2011年1月5日    昨年の仕事とtwitterの効用

あけましておめでとうございます。
まず以下に年賀メールに添えた文面をコピーします。
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ほんとうは心から新しい年を迎え、いろんなものを一心し、
希望を伝えていきたい気持ちで一杯なのですが、

いまの日本社会はますます混迷し、不安定な国政も都政も地方政治も
より拍車がかかることは避けられない状況です。

自民党以上に左右の幅のありすぎる民主党の分裂は、
もはや避けられない事態。同時に、代議士や閣僚になる
ことだけを目指すような無能な国会議員もあぶり出されてきていると
思います。

こうした時代に、威勢のいい者、力のある者、「愛国心」を強調する者になびくことの
怖ろしさを、軍国主義で日本の進路を誤った時代を振り返る落ち着きが、
とりわけ国政に求められています。

政治家になるべきでない有名人やタレントを起用するような
有権者を見くびった政治家も、人間を差別するあからさまな発言を
長年にわたって繰り返す都知事のような人物も引退してもらうべき
潮時となっています。

そしてマスメディアこそが、世論形勢に良くも悪くも最も強い影響力を持つことを
自覚し、視聴率に一喜一憂するバラエティニュース番組と化したテレビ報道を正し、
過去を振り返りつつ近未来を予見した心構えで報道する姿勢が求められています。

マスメディア報道に飽き足らず、ネットメディアを活用する市民が増え、
テレビや新聞などのほかに信頼できる多様な情報源を求める市民も増えています。

では、フリーランスのフォトジャーナリストとして何ができるか?
取材者は何をしなければいけないのか?個人としても、一会員として活動する
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)としても、今年はいよいよ正念場です。

これまで以上に、自分でできることに取り組み、形にするしかありません。
今年こそ戦争体験者の聞き取りを「戦争の記憶」としてまとめようと思います。
また、JVJAとしては自分たちで発信する新たなネットメディアの創刊に挑戦します。
「fotgazet フォトガゼット」 http://www.fotgazet.com/ と合わせて、どうかご支援ください。

2011年1月2日  山本宗補

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 ここからは昨年の主な仕事を振り返り、実現できるかどうかは別に、2011年の抱負を少し。
 2月に山本宗補写真展「老いの風景」を川越で開催。3月には佐々井秀嶺師の大型写真集
「日本行脚」
を刊行できた。5月にtwitterを始め、6月にタイ・ビルマ国境を1年ぶりに取材。
8月は福島菊次郎さんの写真展と講演会が盛況だった。NHK Wolrd ラジオ日本では、
「戦争の記憶」取材に関する10数分のインタビュー番組が16の言語で放送された。

 9月には、JVJA編の共著「『戦地』に生きる人々」(集英社新書)が刊行された。辺境から
見える軍政下ビルマ(ミャンマー)について執筆した。10月は企画段階から協力し、写真を
提供した佐々井師の著書「必生 闘う仏教」(集英社新書)が刊行され、インドで6度目の
佐々井師密着取材をやった。11月には、インドとビルマのことを執筆した参考図書「子ども・
平和・未来 21世紀の紛争 第1巻」(岩崎書店)
が出版された。

 5月に早稲田大学でジャーナリストを目指す学生たちに授業した内容が収録された「『境界』
に立つジャーナリスト」(早稲田大学出版部発行)
が出版された。11月末に「fotgazet
フォトガゼット」創刊準備号
を発表した。BS11のINsideASIAには4度出演。琉球新報紙上の
沖縄戦以外の戦争体験者の聞き取りをまとめた連載「戦争の記憶」は月平均2回掲載し、
12月に全35回で終了した。自分としては、例年以上に仕事の成果が結果として残った
年だったことは間違いない。

 この中でも、本当ならば佐々井秀嶺師の写真集「日本行脚」が、最も自慢すべき重要な
成果だったはずなのだが、年末恒例の今年の10大ニュースで年の前半に起きたことが洩れて
いるように、時の経つのが早すぎて、その歴史的重要性が霞んでみえてしまう。ただ、
今年にまとまった成果として残る仕事としては、「戦争の記憶」の長期連載が最優先すべき
最も重要な仕事だったと考えている。沖縄戦を生き残った体験者など、これまでの聞き取りと
今年前半に集中してやり遂げたい聞き取り取材を1冊にまとめた証言集として出版したい。
これは証言内容が主となる手頃な価格の本と、肖像写真をメインとする写真集的な大型本の
二つの方法でまとめるのが理想だ。「戦争の記憶」が本になれば、写真展を始め、
全国巡回展をやっていきたい。

