっていると抵抗となり、チューニングの不安定に繋がります。ピカピカ・ツルツルに磨いてあげましょう。

 ここにワセリンなどのグリスを塗るというのは非常に良いアイディアだと思います。

 ストリング・ガイドのスペーサを70年代モデルの3〜4弦用の高いものに変えます。低すぎるとテンションがきつい為に抵抗となるからです。(左:オリジナル 右:変更後)

 最近の弦毎に高さの違う「スタガード・ポスト・ペグ」を使うというのも手ですが、なるだけオリジナルの部品から変更したくないのであれば、この方法をお勧めします。

 ナット溝の抵抗を少なくする作業です。

 この作業には本来、専用工具「ナットファイル」が必要に思われますが、使いません。何をしたいかといえばずばり「ナットの強制的な経年変化」です。いえいえ、レリック加工をしようというのではないのでご安心を(笑)。

 つまり、新品のストラトキャスターではナットの溝自体は「ナットファイル」によって切られたままの状態な訳ですが、長年トレモロを使用し続け、弦とナットの弦溝がなじんで来て抵抗も少なく、スムーズに弦が行き来する感じを演出するというものです。

 この作業に使うものは何と、0.008ゲージの4弦(0.022ワウンド弦)のみ!

 これは、友人の掛須さんに教えてもらったのですが、試してみたところかなりの好結果が得られたのでここで紹介します。(ゲージはもっと細いものがあれば尚良し)1弦の溝などはちょっとキツイかなと思いましたが、楽々入ってしまい、結果的にOKでした。

 研磨の際は、必ずペグの取り付けられているヘッド側の方が低く傾斜するようにしてください。(写真ですと右手側の方が低くなります。)間違って逆に研磨すると(そんな人は居ないでしょうけれど;)弦がビビったり、音詰まりが起きますので、くれぐれも間違えないように!!

 目的は、「ナット溝の抵抗を減らし、滑りを良くする為」ですので丹念かつ慎重に、くれぐれもやり過ぎないように(!)、行ってください。ストラトキャスターが発表された当時、ヘヴィゲージ等では弦のテンションがきつい為にナットでの摩擦抵抗はあまり問題にならなかったのでしょうかね?(へヴィーゲージを張った事がないので分かりませんが)

 まぁ、現代のようにライトゲージ、ウルトラライトゲージといった非常に細い弦を使う場合、この部分の微妙な抵抗がチューニングを不安定にさせる原因の30%以上!と、言っても過言ではないと思います。微妙な狂いがどうしても気になる場合は、腕の良いリペアマン(おすすめはフェンダーの工房)にナットを新しく作って貰いましょう。

 あと、ナットの材質ですがブラスや牛骨、カーボン等ありますが、私のお勧めはフェンダー純正のユリア(ボタン等に使われるプラスチック樹脂)ナットです。

 オイル漬け牛骨などといういかにも抵抗の少なそうなものもありますが、過去何度も自作牛骨ナットを作りましたが何故かうまく行った試しがありません。

 ま、もちろん私の腕の問題もあるでしょうが、今のところ所有するギターのナットは全て最初から乗っている純正品ばかりで、ナットが原因となるチューニングの狂いは殆どありません。(材質にこだわるのも良いですが、どんな材質であれ、一度バランスの取れたナットは極力交換しないようにしましょう。もしかしたら「ユリア樹脂ナットを使用する」というのには何か訳があるのかも知れません。トレモロユニットのテーパー加工にしてもそうですが、あえてレオフェンダー氏の考えに逆行するのもどうかと思いますし)
■完成!

◆お疲れ様です、以上で調整は終りです。

 ●調整後に弾いてみた感想としては。

 トレモロの掛かりが良くなり、チューニングの安定度が見違えるほど良くなりました。ミニサイズギターなので全体的にテンションが低く、アームを目いっぱい下げる様な激しいアーミングの際には微妙にシャープ気味になるものの、通常の演奏では全く問題無い範囲にまで追い込む事が出来ました。

 恐らく、ストリングガイドをアメリカンスタンダードの様な抵抗の少ないものに換えてやると更に改善されると思います。

 とりあえずトレモロユニット自体の狂いを無くす事には成功したと思います。まだまだ詰める部分はあると思いますが、少なくとも昔から言われている「トレモロ調整にまつわる迷信」から抜け出せたと思いました。

◆楽器が違いますが、別のギターを、同様の調整方法でチューンナップした時の、調整前(スプリングの張力を使い、ボディと密着させたストラトキャスター)と、調整後(フローティングさせ、アームアップで1音半のセッティング)のサンプルサウンドを用意しました。お時間がある方は是非聞いてみてください。

試奏(MP3):調整前 / 調整後(Clean) / 調整後(Drive)


解説:

■調整前->トレモロ使用後、低音弦側と高音弦側にて大幅な狂いが生じています。ライヴだとこの後の演奏は殆ど不可能でしょう。いわゆる「チューニングの狂いを嫌って、ユニットをボディに密着させる」というやり方です。スタッドビスはきつく締めこんであり、アーミングの祭に大幅な「支点のずれ」が起きているためにこのようなチューニングの狂いが起きています。

■調整後->トレモロのスプリングは2本、フローティング量は「アーム・アップで1音半」にしてあります。スタッドビスは上記の調整法と同様に、エッジがプレートに触った状態から微妙に戻したセッティングです。これにより「支点のずれ」は、極限まで小さくなっています。
■あとがき
 上記のレポートは有能なリペアマンの皆さんの間では常識的な事なのかも知れませんが、私の周りではあまりにも根拠の無い迷信が多く、それらに振り回されるうちにトレモロユニット自体の「当たり・外れ」などという、それこそ「迷信」を作り上げていたような気がします。

 私は今回の事で良く解りました。

「まともなメーカーのシンクロナイズドトレモロは、ちゃんと調整すればキチンと機能する」

・・・と、いう事を。

 その後、何本かのストラトキャスターを上記の調整方法を施しましたが、ナットを交換していたものや、国産某社のコピーモデル以外はほとんど完璧にセットアップ出来ました。

 とある情報筋によると、フェンダージャパンのネックは「トーカイ・ギター」の工房で作っているとか?トーカイが独自に工房を持っているのか、それともトーカイ・ブランドを作っている工房が他にあるのかは分かりませんが、とにかく「トーカイは良い」という認識で良いと思います。機会があれば、古いトーカイのSTモデルを弾いてみようと思います。(フェンダーしか買わない!というポリシーはどうなったんだ?(苦笑))

 何が言いたいかというともしも運悪くナットが割れたり、減ってしまった場合にナット交換をするならば、純正ジグを持っている工房でやって欲しいと思ったからです。

 この辺の情報をお持ちの方がおいででしたら、
是非教えてください!

1.イントロダクション
 
2.トレモロユニットによるチューニングの狂いの原因と対策
 
  1)ペグポストでの弦の「巻きゆるみ」
  2)
ストリング・ガイドとの摩擦
  3)
ナットと弦の摩擦
  4)
トレモロユニットをボディにガッチリと固定してしまっている
  5)
スプリングの本数をやたらに増やしていないか?
  6)ペグの不調を見逃していないか?
 
3.実験ギターの仕様
 
4.作業開始
 
  a)まずはトレモロの分解
  b)
トレモロベース(プレート)のメンテナンス
  c)
スタッド取り付け!(最重要!)
  d)
弦を張る/摩擦抵抗の軽減
  e)
完成!
   試奏(MP3):調整前 / 調整後(Clean) / 調整後(Drive)
 
5.あとがき

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