 さいごに、疎かになった雑記帳の反省とネットメディアの大きな可能性を秘めたtwitterの
効用について。(私のtwitterアカウントはasama888です)

「目に見えないみなさまの関心に、背筋を伸ばしながら、2010年もこの雑記帳を、
仕事をPRしながら、気の向いたときにアップデートしていこうと思います。
(願わくば、写真の仕事が増えることを念じつつ・・・)」

1年前の1月6日の雑記帳の冒頭にこう書いた。しかし、雑記帳のアップデートは、5月に
twitterを始めてからは、確実に疎かになっていった。友人に奨められるまま、自分の仕事の
PRに有効利用したいという軽い気持ちで始めたtwitterだったが、「はまった」。

反応が間髪を入れず、生なのだ。twitter上にあふれる情報も、自分の不勉強をいやというほど
認識させてくれるものであり、自分の関心分野の情報もこれまで以上に素早く入手できるよう
になった。言い訳も含めて、twitterは昨年の大きな収穫の一つである。

なぜそう言い切れるのかというと、twitterで情報をガンガンつぶやく(投稿する)牽引役
を信頼されるフリーランスのジャーナリストがやっていて、テレビ新聞報道の物足りなさや、
偏った報道内容に不満を募らせていた多数の市民(私もその一人)が、
マスメディアによる報道に愛想をつかし、ネットニュースとは異なる新しいネットメディア、
情報ソースの一つとして大きな役割を担い始めているからなのだ。その上、情報の発信者と
受信者のインタラクティブな交流、例えば大臣と一市民との会話が自然と生まれている
世界で、同じ土俵に上がってやりとりをしているような超民主的な平等世界となっている
ことも特筆に値する。

私がフォローしたり、頷くことの多いジャーナリストの投稿者は、岩上安身、江川紹子、上杉隆、
畠山理仁各氏など。(まったくといっていいほどに知られなかった記者クラブの弊害と
閉鎖性、政府官僚との癒着性を、具体的な記者会見の事例で次々と暴いた畠山著の
「記者会見ゲリラ戦記」は、超シリアスな内容なのに笑わせてくれる優れた著書)
彼らのツイートに限らないが、普段から自分が取材していない分野の専門家や、上関原発
反対運動や沖縄基地問題など重要な社会問題の現場からのツイートが、これほど素早く
受信できるメディアはなかったと思う。

一人でホームページの情報を更新し、雑記帳を更新しても、反応のほとんど実感できない
世界とは全く異なり、生の反応が、発信者としての自分を鍛えてくれることも重要だ。
140字以内でのつぶやきは、無駄をそぎ落とし、ことばを選び抜き、伝えたいことの本質を
ズバッと伝える訓練ともなる。

加えて、twitterの利点はフリーランスでフォトジャーナリストの仕事をしている我が身には、
広報の窓口としての大きな味方であり、これまでの活動や広報では届くことのなかったような
市民層や若い世代、地方在住の市民活動家や問題意識の高い人たちとの接点となって
くれたことだ。この点は、JVJA(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会)が創刊を目指して
取り組んでいる「fotgazetフォトガゼット」に対する熱い反応の広がりにはっきりと見てとれる。

twitterは、まだその意味さえも定着していない「ソーシャルメディア」の一つだが、
報道に関わる仕事をやっている限り、使わないと損をすると言いきれる。場合によっては
良質な情報の宝庫を見過ごしてしまうことにもなる。

「fotgazetフォトガゼット」は創刊し、定期発行を定着させるしかないと思っている。それは
フリーランスのフォトジャーナリストとビデオジャーナリストの集まりとして活動するJVJAの
使命であり責任だ。将来的にはフォトジャーナリズムの力が維持され再生されるメディアに
育てていくことが求められている。

政治と社会が混迷し、マスコミ報道がますます多様性を失い信頼を損なっている時代に、
自分が何と向き合って仕事を継続すべきなのか、昨年頃から実感を伴って見えてきたところだ。

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